

東京弁護士会所属。東京都出身。
弁護士になる前、私は公務員として自治体業務に携わってきました。その経験から、法的な正しさだけでなく、社会的な公平性や、一人ひとりの生活に寄り添うことの重要性を深く理解しています。
立ち退き問題は、住まいや事業所といった生活の根幹に関わる問題であり、そこには多大な不安やストレスが伴います。私は「弁護士は敷居が高い」というイメージを払拭し、何でも気軽に話せる相談相手であることを常に心がけています。
複雑な法律用語を分かりやすく整理し、今後の見通しを丁寧にご説明した上で、依頼者様が「相談して良かった」と心から思える解決を目指します。公務員時代から大切にしている「誠実に向き合う」姿勢を貫き、皆様の正当な権利を守るために全力で取り組んでまいります。

家賃滞納時の立ち退き請求にかかる費用は、総額で50万円から150万円ほどになるのが一般的です。
訴訟の提起費用は数万円ほどですが、借主を強制退去させる執行費用や弁護士費用などで100万円を超えるケースも珍しくありません。
自己判断で家賃滞納を放置すると、回収不能な未払い家賃が増え続け、経済的な損失や精神的な負担も重くなります。
損失を最小限に抑えるには、滞納が2〜3カ月続いた段階で弁護士に相談し、交渉や支払督促、強制退去などで早期解決をめざしましょう。
弁護士に依頼すると、保証会社への請求や連帯保証人との交渉、強制執行のスケジュール調整など、時間や労力がかかる手続きを代行します。
ここでは、建物明渡請求にかかる費用や損失を最小限に抑える対処法などを解説します。
目次
家賃滞納による裁判費用の内訳と相場は、以下の通りです。
滞納家賃を回収するための裁判は、数万円ほどで申立てできます。
一方で、借主を強制退去させるための執行費用や残置物の撤去費用などは、事案によって数十万円から100万円以上かかるケースもあるでしょう。
それぞれの内容を詳しく解説します。
居座り続ける借主を強制退去させるには、建物明渡請求訴訟を提起する必要があります。
訴訟を提起するための費用は、主に以下の通りです。
収入印紙代は建物の固定資産評価額から算出しますが、通常は数万円ほどに収まるケースが多いでしょう。
予納郵券代は裁判所からの通知書などの郵送代であり、数千円ほどを負担します。
滞納家賃があるときは、建物明渡請求と併合して請求するのが一般的です(民事訴訟法136条[注1])。
請求額に応じて、収入印紙代が数千円~数万円ほどかかります。
建物明渡請求で勝訴判決を得た後、明渡しの強制執行を申し立てるためには、裁判所へ予納金を約6万円から7万円ほど納付します。
借主が建物内に所有する美術品や宝石などの動産を差押えする場合、予納金4万円程度が別途必要です。
予納金は、借主への明渡しの催告といった執行官の業務手数料や交通費など、実務上の実費にあてられます。
建物明渡強制執行の申立てや執行費用の予納は、民事執行法14条1項及び168条[注2]に規定されており、法律上で必須の手続き要件です。
強制執行で荷物を搬出する費用は、貸主が執行補助業者に支払う実費であり、ワンルームで荷物が少ないときは20万円〜30万円ほどが相場です。
ファミリー向け物件やゴミ屋敷となった物件であれば、人件費、トラック代、処分費用などで100万円を超えるケースも珍しくありません。
民事執行法168条[注2]に基づいて室内の荷物は搬出され、倉庫業者によって通常1カ月ほど保管された後に処分されます。
実務上、高額な撤去費用を避けるため、強制執行の断行前に弁護士から借主へ自発的な荷物の処分と退去を交渉するケースが多いです。
弁護士に建物明渡請求を依頼すると、主に以下の費用がかかります。
費用は旧弁護士会報酬基準を基に設定されているケースが多く、総額約30万円から50万円ほどが相場です。
弁護士に依頼して早期解決できれば、損失を最小限に抑え、家賃収入も復活できます。
弁護士に相談すると、最初に過去の滞納履歴や契約書を精査し、その場で解決までの方針や期間、費用見積もりなどを提示してもらえます。
弁護士の法律相談料は、一般的に30分あたり5,000円から1万円ほどが相場です。
VSG弁護士法人では初回無料相談を実施しているため、積極的に活用して弁護士との相性などを確認するとよいでしょう。
相談を先延ばしにすると、滞納家賃が増え続けて解決までにかかる期間も長くなる傾向にあるため、早期相談が重要です。
着手金とは、弁護士が交渉や訴訟手続きなどを開始するために必要な初期費用です。
建物明渡請求の場合、事案の難易度や訴訟の有無に応じて約20万円から40万円ほどになるケースが多いでしょう。
着手金は、借主の自己破産などで滞納家賃を全額回収できなかった場合でも、原則として返還されません。
弁護士の書類作成や交渉、出頭などの稼働に対する対価となるためです。
着手金の受領後、弁護士は貸主の代理人として内容証明の送付や交渉などの手続きを開始します。
借主にとって精神的負担がかかる手続きから解放され、すべての窓口が弁護士に一本化されるのは大きなメリットとなるでしょう。
報酬金は、建物の明渡しや未払い家賃の回収が完了した後に支払う成功報酬です。
一般的には、約20万円から40万円ほどの固定報酬と、回収家賃の約10%から20%など経済的利益に応じた報酬の組み合わせで設定されます。
実務上、契約書には以下のように支払条件や支払期日、支払額などが明確にわかるように定めておくとよいでしょう。
「残置物の処分などを含めた建物明渡しの完了を貸主が確認した後、1カ月以内に固定報酬20万円の全額を支払う」
「借主からの未払い家賃の振込があった後、1カ月以内に振込額に10%を乗じた成功報酬を支払う」
建物明渡請求の手続きでは、以下のような実費が数千円から数万円ほど発生します。
これらは弁護士が立替え払いをした実費の精算であり、実務上は着手金の支払時に数万円ほどを預かり金として支払うのが一般的です。
建物明渡請求の終了後に余剰分があるときは返還、不足分があるときは追加請求されます。
透明性のある実費精算を行っているか確認するために、算定根拠が不透明なときは明細を請求しましょう。
建物明渡手続きで費用を支払うタイミングは、主に以下の通りです。
| タイミング | 支払う費用 |
|---|---|
| 弁護士との契約時 | 着手金と実費の預かり分 |
| 訴訟の提起前 | 裁判予納金 |
| 強制執行の申立て時 | 執行予納金、鍵代 |
| 建物明渡しや家賃回収の完了後 | 執行補助業者への支払い、弁護士への報酬金 |
初期費用として着手金や訴訟実費などが発生し、中盤で裁判所や業者への執行費用などが必要となります。
執行費用は荷物の搬出などが高額になるケースもあり、事前に資金計画を立てておくのが重要です。
借主から滞納家賃を回収しようとしても、無資力や自己破産により回収が困難なケースが少なくありません。
滞納を続ける借主を早期に退去させて損失の増加を防ぎ、賃貸経営の正常化を優先するのが重要です。
たとえば、滞納家賃が100万円を超えてから訴訟を提起した場合、滞納分を回収できず、滞納期間中に得られるはずの家賃収入も機会損失となります。
早い段階で建物の明渡しを成功させ、新しい入居者を迎えられれば、回収できない家賃や機会損失も最小限に抑えられるでしょう。
キャッシュフローの観点からは、早期対応によって損失の拡大や将来的な機会損失を防ぐのが最善と言えます。
一時的な費用はかかりますが、結果的には早期対応した方がメリットが大きくなるケースがほとんどです。

強制退去までの流れは、滞納の督促から内容証明による解除通知、訴訟提起、明渡判決から最終的な強制執行の手続きへと進みます。
全体の期間は、おおむね半年から10カ月程度かかるケースが多いでしょう。
法的な手続きによらず、貸主が勝手に鍵の交換や荷物の搬出を行うのは自力救済として禁止されています。
ここからは、明け渡し訴訟・強制執行までの流れや期間を紹介します。
借主との契約を解除して建物の明渡しを請求するには、貸主と借主の信頼関係が破壊されていると認められなければなりません。
借主の居住権は借地借家法により保護されているため、1~2回の家賃滞納では信頼関係が崩れたとは認められないケースが多いでしょう。
家賃滞納が3カ月ほど続き、貸主からの支払督促などを無視し続けると信頼関係が崩れたとみなされます(民法541条の適用制限[注3])。
家賃の滞納後、借主への支払督促と並行して、連帯保証人への請求や保証会社への家賃保証申請を行います。
連帯保証人は借主と同じ返済義務を負うため、借主本人への請求や財産の差し押さえなどを主張できません。
連帯保証人に連絡がつかない場合でも、弁護士は職権調査によって現住居を特定し、滞納家賃の全額回収交渉を進められます。
保証会社は、滞納家賃の代位弁済について上限額や期間を定めているケースが多いため、期間内に申請や訴訟手続きなどを行いましょう。
内容証明郵便とは、郵送した書面の内容や相手の受領日などを郵便局が証明する制度です。
民法541条[注3]の催告による契約解除を行うには、相当の期間を定めた催告が必要です。
内容証明は公的な証明力を持つため、裁判でも貸主からの適正な督促が行われた事実を立証する証拠として認められます。
弁護士名義で送付すると、借主に心理的な圧力を与え、退去や家賃回収などを促す効果もあるでしょう。
内容証明郵便で督促した期日までに支払いや退去がされない場合、明渡し訴訟を提起します(民事訴訟法133条以下[注1])。
訴訟の提起後、第1回口頭弁論期日が指定され、借主の家賃滞納の事実や貸主からの契約解除の正当性などが審理されます。
口頭弁論から判決までは、1~2カ月ほどかかるケースが多いでしょう。
勝訴判決後、裁判所から借主へ数カ月の猶予期間内に退去するよう命令が下され、強制執行の法的な根拠となる債務名義が得られます(民事執行法22条1号[注2])
猶予期間内に借主が退去しないときは、強制執行の申立てを行います。
執行官が催告した断行日までに退去しないと、室内の家具などが強制的に搬出され、鍵も強制的に交換されて明渡しが完了します(民事執行法168条[注2])。
貸主が立替え払いをした執行費用は、執行後に借主へ請求可能です。
搬出された荷物は原則1カ月間保管された後、廃棄または売却処分されます。
明け渡し訴訟の手続きの流れ!費用や強制執行されるまでの期間について
貸主本人が明渡し訴訟を提起するのは、法律上は可能ですが、現実的には困難なケースがほとんどです。
訴訟手続きは裁判所の厳格なルールに従って進むため、期日通りに正しい手続きを行わなければ延滞や不備による差戻しとなります。
裁判所へ主張する内容は過去の判例などを調査して行う必要があり、なじみのない方にとっては煩雑で、主張が認められない可能性もあるでしょう。
時間や労力がかかった上で失敗するリスクが大きいため、建物明渡し請求は弁護士へ依頼するのが望ましいです。
弁護士にも得意分野があるため、明渡し訴訟に不慣れな場合や、説明がわかりにくいなど依頼人への対応に問題がある場合もあります。
弁護士事務所のHPなどを確認して、明渡し訴訟の実績が豊富にある弁護士を探しましょう。
弁護士事務所によっては初回無料相談を実施しているため、実際に相談をして対応の良さや相性などを確認するのも一つの方法です。
弁護士への相談では、実行してもらえる内容や費用が明確であり、自分の状況に親身になって迅速に動いてくれるかどうかを確認しましょう。
弁護士費用や対応してくれる内容などに不明点があるときは、納得できるまで確認するのが重要です。
家賃滞納と裁判に関するよくある質問は、以下の通りです。
和解では、滞納時の即時退去など条項作成に注意が必要です。
弁護士に依頼したときは原則貸主が裁判所へ出廷する必要はありません。
それぞれの質問に回答します。
和解では、判決によらず柔軟な条件を設定し、紛争を早期解決できるなどのメリットがあります。
和解に応じるときは、以下のような即時退去条項を和解調書に定めておきましょう。
「分割払いが1回でも遅延したときは当然に契約解除し、直ちに建物明渡しの強制執行に移行できる」
即時退去条項を定めると、和解調書が強制執行の法的根拠である債務名義となります(民事執行法22条7号[注2])。
弁護士に依頼すると、弁護士が訴訟代理人として裁判所へ出廷するため、原則として貸主が裁判所へ行く必要はありません(民事訴訟法54条[注1])。
例外として、借主が立ち退きの正当性を争い、本人尋問を行うようなケースでは貸主の出廷が求められる可能性があります(民事訴訟法207条[注1])。
通常は弁護士が裁判手続きを代行して定期報告をするため、貸主に大きな負担がかかるケースは少ないでしょう。
[注1]民事訴訟法/e-Gov
民事訴訟法
[注2]民事執行法/e-Gov
民事執行法
[注3]民法/e-Gov
民法
家賃滞納している借主に立ち退き請求をするときは、滞納が3カ月を超えた時点で弁護士に対応を依頼するのが最善です。
滞納が3カ月を超え、借主が支払督促に応じない場合、貸主と借主の信頼関係が破壊されたとみなされます。
立ち退き請求では総額50万円から150万円ほどの費用がかかりますが、滞納家賃の増加や家賃収入の機会損失を防ぐのが最重要です。
弁護士に依頼すると、過去の判例の調査や借主との交渉、訴訟対応などを一任できるため、労力や精神的負担を大幅に軽減できます。
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