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最終更新日:2020/11/13

サラリーマンでも不動産所得があるなら青色申告を!青色申告の条件やメリットについて解説

この記事でわかること

  • 不動産所得が存在する場合に、青色申告が必要な理由とメリットがわかる
  • 不動産所得が存在する場合の、青色申告の手続き方法がわかる
  • 不動産所得で経費にできるものの種類がわかる

サラリーマンであっても不動産所得が存在する場合、「青色申告」の制度を活用することは大きなメリットになります。

サラリーマンで不動産所得が存在する場合、確定申告を行う必要がありますが、青色申告と白色申告で、節税メリット等が大きく変わっていきます。

当記事では、不動産所得の確定申告における青色申告の重要性や、サラリーマン大家さんの青色申告のメリットについて触れていきます。

不動産所得とは?

不動産所得は、国税庁の「確定申告書等作成コーナーよくある質問」によると「不動産経営における総収入金額から必要経費を差し引いたもの」が、不動産所得の金額となります。

参考:「確定申告書等作成コーナーよくある質問」(国税庁)

不動産所得の計算方法としては、
総収入金額-必要経費=不動産所得の金額
となります。

総収入金額と必要経費の定義は?

では、総収入金額に当てはまる物としては、何が該当するのでしょうか。

  • ・アパート・マンションなど所有する不動産の家賃
  • ・礼金・契約更新料・承諾料・名義書換料など、単純に受け取るもの
  • ・敷金・補償員のうち返還を要しないもの
  • ・共益費名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など

一方、必要経費としては、

  • ・アパート・マンションなどの所有物件にかかる固定資産税
  • ・アパート・マンションの損害保険料
  • ・減価償却費
  • ・アパート・マンションの修繕費

が挙げられます。(他にもありますが、詳しくは後述します)

当然ですが、アパート・マンションの経費に充てられるのは、あくまでアパート・マンション経営などに当たる部分のみです。

住宅兼賃貸アパートなどの場合は、税務署・税理士などと相談し、生活に当たる部分と賃貸業経営に当たる部分の適切な割合を按分し、実際にアパート・マンションなどの経費と言える部分のみを必要経費として充てていくことが必要です。

不動産所得を青色申告するための条件


不動産所得を青色申告で行うには、規模が「事業」と言えるレベルまで大きくなっていることが前提となります。

一般的には、

  • ・賃貸アパート、マンションの場合概ね10室以上を賃貸に出している
  • ・戸建ての場合は5室以上を賃貸に出している
  • ・駐車場の賃貸の場合は、およそ50台以上を賃貸に出している

など、「客観的に見て、事業と言える規模」でないと、「事業的規模」として青色申告を受けるのは難しいです。

(ただ、あくまで上記は例であり、地域などによって)、上記に当てはまらなくても事業的規模と認めてもらえるケースがありますが、詳しくはお住まいの税務署に確認するか、税理士に相談することが要されます。

あくまで自分の判断ではなく、外から見て、客観的に事業と思われるレベルの規模か、という問題がありますので、自分だけでの判断は控えた方がよいでしょう。

青色申告を行う上での前提は

また、青色申告を受けるためには、まず「事業として行います」という宣言である、「開業届」を税務署に提出する(提出している)必要があります。

その後、2ヶ月以内(もしくは1月~3月15日開業の場合は3月15日まで)に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

法人の場合は設立後3ヶ月と多少時間がありますが、個人事業の場合は2ヶ月と少し短く、開業届提出時期によっては短くなることがありますので、注意しましょう。

また、他の条件として、

  • ・複式簿記により帳簿をつけること(会計ソフト・クラウドサービスを利用する手もあるが、税理士に依頼した方が安心)
  • ・帳簿・領収書は7年保管すること

という事項を遵守する必要があります。

加えてサラリーマン大家さんの注意点としては、確定申告においては特別徴収(給与からの天引き)ではなく、普通徴収(自分で振込書にて納付)を選ぶことをお勧めします。

そうすると、会社の方に不動産所得も含めた収入の書類が行かずに済みます。

会社が副業を許可していればいいのですが、その点が曖昧な場合は、余計な嫉妬などを買わないためにも、普通徴収を活用して、会社に通知が行かないようにした方が望ましいでしょう。

確定申告を青色申告で行うメリット

確定申告を青色申告で行うと、メリットが多くあります。

具体的な内容を見てみましょう。

青色申告をする事で受けられるメリットと注意点

青色申告特別控除青色申告を行うことで、課税所得から55万円(E-tax利用の場合は65万円)の控除が受けられ、節税に繋がります。なお、白色申告の場合は10万円の控除にとどまります。
専従者給与控除家族がアパート・マンションの掃除に関わったり、経理・経営の補佐などを行って「実際にアパート・マンション経営に寄与している場合」は、その給与を必要経費として計上できます。
対象は、同居か生計を同一にする配偶者、親、祖父母、15歳以上の子どもで、年間を通じて6ヶ月を超える期間、その事業に「のみ」従事している人が対象となります。
当然業務従事の実態については確認される可能性があるので、実際に従事している身内に対して、労働の実態に応じた専従者給与を出しましょう。
赤字の繰り越し青色申告の場合、不動産所得の赤字は3年以内であれば繰り越すことができます。
新型コロナウイルス・豪雨災害など突発的な事項で被害や入居者の退去・家賃滞納などがあった場合も、3年間の間であれば繰り越せます。
また、青色申告の場合は、他の所得との損益通算ができるのも大きなメリットです。(白色申告は、赤字計上や他の損益所得との通算ができない)
一例として、賃貸用の不動産を解体することは、いわゆる「資産の損失」に当たりますが、この費用を必要経費として計上し、翌年以降に赤字分を繰り越すことが可能です。
貸倒損失の計上新型コロナウイルスで、家賃の滞納などが発生、居住者の夜逃げや自己破産などが発生した大家さんもいらっしゃるかもしれません。
このような、賃貸料が回収できない場合、回収できない賃貸料として、貸倒損失を経費として計上できます。
少額減価償却資産の特例一般的には、10万円以下の資産でないと、一括で経費にする事はできません。
数年かけて、経費に乗せていく形となります。
しかし、青色申告の場合は、30万円以下の資産であれば、2022年3月末までですが、一括で経費として計上可能です。
(2022年4月以降、この措置が続くかは未定ですが、本来は2020年3月までの措置でした。状況によっては、2022年以降も同様の措置が続くことも想定されます。)

以上が不動産所得で青色申告を活用するメリット・注意点となります。

不動産所得で経費できるもの


不動産所得で経費にできるのは、当然ですが不動産の為に利用した費用に限られます。

一般的な物を挙げていきましょう。

不動産所得で経費にできる費目

減価償却費建築物は耐用年数に応じ、毎年減価償却費として経費に算入できます。
例えば木造アパートの場合、法定耐用年数は22年のため、22年かけて減価償却していく形となります。
修繕費建物を維持管理したり、建物の傷みや内部の原状回復の費用が修繕費に当たります。
ただ、あくまで現状維持のための修繕が原則であり、3年以内のサイクルで行う修繕、20万円未満の修繕は経費に算入できますが、建物の価値を向上させる修繕は、基本的支出として計上します。
損害保険料建物の火災保険・地震保険料などを経費にできます。
ただし、保険料を前払いする場合は、前払いした都市の分だけ計上できるという点にはご注意ください。
租税公課土地建物の固定資産税、都市計画税、事業税、不動産取得税、建物の賃貸管理にかかる自動車があれば自動車税、印紙税などの租税公課を経費にすることができます。
借入金利息土地建物の取得・建設のために金融機関から借りた費用は「利息に関してのみ」必要経費となります。
元本は経費となりません。
管理費不動産仲介業者の仲介費用、物件のメンテナンス業者に支払う管理費も、経費にできます。
人件費従業員(家族含む)に支払う給与も経費計上が可能です。
広告宣伝費賃貸の広告費用も経費として計上できます。
通信費、消耗品費・接待交際費・新聞図書費上記の費目についても、「賃貸経営に関して必要である」という根拠があれば、経費に算入することができます。

不動産所得で経費にする上での注意点

後で税務署などから確認を受けてもきちんと説明できるよう、「○○のために使った」ということを、それぞれ領収書・レシートなどに書いておいた方がよいでしょう。

例えば、賃貸仲介会社へのお土産を購入、持参する場合は、レシートの裏に、「どの会社にいつ持っていったか」など、「きちんと賃貸経営のために使いました」と説明できる要素を記しておくことが重要です。

記憶力の良い人であっても、3年なり5年経って税務調査があった場合、過去の書類から使途を説明しないといけません。

お土産のレシートだけでは、会社へのお土産として持っていったのか、それとも自分の為に購入したのかが後からわからなくなる可能性があります。

このように、不動産経営において、経費とできる部分は多くあります。

ただ、不動産経営と関係ない部分や、直接の収益に付与しないセミナー・コンサルティングなどの費用は、経費にならないケースも想定されますので、経費となるかは自分で決めず、税理士・税務署の判断を受けることが大切です。

まとめ

以上、不動産所得のあるサラリーマンが青色申告を選択するメリット・方法・注意点などに関して触れてきました。

青色申告自体は、通常の決算よりも手間がかかりますが、青色申告で得られるメリットはそれ以上の物があります。

特に、赤字の繰り越しは、新型コロナウイルスで入居者の退去・家賃滞納などが想定できるこの時期に、非常に助かる要素と言えます。

サラリーマンが仕事をしながら青色申告に取り組むのは負担が大きいです。

税理士などの専門家、特に賃貸経営に長けた税理士に依頼することで、サラリーマン大家さんの側も節税効果を享受できますので、ぜひ専門家に依頼することをお勧めします

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