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事業用定期借家契約とは?普通借家契約との違いやメリット・デメリット

この記事でわかること

  • 事業用定期借家契約とはなにか
  • 普通借家契約の違い
  • 事業用定期借家契約のメリット・デメリット

建物賃貸借契約は普通建物賃貸借契約が一般的ですが、期間が定められている定期借家契約もあります。

事業用で賃貸物件を借りる場合、立地や賃料、広さなどを基準に選ぶ方が多いですが、契約形態にも着目しておかなければいけません。
契約形態を気にせずに借りてしまうと、即座に退去しなければいけない状態にもなりかねないため注意が必要です。

この記事では、事業用定期借家契約の概要と普通借家契約との違い、メリット・デメリットを紹介します。

事業用定期借家契約とは

事業用定期借家契約とは、テナントや事務所などの事業用の賃貸物件の契約期間が決まっている建物賃貸契約のことです。
不動産の賃貸契約には、普通借家契約と定期借家契約があります。

定期借家契約は、「将来的に建て替えする」「数年後に借りたいという人が決まっている」ケースに用いられる場合が多いです。
希望の時期に賃借人に退去してもらえるため、活用の自由度が高い契約形態です。

また事業用定期借家契約の特徴は、以下の3点が挙げられます。

  • 契約で定めた期間の満了により、賃貸借契約が終了する
  • 基本的に契約期間内の途中解約はできない
  • 公正証書等の書面により契約する必要がある

ひとつずつ紹介します。

契約で定めた期間の満了により、賃貸借契約が終了する

事業用定期借家契約は1年や2年など契約期間が定まっており、更新がありません
双方合意による再契約をすることで、 借り続けることは可能ですが、賃貸人(大家)が更新しなければ、賃借人(入居者)は退去しなければいけません。

つまり、立地や賃料的にも気に入った物件であっても、契約期間完了後に退去する可能性が高いということです。

基本的に契約期間内の途中解約はできない

契約期間中は貸主からも借主からも、原則として中途解約ができません。
そのため、事業規模の拡大によって事務所を移転したくても、契約期間中は賃料を支払い続けなければいけません。
ただし、契約時に定めた条件や特約により、解約できるケースもあります。

公正証書等の書面により契約する必要がある

公正証書等の文書での契約、書面を交付しての説明が必要です。
普通建物賃貸借契約は書面でも口頭でも有効です。
一方、事業用定期借家契約は契約書とは別に「更新がなく、期間満了により終了する」旨の書面を作成し、事前に交付・説明しなければいけません

事業用定期借家契約と普通借家契約の違い

事業用定期借家契約と普通借家契約の違いを以下の表にまとめました。

事業用定期借家契約 普通借家契約
契約方法 文書による契約
契約書とは別に「更新がなく、期間の満了により終了する」旨を説明の上、書面で交付
文書でも口頭でも契約できる(ほとんどのケースは文書で契約する)
更新 期間満了により終了(借り続ける場合は再契約となる) 貸主に正当な事由がない限り、借主は更新し続けることができる
借主による中途解約 原則は不可。特約があればその定めに従う 可能
契約期間 契約期間は様々。1年未満の契約も可能。 一般的には2年〜3年

2つの契約形態で大きく異なる点は、契約更新の有無と借主による途中解約の有無、契約期間です。
それぞれの違いについて詳しく解説します。

契約更新の有無

事業用定期借家契約は、契約期間の満了以降も借り続ける場合、更新手続きがなく再契約することになります。

普通借家契約の場合、更新料として家賃の1カ月分ほどの手数料がかかるのに対し、再契約では「事務手数料」「仲介手数料」「保証料」を支払うケースが多いです。

そのため、事業用定期借家契約で引き続き契約する場合は、普通借家契約より多少契約費用が割高になる可能性が高まります。
また、敷金などは引継ぎになる可能性が高いですが、物件によっては礼金などを請求される可能性もあるため注意が必要です。

借主による途中解約の有無

事業用定期借家契約は、契約期間が満了するまで解約することができません

普通借家契約は、自分の好きなタイミングで解約して退去することができます。
一般的には、事務所などを途中解約する場合は、違約金として数カ月分の家賃相当額の金額を支払うことになりますが、退去時期が制限されない点は大きな魅力です。

事業規模が拡大し、社員数も増えた場合、普通借家契約であれば、解約して新たなオフィスに引越しすることができます。

しかし定期借家契約の場合は途中解約できないため、事務所を引越しする場合は、新しい事務所の賃料と一緒に契約期間満了まで賃料を支払い続けなければいけません。

契約期間

事業用定期借家契約の契約期間は、物件によって様々です。
普通借家契約の場合、契約期間が2年などに定められている物件が多く、その都度更新する流れが一般的です。

しかし事業用定期借家契約は賃貸人が契約期間を定めており、1年未満の物件も多数あります。
事業が軌道に乗ってきたタイミングで退去せざるを得ない状況にもなりかねないデメリットがあります。

事業用定期借家契約のメリット・デメリット

ここでは、事業用定期借家契約のメリット・デメリットを紹介します。

メリット1:相場よりも家賃が安い

事業用定期借家契約の物件は、普通借家契約の物件より家賃が安い傾向にあります。
普通借家契約の物件と比較すると、契約期間の定めや途中解約ができない点など、借主にとって不都合があるため、その分家賃を低めに設定されているケースが多いです。

家賃が安くなれば、敷金・礼金・仲介手数料にも反映されるため、初期費用を抑えることにもつながるメリットがあります。

メリット2:短期間での契約が可能

事業用定期借家契約は短期間での契約もできる物件が多いため、1年だけ借りたい人などのニーズに合わせて利用することが可能です

1年間だけ事務所を借りて、2年目以降は違う場所で仕事をするなど、働く場所の自由度を選択することができます。

デメリット1:契約満了すると退去しなければいけない

事業用定期借家契約は、契約期間が満了すると退去しなければいけません
普通借家契約の場合、貸主に正当な事由がない限り、借主は更新し続けることができます。

しかし、事業用定期借家契約の物件は、将来的にその建物を活用する予定が決まっていることもあり得ます
建物の活用時期に重なってしまうと、再契約を締結することができず、退去しなければいけません。

デメリット2:途中解約できない

前述したように、事業用定期借家契約の建物は途中解約できません
契約期間が満了するまで、賃料を支払い続けるデメリットがあります。

事業用定期借家契約の契約条項4つ

事業用定期借家契約を締結する場合に、契約書に定めるべきポイントを理解しておきましょう。

契約の目的

事業用定期借家契約の賃貸物件の目的が「居住用」「店舗用」「事業用」かを確認しておきましょう。

居住用であれば、以下の条件がそろった場合には借地借家法38条7項によって中途解約権が認められます。

  • 賃貸物件の床面積が200平方メートル未満
  • 転勤、療養、親族の介護その他やむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の本拠として使用することが困難

しかし、事業用は原則途中解約が認められていません。
店舗などの事業用物件で途中解約が認められるのは、契約時に途中解約について同意を得ている旨を契約書に明記されているケースです。

賃料の改定

事業用定期建物賃貸借の場合、賃料の改定に関する特約がある場合は、特約に従って処理されます。

賃貸物件は本来、建物の劣化に伴って賃料が下落していきますが、社会情勢の変化などによって賃料の増減額を請求することができると、借地借家法32条で定めています。

しかし、定期建物賃貸借の場合、借地借家法38条9項によって、借地借家法32条は適用されず特約によって処理されます。

特約が賃料について賃貸人にとって都合がよい内容であると、賃上げされる可能性もあるため、賃料の改定に関する特約はしっかり確認しておきましょう。

賃貸借期間

賃貸借契約書に明記されている契約期間の規定について、契約の更新がない旨が記載されているか、定期建物賃貸借契約の終了の通知の記載があるかを確認しておきましょう。

定期建物賃貸借においては、契約の更新がないという点が大きな特徴です。
再契約できると思って借りていても、急に退去することにもなりかねないため、終了の通知の有無もチェックしておくべきポイントです。

再契約

定期借家契約の再契約が可能であることを確認するとともに、原状回復義務の規定は適用されない旨をチェックしておきましょう

原則回復義務とは、物件を借りた時の状態に戻すことです。
再契約をする場合は、一般的に原状回復義務の規定は適用されませんが、契約書に明記されているかをチェックしておきましょう。

まとめ

事業用定期借家契約は、事業用の賃貸物件の契約期間が決まっており、原則として契約期間が満了すると退去しなければなりません。

一方で、相場より賃料が安く初期費用を抑えることや、短期間での契約もできるため、ニーズに合わせた利用ができます。

定期借家契約の物件を借りる際は、本記事で紹介した4つの契約事項を確認し、その契約内容で問題ないかをチェックしてから賃貸借契約を締結するようにしましょう。

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