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土地と建物の名義が違う場合、立ち退きはどうなる?トラブル事例と対処法

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県上越市出身。
建物の取り壊しや土地売却などに伴う立ち退き問題は、生活基盤や事業拠点に関わる重大な局面であり、金銭面だけでなく精神的にも大きな負担となります。
適正な立ち退き料を算出・獲得するためには、法律の知識はもちろん、不動産価値の評価や移転に伴う経済的損失を正確に把握する視点が欠かせません。 私は証券会社や金融機関での10年以上の実務経験を活かし、客観的なデータに基づいた説得力のある交渉を行うことを得意としています。 依頼者様の不安に寄り添い、経済的・心理的に最善の結果を得られるよう尽力いたします。まずはお気軽にご相談ください。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍: 他の専門家から声がかかる 事業承継弁護士養成講座

土地と建物の名義が違う場合、立ち退きはどうなる?トラブル事例と対処法 (1)

この記事でわかること

  • 土地と建物の名義が違う場合に起きるトラブル
  • 土地と建物の名義が違う場合どうなるのか
  • 土地と建物の名義が違う場合の立ち退きの要件
  • 土地と建物の名義が違う場合の対処法

親の土地に子どもが自宅を建てた場合など、土地と建物の所有者が異なるときは立ち退き要求などのトラブルが起きる可能性があります。
立ち退き要求があったときは、賃貸借と使用貸借など、借地権者の土地利用権の種類も結果に大きく影響するでしょう。

所有名義が違うときは、土地の利用権者を整理する絶好の機会です。
土地利用の実態を法的に確定し、不当な立ち退きや高額な代償金請求に対処しましょう
本記事では、土地と建物の所有者が異なる場合に発生するトラブルの事例や対処法などをご紹介します。

土地と建物の名義が違う場合にどのようなトラブルが起こり得る?

土地と建物の名義人が異なる場合に発生するトラブルは、主に以下が挙げられます。

  • 立ち退きを要求される
  • 代償金を請求される

トラブルを放置すると複雑化して解決が難しくなるため、早期対応を心がけましょう。

立ち退きを要求されるケース

以下のケースでは、建物の名義人が土地の名義人から立ち退きを要求される可能性があります。

土地の名義人に土地を使用したい事情ができた場合

土地の名義人が事業などで土地を使用したい場合の立ち退き要求です。
建物の名義人は、賃貸借契約や使用貸借契約といった土地の利用権に基づいて建物を使用しています。
通常の賃貸借契約では、契約期間満了後に建物の名義人が更新したい場合は、土地の名義人は拒否できません。
一方で、使用貸借契約では土地の名義人の立ち退き要求が優先されます。

土地の名義人が相続によって変わった場合

たとえば、建物の名義人が親族の土地に自宅を建てた場合などです。
親族が亡くなると、土地の名義は親族の配偶者や子どもなどに承継されます。
土地の相続人に自宅を建てたいなどの使用目的があるときは立ち退きを要求される可能性があります。

代償金を請求されるケース

親の土地に子どもが家を建てた後、親が亡くなって下表の通り複数の子どもが土地を共同相続した場合です。

相続開始前相続開始後
建物の名義人A(子ども)A(子ども)
土地の名義人X(親)A・B(子ども)

土地の共有者であるBは、Aの建物が建っている限り土地を利用できません。
遺産分割協議では、Aによる土地の単独使用を認める代わりにBへ代償金を支払うよう請求される可能性があります。

建物の名義人が土地から立ち退かなければならないケースとは?

建物の名義人の権利は借地借家法により保護されていますが、以下の場合は土地から立ち退かなければなりません。

  • 定期賃貸借契約・使用貸借契約で土地を使用している場合
  • 代償金を支払えない場合
  • 借地人側の重大な不履行があった場合

具体的なケースを見ていきましょう。

定期賃貸借契約・使用貸借契約で土地を使用している場合

定期賃貸借契約とは、50年など一定の期間を定めて不動産を使用する契約です。
期間満了後、双方の合意があれば再契約も可能です。
一方で、立ち退きを要求されたときは原則として退去しなければなりません。
使用貸借は、賃貸借と同様に不動産を使用するための権利です。
使用目的を達成したときや期間満了後に要求があるときは立ち退きが必要となります。
使用貸借は無償の使用を前提としているため、振込みの履歴などが確認できるときは賃貸借とみなされる可能性もあるでしょう。

代償金を支払えない場合

土地の共同相続人などから請求された代償金を支払えない場合、最終的には土地の明け渡しを求めて訴訟を提起される可能性もあります。
訴訟で建物の名義人が敗訴すると、土地から立ち退かなければなりません。
代償金を支払えないときは、土地の分筆や持ち分交換などの方法で解決できる可能性もあります。

借地人側の重大な不履行があった場合

地代を3カ月以上滞納している場合や第三者に無断転貸をした場合など、借地人に重大な不履行や契約違反があるときは契約を解除される可能性があります。
土地の貸主から契約を解除するときは、貸主と借地人の信頼関係が破壊されたと認められなければなりません。
重大な不履行や契約違反によって信頼関係の破壊が認められた場合、借地人は契約解除により土地の使用権を失うため、即時退去する必要があります。

建物の名義人が立ち退かなくてもよいケースとは?

以下に例示するケースでは、建物の名義人が土地から立ち退かずに使用を継続できます。

  • 普通賃貸借契約で土地を使用している場合
  • 土地を分筆して同一名義となった場合

それぞれのケースについて、建物の名義人が土地を使用できる根拠を詳しく見ていきましょう。

普通賃貸借契約で土地を使用している場合

普通賃貸借契約に基づいて土地を使用している場合、土地の名義人は正当な事由がなければ建物の名義人からの契約更新を拒絶できません。
賃料を払っている場合、使用貸借ではなく、賃貸借とみなされます。

賃料の滞納や使用方法の違反などがある場合、土地の名義人からの契約解除や更新拒絶が認められる可能性があるでしょう。

土地を分筆して同一名義となった場合

親(土地の名義人)が亡くなり、複数の子どもが土地を相続した事例で考えてみましょう。

相続開始前相続開始後
建物の名義人A(子ども)A(子ども)
土地の名義人X(親)A・B(子ども)

相続開始後、Aが建物に居住しているため、Bは土地を使用できません。
AがBの共有分を取得するための代償金を支払えない場合、建物部分に相当する土地をA、残りの土地をBに分筆する方法もあります。
分筆が完了すると、Aの建物がある土地の名義はAになります。
土地によっては、分筆ができない場合や一部の代償金をBに支払う場合があるため、測量や登記手続きも含めて専門家に確認しましょう。

土地と建物の名義が違う状況を解消するための対処法

土地と建物の名義が違う場合、トラブルを避けるための対処法として以下の方法が例として挙げられます。

  • 名義を同一にする
  • 名義を別々にしたまま、建物を解体する
  • 名義を別々にしたまま、建物の買い取りを請求する
  • 名義を別々にしたまま、建物の名義人が土地の使用料を払い続ける

具体的な内容を確認していきましょう。

名義を同一にする

土地と建物の名義を同一にするのは、たとえば以下のケースです。

建物の名義人が土地を買い取り、建物に住み続けたい場合

建物の名義人が土地を買い取って名義を同一にすれば、立ち退きや代償金などは必要ありません。
前提として、土地の名義人が売却に同意しており、建物の名義人が土地の購入代金を支払うための資力を持っている必要があります。

土地と建物を第三者に売却したい場合

土地と建物を第三者に売却したいときは、通常は名義を同一にしてから売却します。
名義が別々のままでは権利関係が複雑になり、買い手を見つけるのが難しく、売却価格も相場より低くなる傾向となるためです。

名義を別々にしたまま、建物を解体する

以下の通り、名義を別々にしたまま建物を解体するケースもあります。

  • 第三者に売却したいが、立地条件などから買い手を見つけるのが困難な場合
  • 建物の名義人に土地を購入する資力がなく、かつ、建物に住み続ける意思もない場合
  • 土地の名義人に土地を使用する予定があり、かつ、建物の名義人も合意した場合

建物の解体は、原則として名義人同士の合意が必要です。
解体費用は通常100万円〜数百万円ほどかかるため、費用負担は別途話し合いで決めるケースが多いでしょう。

名義を別々にしたまま、建物の買い取りを請求する

建物の名義人に普通賃借権があり、土地の名義人に更新を拒絶された際は、建物の名義人は土地の名義人に建物の買い取りを請求できます。
建物買取請求権を行使した場合、土地名義人は同意していなくても、時価で強制的に購入しなければなりません。

名義を別々にしたまま、建物の名義人が土地の使用料を払い続ける

建物の名義人に土地を購入する資力はなく、建物に住み続けたい場合、賃料を払いながら土地を利用する方法もあります。
地代を支払う実績を作ると、将来的に借地権としての対抗力を強化できるメリットがあるでしょう。
ただし、将来的な立ち退き要求などのリスクを踏まえたうえで検討してください。

名義が違う状態で立ち退きを求められた際の初動

名義が違う場合に立ち退きを求められたときは、以下の対応をしましょう。

  • 契約の種類を確定させる
  • 立ち退き料や代償金の妥当性を確認する
  • 弁護士に相談する

それぞれの対応方法を詳しく解説します。

契約の種類(賃貸借・使用貸借)を確定させる

契約書の内容を確認し、貸主と契約している土地使用権の種類を確認しましょう。
通常は契約のタイトルや冒頭に「土地使用貸借契約書」などの種類に関する記載がありますが、法的には契約期間や賃料の支払い履歴などの実態を基に判断されます
契約の種類がわからない場合や、契約書を紛失した場合は、通帳や契約を締結したときのやり取りなどを持参して弁護士に相談しましょう。

立ち退き料・代償金の妥当性をプロに診断してもらう

土地の名義人から立ち退き料の提示があっても、ほとんどのケースでは相場より価格は安く抑えられています。
相場より価格が安くても、個人からの交渉は受け付けてもらえない場合が少なくありません。

提示を受けた立ち退き料や代償金の金額に違和感があるときは、妥当性を弁護士などのプロに診断してもらいましょう
適正な金額を勝ち取るためには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談し、対応方法を準備しておくのがおすすめです。

弁護士を窓口にし、親族トラブルを法的整理に置き換える

弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。

話し合いを進めやすくなる

当事者間で話し合いをすると、感情的になり進まなくなるケースが少なくありません。
弁護士が第三者として介入すると、判例などの根拠に沿って話し合いができるため交渉が円滑に進みやすくなります。

精神的な負担を軽減できる

普段は仲の良い知人や親族でも、立ち退き問題によって関係が悪化するケースもあります。
弁護士に依頼すると、相手方との連絡窓口を弁護士に一本化できるため、精神的負担が大幅に軽減されるでしょう。

まとめ

土地と建物の名義が違う場合、土地の利用などを巡って争いになる可能性があります。
現在の関係が良好でも、相続の発生時や名義人の変更時に関係が変わり、トラブルが起きるケースも少なくありません。
トラブルに発展すると精神的な負担もかかるため、事前に対処法を弁護士に相談しておきましょう。
VSG弁護士法人では、初回無料相談を実施しています。
土地や建物の利用権を巡る問題は、不動産トラブルに精通した弁護士が在籍するVSG弁護士法人にご相談ください。

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