ペットを飼っていた賃貸住宅から退去するときには、通常の使い方で退去した場合よりも高額な退去費用が請求される傾向にあります。
それではなぜ、ペット飼育していた賃貸住宅の退去費用は高額になる傾向にあるのでしょうか?
本記事では、ペットを飼育していた賃貸住宅の退去費用が高くなる理由について解説します。
退去費用が高くなる理由の他にも、ペット飼育していたときの退去費用相場や退去費用の抑え方、退去費用が高すぎるときの対処法もご紹介していますので、ペットを飼育される方の参考になれば幸いです。
目次
ペットを飼っている賃貸住宅の退去費用が高くなる傾向については、いくつかの理由があります。
具体的な理由は、次のとおりです。
本章では、ペットを飼っている賃貸住宅の退去費用が高いとされる理由について解説します。
ペットがドアや壁で爪とぎをしてしまうと、退去費用が増えてしまいます。
軽い爪跡だとしても、壁クロス交換やフローリングを張替しなければいけません。
軽い爪とぎでも結構な費用がかかりますが、重度の爪とぎでドア交換、壁紙の下にあるボードの交換ともなると、かなりの金額になります。
たとえば、ドア交換になってしまうと、ドア1枚の取り換えに5万円前後かかってしまいます。
傷をつけた場所によって大きく費用が変わってくるため、注意しなければいけません。
ペットが壁に穴を空けてしまった場合、穴をふさぐ費用がかかります。
壁に穴を空けた場合、壁クロス交換 + 下地取り換えをしなければいけません。
補修費用は穴の大きさにもよりますが、2万円~4万円程度かかります。
直径15㎝を超えるような穴の補修だと、10万円弱かかってしまうケースもあります。
ペットのニオイが染み込んでしまった場合、ペット臭専門のハウスクリーニングをしなければいけません。
60㎡くらいの室内をペット臭専門のハウスクリーニングをすると、おおよそ15万円弱かかります。
通常のハウスクリーニングであれば60㎡で8万円前後のため、ペットのニオイを取ろうとすると倍の値段かかってしまうということです。
ペットを飼っていた賃貸住宅の退去費用は、高額になりがちです。
ペットを飼っていた賃貸住宅の退去費用は、一般的に「家賃 + 10万円~20万円」といわれています。
一方、通常の賃貸住宅の退去費用は、一般的に「5万円~9万円」といわれています。
つまり、家賃分以上の金額の違いが出ているということです。
そのため、ペット飼育可の賃貸住宅は敷金が高く、家賃3カ月分の敷金を設定している賃貸物件も多くあります。
また、ペット飼育可の賃貸住宅では、家賃1カ月分を償却としている物件が多くあります。
この場合の「償却」とは、敷金のうち家賃一カ月分を退去時清掃などに充てるという意味です。
これは、ペット飼育可の賃貸住宅の退去費用は高く、償却としておかないと退去時に揉めてしまうからです。
そのため、敷金償却が決まっている賃貸住宅の場合は、償却金額分も見越して資金計画を立てておかなければいけません。
ペットを飼っていた賃貸住宅の退去費用は、様々な修復工事を行った工事費用の合計金額です。
ペットを飼っていた賃貸住宅の退去費用を構成している主な内容は、次のとおりです。
本章では、ペットを飼っていた賃貸住宅の退去費用の内訳について、解説します。
ペットが傷つけてしまった壁紙は、張り替えをしなければいけません。
壁紙張替費用は、室内の大きさにより異なります。
部屋の大きさ別の壁紙張替費用目安は、次の表のとおりです。
部屋の広さ | 金額 |
---|---|
6畳 | 約50,000円 |
7畳 | 約60,000円 |
8畳 | 約67,000円 |
9畳 | 約72,000円 |
10畳 | 約78,000円 |
費用相場参考元:リノコ
傷の度合いにより、下地やボードを取り換える必要になった場合は、壁紙張替費用に加えて下地補修などの工事費用が追加されます。
フローリングも壁紙と同様、傷ついた場合は張り替えしなければいけません。
壁紙と違い、フローリング張替費用は割高です。
フローリング張替費用の部屋の大きさ別費用目安は、次の表のとおりです。
部屋の広さ | 金額 |
---|---|
6畳 | 約172,000円 |
7畳 | 約200,000円 |
8畳 | 約230,000円 |
9畳 | 約260,000円 |
10畳 | 約286,000円 |
費用相場参考元:リノコ
カーペットの場合は、フローリングよりも交換費用は割安になります。
しかし、カーペットにはニオイがつきやすく、どれだけ注意して生活していても交換費用が発生すると思っておいたほうがよいでしょう。
カーペット張替費用は6畳で、おおよそ8万円前後です。
畳はキズなどの度合いにより、表替えするのか取替えするのかを決めます。
表替えと取替えでは費用が異なります。
畳表替・取替費用目安は、次の表のとおりです。
部屋の広さ | 表替え費用 | 取替え費用 |
---|---|---|
6畳 | 約48,000円 | 約80,000円 |
7畳 | 約55,000円 | 約93,000円 |
8畳 | 約62,000円 | 約106,000円 |
9畳 | 約69,000円 | 約119,000円 |
10畳 | 約76,000円 | 約132,000円 |
費用相場参考元:リノコ
ペットを飼育していると、傷つきやすいのが柱です。
爪跡や噛み跡がついてしまうことも多く、傷ができていた場合には柱も補修しなければいけません。
柱修復費用目安は、次の表のとおりです。
柱の傷の度合い | 補修金額 |
---|---|
浅い傷 | 約20,000円 |
浅くて長い傷 | 約30,000円 |
深い傷 | 約45,000円 |
尿のシミ | 約50,000円 |
※柱の状態などにより目安金額よりも高額になるケースがあります。
費用相場参考元:修復ラボ
ふすまや障子は破れやすいため、気を付けなければいけない箇所です。
また、ふすまや障子の枠が大きく傷ついている場合、ふすまや障子自体を交換しなければいけないときもあります。
張替費用 | 交換費用 | |
---|---|---|
ふすま | 2,000円~8,000円 | 40,000円~50,000円 |
障子 | 1,500円~2,000円 | 45,000円~85,000円 |
費用相場参考元:リフォマ
賃貸住宅から退去するときには、ハウスクリーニングが行われることが多々見受けられます。
ハウスクリーニング費用目安は、次の表のとおりです。
間取り | 施工金額 |
---|---|
1DK・1DK | 26,000円~46,000円 |
2LDK・3DK | 45,000円~91,000円 |
3LDK・4DK | 58,000円~100,000円 |
4LDK・5DK | 68,000円~115,000円 |
費用相場参考元:クリーンクルー
なお、上記の費用は通常のハウスクリーニング費用のため、ペット臭専門のハウスクリーニングをすると倍近くの値段になるケースもあります。
ペットを飼っていた賃貸住宅の退去費用は高くなる傾向にあります。
退去費用を少しでも抑えたいなら、退去費用を抑える方法も知っておくとよいでしょう。
ペットを飼っていた賃貸住宅の退去費用を抑える方法は次のとおりです。
本章では、ペットを飼っていた賃貸住宅の費用を抑える方法について解説します。
爪とぎは、古い爪を新しくし、縄張りを示す行為のため、爪とぎをやめさせることはなかなかできません。
物件の設備で爪とぎをさせないようにするのは難しいため、心地よく爪とぎができる場所を与えるのが効果的です。
爪とぎする場所が決まれば、他の場所での爪とぎ回数が減るときもあります。
爪とぎをしてはいけないとしつけようとすると、ペットにストレスを与えて、かえって爪とぎ回数が増えてしまうので注意しましょう。
また、犬も爪で傷がつくことがあるので、床に専用のマットを敷くとよいでしょう。
足音の防止にもなります。
ペットは定期的に体を洗ってあげるとニオイが弱くなるため、ペットのニオイ対策になります。
ペットによってはお風呂に入れてはいけない種類や、お風呂ではなくシャワーで洗い流す程度がよい種類もいます。
どの種類のペットを飼育しているかによって対策が変わるため、自分の飼育しているペットに合わせた洗い方で対策していきましょう。
ケージの中には様々な物を置くため、ペットのニオイがついてしまいます。
ケージ自体にニオイがついてしまうと、周辺の壁紙や絨毯、畳などにもニオイが移ってしまうため、注意しましょう。
ケージの中をこまめに清掃し、天日干しすることが大切です。
ペットを飼育している場所に空気清浄機を置く、消臭剤でニオイを消すなど常に対策をしておきましょう。
常にニオイ対策をしていれば、壁やフローリングなどにペットのニオイがつきにくくなります。
なお、消臭剤には消臭効果が高いものや、ペットの排泄物のニオイに特化したものなどがあります。
ペットの種類に合った消臭剤を利用すれば、より一層のニオイ対策になることでしょう。
ペット可物件の賃貸住宅の退去費用は、通常の賃貸物件の退去費用よりも高くなります。
しかし、高くなるからといって相場より高い場合にはきちんと対処しなければいけません。
ペット可物件の賃貸物件の退去費用が高すぎるときの対処法は、次のとおりです。
本章では、ペット可物件の退去費用が高すぎるときの対処法について解説します。
退去費用が高いと感じたら、自分でリフォーム見積もりを取得してみましょう。
相場より高い退去費用を提示されているかどうかは、自分で見積もりを取得してみないと判断できません。
リフォーム見積もりを取得した結果、家主が提示してきた退去費用は相場だったというケースもあります。
わからないままでは判断できないため、判断材料としてリフォーム見積もりを取得します。
自分でリフォーム見積もりを取得したら、家主へ退去費用の内訳を書類で提出してもらうようにしましょう。
家主からもらった内訳書と、自分で取得したリフォーム見積もりを比較してみましょう。
どの項目が必要なのか、項目ごとの費用は高くないかなどを確認します。
おかしな項目があったら、おかしいと家主にはっきり伝えましょう。
家主からの退去費用内訳書などがおかしいにも関わらず、家主がこちらの意見に耳を傾けてくれないときには、賃貸物件退去の専門家に相談しましょう。
退去費用の相談に乗ってくれる代表的な機関は、次のとおりです。
ご紹介させていただいたところには、退去問題のプロがいます。
「ペット飼育可賃貸住宅から退去するときに高額な退去費用を請求されている」と伝えれば、すぐに状況を理解してくれ、アドバイスがもらえることでしょう。
消費者ホットラインなどと連携して家主と交渉しても話がまとまらない場合は、民事調停を起こして解決を図るとよいでしょう。
簡易裁判所で手数料1,000円を払えば、民事調停を行えます。
民事調停では、調停員が借りている人と家主との間を取り持ってくれたうえで、解決のための話し合いの場が設けられます。
ペット飼育可の賃貸住宅から退去するときには、通常の賃貸物件より高額な退去費用を払わなければいけない傾向があります。
ペットがつけた傷や汚れ、ニオイを取るためには様々な補修工事をしなくてはならず、補修費用がかかるからです。
しかし、ペットを飼育しているからといって、相場よりも高い退去費用を請求された場合は毅然とした態度で家主に接する必要があります。
払わなければいけない費用だとしても、相場に見合っていない金額を払う必要はありません。
自分ひとりでは対応できないと感じたら、消費者ホットラインなどを利用して解決を図りましょう。
プロのアドバイスを受けて交渉すれば、退去費用問題も解決する可能性が高まります。