

東京弁護士会所属。東京都出身。
弁護士になる前、私は公務員として自治体業務に携わってきました。その経験から、法的な正しさだけでなく、社会的な公平性や、一人ひとりの生活に寄り添うことの重要性を深く理解しています。
立ち退き問題は、住まいや事業所といった生活の根幹に関わる問題であり、そこには多大な不安やストレスが伴います。私は「弁護士は敷居が高い」というイメージを払拭し、何でも気軽に話せる相談相手であることを常に心がけています。
複雑な法律用語を分かりやすく整理し、今後の見通しを丁寧にご説明した上で、依頼者様が「相談して良かった」と心から思える解決を目指します。公務員時代から大切にしている「誠実に向き合う」姿勢を貫き、皆様の正当な権利を守るために全力で取り組んでまいります。

定期借家契約は、定められた期間が経過すると原則として退去しなければなりませんが、大家(賃貸人)と賃借人の合意で再契約できます。
再契約は新規の契約となるため、家賃の2〜3カ月分ほどの再契約費用を請求されるのが一般的です。
一方で、大家はあらかじめ期間満了後に更新なく終了する旨の事前説明書面を交付する義務があり、怠ると実質的に普通借家として扱われます。
大家からの家賃値上げや費用請求、再契約の拒絶などがあっても、交渉次第では有利な条件で継続できる可能性もあるため、弁護士に相談しましょう。
ここからは、定期借家契約の再契約や大家との交渉、発生する費用などを解説します。
目次
定期借家とは、定めた期間の経過で自動的に終了し、双方の合意により再契約されない場合、賃借人が退去しなければならない契約です(借地借家法38条1項)[注1]。
大家は転居中のみ賃貸して期間経過後に退去してもらえる、賃借人は普通借家より低い相場で入居できるなどのメリットがあります。
定期借家のメリットとデメリット、普通借家との違いなどをご紹介します。
大家にとって定期借家のメリットは、空室期間中を活用して第三者からの賃料により維持費を賄える点です。
たとえば、確実に空室となる転勤中の2年間のみを第三者に賃貸すれば、賃料を管理費や修繕費、住宅ローンの返済、転勤中の生活費などにあてられます。
勤務先の事情で転勤期間が伸びたとしても、再契約で賃貸借契約期間の調整ができるメリットもあるでしょう。
大家にとって、普通借家の相場より賃料が下がってしまう点が定期借家のデメリットです。
定期借家は居住できる期間が決まっており、期間到来後は原則退去となるため、入居者が見つかりにくい傾向にあります。仮に再契約ができれば長く居住してもらえるケースもありますが、定期借家の契約時に再契約できる確約はありません。
賃借人のデメリットを考慮すると、家賃を普通借家の相場より下げなければならないケースが多いでしょう。
定期借家と普通借家の主な違いは、契約更新や立ち退き料の有無です。
賃借人が借地借家法などで保護される普通借家では、契約満了しても賃借人が希望するときは原則契約を更新できます。
大家から更新拒絶するときは、家賃滞納や契約違反など、借地借家法28条[注1]に基づく正当事由がなければ認められません。
普通借家で一般的に必要となる立ち退き料も、期間経過で自動的に終了する定期借家では原則不要です。
定期借家を再契約するときは、火災保険料や仲介手数料、事務手数料、保証料などがかかります。
定期借家の場合、厳密には更新ではなく、新たな別契約の締結となるためです。
物件により異なりますが、再契約時の費用は、家賃の2~3カ月分ほどになるケースが多いでしょう。
ここからは、再契約費用の内訳を解説します。
定期借家契約を再契約するときは、借家人賠償責任保険などの火災保険へ加入するための費用が約1万5,000円~2万5,000円ほどかかります。
火災保険への加入は、賃借人が火事を起こしたときの損害賠償責任を担保するために実務上必須です。
無保険のまま失火すると民法415条[注2]に基づく巨額の賠償責任を負う可能性があり、自己破産に至るケースも少なくありません。
定期借家の再契約は新規の媒介業務とみなされ、不動産仲介会社への仲介手数料が発生する可能性があります。
仲介手数料の上限は、大家と賃借人からの合計で家賃1カ月分に消費税を加えた額と定められています(宅地建物取引業法46条)。
同じ物件に住み続ける場合、実務上は物件の仲介業務は行われていないため、減額交渉できるケースもあるでしょう。
事務手数料は、契約書や重要事項説明書の作成などにかかる費用であり、相場は家賃の0.5カ月~1カ月分ほどです。
再契約時にも事務手数料は発生する可能性がありますが、仲介手数料と事務手数料が二重に請求されていないか確認しましょう。
たとえば、同内容の仲介や契約業務を、同系列の管理会社と仲介会社がそれぞれ請求するケースなどがあります。
家賃保証会社などの保証委託契約は、一般的に本契約である定期借家の期間満了に伴って終了します。
再契約時は、一旦終了した保証会社との契約を再び締結するための保証料が家賃の0.5カ月~1カ月分ほどかかります。
実務上は、弁護士の仲介により既存の保証契約の継続適用を交渉し、年1万円程度の支払いに抑えられる可能性もあるでしょう。
定期借家を再契約するときは、以下の注意点を確認してください。
大家に再契約の意思がなければ手続きは進められず、普通借家のように賃借人優位の前提で交渉できない点に注意しましょう。
定期借家はそもそも契約期間満了後に更新ができない契約形態のため、再契約は新規の契約になります。
普通借家であれば、賃借人が更新を希望するときは原則として大家は拒否できません。
定期借家の場合、借地借家法38条1項[注1]により大家から再契約を拒絶できるため、大家の個人的な理由でも再契約の意思がなければ退去を求められます。
大家から再契約を賃借人に持ちかけ、賃借人が話を受けるとはじめて再契約の方向で手続きが進みます。
大家は契約期間が1年以上の場合、定期借家の契約満了に関する通知を満了日の1年前〜6カ月前までに送付する義務があります(借地借家法38条6項[注1])。
通知義務を怠ると、大家は期間満了しても賃借人に退去を要求できず、通知した日から6カ月間は賃借人を居住させなければなりません。
再契約の有無は、契約満了通知に記載されています。
通知が届かない場合、賃借人は退去時期を引き延ばせる可能性があるため、弁護士に相談しましょう。
再契約は新しい別の契約であり、大家は家賃などの入居条件を自由に提示できます。
家賃が値上げされた場合、再契約後の条件が記載されている管理会社からの書面には新たな家賃が記載されています。
普通借家であれば、家賃値上げを拒絶しても、現在の家賃を支払い続ければ原則として退去させられません。
一方で、定期借家は大家から再契約を拒否できるため交渉が難しく、家賃の値上げに合意できなければ退去せざるを得ないケースも多いでしょう。
再契約時の契約書は旧契約とは別の書面となるため、内容を精査する必要があります。
家賃の金額や契約期間、敷金の返還方法などが自分に不利に変更されていないか確認しましょう。
退去時の原状回復費用を全額負担する特約や、途中解約時の違約金など、不当な特約が追加されている可能性もあります。
賃借人を一方的に不利にする特約は消費者契約法10条違反で無効となるため、弁護士を介して修正を求めましょう。
再契約時に費用が高いと思ったときは、以下の対処をしてください。
大家や管理会社から合意を求められても一旦は書面を持ち帰り、相場との比較や専門家への相談を行うのが望ましいです。
契約時に交わした契約書や重要事項説明書についても、再契約の条件が記載されている可能性があるため確認しておきましょう。
宅地建物取引業法46条[注3]は、宅地建物取引業者の報酬は国土交通大臣の定める基準や上限を超えてはならないと規定しています。
たとえば、仲介手数料の上限は原則として家賃の半月分であり、仲介契約の成立前に依頼者が承諾した場合のみ家賃1カ月分までの金額を請求できます。
仲介業者と管理会社の双方から、それぞれ仲介手数料と事務手数料の合計額を請求されるケースも不当な二重請求と言えるでしょう。
請求費用の内訳を確認し、不当な高額請求や二重請求などがあれば弁護士に減額交渉を依頼するのがおすすめです。
自分で交渉しても管理会社から強硬に全額支払いを求められる場合や、トラブルに発展しそうな場合は弁護士に対応を依頼しましょう。
弁護士法72条により、弁護士ではない者の法律事務や交渉代理などは禁止されています。
弁護士は法的な代理人として大家との交渉や法的な手続きなどを行うため、賃借人の労力や精神的負担は大幅に軽減されます。
大家が借地借家法38条3項や5項[注1]の事前説明書面の交付義務を怠った場合など、実質的に普通借家として扱われる不備の有無も弁護士のリーガルチェックで確認できるでしょう。
[注1]借地借家法/e-Gov
借地借家法
[注2]民法/e-Gov
民法415条
[注3]宅地建物取引業法
宅地建物取引業法46条
[注4]弁護士法/e-Gov
弁護士法72条
定期借家は、普通借家とは異なり、契約期間が満了すると大家から賃借人の居住の継続を拒絶できます。
双方の合意で再契約できますが、新しい別契約として仲介手数料や事務手数料、火災保険、保証料などがかかる点に注意しましょう。
大家は、定期借家の契約満了に関する通知を満了日の1年前〜6カ月前までに送付しなければなりません。
通知を怠った大家に退去時期を猶予してもらいたい場合や、再契約費用が不当に高額な場合などは、専門家である弁護士を介した交渉がおすすめです。
定期借家の再契約にお悩みの方は、VSG弁護士法人の無料相談窓口にご連絡ください。