住んでいる賃貸物件のドアを壊してしまった場合、「修理費用はどのぐらいなのか」や「自分で直せるのかどうか、直すべきなのか」について心配になるでしょう。
ドアの損傷の程度によって大きく異なりますが、修理費用は最大で20万円以上かかる可能性もあり、対処方法によっては大きな金銭的負担やトラブルの元にもなり得ます。
本記事ではドアの修理費用の目安や修理方法退去時のトラブル防止策について解説します。
目次
まず、賃貸物件のドアを壊してしまった場合の修理費用の目安について状況別に示します。
軽度のへこみや傷 | 2万円~33万円程度 |
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穴 | 3万円~5万円程度 |
表面の剥がれ | 2万円~3万円程度 |
ドア全体の交換 | 5万円~10万円程度(室内ドアの場合) |
金額はドアの素材や仕様、損傷の程度によって変わります。
ドア全体を交換しなくてはならないほど大きな破損でない限り、修理費用は3万円~5万円程度を目安にしておくとよいでしょう。
賃貸物件のドアを壊してしまった時に悩むのが、自分で修理するか専門の業者に依頼するかではないでしょうか。
ここでは、DIYで修理する場合と、業者に依頼する場合の修理方法や注意点について見てみましょう。
破損が軽度ならば、自分で補修して修理費用が抑えられます。
以下に、ドアの修理方法について破損の種類別にまとめました。
軽度の傷 | 市販の補修ペンで、薄い色から様子を見つつ少しずつ重ねていく |
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軽度の穴 | 市販のリペアキット(パテやグラスファイバー)を使用して穴をふさぎ、サンドペーパーで表面を整える |
塗装剥がれ | 表面をサンドペーパーで磨き、市販の同色の塗料で塗り直すか、補修シール・補修シートを貼る |
木製ドア/プラスチック製ドアの表面の剥がれ | 剥がれた部分の汚れやホコリを取り、木工用ボンド/プラスチック用接着剤で貼り直す |
ただし木目調のドアは色柄を合わせにくいため、完全に元通りにするのは難易度が高いかもしれません。
比較的大きな破損の場合、素人が完全に元通りにドアの修復を行うのは難しく、かえって状態を悪化させ、追加請求されるリスクを負いかねません。
そのため、破損の程度が大きい場合は、専門のリペア業者に依頼したほうがよいでしょう。
専門の業者に依頼すれば修復が難しい細かな色のニュアンスや木目の模様も再現でき、完成度の高い修理が可能です。
自分で修理するよりも、リスクが少なく原状回復に関するトラブルを防げます。
民法第615条では、賃借人は「賃借物が修繕を要るときは、賃借人は遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない」とする通知義務が定められています。
「民法第615条」(e-GOV 法令検索)
したがって、賃貸物件の場合には勝手に大掛かりな修理をするのは避け、管理会社や貸主に連絡を入れて対処方法を確認することをおすすめします。
賃貸物件のドアを壊してしまったとき、場合によっては火災保険が適用できる可能性があります。
ここでは、ドアの修理で火災保険を適用する条件と手続き注意点について解説します。
賃貸物件の契約時に加入する火災保険に通常含まれている「借家人賠償責任補償特約」は、入居者が賃貸物件に損害を与え法律上の賠償責任を負う場合に適用されます。
適用される主なケースは、以下のとおりです。
故意に壊した場合や経年劣化、日常的な摩擦による破損は適用外となる点に注意しましょう。
火災保険を利用する際は、以下のような流れに沿って手続きを行います。
賃貸物件のドア破損で火災保険を利用する際に注意したいのが、必ずしも保険が適用されるわけではない点です。
たとえば、ドアを破損した原因が保険の補償対象範囲外だった場合や、損害額が免責金額を下回った場合などには保険金が支払われない可能性もあります。
賃貸物件では、退去時に何かと費用がかかりますが、トラブルを予防する方法はあります。
ここでは賃貸物件においてドアの破損をはじめとする退去費用のトラブルを防止するための対策について解説します。
入居時には、まずドアを含めた室内の設備の状態を細かくチェックし、入居時点ですでにある傷やへこみを発見した場合には、必ず写真を撮影して記録に残しておきましょう。
また入居時だけでなく、入居中にドアなどの設備を壊してしまった場合にも写真を撮っておき、破損の事実について管理会社にも共有しておくと、退去時のトラブルを回避しやすくなります。
賃貸物件のドアなどの設備にも耐用年数があり、経年劣化は避けられません。
しかし、以下のような適切なメンテナンスや使用方法で、破損を防げる可能性が上がります。
賃貸借契約において、借主・貸主がそれぞれ負担する範囲を知っておくと、不当な請求による退去時のトラブルを避けやすくなります。
たとえばドアに大きな穴を開けてしまったような場合は借主負担となる可能性が高いですが、日常的な使用による小さな傷や塗装の剥がれは、通常損耗として貸主負担となることが一般的です。
万が一、通常使用の範囲の破損に対する修理費用を請求された場合には、管理会社や消費者センターなどに相談しましょう。
賃貸物件のドアを壊した場合、一般的に数万円程度の費用がかかりますが、場合によっては火災保険が適用でき修理費用を保険金でまかなえる可能性があります。
また賃貸物件のドア破損による退去時のトラブルを防ぐためにも、入居時・入居中それぞれの注意すべきポイントをおさえておきましょう。
もし管理会社や貸主側との退去費用にまつわるトラブルで解決が難しい場合には、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。