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家賃滞納したその後はどうなる?強制退去までの流れ・期間や払えないときの対処法

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。東京都出身。 弁護士になる前、私は公務員として自治体業務に携わってきました。その経験から、法的な正しさだけでなく、社会的な公平性や、一人ひとりの生活に寄り添うことの重要性を深く理解しています。
立ち退き問題は、住まいや事業所といった生活の根幹に関わる問題であり、そこには多大な不安やストレスが伴います。私は「弁護士は敷居が高い」というイメージを払拭し、何でも気軽に話せる相談相手であることを常に心がけています。
複雑な法律用語を分かりやすく整理し、今後の見通しを丁寧にご説明した上で、依頼者様が「相談して良かった」と心から思える解決を目指します。公務員時代から大切にしている「誠実に向き合う」姿勢を貫き、皆様の正当な権利を守るために全力で取り組んでまいります。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

家賃滞納したその後はどうなる?強制退去までの流れ・期間や払えないときの対処法

この記事でわかること

  • 家賃滞納後に強制退去したあとはどうなるのか
  • 強制退去後の次の家はどうなるのか

家賃を滞納し続けると、最終的には裁判所の強制執行によって室内の荷物はすべて搬出され、執行費用などを請求されます。
さらに、事故情報が信用情報機関に登録され、抹消までの5〜10年はローンの利用やクレジットカードの作成ができず、入居時に行われる保証会社の審査も通りません。
家賃滞納は自己判断で放置せず、できる限り早く弁護士に相談して債務整理や和解交渉による分割払いなど、生活再建に向けた手続きを実行しましょう。
本記事では、家賃滞納による強制執行の流れや期間、対処法などを解説します。

家賃滞納したらその後はどうなる?

大家からの督促を無視して家賃を滞納し続けると、以下のリスクがあります。

  • 賃貸借契約が解除される
  • 債務が継続して遅延損害金が発生する
  • 財産が差し押さえられる可能性がある
  • 連帯保証人に迷惑がかかる
  • 強制退去させられる
  • ブラックリストに載る

滞納が長期化するにつれて、自分のみでなく連帯保証人の負担や強制退去による家族への影響など問題が深刻化する恐れがあります。
契約解除の要件として挙げられている信頼関係の破壊、保証人の連帯責任(民法446条[注1])、強制執行(民事執行法168条[注2])など、それぞれを詳しく解説します。

賃貸借契約が解除される

以下の要件を満たすと、借主と大家の信頼関係が破壊されたとみなされて契約解除される恐れがあります。

  • 家賃を3カ月以上滞納している
  • 大家から相当期間を定めた支払いの催告(民法541条[注1])があったにもかかわらず返済がない

借主の居住権は借地借家法で保護されており、以下の判例のように信頼関係の破壊が認められない場合、原則として契約解除できません。

事件名:建物収去土地明渡請求事件

裁判所・部:最高裁第二小法廷
判決日:1953年9月25日
事件番号:昭和25(オ)140
要旨:借主が借地権を無断譲渡したが、特段の事情により背信行為とは言えず、信頼関係の破壊が認められないため解除権は発生しない。
補足:無断譲渡の相手が借主と同一生計の親族で、利用者や利用方法が変わらず背信行為とは言えないため民法612条2項の解除は適用できない。
出典:裁判所判例検索

滞納期間が3カ月を過ぎ、大家からの催告を無視し続けると内容証明郵便などで即時解除されるリスクが高くなります。

債務が継続して遅延損害金が発生する

家賃を滞納した翌日から、元本とは別に遅延損害金が発生します(民法415条等による履行遅滞の損害賠償)[注1]。
契約書に定めがない場合は法定利率3%が適用されますが、実務上は消費者契約法9条1項2号の上限年14.6%が特約で定められているケースが多いでしょう。
利率が年14.6%の場合、利息は以下の通りに計算します。

  • 利息=元金×0.146×日数÷365

滞納家賃50万円のときは1日200円の利息が発生し、長期化するほど返済負担が膨れ上がります

財産が差し押さえられる可能性がある

家賃滞納があるときは、建物明渡請求訴訟と併せて家賃や遅延損害金の請求訴訟も提起されるのが一般的です。
借主が敗訴すると、裁判所の執行命令により給与や預金口座が強制的に差し押さえられます。
民事執行法152条1項[注2]により、差し押さえの上限は給与の4分の1までとされています。

勤務先には裁判所の差押命令が送達されるため、家賃滞納と裁判に敗訴した事実は勤務先に知られてしまうでしょう。
差し押さえが実行される前に弁護士へ相談し、和解交渉や債務整理などを行えば、実行をストップできる可能性があります。

連帯保証人に迷惑がかかる

賃貸借契約の締結時に連帯保証人を設定している場合、家賃を滞納すると大家は連帯保証人に支払いを要求できます。
通常の保証人とは異なり、連帯保証人には以下の抗弁権がありません(民法454条[注1])。

  • 催告の抗弁権:本人にまず請求するよう主張する権利(民法452条[注1])
  • 検索の抗弁権:本人の財産をまず差し押さえるよう主張する権利(民法453条[注1])

大家から請求されると、本人に財産がある場合でも、連帯保証人は全額を一括で支払わなければなりません。
家族や親戚が連帯保証人になっている場合、関係が完全に破綻し、修復不可能な対立が生まれるケースもあります。

一般的に、家賃滞納があって督促をしても連絡がとれないまま1カ月以上経過すると、連帯保証人への連絡や督促が始まるケースが多いです。
大家や管理会社は家賃を回収できないリスクが高まっているため、連帯保証人への取り立ては強く厳しくなるでしょう。

強制退去させられる

賃貸借契約が解除された後も居座り続けると、入居物件の明け渡し訴訟を提起されるでしょう。
最終的には、指定された期日に裁判所の執行官から退去の強制執行が断行されます。
断行日には、執行官や業者が強制的に鍵の交換と室内の荷物すべての搬出を行い、荷物は裁判所の指定する保管業者に預けられます。
強制退去にかかる費用は大家から裁判所へ支払いますが、後に大家から請求されるため、借主が負担しなければなりません。

執行の様子は近隣の住民に見られてしまうため、周囲の人や関係者に強制退去の断行が知られてしまう可能性が高いでしょう。

賃貸借契約に特約がある場合でも、大家自身の手で借主を強制退去させる行為は自力救済として処罰されます。
一方で、強制執行は民事執行法168条[注2]に定められた裁判所の公的権限に基づくため、借主は一切抵抗できません。

ブラックリストに載る

家賃滞納が続き、保証会社から大家への代位弁済が実行されると、事故情報として信用情報機関に登録されます。
「ブラックリストに載った」と言われる状態になり、登録抹消までの5~10年は原則としてローンやクレジットカードの作成などができません。
住宅や車のローン購入、携帯電話の分割払いなどができず、日常生活に大きな不便が生じるでしょう
入居物件を借りるとき、近年では家賃保証会社の利用がほぼ必須となっています。
LICC(全国賃貸保証業協会)などのデータベースに家賃滞納履歴が登録されると、加盟する数十社の主要な保証会社の審査は原則として通りません。
家賃滞納により退去を余儀なくされた後に、入居物件が決まらないリスクもあるでしょう。
弁護士は、独立系保証会社を導入している管理会社や物件を特定し、適法に住まいを確保するルートをアドバイスします。

家賃滞納から強制退去までの流れ・期間とは?

家賃を滞納してから立ち退き・強制退去までの流れ
家賃の滞納後、支払催告を経て賃貸借契約の解除が通知され、退去しないときは明渡請求訴訟の提起へと進みます。
裁判所の判決確定後、執行官による明渡強制執行の断行が行われ、全体の期間は約10カ月程度かかるのが標準的な実務の流れです。
時間が経つほど滞納家賃や遅延損害金、訴訟費用、執行費用など、借主へ後で一括請求される金額は膨れ上がるため、一刻も早く対処しましょう。

賃貸の家賃を払えなくなったときの対処法とは?

賃貸の家賃が払えなくなったときは、以下の対処法があります。

  • 早期に大家や管理会社へ連絡
  • 早期に連帯保証人へ連絡
  • 公的支援制度を利用
  • 債務整理を検討
  • 自主退去

大家からの連絡を放置すると強制退去や後に高額請求されるリスクが高くなるため、対処法を把握してできる限り早く実施しましょう。

早期に大家や管理会社へ連絡

家賃の滞納後、できるだけ速やかに連絡した方が支払いの猶予や滞納分の分割払いなど柔軟な対応を認めてもらえる可能性は高くなります。
大家にとっても裁判は多大な時間や費用がかかるため、滞納が3カ月未満のときは退去を求めるより滞納分を回収する方向で考える場合が多いでしょう。

返済計画まで伝えれば、連帯保証人への通知を取りやめるケースも少なくありません。
家賃滞納が3カ月に達すると信頼関係が破壊されたとみなされる可能性が高いため、その前に自分から大家へ連絡しましょう。

早期に連帯保証人へ連絡

借主が家賃を支払えなくなった場合、大家は連帯保証人に支払いを求めます。
事情を知らなかった連帯保証人は驚き、借主に説明を求めるでしょう。
連帯保証人は親族など借主の人間関係をもとに引き受けているケースが多く、場合によっては支払いを巡ってトラブルになりかねません。
連帯保証人が連絡を受ける前に、借主が自分から家賃滞納や大家からの連絡について説明をしておくのが重要です。
資金繰りが難しい理由や、今後の対応方法を誠実に説明すると、相手からの救済や援助を求めやすくなるでしょう。
連帯保証人が親族の場合も、立替払い後の返済について合意書を作成しておくと将来的なトラブルの抑止につながります。

公的支援制度を利用

離職や廃業で家賃が払えない場合、住居確保給付金制度を利用すると3カ月〜9カ月分の家賃が自治体から大家の口座へ直接振り込まれます
自治体からの振込みによって大家も建物明渡請求訴訟を提起せずに済むため、大家と借主の双方がリスクを回避できます。

受給するには、世帯収入や預貯金などが一定基準以下、ハローワークで求職活動を行うなどの要件を満たさなければなりません。
住居確保給付金やその他の補助制度の利用については、弁護士や自治体の窓口に相談するとサポートを受けられるでしょう。

債務整理を検討

滞納家賃や他の借金により返済が難しい場合、以下の債務整理の手続きを行い、生活の再建を図りましょう。

種類概要向いている人
任意整理債権者に遅延損害金や毎月の返済額の軽減を交渉する安定した収入があり、負担を軽減すれば返済見込みのある人
個人再生負債を大幅に軽減し、3~5年で分割返済する車や住宅などの財産を残したまま負債を大幅に減らしたい人
自己破産換金価値のある財産を処分する代わりに、滞納家賃を含むすべての負債を免責する(破産法252条各項)収入に対して負債額が大きく、自力返済が困難な人

自主退去

判決が確定して強制執行の実施が確実となった場合は、執行前に自主退去すると高額な執行費用の負担を回避できます。
強制執行での荷物の搬出や保管、鍵の交換などの費用は数十万円〜100万円を超えるケースもあり、執行後に借主が負担しなければなりません

自主退去の場合、次の引っ越し先を探す時間もある程度確保でき、自分で家具をリサイクルセンターに持ち込めば撤去費用を圧縮できるでしょう。
自主退去するときは、弁護士から大家へ内容証明郵便などを送付して執行手続きの中止を求め、指定日までの退去を合意書で確約します。

強制退去した後の次の家はどうなる?

信用情報に家賃滞納履歴が登録された場合、保証会社の入居審査に通るのが困難になるため、以下の方法で住居を確保しましょう。

  • 家族名義で契約する
  • 独立系保証会社の管理物件を探す

同居家族の信用情報を利用する場合や、家賃滞納情報が共有されない独立系保証会社の場合は審査に通る可能性があります。

家族名義で契約する

滞納履歴のない配偶者や子ども、親族などを契約者名義として賃貸借契約を結ぶ方法があります。
契約時に自分を同居人として申請する必要がありますが、LICCなどの保証会社の審査では問題なく、入居先を確保できる可能性は十分にあるでしょう。

自分の名前を開示したくないからといって無断で居住すると、民法612条[注1]に違反する無断転貸となり強制退去させられる恐れがあります。
必ず自分も同居人として申請を行い、不安があるときは弁護士に同居人申請の文言や必要書類の揃え方についてアドバイスを求めましょう。

独立系の家賃保証会社が管理する物件を探す

独立系家賃保証会社は、LICCなどの外部の滞納情報共有システムに加盟しておらず、独自の基準で審査を行います
過去の他社での滞納情報によらず、就労状況や預貯金額などで判断されるため、家賃滞納した人でも審査に通る可能性はあるでしょう。

独立系保証会社の審査に通るには、一般的には月収が家賃の3倍以上あり、申込む保証会社での滞納履歴がなく、本人確認時の対応の良さなども重要です。
独立系保証会社の物件の探し方や、審査に通るための就労証明や家計簿の書き方などは弁護士が支援します。

【借主も要チェック】家賃滞納されたらどうすればいい?

借主が家賃を滞納している場合でも、大家が勝手に鍵の交換や荷物の処分などを行うと自力救済として処罰されます。

不法侵入による精神的慰謝料や、家財処分に対する器物損壊として賠償請求される可能性もあるため、弁護士を介して適法な明渡し手続きを行いましょう

自力・管理会社での対処は要注意

借主への退去要求や荷物の処分、滞納家賃の回収などは、弁護士の交渉や裁判所による法的な執行手続きによらなければなりません
家賃を滞納されている場合でも、大家や管理会社が部屋に立ち入って荷物を搬出すると住居侵入罪などに問われるケースがあります。
滞納家賃を無理やり支払わせようとする行為も強要罪にあたる可能性があるでしょう。
玄関扉に支払いや退去を求める紙面を貼る行為も名誉棄損罪として処罰される恐れがあるため、退去要求が違反行為に該当していないか注意しなければなりません。

トラブル対策のために弁護士に相談

トラブル対策のために弁護士に相談
家賃滞納が発生した場合、初期段階で弁護士に相談すると建物明渡請求訴訟により最短期間で物件の明け渡しを実現できます。
自分で督促を続けても支払ってもらえないケースが多く、経過した期間はそのまま賃貸経営の機会損失となるでしょう

弁護士に依頼すると、滞納3カ月の時点で契約解除通知を内容証明で発送し、明渡し訴訟を提起して機会損失を最小限に抑えます。
交渉や訴訟提起などの法律行為の代行は弁護士法72条で弁護士のみに認められ、管理会社などが行うと違法行為として処罰されます。

賃貸の家賃滞納に関するよくある質問(FAQ)

ここからは、賃貸の家賃滞納に関して以下のよくある質問に回答します。

  • 敷金は未払い金に充てられる?(民法622条の2第2項[注1])
  • 家賃滞納に時効はある?(民法166条1項1号[注1])
  • 家賃滞納で強制退去させられたときの荷物はどうなる?(民事執行法168条[注2])
  • 家賃滞納で強制退去になりそうなときの相談窓口は?

弁護士に相談すると、家賃滞納トラブルの疑問を解消でき、個々の滞納額や滞納に至った経緯などから最適なプランを設計してもらえます。

敷金は未払い金に充てられる?

敷金を滞納家賃へ充当するように借主から請求する行為は、原則として認められません
敷金は、借主が退去するまでのすべての債務を担保する預け金で、敷金充当の権利は大家にあるためです(民法622条の2第2項[注1])。
借主からの一方的な相殺請求を認めると、大家が将来発生する退去時の原状回復費用を担保できず、不利益を被る可能性があるでしょう。
退去時に滞納家賃と原状回復費用が残った場合、敷金がどのように相殺や精算をされるか、差引計算を弁護士が適正に精査します。

家賃滞納に時効はある?

家賃滞納の時効は5年ですが、実務上、家賃滞納が時効で消滅するケースはほとんどありません
家賃は定期給付債権として支払期日から原則5年で時効にかかります(民法166条[注1])。

時効期間の5年の間に大家が支払督促を送付したときや、裁判所に訴訟提起したときは時効がリセットします。
上記のケースでは、督促状を送付した日や訴訟提起をした日から5年間経過しなければ、時効にはなりません。
大家や管理会社は債権回収のプロで、期日管理をして時効完成前に督促などを行うため、時効での解決を期待するのは非現実的でしょう。

家賃滞納で強制退去させられたときの荷物はどうなる?

退去の強制執行が断行されると、裁判所の執行官や荷物の搬出業者が入居物件にきて残っている家財などの荷物をすべて運び出します。
運び出された荷物は、裁判所の指定する保管業者が一時的に預かり、1カ月ほどの保管期間が過ぎると競売や廃棄などの手段で処分されます。

処分されたくない荷物がある場合は、強制退去の期日前に自分で運び出すか、処分期日前に保管費用を支払って保管業者から回収しましょう。
荷物の搬出や保管にかかった費用は大家が立て替えていますが、後に滞納家賃分とあわせて数十万円ほどを請求される可能性があります。
弁護士は、強制処分をできる限り回避するために交渉を行い、貴重品などをあらかじめ仕分けして安全に持ち出せるようサポートします。

家賃滞納で強制退去になりそうなときの相談窓口は?

退去の強制執行が目前に迫っており、生活に困窮する恐れがあるときはすぐに以下の窓口へ相談しましょう。

  • 最寄りの市区町村役場
  • 地域の福祉事務所
  • 法テラス
  • 弁護士事務所

市区町村役場や福祉事務所では、セーフティネット住宅や生活保護などの支援制度を案内しています。
生活再建に向けた債務整理などは弁護士に相談しましょう。

[注1]民法/e-Gov
民法
[注2]民事執行法/e-Gov
民事執行法

家賃滞納のその後の問題でお悩みの方へ|弁護士に相談すべき理由

家賃滞納による退去要求は、裁判所の強制執行の断行前に解決するのが借主と大家の双方にとって最善です。
解決方法には、自主退去や和解交渉、公的支援制度の利用、債務整理などがあります。

大家が勝手に鍵の交換や荷物の搬出などを行うと自力救済として処罰される恐れがあるため注意しましょう。
明渡請求訴訟の提起から強制執行まで約10カ月ほどかかり、対応には専門的な知見が必要になるため弁護士に依頼するのがおすすめです。
家賃滞納トラブルでお悩みの方は、VSG弁護士法人の無料相談窓口にご連絡ください。

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