立ち退きをする場合には、基本的には立ち退き料を受け取れます。
しかし、賃貸人の中には立ち退きをさせる正当な理由があれば、立ち退き料を払わなくてもよいと思い込んでいる人がいます。
賃貸人が立ち退き料を払ってくれないから、もらえないものだと思ってしまうことは非常にもったいないことです。
このようなことが起きないよう、立ち退き料がもらえるケースを把握しておきましょう。
本記事では、立ち退き料が請求できるケースや立ち退き料を請求する方法、請求する流れまでを解説します。
目次
賃貸人より立ち退きを要求された場合は原則、立ち退き料を請求できます。
立ち退き料が請求できる主なケースは、次の通りです。
建物が老朽化し建物を建て替える必要が出てきた場合、入居者の立ち退きをしなければなりません。
このような場合は原則、立ち退き料を請求できます。
建物の老朽化の程度によって、受け取れる立ち退き料は異なります。
たとえば建物の老朽化が激しく、すでに雨漏りや配管破損などが起きており、改修に数千万もかかるような建物の建て替えの場合は、立ち退き料が減額される可能性があります。
建物が建築されてから相当の年数が経過していても、耐震性が高いなど建物の状態が良い場合は、立ち退き料が増額される可能性もあります。
親族を介護するために建て替えが必要で入居者を立ち退きさせる場合は、原則として立ち退き料が請求できます。
これも建物の老朽化と同じく、立ち退き料が増減するケースがあります。
たとえば、介護のために自宅を建築する場合は、立ち退き料は減額される可能性があります。
自宅に建て替える理由がない場合は、立ち退き料が増額される可能性があります。
賃貸人が海外赴任している期間だけ賃貸物件として貸し出していた場合で、賃貸人が帰国したことによる立ち退きは、原則として立ち退き料が請求できます。
ただし、期間限定で賃貸をする定期借家賃貸契約を締結していた場合は、定められた期間が経過したときの退去には立ち退き料を請求できません。
また、普通借家賃貸借契約だとしても、短期間で賃貸人が戻ってきた場合は立ち退き料の請求が認められないケースもあります。
土地収用法などで定められた公共事業による立ち退きの場合は、立ち退き料を請求できます。
道路拡幅や都市再開発事業・区画整理事業などが該当します。
立ち退き料を請求する場合、一般的には内容証明郵便を使います。
請求内容により文面が変わるので、ここでは内容証明郵便の書き方を解説します。
内容証明郵便はどのような用紙を利用してもかまいませんが、謄本(内容文書原本とまったく同じ内容の文書)には縦書きの場合、1行20字以内かつ1枚26行以内、横書きの場合は1行20字以内かつ1枚26行以内、または1行13字以内かつ1枚40行以内、あるいは1行26字以内かつ1枚20行以内しか記載してはいけないなどの制限があります。
その他にも、使ってよい文字や記号などにも決まりがあるため、注意が必要です。
内容証明郵便に記載すべき項目は、次の通りです。
内容証明郵便に記載すべき項目
また、内容証明には添付資料を同封できないため、どうしても資料を送付したいときには別途、普通郵便などで資料を郵送する必要があります。
なお、内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の文書が誰から誰あてに送られたかということを、郵便局が郵送物の謄本によって証明する制度です。
立ち退き料を請求する文書の出し方について、解説します。
前述したように、立ち退き料の請求には内容証明郵便を利用します。
内容証明郵便を1度出してしまうとその内容が郵便局に証明されるため、訂正や出し直しができません。
内容証明郵便を出す前には、弁護士の内容チェックを受けた上で出すようにする必要があります。
内容証明郵便は、送る前の準備が多くあります。
内容証明を出すための準備は、次の通りです。
準備ができたら、郵便局へ行き内容証明郵便を送ります。
内容証明郵便の料金は、郵便基本料金に一般書留加算料と内容証明の加算料が追加されます。
内容証明の加算料は1枚目が440円、2枚目以降は260円です。
なお、内容証明郵便はどこの郵便局でも受け付けてくれるわけではないため、最寄りの郵便局が内容証明郵便を利用できる郵便局であるか確認しておきましょう。
賃貸人から立ち退きを要求された場合は、まず立ち退き料が請求できる理由かを確認します。
そして、立ち退き料を請求できる理由に該当していたら、弁護士に立ち退き料はいくらもらうのが妥当なのか相談しましょう。
その後、賃貸人より立ち退き料の提示が来たときに、弁護士から聞いた立ち退き料と大きく差がなければ、そのまま立ち退きを受け入れます。
しかし、立ち退き料の提示がない、立ち退き料の提示額が低すぎる場合には、内容証明郵便を使用して立ち退き料を請求します。
内容証明郵便は一度送ると郵便局に内容を証明されるため、間違いのないよう弁護士に相談をしてから送付しましょう。
立ち退き交渉は一度でもミスをすると交渉がスムーズにいかなくなるため、先方に対して行動を起こす度に弁護士に確認することが大切です。