

東京弁護士会所属。新潟県上越市出身。
建物の取り壊しや土地売却などに伴う立ち退き問題は、生活基盤や事業拠点に関わる重大な局面であり、金銭面だけでなく精神的にも大きな負担となります。
適正な立ち退き料を算出・獲得するためには、法律の知識はもちろん、不動産価値の評価や移転に伴う経済的損失を正確に把握する視点が欠かせません。 私は証券会社や金融機関での10年以上の実務経験を活かし、客観的なデータに基づいた説得力のある交渉を行うことを得意としています。 依頼者様の不安に寄り添い、経済的・心理的に最善の結果を得られるよう尽力いたします。まずはお気軽にご相談ください。
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書籍: 他の専門家から声がかかる 事業承継弁護士養成講座

10年以上入居した賃貸アパートからの退去費用は、通常、入居期間が短いときよりも割安になります。
入居期間が長い場合、ボロボロになった室内を修繕するために高額な退去費用がかかると考える方もいるかもしれません。
退去費用について借主が負担するのは、原則として借主の故意や過失により損傷した部分の修繕などに限られます。
日常生活での通常損耗や経年劣化による損耗は貸主負担であり、入居期間が長くても経年劣化とみなされる分は借主負担となりません。
退去費用が高額なときは、経年劣化による価値の減少が考慮されていない可能性があり、交渉次第では数十万円以上減額できる可能性もあるでしょう。
ここでは、賃貸アパートからの退去費用の相場や退去費用を抑えるポイントなどを解説します。
目次
退去費用を算定する基準は、国土交通省が公表している原状回復ガイドラインに決められています。
ガイドラインでは、次のような項目について触れられています。
借主は、賃貸物件から退去するときに故意や過失による損傷などを回復させる原状回復義務を負わなければなりません。
退去費用について疑問がある場合は、原状回復ガイドラインの該当する項目を参照しましょう。
参考:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン (再改訂版)

10年住んだ賃貸アパートからの退去費用の相場は、ハウスクリーニング代(3万〜8万円程度)に収束します。
10年の経過により、壁紙、畳、カーペットなどの使用期間が耐用年数を超えて価値が1円となっているためです。
10年住んだ部屋の退去は、ボロボロになった『レンタル衣装』を返す感覚です。
着古したためについた汚れに弁償代はかからず、基本のクリーニング代だけで済むのが一般的でしょう。
ここからは、間取りや広さ別の退去費用目安や借主に請求されやすい費用項目を紹介します。
退去費用は間取りが大きくなるほど高くなります。
間取りが大きくなると間仕切り壁などが増え、補修しなければいけない箇所が増えてしまうためです。
間取り別の退去費用の目安は、次の表のとおりです。
| 間取り | 退去費用目安 |
|---|---|
| ワンルーム 1K・1DK・1LDK | 約5万円 |
| 2K・2DK・2LDK | 約8万円 |
| 3DK・3LDK 4K・4DK・4LDK | 約9万円 |
10年居住したときは、上表の退去費用より大幅に減額されるのが一般的です。
上表の退去費用目安は一般的な修繕を含みますが、10年居住すると壁紙などの使用期間が耐用年数を超え、借主の費用負担がほぼ0になるためです。
実務上、間取りによるハウスクリーニング代のみかかるケースが多いでしょう。
退去費用は室内の面積が広くなるほど高額になりますが、一方で退去費用の㎡単価は割安になります。
室内の面積が広くなるほど、1人あたりの作業できる面積が増え、費用全体に占める人件費の割合が低くなるためです。
広さによる退去費用目安は、次の表のとおりです。
| 部屋の広さ | 退去費用目安 |
|---|---|
| 15㎡~20㎡ | 3,000円/㎡ |
| 21㎡~30㎡ | 2,400円/㎡ |
| 31㎡~40㎡ | 2,300円/㎡ |
| 41㎡~50㎡ | 1,800円/㎡ |
| 51㎡~60㎡ | 1,500円/㎡ |
| 61㎡~70㎡ | 1,400円/㎡ |
| 71㎡~80㎡ | 1,200円/㎡ |
| 81㎡~90㎡ | 1,100円/㎡ |
| 91㎡以上~ | 1,000円/㎡ |
たとえば、借りている物件の面積が55㎡であれば、修復費用目安は1,500円/㎡のため、退去費用は55㎡ × 1,500円/㎡ = 8万2,500円かかります。
間取り別の退去費用目安と同様に、10年居住しているときは広さによる退去費用も大幅に減額されます。
上表の一般的な修繕を含む相場と比べ、10年居住しているときは耐用年数を超えた設備の負担がほぼ0になり、清掃費用のみかかるケースが多いためです。
相場より高額な退去費用・修繕費になるケースは、主に以下の通りです。
それぞれのケースについて見ていきましょう。
タバコを室内で吸ってついたヤニ汚れは、借主の負担で補修しなければいけません。
クロスに付いたヤニ汚れは掃除しても取れないため、クロスの張り替えをする費用がかかります。
クロス張り替え費用の目安は、おおよそ1㎡あたり1,000円前後です。
たとえば、クロス張り替えの必要な面積が20㎡だった場合、上乗せされる費用は2万円です。
クロスやフローリングにカビが発生してしまった場合、タバコのヤニと同じくクロスやフローリングを張り替えしなければいけません。
フローリングの張り替え費用の目安は、8畳で10~20万円程度です。
カビはこびりつく前に清掃すれば除去できるケースがほとんどです。
室内の風通しをよくすれば付着を予防できるため、日々の生活でカビを発生させないようにしましょう。
10年住んだ賃貸アパートの退去費用について、原状回復ガイドラインに貸主と借主の費用負担の目安が記載されています。
10年住んだ賃貸アパートの退去費用が借主負担になる主なケースは、次のとおりです。
退去費用が借主の負担になるケースは、基本的に借主の故意や過失による汚れや損傷です。
故意とはわざと、過失とはうっかりによる行為です。
借主の故意や過失による場合、貸主の責任ではないため、借主が修復します。

貸主からの退去費用に納得できないときには、以下のような対処が必要です。
ここからは、10年住んだ賃貸アパートの退去費用に納得いかないときの対処法について解説します。
退去費用の請求額に不満や疑問があるにも関わらず合意書などにサインしてしまうと、支払いを承諾したとみなされる可能性があります。
不満があるときは退去費用関係書類にサインせずに一旦預かり、専門家のアドバイスを受けながら請求内容を精査しましょう。
退去費用で貸主とトラブルになりそうなときは、消費者センターや国民生活センターに対応方法を相談しましょう。
消費者センターや国民生活センターは無料の相談窓口があり、助言や仲裁などをサポートしてもらえます。
相談するときには内容をきちんと伝えるために、以下の資料などを準備しておいてください。
退去費用を巡って貸主とトラブルになったときは、弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
貸主との交渉を代行してもらえる
貸主との交渉は労力や精神的負担がかかりますが、弁護士に交渉を代行してもらえるため大幅な負担軽減に繋がります。
請求の撤回や減額をしてもらえる可能性がある
10年入居しているにも関わらず高額な退去費用を請求された場合、不当な請求項目が含まれているケースが珍しくありません。
個人が相手の場合、法的な知見がないとみなして強気な請求を行う貸主もいるでしょう。
弁護士が介入すると、法的な紛争で敗訴したときのリスクを考慮して請求の撤回や減額を認めてもらえるケースが多いです。
弁護士に依頼すると、数万円の敷金の返還のみでなく、不当な数十万円の支払いの抑止に繋がるため、費用対効果は高いと言えます。
10年住んだ賃貸アパートの退去費用に関するよくある質問は、以下の通りです。
それぞれの質問に回答します。
通常の清掃を超えるような大掃除をしても、アパートの退去費用はあまり変わりません。
一般個人ができる大掃除には限度があり、必ずハウスクリーニング業者の専門的な清掃が必要になるためです。
ハウスクリーニング代分の退去費用を浮かせるため、無理に掃除をすると逆効果になる可能性もあります。
エアコンを専用ではない洗剤で洗い壊した、壁クロスを水拭きして剥がしたなど、損傷を悪化させるとかえって退去費用は高くなるでしょう。
ペットを飼育していたときの退去費用は、一般的に数万~数十万円ほど高くなるケースが多いでしょう。
ペットの爪とぎによる柱の傷や臭いの染みつきなどの修繕は借主負担であり、張り替えや特殊なクリーニングが必要となるためです。
一方で、破れたクロスなどが耐用年数を超えているときは価値がほぼ0円になるため、過度な高額請求であるときは不当な項目が含まれている可能性があります。
退去時に消臭・消毒費用を定額で徴収する特約があるときは、金額の妥当性をチェックしましょう。
10年居住した賃貸アパートから退去するときは、経年劣化による修繕が貸主負担となるため、一般的に借主負担は小さくなります。
耐用年数を超えて使用した設備は価値がほぼゼロとなり、原則として借主が修繕費用を負担する必要はありません。
原状回復ガイドラインには、設備ごとの耐用年数が記載されています。
高額な退去費用が請求されたときは、耐用年数を超えているにも関わらず新品交換費用が請求項目として含まれている可能性があります。
長年生活した物件の思い出を台無しにしないために、不当な請求項目については正当な権利として削除を要求しましょう。