この記事でわかること
- 贈与税の申告漏れがなぜばれるのかがわかる
- 贈与税の申告漏れがバレた時のペナルティがわかる
- 手渡しならば贈与税はばれないのかがわかる
税務署は、贈与税の申告漏れを取り締まるために常に情報を集めています。
SNSや知り合いからの通報など、思わぬところから情報が漏れて、相続税の申告時に過去の贈与がバレてしまうこともあるので注意が必要です。
贈与税の無申告が発覚するとペナルティとして税金が増額されるので、せっかくもらったお金が必要以上に減ってしまいます。
この記事では、どのような時に贈与税がかかるのかについて解説します。
また、贈与税がかからない方法もご紹介しますので、贈与税の仕組みを上手に活用して、損をしない贈与の方法を考えてみましょう。
目次
贈与税の無申告が税務署にばれる理由
税務署は贈与をかなりの確率で見つけることができます。
その理由は、贈与を発見できるポイントがある程度はっきりしているからです。
税務署がどのようなポイントから贈与を見つけているのかをみてみましょう。
不動産を購入した
不動産を購入した場合に贈与がバレることがあります。
家などの不動産を買うためには高額なお金が必要ですが、もし手持ちのお金で足りないということになれば、他から調達しなければなりません。
借り入れが一般的だと思いますが、親からお金をもらう人もいるかと思います。
必ずではありませんが、不動産を購入すると税務署から「お尋ね」というアンケート用紙のようなものが郵送されてきます。
期限内に記入して返信するだけのものですが、この「お尋ね」には不動産を買ったときの資金調達方法について記入する欄があり、「親に援助してもらった」等と記入すると、贈与税の未申告を疑われる可能性が高くなります。
相続税申告の時に申告漏れが見つかった
相続税申告のタイミングも、贈与税の未申告がバレる機会の1つです。
相続税の申告では、資産の移転の原因が相続なのか贈与なのかが重視されます。
親が亡くなる前に財産を贈与していた場合は、相続税ではなく贈与税がかかることがあります。
相続税や贈与税がかかるものを整理していく段階で、「どうやらこれは贈与税の申告漏れのようだ」と疑われる事例が見つかることもあります。
贈与税の無申告は現金手渡しでもバレる
贈与税の申告ミスや無申告は、そもそもバレるのでしょうか?
申告ミスや無申告は発見しやすいので、税務署は常に目を光らせており、課税につながる情報などを積極的に収集しています。
現金の手渡しなら税務署にバレないのでは、と思われるかもしれませんが、贈与を受けてすぐではなく、しばらく後にバレるパターンが多いです。
特に贈与税の無申告については重点的に税務調査が行われているため、無申告がバレてしまう可能性は高いです。
「令和3事務年度における相続税調査等の状況」によると、贈与税について2,383件の実地調査が行われており、そのうち約93%にあたる2,225件に申告漏れ等の⾮違が見つかっています。
また、2,225件のうち1,849件が無申告となっており、非違件数全体の83.1%を占めています。
贈与がバレない方法はあるのでしょうか?
結論としては、「贈与はバレてしまう」ので、贈与税はきちんと申告すべきです。
贈与税の無申告がばれてしまった時のペナルティ
贈与税を申告しないとどうなるのでしょうか。
贈与税を申告していなかった場合は、以下の3つのペナルティが課せられます。
贈与税の無申告のペナルティ
- 延滞税
- 無申告加算税
- 重加算税
延滞税
延滞税は、納税が遅れたことに対して課せられる税金で、税率は以下のとおりです。
- 納付期限の翌日から2か月以内…年7.3%(令和4年末まで 2.4%)
- 納付期限から2か月を過ぎた場合…年14.6%(令和3年末まで 8.7%)
無申告加算税
無申告加算税は、期限までに申告しなかったことに対して課せられる税金です。
税務署に指摘されてから申告を行う場合と、指摘される前に申告を行う場合で税率が異なります。
- 税務調査の通知を受ける前…5%
- 税務調査の通知を受けてから調査が入るまで
・50万円まで…10%
・50万円を超える部分…15% - 税務調査が入ったあと
・50万円まで…15%
・50万円を超える部分…20%
重加算税
重加算税は、隠蔽などを目的に意図的に無申告や過小申告をしたと判断される場合に課せられる税金です。
過去5年以内に、無申告課税または重加算税を課税された前歴があるかどうかで税率が変わります。
- 無申告…40%(前歴がある場合は50%)
- 過小申告…35%(前歴がある場合45%)
贈与税を非課税にする方法
贈与税を非課税にする方法は次の通りです。
贈与税を非課税にする方法
- 暦年贈与
- 贈与税の非課税控除・特例を利用
それでは、1つずつ見ていきましょう。
年間110万円の暦年贈与を利用する
贈与税を発生させないためには、暦年贈与を使って非課税にする方法があります。
毎年110万円までは、贈与を受けても贈与税はかかりません。
ただし、110万円までというのは贈与をもらう側の非課税枠なので、複数の人から110万円ずつもらうと非課税枠を超えてしまいます。
また、毎年同じ時期に同じ金額を贈与していると、一括贈与と判断されて贈与税が課税されることがあるので、時期や金額は毎年変更した方がよいでしょう。
贈与を受けた預金は、本人が管理していないと名義預金とみなされることがあります。
預金口座は、必ず本人が管理するようにしましょう。
贈与税の非課税控除・特例を利用する
両親や祖父母など直系尊属から特定の目的で贈与を受けた場合は、暦年贈与とは別に非課税枠を利用することができます。
結婚・子育て資金・住宅資金・教育資金の贈与の特例について紹介します。
いずれも令和5年までの期間限定の措置です。
結婚・子育て資金
結婚・子育て資金の贈与を受ける場合は、1,000万円までの非課税枠を利用できます。
利用できるのは、18歳以上50歳未満の子や孫です。
住宅資金
住宅を取得するための資金として贈与を受ける場合は、一人あたり最大1,000万円の非課税枠を利用できます。
令和5年12月31日までに新築または増改築などをした場合に適用されます。
教育資金
教育資金の一括贈与を受ける場合は、1人あたり最大1,500万円まで非課税となります。
学校の入学金や授業料などのほか、500万円までなら塾や習い事にも適用されます。
利用できるのは30歳未満で、習い事の費用は23歳以上は非課税の対象外となります。
まとめ
贈与税の申告漏れはバレないと考えている方も多いかもしれませんが、実際はかなりの確率でバレてしまいます。
税務署は、脱税や申告漏れ、虚偽申告が疑われる場合について徹底的に調査を行います。
バレないように現金を手渡ししたとしても、税務署は常に目を光らせているため、無申告がバレてしまう可能性は高いでしょう。
もし贈与税の無申告がばれてしまった場合は延滞税などのペナルティが課せられることになるので、贈与税はきちんと申告することが大切です。
税金がかかるかどうかわからない贈与があるという方は、まずは税理士に相談してみてください。