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最終更新日:2022/6/13

個人事業主が引っ越したときの手続き・必要書類【納税地はどうなる?】

税理士 鳥川拓哉
この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • 個人事業主が引越した場合、納税地がどうなるのかがわかる
  • 個人事業主が引越した場合に必要な手続きを知ることができる
  • 個人事業主の引越し費用が経費になるかどうかがわかる

個人事業主の方も、引越しによって自宅の住所が変わることがあります。

自宅の住所が変わると、市町村役場での手続きが必要となる他、確定申告に関連する納税地の変更が必要となる場合があります。

そこで、個人事業主が引っ越した場合の手続きや、その際に必要となる書類について確認していきます。

また、引越し費用が経費となるのか、また、どのようにしたら引越し費用を抑えられるかについても解説していきます。

個人事業主が引っ越した場合の納税地

個人事業主が引越しをすると、確定申告の際に税務署に届け出ている納税地が変更になる場合があります。

ではどのような場合に納税地が変更になるのか、確認していきましょう。

自宅が納税地となっている場合

自宅が納税地となっている場合には、大きく2つのケースがあります。

1つは、自宅兼事業所となっており、自宅以外では事業活動を行っていない場合です。

もう1つは、自宅と別に事業所があるが、自宅を納税地として確定申告している場合です。

いずれの場合であっても引越しをすると、それまでの自宅とは別の場所が自宅になります。

すると、税務署に納税地として届け出ている場所に郵送物が送られてきても、引越し後では本人に届かないことになってしまいます。

そのため、自宅が納税地となっている場合は、税務署で納税地の変更手続きを行わなければならないのです。

自宅と事業所が別で事業所が納税地の場合

自宅とは別に事業所を構え、納税地として届け出ている場合、自宅の住所が変わっても申告内容に変更はありません。

自宅の住所が変更になったからといって、納税地を変更する必要はないため、税務署に対して特別な手続きは発生しません。

個人事業主が引っ越したときの手続き・必要書類

前述したように、個人事業者が引越しをした際には、確定申告の際に納税地として記載していた住所が変わることがあります。

納税地が変更になる場合、その人はどのような手続きをする必要があるのでしょうか。

用意しなければならない書類とともに、手続きの詳細を解説していきます。

納税地の異動に関する届出書を提出する

自宅を納税地としていた人が引っ越した場合や、納税地であるオフィスや店舗が移転した場合、納税地の変更手続きを行います。

この時に提出する書類が「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」です。

所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書
引用:国税庁

「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」の記載方法は、以下のようになります。

①最上部の四角の中には、納税地や氏名・個人番号・職業・屋号を記載します。

このうち、納税地の欄には、引越しや変更する前の納税地を記載します

また、納税地以外に住所地や事業所の所在地がある場合は、その住所も記載します。

②「1 納税地」には、変更前の納税地と変更後の納税地を記載します。

変更前の納税地は、上部に記載した納税地と同じであるため、「上記のとおり」と記載するか、同じ住所を記載します。

変更後の納税地には、新しい納税地の所在地を記載するとともに、住所や事業所等の区分を記載します。

③「2 居所又は事業所等の所在地」には、納税地を変更する理由を記載します。

住所を有する人が新たに事業所を納税地とする場合などは、その事業所を納税地とした事情を記載します。

④「3 事業所等の所在地及び事業内容」には、事業所等がある場合にその屋号と所在地、事業内容を記載します。

記載内容はそれほど難しくありませんが、新しい納税地と以前の納税地を間違えないように記載しましょう。

なお、書類の届出先はこれまで申告書を提出していた、変更前の税務署となります。

振替納税の手続きを行う

振替納税とは、税金計算を行い発生した税額を自分で納付するのではなく、口座からの引き落としで納付することです。

納税地の変更がない限りは、一度手続きをしておけばその後は毎年自動的に振替納税が行われます。

しかし、納税地の変更があると、振替納税の手続きをし直さなければならない場合があります。

納税地の変更により管轄の税務署が変わると、新たに管轄となった税務署に振替納税の手続きをしなければなりません。

預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書
引用:国税庁

預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」は、金融機関で所得税や消費税を納付する際に提出する書類です。

税金の引き落としを行う口座を指定し、金融機関への届出印を押して、新たな管轄の税務署に提出します

なお、納税地が変更になっても、管轄の税務署に変更がなければ、振替納税に関する手続きは必要ありません。

事業所等の変更を届け出る

納税地の変更があったかどうかに関係なく、オフィスや店舗を移転した場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。

個人事業の開業・廃業等届出書
引用:国税庁

最上部の納税地の記載には、注意が必要です。

自宅を納税地としている人が事業所等を開設・移転等した場合は、自宅の住所を記載します。

一方、事業所等を納税地としていた人がその事業所を移転した場合は、移転前の事業所等の所在地を記載します。

その他の項目は「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を記載した時とほぼ同じ内容となります。

個人事業主の事務所引越し費用は経費になる

個人事業主の方が支出すると、その支出が必要経費として認められるかどうかが大きな問題となります。

ここでは、引越し費用が経費となるかどうかについて、いくつかのケースで確認していきましょう。

事業所だけを移転した場合

個人事業主の方が、事業を営むために使用しているオフィスや店舗を移転した場合は、その引越し費用は経費となります

しかも、このケースではすべての引越し費用は事業のために支出したものと考えられるため、全額が経費となるのです。

事務所兼自宅から事務所だけ移転する場合

自宅の一部を、事務所として利用している個人事業主の方も多いでしょう。

ただ、業務の拡大によって自宅が手狭となり、新たに事務所を設けることがあります。

この場合、事務所兼自宅から事務所部分だけを他の場所に移すこととなるのです。

この時、発生する引越し費用はすべて事務所の移転に関係するものですから、引越し費用の全額を経費として計上することが認められます

事務所兼自宅を引っ越す場合

事務所兼自宅で事業を行ってきた人が引越しを行い、引き続き事務所兼自宅として利用する場合です。

この時発生する引越し費用は、事業に関する支出と、個人的な支出を合わせたものと考えることができます。

そのため、全額を経費とすることはできませんが、事業に関する部分を経費とすることができます

引越し費用を按分するのであれば、その荷物の量で按分することが合理的と考えられます。

個人事業主の引越し費用を抑える方法

個人事業主の引越し費用は、経費になる部分があることがわかりました。

ただ、経費になったとしても、できるだけ金額を抑えたいと考えるでしょう。

どうしたら、引越し費用を安く抑えることができるのか、その方法をご紹介します。

引越し費用は時期によって変わる

モノの値段は、その需要の大きさによって変動します。

引越しの場合は、引越しが多い時期とそうでない時期の差が大きいため、繁忙期を避けて閑散期を狙うことが重要です。

引越しの繁忙期は、進学や就職、転勤のために移動が増える2月~4月にかけてです。

この時期を避けて引越しをすれば、引越し費用を抑えられるのです。

また、土日を避けて平日に引越しをすれば、さらにその費用を抑えることができます。

荷造りを自分で行う

引越し業者に荷造りや梱包のすべてを依頼すると、非常に金額が高くなります。

そこで、荷造りや梱包などの作業はできるだけ自分で行うと、トータルの費用を抑えることができます。

段ボールやガムテープなど、必要な資材は引越し業者から無料でもらうことができるため、あらかじめ頼んでおきましょう。

引越し業者ごとに費用を比較する

同じ時期、同じ荷物の量であっても、業者によってその費用が一緒とは限りません。

そのため、多くの引越し業者に見積もりを依頼して、一番安い業者を選ぶのが、引越し費用を安くする方法です。

一括見積もりのサイトがあるため、そのようなサイトを利用すると、一度に複数の業者から見積もりを出してもらうことができます。

まとめ

個人事業主の方は、自宅を事務所として利用している場合も多く、その事業の展開によって引越しを行うこともあります。

引越しをする際は、その支払いが経費になるのか、そしてどのように引越し費用を抑えるのかを考えるようにしましょう。

また、引越しをすると、納税地の変更にともなう手続きが必要になることがあります。

どういった場合に手続きが必要になるのかを確認しておき、手続きが発生する場合には忘れないようにしましょう。

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