会社設立実績件数 22年:2085件 23年:3006件 最新ご相談件数 2024年10月:429件 | 全国22拠点スタッフ1350名が対応
23年設立実績:3006件 | 前月ご相談 :429件
MENU
close
閉じる

無料
相談

0120-755-878
9~21時/土日祝対応

メール LINE Line

無料相談はこちらから

0120-291-244

【受付】9:00-21:00(年中無休)

無料相談のお申込み

最終更新日:2022/6/13

廃業時に提出する青色申告の取りやめ届出書とは?【提出方法や書き方を紹介】

税理士 鳥川拓哉
この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • 廃業時の青色申告についての手続きがわかる
  • 青色申告を取りやめる方法がわかる
  • 青色申告を取りやめないときのリスクがわかる

個人事業主が廃業する際には税務署に廃業届を提出しますが、それだけでよいのでしょうか?

青色申告を選択している場合は、廃業届とは別に青色申告を取りやめる手続きが必要になります。

そこで、廃業時に提出する青色申告の取りやめ届出書について、提出方法や書き方、届出をしなかった場合のリスクなどを簡単に解説していきます。

廃業届だけでは青色申告をやめられない

毎年行っている決算の申告方法には、青色申告と白色申告があり、青色申告を選択する際には、「所得税の青色申告承認申請書」を提出して承認申請を行いましたが、廃業する際には青色申告をやめる手続きが必要になります。

つまり、廃業届だけでは青色申告をやめることにならないということです。

そして、青色申告をやめるには、所得税の青色申告の取りやめ届出書を税務署に提出します。

青色申告の取りやめ届出書の提出方法

次に、青色申告の取りやめ届出書の提出方法についてお伝えします。

提出時期

とりやめ届出書は、青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までに提出しなくてはなりません(当日が土日祝日に当たる場合はその翌日)。

廃業の場合は、最後の決算報告書の提出と、それに伴う所得税の確定申告の申告期限になっていますので、青色申告決算書と確定申告書と同時に提出する必要があります。

しかし廃業の際は、廃業届を税務署に提出しますので、その際に同時に提出してしまう方が出し忘れの防止にもなります

作成方法

税務署で「所得税の青色申告の取りやめ届出書」用紙を入手して手書きで作成するか、国税庁ホームページからダウンロードを行って、必要事項を入力、印刷して作成します。

提出方法

作成した届出書を、所轄の税務署に持参して提出するか、郵送して提出します。

通常、税務署の受付時間は8時30分から17時までなので、持参の場合はこの時間に受け付けてもらえますが、時間外の場合は税務署の時間外収受箱に投函することでも提出できます。

また郵送の場合、届出書をコピーして控えを作成し、切手を貼付した返信用封筒を同封すると、税務署の受付印が押印された届出書の控えを返送してもらうことが可能です。

手数料

手数料は不要です。

郵送の場合は切手代と、控えが欲しい場合には返信用封筒に貼付する切手も必要となります。

添付書類

青色申告の取りやめ届出書を提出する際に必要な添付書類はありません

青色申告の取りやめ届出書の書き方【記入例付】

青色申告の取りやめ届出書の書き方は、特に難しいものではありませんので簡単に解説します。

届出者欄

左上には所轄の税務署名と提出日を記入します。

税務署名が不明な場合は、国税庁ホームページの「組織(国税局・税務署等)」の中にある「税務署の所在地などを知りたい方」で簡単に調べることができます。

届出者欄は、納税地や氏名、生年月日、職業、屋号などを記入しますが、内容に変更があっても届出をしていなかった場合は、青色申告承認申請書の控えを参照して、同じ内容を記入します。

なお、青色申告の取りやめ届出書にはマイナンバーの記入は不要です。

該当年欄

まず、取りやめる年を記入し、その下の1欄に、青色申告の承認を受けていた時期について記入します。

開始年は青色申告承認申請書で申請した年ですが、不明の場合は過去の決算書類を探しましょう。

理由欄

2欄には、青色申告を取りやめる理由を記入します。

届出書には「できるだけ詳しく記載します」と書かれていますが、廃業の場合は「廃業のため」と記入するだけで構いません。

なお、事業主の死亡によって廃業する場合は、「死亡による廃業のため」と明記し、廃業届と共に個人事業者の死亡届出書も提出する必要があります。

また、死亡による廃業の場合は通常の確定申告の申告時期を待たずに、死亡から4か月以内に確定申告(準確定申告)が必要です。

その他欄

3欄の「その他参考事項」の欄は、何も記入する必要はありません。

青色申告の取りやめ届出書を出さない場合のリスク

廃業で青色申告をやめるときは、前記のように青色申告の取りやめ届出書を税務署に提出するのですが、届出書を出さなかった場合、どうなるのでしょうか?

青色申告の承認が取り消される場合

所得税法第150条には、青色申告の承認が取り消さるのは、次の場合によるものであると定められています。

  • 青色申告に必要な帳簿書類の備付けや記録、保存等が行われていない場合
  • 帳簿書類を改ざんしたり、虚偽の記録をつけたりした場合

法人の場合は、2年以上法人税の申告をしないだけで青色申告の承認が取り消されてしまいますが、個人事業主の場合はそれが明記されていません。

では、納税者から届け出ない場合、青色申告の承認は取り消されることはないのでしょうか?

届出書を出さなかった場合のリスク

実は、前記の「青色申告に必要な帳簿書類の備付けや記録、保存」とは、単に帳簿書類が存在するだけでなく、それを税務職員に提示することが含まれています(国税庁の事務運営指針による)。

確定申告の際に提出している決算書類も帳簿書類にあたりますから、廃業によって確定申告がされていないと、帳簿書類の提示がされていないことになります。

したがって、確定申告が2年分行われない(期限までに申告されない)場合は法人の場合と同様、この所得税法の定めに従って、青色申告の承認が取り消されてしまう可能性があります。

ところが、税務署も全ての個人事業主に目を光らせている訳ではありませんので、絶対に取り消しになるということではありませんが、そういう指針がある以上無駄なリスクは避けるべきです。

届出書を出さなかった場合のデメリット

青色申告の承認が取り消されているかどうかは、実際に税務署に確認するしか方法はありませんが、もし取り消されていた場合、1年間は承認が受けられなくなります

これは、青色申告の適用は申請の翌年になるからなのですが、その結果、事業を再開したり新たな事業を始めたりした場合、最大65万円の特別控除や損失の繰り越し、少額資産の一括償却など、開業当初こそ適用したい青色申告のメリットが全て使えない状態になってしまいます。

届出書を出さなくても青色申告の承認が継続している場合もありますが、そうでない場合のデメリットを考えれば、届出書1枚を提出するだけなので忘れずにしておいた方が安心ですし、開業や再開の場合も予め承認の準備をしてからスタートできます

【補足】休業中に青色申告を継続する方法

廃業ではなく何らかの事情で休業する場合は、当然青色申告の承認は継続したいので、その方法について解説します。

休業中も確定申告が必要

前述のとおり、2年以上確定申告をしないことで、青色申告の承認が取り消されてしまう可能性があることはお伝えしましたが、それに対抗するためには、休業中も確定申告を行う必要があります。

そもそも休業中であれば、他の仕事をしている場合でも何も仕事をしていない場合でも、確定申告を行わなければなりません。

特に、病気やケガなどで仕事を休んでいる場合、または、アルバイト収入しかなく低収入の場合、確定申告を行うことで所得が少ない(ない)ことの証明ができ、税金の減免や自治体の支援などが受けられることになるからです。

休業中の確定申告の方法

休業中の確定申告の方法について、青色申告決算書には、「休業中」と目立つように明記した上で、売上0円の決算書(損益計算書)を作成し、提出します。

貸借対照表は、何も変化がないはずなので、休業前の最後の状態を転記して提出します。

確定申告書にも「休業中」と明記しますが、他の所得があった場合や、社会保険料などの控除はきちんと記入したうえで課税所得0円(実際はマイナス)で作成し、提出します。

なお、休業中にサラリーマンになり、社会保険料などについて全て会社を経由して支払っている場合は、確定申告書は「休業中」とだけ書いて、申告所得0円で提出します。

休業中の青色申告決算書と確定申告書とでは、その時の仕事の状況によって異なる対応をとる場合があることを認識しておく必要があります

【参考】事業廃止届出書の提出も忘れずに

廃業するときは、廃業届(個人事業の開業・廃業等届出書)、所得税の青色申告の取りやめ届出書の他に、事業廃止届出書の提出も忘れないようにしなければなりません。

消費税の非課税事業者であった場合は問題ありませんが、課税事業者であった場合は、廃業に当たって、速やかに事業廃止の届出をする必要があります。

消費税については、下記のいずれかの届出書に事業を廃止した旨を記入して提出しても、他の届出書や事業廃止届出書を提出したことになります。

  • ・消費税課税事業者選択不適用届出書
  • ・消費税課税期間特例選択不適用届出書
  • ・消費税簡易課税制度選択不適用届出書
  • ・任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書
  • ・消費税申告期限延長不適用届出書

また、事業廃止届出書を提出した場合は上記の不適用届出書の提出があったものとされます。

つまり、どれか一つの書類に廃業したことを記入して届け出ることで、消費税に関する廃業の手続きは終了するということです。

なお、消費税については、青色申告のように承認制ではないため、届出をしない限り課税事業者などの状態は取り消されることはなく、その後新たに開業や再開をした場合は以前の状態のままになっていますので、注意が必要です。

まとめ

ここまで、廃業時に提出する青色申告の取りやめ届出書について、提出方法や書き方、届出をしなかった場合のリスクなどを解説してきました。

特に難しい手続きではありませんが、その重要性が分かっていただけたと思います。

廃業の際でも、最後までしっかりとした手続きを行いましょう。

ページの先頭へ戻る