賃貸借契約を終了させようとするとき、解約の申し入れを行うケースはよくあります。
しかし、解約の申し入れはどのようにするべきかなど、具体的な知識を持っていない人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、賃貸借契約の解約について、申し入れから立ち退きまでの流れや注意すべき点なども押さえながら詳しく解説していきます。
賃貸物件に現在住んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
賃貸借契約の解約の申し入れとは、契約を締結している当事者が、相手方に対して契約終了の意向を伝えることです。
ただし、賃貸借契約の解約の申し入れは、契約内容や、貸主と借主のどちらから行うかなどによって、条件が変わってくる点に注意が必要です。
ここでは、賃貸借契約の解約の申し入れで押さえておくべき3つのポイントについて解説していきます。
一般的によくある建物賃貸借契約では、契約期間が明確に定められていることが多くなっていますが、中には契約期間を定めないケースもあります。
このような期間の定めがない契約の場合、お互いにいつでも解約の申し入れをすることが可能です。
ちなみに、契約期間が定められている場合に貸主から契約終了の意向を伝えるときは、契約期間が満了する日の1年前から6ヶ月前までの間に、更新拒絶の旨を借主へ伝えなければなりません。
建物賃貸借契約において、貸主から解約の申し入れを行う際は、原則として解約日より6ヶ月以上前に借主へ伝えなければならないこととなっています。
なぜなら、解約申し入れを行ってから実際に解約する日までの猶予が短すぎると、借主が転居先を探し引っ越すための期間を十分に確保できなくなってしまうからです。
なお、このような定めはあくまで貸主から解約申し入れを行う場合に限られ、借主から行う場合は該当しないので、正しく把握しておきましょう。
貸主からの解約申し入れでは、正当事由が必要であるという決まりもあります。
そのため、借主に退去してもらう必要性が低いような貸主側の都合が理由の場合は、解約申し入れは認められません。
貸主からの解約申し入れが認められ得る正当事由としては、貸主本人が賃貸物件に住まなければならない状況となった場合や、物件自体が老朽化してしまい取り壊す必要がある場合などがあります。
ここでは、解約の申し入れから立ち退きまでの流れについて、3つの段階に分けて解説していきます。
全体の流れを把握し、実際に解約申し入れの当事者となった際にスムーズな対応ができるようにしておきましょう。
まずは、貸主もしくは借主から、解約の申し入れが行われます。
貸主から解約の申し入れが行われる場合は、内容証明郵便などの書面によって送られてくることもあります。
貸主が解約の申し入れをした場合、その日から6ヶ月が経過すると賃貸借契約が終了することになるので、解約申し入れのタイミングは重要といえるでしょう。ただし、正当事由が無い場合でなければ、貸主からの解約の申し入れはできません。
解約の申し入れがなされたら、解約時期や立ち退き料について交渉していきましょう。
一般的に、貸主から解約申し入れを行った場合、借主に対して立ち退き料を支払うケースが多くなっています。
立ち退き料は、借主が新たな物件へ転居するための契約金や引っ越し費用などに充てるためのものとなるので、妥当な金額を受け取れるよう、交渉を進めることが大切です。
解約に関する具体的な条件が決まったら、解約手続きや転居先を決める準備を進めていきましょう。
解約日までの期間を有効に使い、計画的に手続きや準備を進めていくことが大切です。
賃貸借契約を解約する際は、注意すべきポイントが3つあります。
ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説していくので、理解を深めておきましょう。
賃貸借契約を締結した際に交わした契約書の内容を把握しておくことは、解約する際にとても重要となります。
たとえば、借主から解約を申し入れる場合は1ヶ月前までにその旨を伝えるとの記載があるケースは多いでしょう。
解約申し入れは、契約書に記載の内容に則って行われるべきなので、解約に関する記載内容にはしっかりと目を通しておきましょう。
賃貸借契約の解約時には、借主側が負担すべき費用が発生するケースもよくあります。
たとえば、退去する物件のクリーニング費用を借主が支払わなければならないケースは多いでしょう。
一般的には事前に支払っている敷金から精算されますが、敷金の額を超えるクリーニング費用が必要となれば、超えた分を解約時に支払わなければなりません。
他にも、解約時に支払う費用が契約で定められている可能性はあるので、早めに費用を把握しておいたほうがよいでしょう。
解約後の転居先を決める際は、新たな物件の入居日の設定に注意が必要です。
たとえば、現在の物件の解約日と転居先の物件の入居日が同日になるように設定してしまうと、1日のみで引っ越し作業を完了させなければなりません。
実際、転居するための作業には時間や労力がかかり、数日かけて少しずつ進めていったほうが負担は軽いはずです。
そのため、2つの契約期間を少し被らせ、余裕を持って転居先の入居日を設定することをおすすめします。
賃貸借契約では、借主からだけでなく、貸主から解約申し入れが行われるケースも実際にあります。
そのため、賃貸物件に現在居住中の人は、自分から解約するときのことだけでなく、貸主から解約申し入れを受ける可能性についても理解しておいたほうがよいでしょう。
貸主から解約申し入れを受ける場合は、6ヶ月の期間を設けなければならないことや、正当事由が必要となるなどのルールがあります。
これらをきちんと把握し、適切な対応ができるよう備えておきましょう。
また、本記事では、立ち退きまでの流れや解約する際の注意点についても解説してきたので、解約トラブルを避けるためにも、これらの注意点についてよく理解を深めておいてください。