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最終更新日:2023/6/29

フリーランスが失業保険を受けるには開業届のタイミングに重要!支給額と計算方法・手続きの流れについて

社会保険労務士 西村兆潔

この記事の執筆者社会保険労務士 西村兆潔

ベンチャーサポート社労士法人 社会保険労務士。
大学を卒業後に、都内にある社会保険労務士事務所での勤務経験を経て、ベンチャーサポートに入社。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-nishi

この記事でわかること

  • フリーランスになる場合でも失業保険が受け取れることがわかる
  • 失業保険の支給額の計算方法や手続き方法を知ることができる
  • 失業保険を受け取る際に注意するといいポイントを知ることができる

失業保険とは、会社員だった方が会社を退職した際に、支給を受けることができる制度を言います。

ただし失業保険は、会社を退職したすべての人が受給できるわけではなく、要件が定められています。

そのため、フリーランスになろうとしている人は、失業保険の対象にはならないと考える人が多いのではないでしょうか。

しかし、一定の要件を満たせば、フリーランスとなっても失業保険を受け取ることができるのです。

はたして、どのような要件が定められているのでしょうか。

また、失業保険を受給する際の、手続きや注意点についても確認しておきましょう。

開業届を出すタイミングについて

失業手当の支給を受けるためには、いくつかの要件を満たさなければなりません

そして、この要件を満たすように、開業届を提出する時期を決める必要があります。

失業手当を受け取るための要件

失業手当を受け取るためには、受給資格を取得しなければなりません。

受給資格には、就職前2年間に被保険者期間が12か月以上あることなど、様々な要件が設けられています。

その中で、会社を辞めて開業した人の場合、失業手当を受け取ることができる要件は以下のようになっています。

  • (1) 事業を開始した日(事業開始の準備に専念する場合は、その日以降の準備期間を含みます)の前日までの失業認定を受けたうえで、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であること
  • (2) 事業の開始により自立することができると認められるものであること
  • (3) 「待機」が経過した後、事業を開始したこと
  • (4) 離職理由により給付制限を受けた場合は、最初の1か月が経過した後に事業を開始したこと
  • (5) 過去3年以内の就職について、再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けていないこと

これらの要件をすべて満たさなければ、失業手当を受け取ることはできません。

開業届を提出する時期の決め方

フリーランスになる場合であっても失業手当を受給するための5つの要件の中で、特に重要なのは(3)と(4)の要件です。

これらは、いつ事業を開始したかに関係する要件となっています。

(3)の要件にある「待機」とは、離職票の提出と求職の申し込みを行った受給資格決定日から7日間のことを言います。

待機期間はどのような理由で離職した場合でも適用されるため、この待機期間中に開業届を提出すると失業手当は受給できません

また(4)の要件は、給付制限を受ける場合について理解しておく必要があります。

給付制限とは、会社を自己都合で退職した人に対して適用されるものです。

会社に解雇され、あるいは会社が倒産したために失業した人は、急に仕事を失ったために、早く救済する必要があります。

これに対して、自分で会社を辞めた人は、計画的に次の仕事に移ることができるため、救済する優先順位は低くなります。

そのため、待機期間が終了した後も、一定期間失業手当を受給できないこととされているのです。

給付制限の期間は、待機期間が終了した日(受給資格決定日から7日を経過した日)から3か月間とされています。

そして給付制限を受けている場合は、最初の1か月間の間に事業を開始すると受給資格を失うこととなります。

したがって、会社都合で退職した人は、受給資格決定日から7日間が経過すれば、開業届を出しても問題はありません。

一方、自己都合で退職した人は、受給資格決定日から1か月と7日を経過した後に開業届を提出すべきこととなるのです。

「事業の開始により自立する」とは

紹介した5つの要件の中に、「(2) 事業の開始により自立することができると認められるものであること」というものがあります。

これは、形だけ事業をしていればいいわけではなく、継続的にその事業を行い生活している状態でなければならないとするものです。

このことは、失業した人が新しい仕事を探し、再就職を促すという雇用保険の考え方にもとづいたものであると考えられます。

この点について、ハローワークでは2つの考え方を示しています。

1つは受給期間内に雇用保険の適用事業主になることです。

しかし、これは従業員を雇用することを意味しますから、決して簡単なことではありません。

もう1つの要件は、1年を超えて事業を継続して行うことができると認められることです。

しかし、ここで問題になるのは、事業を開始した時点で、どのようにその事業の継続性を証明するのかということです。

この点、ハローワークによって対応の違いがある場合もありますが、開業届の控えの提示を求められる場合があります。

また、事務所や店舗の賃貸借契約書や、仕事・商品の発注書などを提出しなければならない場合もあります。

いずれにしても、1年後に再度ハローワークに行くわけではありませんので、勘違いしないようにしましょう。

開業届以外に注意すべき場合も

開業届を提出する時期について説明してきましたが、これは開業届を提出した時期が事業を始めた日と考えられるためです。

逆に言えば、それ以外に客観的な形で事業を始めたことが明らかになる場合、この時期に開業届を出せばいいとはなりません。

たとえば、事業のために新たに事務所や店舗を借りた場合、賃貸借契約の締結日から事業の開始や準備をしていることとなります。

また、商品の仕入れを行ったり、取引先と契約を結んだりした場合も、その日にちが事業の開始とみなされます。

したがって、単に開業届の提出日を調整すればいいというわけではないため、注意してください。

失業保険の支給額と計算方法とは


失業保険の手続きをする前に、どれくらいの金額が支給されるかわかると、開業後の計画も立てやすくなります。

はたして、失業保険の支給額はそのように計算するのでしょうか。

基本手当の支給額とは

失業保険の受給資格を得て、失業保険を受給できることとなった場合、まず支給されるのが基本手当と呼ばれるものです。

基本手当の計算方法は、以下のように段階を踏んで計算する必要があります。

基本手当の計算方法

  • (1) 賃金日額=退職前の6か月間の給与÷180日
  • (2) 基本手当日額=賃金日額×給付率
  • (3) 失業手当支給総額=基本手当日額×給付日数

この計算式にある給付率は、賃金日額と離職時の年齢によって決められる割合です。

45%~80%の中で定められ、賃金日額が低いほど高い割合になります。

また、年齢により上限額が定められており、60歳までは若いほど上限額は低くなります。

給付日数は、年齢や被保険者期間に応じてその日数が定められています。

自己都合より会社都合の方が長くなり、また被保険者期間が長いほど、その日数は長くなります。

ただし、その間に就職したり開業したりした場合、実際に支給される金額はその前日までの日数で計算します。

基本手当の計算例

たとえば36歳で月収39万円、勤務期間13年の人が自己都合で退職したとします。

この場合の計算方法は、以下のようになります。

  • (1) 賃金日額は、39万円×6か月÷180日=13,000円
  • (2) 基本手当日額は、13,000円×50%(給付率)=6,500円
  • (3) 失業手当支給総額は、6,500円×120日=780,000円

したがって、このケースでは失業手当として支給される基本手当の総額は78万円となります。

再就職手当の計算方法

基本手当を受給できるのは、失業して次の仕事を探している状態にある場合です。

受給期間中に就職し、あるいは開業した場合には基本手当を受け取ることはできなくなります。

その代わり、再就職手当の受給対象となる可能性があるのです。

再就職手当を受け取るための要件は、就職や開業したために、所定給付日数の1/3以上の受給残日数があることです。

また、過去3年以内に再就職手当などの支給を受けていないこと、受給資格を得る前から採用が内定した会社ではないことなどです。

再就職手当の計算式は、「基本手当日額×支給残日数×60%または70%」となります。

早くに就職や開業を決めるほど、再就職手当の支給額は多くなります。

失業保険の手続き方法とは


フリーランスの人が失業保険を受け取るためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。

ここでは自己都合で会社を退職した場合の、手続きの内容を確認していきましょう。

ハローワークで受給資格決定を受ける

会社を辞めた後、離職票が自宅に送られてきます。

その離職票を持って最寄りのハローワークに行き、受給資格を得るための手続きを行います。

受給資格を得るためには、就職の希望を申請する必要があります。

開業するため、実際には就職する予定のない場合でも、この段階では職種や給与などの希望を申請しておくこととなります。

ただ、開業しようとしていることについて隠す必要はありません。

ハローワーク職員と面談を行う際にも、開業しようと準備していることを伝える方がかえってスムーズに手続きが進みます。

7日間の待機期間

自己都合であろうと会社都合であろうと、この待機期間に事業を始めた場合は基本手当も再就職手当も受給できなくなります

開業届を出すだけでも、基本手当や再就職手当の要件を満たしません。

実際に開業の準備は行わず、頭の中だけで色々考える期間としましょう。

職業講習会に参加する

待機期間が終了した後、ハローワークの指定する日時に職業講習会が開かれます。

講習会に参加するように指示がされているので、必ず参加するようにしましょう。

ハローワークの利用方法や、求人の探し方などの基本的な内容が説明されます。

この職業講習会に参加すると、求職活動を行ったこととなるため、失業認定を受ける要件を満たすこととなります。

雇用保険説明会に参加する

職業講習会とは別の日程で、失業保険に関する詳しい内容の説明会が開催されます。

こちらも、ハローワークから日時と場所が指定されています。

この説明会に参加すると、雇用保険受給資格者証がもらえます

この書類は、今後手当を受給したりする際に必要となる重要な書類です。

初回の失業認定を受ける

決められた日時にハローワークに行き、1回目の失業認定を受けます。

この初回の失業認定日は、受給資格決定日から約4週間後の日となります。

失業認定を受けるためには求職活等が必要ですが、職業講習会に参加していればこの要件はクリアできます。

開業届を提出する

7日間の待機期間を経過し、さらに1か月が経過した日以降に開業届を税務署へ提出します。

開業届を提出する際には、受領印を押した控をもらうのを忘れないようにしましょう。

再就職手当の受給手続きを行う

再就職手当を受け取るための手続きを、ハローワークで行います。

この時、税務署で受け取った開業届の控を持参することを忘れないようにしましょう。

なお、再就職手当は事業を開始した日が早いほど金額が大きくなります。

事業開始日は、開業届に記載された開業年月日で判定されるため、早めに手続きする方が有利になります。

失業保険を受ける場合の注意点について


失業保険の制度は、仕事を失った人が次の仕事をスムーズに探すことができるようにするためのものです。

そのため、フリーランスとして開業しようとする人が利用する場合、注意すべき点があります。

特に失業手当を受給する際にトラブルになりやすいのは、実際には失業状態にないと考えられる場合です

会社員として就職しているかどうかは客観的に判断しやすいのですが、フリーランスの場合は非常にあいまいです。

開業のための準備をしている場合でも、失業状態にないと判断されるケースもあります。

また、開業届を提出した場合は、その日付によって再就職手当の対象になるかどうかが変わってしまいます。

ましてや、開業までの期間にアルバイトをした場合は、その内容を申告しなければなりません。

虚偽の申告により不正に手当を受給した場合、受給した手当の全額返還だけでなく、その2倍の罰金が科されることもあります。

また、場合によっては詐欺罪などの刑事罰が問われることもあります。

手当をもらうために悪質な行為を行わないよう、注意しましょう。

まとめ

この記事を読むまでは、独立開業するために仕事を辞めた人が失業保険の対象になることを知らなかった人もいるかもしれません。

失業保険は、次の仕事を見つけてスムーズに働くことができるように支援する制度だからです。

しかし、状況によってはこれから独立開業する人も失業保険を受け取ることができます

フリーランスとなってもすぐに収入を得られるとは限りません。

失業保険を受け取って、当面の収入を確保するとともに、次へのステップとしましょう。

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