

東京弁護士会所属。新潟県上越市出身。
労働問題は、一歩対応を誤れば損害賠償だけでなく、企業の信用失墜や従業員の士気低下、ひいては経営基盤を揺るがす重大なリスクとなります。
私は、野村證券をはじめとする金融機関で10年以上にわたり、リテール営業からコンサルティング、金融庁との折衝やリスク管理まで、多方面の業務に従事してまいりました。これらの経験から、企業の数字と法務は密接にリンクしており、労働問題を「点」ではなく「経営の一部」として捉えることの重要性を痛感しております。
経営者側の立場に立ち、財務分析や資金調達の観点も含めた戦略的なアドバイスを行うことが私の強みです。単に紛争を解決するだけでなく、組織の持続的な発展を見据えた強固なガバナンス構築のお手伝いをいたします。経営者の皆様の良き相談相手として、誠実かつ論理的にサポートさせていただきます。

目次
総務省消防庁の公式サイトでは、「ヒアリングシート(ひな型)」や「アンケート調査(ひな型)」をダウンロードできるようになっています。まずはテンプレートを参考に、自社の状況に応じたヒアリングシートを作成してみてください。
ハラスメント調査では、被害者や行為者、関係者から聴取した内容を正確に整理し、公平に事実関係を確認することが重要です。
しかし、聞き取りを担当する人によって質問内容が異なったり、確認事項に漏れがあったりすると、十分な調査ができず、適切な判断が難しくなることがあります。
そこで役立つのがヒアリングシートです。ヒアリングシートを活用することで、発生日時や場所、具体的な言動、関係者、証拠の有無などを統一的に確認できるため、調査の漏れを防ぎやすくなります。
また、聞き取り内容を書面として残すことで、後から事実関係を検証しやすくなる点もメリットです。
企業が適切なハラスメント対応を行うためにも、ヒアリングシートを活用しながら客観的かつ丁寧に調査を進めることが大切です。
ハラスメントのヒアリングでは、事前準備が重要です。十分な準備をしないまま聞き取りを行うと、確認すべき事項に漏れが生じたり、調査の公平性が疑われたりするおそれがあります。
ここでは、ハラスメントのヒアリングを行う前に企業が準備しておくべき事項について解説します。
ハラスメントのヒアリングを行う前に、まずは誰が調査を担当するのかを明確にしておくことが重要です。
調査担当者には、人事担当者やコンプライアンス担当者など、当事者との利害関係が少ない人物を選ぶことが望ましいでしょう。当事者と近い関係にある上司や同僚が担当すると、調査の公平性に疑問を持たれるおそれがあります。
また、重大な事案では、担当者一人で対応するのではなく、複数人による調査体制を構築することも検討すべきです。複数人で対応することで、聞き取り内容の認識違いや判断の偏りを防ぎやすくなります。
事案の内容によっては、社会保険労務士や弁護士などの外部専門家を交えて調査を進める方法もあります。特に、懲戒処分や訴訟に発展する可能性があるケースでは、早い段階から専門家の関与を検討するとよいでしょう。
ヒアリングを行う前に、自社の就業規則やハラスメント防止規程の内容を確認しておくことも重要です。
ハラスメントに該当するかどうかは、単に被害者や行為者の認識だけで判断するものではありません。企業が定めている規程やルールに照らして、問題となる行為があったのかを検討する必要があります。
また、ハラスメント防止規程には、相談窓口や調査方法、懲戒処分の基準などが定められていることがあります。これらを確認せずに調査を進めると、社内ルールに反した対応となり、後にトラブルへ発展するおそれもあります。
特に、懲戒処分を検討する可能性がある場合には、どのような行為が処分の対象となるのか、処分の種類や手続きに関する規定がどのようになっているのかを事前に確認しておきましょう。
ヒアリングを実施する前に、何を確認するための調査なのか、どこまで事実関係を調査するのかを整理しておくことが重要です。
ハラスメント調査の目的は、被害者や行為者の主張の優劣を判断することではなく、客観的な事実関係を把握し、適切な対応につなげることにあります。そのため、事前に確認すべき事項を整理し、調査の方向性を明確にしておく必要があります。
たとえば、問題となっている言動がいつから行われていたのか、関与している人物は誰か、類似の行為が過去にもあったのかなど、調査対象となる範囲をあらかじめ定めておくと、効率的にヒアリングを進めやすくなります。
一方で、最初から調査範囲を限定しすぎると、関連する事実を見落としてしまう可能性もあります。ヒアリングの過程で新たな事実が判明した場合には、必要に応じて調査範囲を広げることも検討しましょう。
ヒアリングを実施する前に、関係資料や証拠をできる限り収集しておくことも重要です。
事前に資料を確認しておくことで、ヒアリングの際に確認すべき事項が明確になり、より正確な事実関係の把握につながります。また、当事者の説明と客観的な資料に食い違いがある場合には、その点について詳しく確認することもできます。
たとえば、メールやチャットの履歴、業務日報、録音データ、写真・動画、社内システムの記録などが証拠となることがあります。被害者から提出された資料だけでなく、会社が保有している記録についても確認しておくとよいでしょう。
もっとも、証拠収集を行う際には、関係者のプライバシーや個人情報への配慮も必要です。必要な範囲を超えて情報を収集したり、調査と無関係な情報を閲覧したりすることは避けなければなりません。
ハラスメントのヒアリングシートを作成する際は、単に被害の有無を確認するだけでは不十分です。後の事実認定や対応方針の検討に役立つよう、必要な事項を漏れなく確認できる内容にする必要があります。
ここでは、ハラスメントのヒアリングシートで確認しておきたい主な項目について解説します。
ハラスメントのヒアリングシートでは、まず問題となる言動が「いつ」「どこで」行われたのかを確認する必要があります。
発生日時や場所を特定することで、当時の状況を検証しやすくなるほか、関係者への聞き取りや客観的な証拠の収集にも役立ちます。
また、ハラスメントは一度だけではなく、継続的に行われているケースも少なくありません。そのため、初めて発生した時期や発生頻度についても確認しておくことが重要です。
ハラスメント調査では、被害者と行為者だけでなく、その場にいた関係者についても確認する必要があります。
目撃者や相談を受けた人物がいる場合には、後に事情聴取を行うことで事実関係の裏付けが取れる可能性があります。また、複数の従業員が同様の被害を受けているケースもあるため、関係者の範囲を正確に把握することが重要です。
部署や役職、当事者同士の関係性なども記録しておくと、問題の背景や組織的な要因を把握しやすくなります。
ハラスメントに該当するかどうかを判断するためには、具体的な言動の内容を確認しなければなりません。
たとえば、「嫌なことを言われた」という抽象的な表現だけでは、事実関係を十分に把握することは困難です。そのため、実際にどのような発言や行為があったのかを、できる限り具体的に記録することが重要です。
また、その言動がどのような状況で行われたのか、周囲に誰がいたのかなどもあわせて確認しておくことで、後の事実認定に役立ちます。
ヒアリングシートでは、客観的な証拠の有無についても確認しておく必要があります。
ハラスメントの有無は、当事者の主張だけでは判断が難しい場合があります。そのため、メールやチャットの履歴、録音データ、写真、日記、メモなど、事実関係を裏付ける資料がないかを確認しましょう。
証拠が残っていない場合であっても、直ちにハラスメントがなかったとはいえません。しかし、証拠の有無は調査や事実認定に大きく影響するため、できる限り早い段階で確認しておくことが重要です。
ハラスメント調査では、問題となる言動だけでなく、被害者にどのような影響が生じているのかも確認する必要があります。
たとえば、精神的な苦痛によって不眠や体調不良が生じている場合や、出勤が困難になっている場合もあります。また、業務への支障や職場環境の悪化などが発生していることも少なくありません。
被害の実態を把握することは、企業が講じるべき配慮措置や再発防止策を検討するうえでも重要です。
ヒアリングシートでは、被害者や当事者がどのような対応を希望しているのかも確認しておくとよいでしょう。
たとえば、「行為者に注意してほしい」「部署を異動したい」「謝罪を求めたい」「会社として再発防止策を講じてほしい」など、希望する内容は人によって異なります。当事者の意向を把握しておくことで、適切な対応策を検討しやすくなり、不要なトラブルを防ぐことにもつながります。
もっとも、企業は当事者の希望だけで対応方針を決めるわけではありません。調査結果や社内規程などを踏まえて総合的に判断する必要があります。
ハラスメントのヒアリングは、単に当事者から話を聞けばよいというものではありません。聞き取りの方法を誤ると、事実関係を正確に把握できなくなるだけでなく、被害者や関係者にさらなる負担を与えてしまうおそれもあります。
ここでは、ハラスメントのヒアリングを行う際に企業が押さえておきたいポイントについて解説します。
ヒアリングでは、当事者が安心して話せる環境を整えることが重要です。
周囲に会話が聞こえる場所でヒアリングを行うと、当事者が発言をためらったり、本音を話せなくなったりする可能性があります。そのため、聞き取りは個室などのプライバシーが確保された場所で実施することが望ましいでしょう。
また、事案によっては同性の担当者を同席させたり、複数名で対応したりすることで、当事者の心理的負担を軽減できる場合もあります。
ヒアリングでは、担当者の先入観や思い込みによって質問内容が偏らないよう注意しなければなりません。
たとえば、「その発言は明らかにハラスメントですよね」「本当は嫌だったのではないですか」などの質問は、相手の回答を誘導するおそれがあります。
また、被害者や行為者のどちらかに肩入れしたような姿勢を見せると、調査の公平性に疑問を持たれる可能性があります。
ヒアリングでは、事実関係を確認することを目的として、できる限り中立的な立場で質問を行うことが重要です。
ハラスメント調査では、一方当事者の説明だけを根拠に結論を出してはいけません。
被害者が深刻な被害を訴えている場合であっても、まずは行為者や関係者からも事情を聴取し、双方の主張を比較検討する必要があります。
また、目撃者の証言や客観的な証拠が存在する場合には、それらも踏まえて総合的に判断しなければなりません。
十分な調査を行わずに結論を出してしまうと、後に紛争へ発展した際に企業の対応が問題視される可能性があります。
ハラスメント調査では、当事者のプライバシーや個人情報に十分配慮する必要があります。
ヒアリングの内容が不用意に社内へ広まると、当事者に精神的な負担を与えるだけでなく、調査への協力を得られなくなるおそれもあります。
また、調査情報が漏えいした結果、被害者や関係者への嫌がらせや報復行為につながる可能性もあります。
そのため、調査に関与する担当者を必要最小限にとどめるとともに、取得した情報の管理を徹底することが重要です。
ヒアリングの内容は、後から検証できるよう記録として残しておくべきです。
聞き取りの結果を記録していないと、後日になって当事者同士の認識が食い違った場合に、どのような説明があったのか確認できなくなってしまいます。
そのため、ヒアリングシートへの記載だけでなく、議事録の作成や本人による内容確認を行うことが望ましいでしょう。
また、必要に応じて録音を行うことも考えられますが、その際には事前に本人へ説明し、適切な方法で実施することが重要です。
ハラスメント調査を行う際には、調査に協力したことを理由とする不利益取扱いや二次被害を防止しなければなりません。
たとえば、被害申告を行った従業員に対して不当な配置転換を行ったり、人事評価で不利益な扱いをしたりすることは問題となる可能性があります。
また、調査への協力者や証言を行った従業員が、周囲から嫌がらせや報復を受けるケースもあります。
企業には、ハラスメントの被害者だけでなく、調査に関与した関係者を保護する責任があります。調査期間中は職場の状況にも注意を払い、必要に応じて適切な配慮措置を講じることが重要です。
ハラスメント調査は、ヒアリングを実施したら終わりではありません。企業には、収集した情報をもとに事実関係を整理し、必要な措置を講じることが求められます。
調査結果を放置したり、不適切な対応を取ったりすると、被害の拡大や職場環境の悪化につながるだけでなく、企業の責任が問われる可能性もあります。
ここでは、ヒアリング後に企業が行うべき主な対応について解説します。
ヒアリングが終了したら、まずは収集した資料や証言を整理し、事実認定を行います。
ハラスメントの有無を判断する際には、被害者や行為者の説明だけでなく、目撃者の証言やメール、チャット、録音データなどの客観的な証拠も踏まえて総合的に検討する必要があります。
また、当事者の説明に食い違いがある場合には、どちらの説明が客観的な資料と整合しているかを慎重に確認しなければなりません。
十分な検討を行わずに結論を出してしまうと、後に調査の公平性が問題視されるおそれがあるため注意が必要です。
ハラスメントが認められた場合はもちろん、調査中であっても必要に応じて被害者への配慮措置を検討することが重要です。
たとえば、当事者同士の接触を避けるための座席変更や配置転換、相談窓口の案内、産業医との面談機会の提供などが考えられます。
被害者が精神的な負担を抱えている場合には、業務量の調整や休暇取得への配慮が必要となることもあるでしょう。
企業には安全配慮義務があるため、被害者の心身の状態や職場環境に応じて適切な措置を講じることが求められます。
調査の結果、ハラスメント行為が認められた場合には、行為者に対する対応を検討する必要があります。
具体的には、注意・指導、研修の受講命令、配置転換、懲戒処分などが考えられます。
もっとも、懲戒処分は従業員に大きな影響を与えるため、事案の内容や悪質性、過去の問題行動の有無などを踏まえて慎重に判断しなければなりません。
また、就業規則やハラスメント規程に定められた手続きや処分基準に沿って対応することも重要です。
ハラスメント対応では、個別事案への対処だけでなく、再発防止にも取り組む必要があります。
同様の問題が繰り返される場合には、職場環境や組織体制に原因がある可能性も考えられます。そのため、調査結果を踏まえながら、原因分析を行うことが重要です。
たとえば、ハラスメント防止研修の実施、相談窓口の周知、管理職への教育、社内規程の見直しなどが再発防止策として考えられます。
再発防止策を継続的に実施することで、従業員が安心して働ける職場環境の構築につながるでしょう。
ハラスメントの申告があった場合、企業は迅速かつ適切に調査を行い、必要な対応を講じなければなりません。
もっとも、ハラスメントに該当するかどうかの判断は簡単ではなく、調査方法や処分内容を誤ると、被害者だけでなく行為者との間でもトラブルになる可能性があります。そのため、事案の内容によっては、早い段階から弁護士へ相談することも有効な選択肢です。
ここでは、ハラスメント対応を弁護士に相談する主なメリットについて解説します。
ハラスメント調査では、公平かつ適法な手続きで事実確認を行うことが重要です。
しかし、社内だけで調査を進めると、担当者の先入観や人間関係の影響によって調査が偏ってしまうことがあります。また、必要な調査を行わなかったり、反対に過度な調査を行ったりすると、後に問題となる可能性もあります。
弁護士に相談することで、どのような手順で調査を進めるべきかについて助言を受けられるため、調査の公平性や適法性を確保しやすくなります。
ハラスメントが認められた場合には、注意や指導だけでなく、懲戒処分を検討することもあります。
もっとも、懲戒処分は自由に行えるものではなく、就業規則の定めや行為の悪質性、処分の相当性などを踏まえて判断しなければなりません。
不適切な処分を行った場合には、従業員から処分の無効を主張されたり、損害賠償請求を受けたりする可能性もあります。
弁護士に相談すれば、事案の内容に応じてどのような対応が適切なのかについて法的な観点から助言を受けることができます。
ハラスメント問題は、当事者間の対立が深刻化すると、労働審判や訴訟へ発展することがあります。
被害者から企業の安全配慮義務違反を主張されたり、行為者から懲戒処分の無効を争われたりするケースもあります。こうした紛争は、初動対応を誤ったことが原因となることも少なくありません。
弁護士へ早めに相談することで、法的リスクを踏まえた対応方針を検討できるため、紛争の拡大を防ぎやすくなります。
ハラスメント対応では、個別事案への対処だけでなく、再発防止体制の整備も重要です。
同様の問題が繰り返されないようにするためには、相談窓口の運用方法や調査体制の見直し、就業規則やハラスメント規程の整備、管理職研修の実施などを検討する必要があります。
弁護士は個別事案への対応だけでなく、企業の実情に応じた再発防止策についてもアドバイスを行うことが可能です。ハラスメントが発生しにくい職場環境を整備するためにも、必要に応じて弁護士のサポートを活用するとよいでしょう。
匿名でヒアリングシートを提出してもらうこと自体は可能です。
もっとも、匿名の場合は事実関係の確認や追加の聞き取りが難しくなるため、調査に限界が生じることがあります。また、行為者への対応や懲戒処分を検討する際にも、十分な証拠を収集できない可能性があります。
そのため、相談しやすい環境を整えつつ、可能な範囲で実名による申告を促すことが望ましいでしょう。
はい。公平な調査を行うためには、被害者だけでなく行為者にも事情を確認することが重要です。
被害者の申告内容だけを前提に判断すると、事実認定を誤る可能性があります。また、行為者に弁明の機会を与えないまま処分を行うと、後に処分の有効性が争われるおそれもあります。
ヒアリング内容を録音すること自体は可能です。録音を行うことで、聞き取り内容を正確に保存でき、後日になって認識の食い違いが生じることを防ぎやすくなります。
もっとも、録音を行う場合には、事前にその旨を説明し、当事者の理解を得たうえで実施することが望ましいでしょう。また、録音データには個人情報が含まれるため、適切な管理も必要です。
法律上、ハラスメントのヒアリングシートについて一律の保管期間が定められているわけではありません。
もっとも、後に労働審判や訴訟などへ発展する可能性もあるため、調査資料や証拠は一定期間保管しておくことが望ましいでしょう。
はい。ハラスメント調査を外部の弁護士に依頼することは可能です。特に、経営陣や管理職が関与している事案、社内だけでは公平性を確保しにくい事案、懲戒処分や訴訟に発展する可能性が高い事案では、弁護士が調査に関与することがあります。
外部の弁護士が調査を行うことで、客観性や中立性を確保しやすくなるほか、法的リスクを踏まえた適切な対応を検討しやすくなります。
ハラスメントのヒアリングシートは、事実関係を整理し、調査の漏れや認識の食い違いを防ぐために重要な資料です。発生日時や場所、具体的な言動、関係者、証拠の有無などを適切に確認することで、公平かつ客観的な調査につながります。
また、企業にはヒアリングを実施するだけでなく、その後の事実認定や被害者への配慮、行為者への対応、再発防止策の実施まで求められます。調査方法や処分内容を誤ると、企業が法的責任を問われる可能性もあるため注意が必要です。
ハラスメント対応に不安がある場合や、対応が難しい事案では、早めに弁護士へ相談しながら適切な調査体制を整えることをおすすめします。
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