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最終更新日:2024/3/12

個人事業主の開業届出済証明書の発行方法や紛失した場合の対処法をご紹介

この記事でわかること

  • 個人事業主が開業した際に提出する開業届について知ることができる
  • 開業届出済証明書の内容や必要になる時を知ることができる
  • 開業届出済証明書を発行するために必要な手続きがわかる

個人事業主が開業した場合、そのことを税務署に届け出る必要があります。

また、開業してから届け出た開業届の控えは、その後様々な場面で利用されます。

さらに、開業届を提出したことを証明する書類として、開業届出済証明書という書類もあります。

この書類は、市町村によって対応している市町村の対応していない市町村があり、証明書名や書式も統一されいるものではありません。

ここでは開業届や開業届出済証明書といった書類の内容や、発行・再発行の手続きの方法などを解説していきます。

開業届とは

個人事業主が提出する開業届とは、その正式名を「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。

参考:「個人事業の開業・廃業等届出書」(国税庁)

その名のとおり、個人事業者が事業を開始した時だけでなく、事業を廃止した時、事務所を移転や新設した時などにも使われます。

事業を開始した場合は、個人事業者の住所地あるいは事業所の所在地を管轄する税務署に提出します。

提出する時期は事業を開始してから1か月以内とされています。

期限を過ぎてしまった場合でもペナルティはないことから、できるだけ早く書類を提出するようにしましょう。

開業届の提出をすべき人

提出の対象となるのは、個人事業者のうち事業所得、不動産所得または山林所得を生ずる事業を開始した人とされています。

たとえば株式投資を事業とする場合、そこから発生する所得は譲渡所得または配当所得となるため、開業届の提出者にはなりません。

また、フリーランスとして所得を得ている人の中には、その所得が雑所得に該当すると考えている人もいると思います。

ただ、フリーランスの人の所得が雑所得になるか、あるいは事業所得になるかを線引きする明確な基準はありません。

事業所得の場合は青色申告ができる一方、雑所得の場合は青色申告ができないといった違いがあります。

フリーランスでも雑所得の場合は開業届を提出する必要がない一方で、青色申告ができないデメリットもあるため、注意が必要です。

開業届の記載事項

開業届に記載する項目は、提出する人の氏名や生年月日など基本的な事項が中心です。

そのため、記載するにあたって特に問題になるものはそれほどないかもしれません。

ただ、中にはわかりにくいものや聞き慣れない言葉もあるかと思います。

そのようなものについて、解説していきましょう。

まず「納税地」についてです。

納税地には、その人の住所(住民票のある場所)あるいは居所(実際に住んでいる場所)または事業所の場所を記載します。

この住所地になった場所によって管轄の税務署が決まるため、まずはどこを住所地にするか決める必要があります。

次に説明するのは「所得の種類」です。

開業届を提出する人の99%以上の人は、事業所得または不動産所得のいずれかに該当することとなります。

このうち不動産所得とは、土地やアパート・倉庫などの建物を貸して得る賃貸収入をいいます。

後ほど説明しますが、不動産所得を得ている人の中でも一定の規模で事業を行っている人は青色申告ができます。

この一定の規模のことを事業的規模といいますが、事業的規模で不動産事業を行っている人も、所得の種類は不動産所得となります。

ややこしいのですが、事業的規模=事業所得ではないため注意しましょう。

次に「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」について解説しましょう。

事業所得を得ている人の中には、開業と同時に青色申告を開始しようとする人がいます。

青色申告を行うためには、複式簿記による記帳を行う、貸借対照表や損益計算書を確定申告書に添付するといった要件があります。

また不動産所得を得ている人が青色申告を行うためには、その事業が事業的規模である必要があります。

具体的には5棟10室基準と呼ばれ、一軒家であれば5棟、アパートやマンションであれば10室以上保有している必要があります。

その他にも多くの項目がありますが、いずれも難しい内容ではないと思われるので、記載例なども確認しながら記入してみましょう。

この時、青色申告を行う人はあわせて青色申告承認申請書を作成すれば、事業開始1年目から青色申告が可能となるかもしれません。

開業届が必要になる時

開業届は税務署に事業を始めたことを届け出る書類です。

ただ、開業届を出していないからといって直ちに不利益が生ずるわけではありません

発生した所得について確定申告を行い、税金を支払っていれば、ペナルティが発生することもありません。

しかし、それ以外の場面で税務署に提出した開業届が必要となる可能性があります。

代表的なのが、金融機関で事業資金の融資を受ける場合です。

個人事業主の場合、個人名で借り入れを行うこととなりますが、本人の申告だけでは本当に事業を行っているのか判断できません。

そこで、本当に個人で事業を行っているのかを確認するために開業届の控えを提出しなければならないのです。

個人事業主がクレジットカードを申し込む際にも、開業届が必要になります。

事業を始めてからの年数が長いほど審査には有利になるため、その年数を確認するために提出が求められます。

その他にも小規模企業共済への加入時やQRコード決済の開始時など、様々な手続きを行うにあたって必要とされることがあります。

税務署に提出する開業届は必ず2部作成し、そのうち1部は税務署で受領印をもらって手元に保管しておくようにしましょう。

開業届出済証明書(個人事業)とは


個人事業主の方が開業した時は、基本的に税務署に対して開業届を提出するだけでなく、都道府県にも開業届を提出します。

これは、個人事業主は都道府県に対して個人事業税を納めなければならない場合があるためです。

参考:「事業開始等申告書(個人事業税)」(東京都主税局)

また、市区町村にも開業届が設けられています。

ただし市区町村の場合は、その提出は任意とされており、その旨がホームページに明記されていることもあります。

参考:「個人事業開始等届出書」(熊谷市)

ただ、市区町村に開始届を提出すると、その後に開業届出済証明書を発行してもらうことができます

開業届出済証明書とは、その市区町村に対して個人事業主が開業届を提出していることを証明する書類です。

なお、この証明書は個人事業主が事業を行っていることや営業の実態があることを証明しているわけではありません。

あくまで開業届を提出したことだけを証明するためのものです。

開業届出済証明書に必要な書類と発行に必要な条件

開業届出済証明書は、印鑑証明書や納税証明書などと同じく、各市区町村役場で発行してもらう書類です

そのため、市区町村役場に行けば発行してもらうことができます。

個人事業主の方が開業届出済証明書の発行を依頼する場合は、運転免許証や健康保険証などの本人確認書類が必要です。

また、証明書を請求する人の印鑑が必要となりますが、本人や同居する家族などが取得する場合は不要とされています。

代理人が請求する場合は委任状が必要ですが、同居する家族が取得する場合、委任状は必要ありません。

開業届出済証明書が発行されるためには、その市区町村に対してすでに開業届を提出している必要があります。

税務署や都道府県に対して開業届を提出していても、市区町村役場で開業届出済証明書を発行してもらうことはできません。

開業届を紛失した場合の対処法


個人事業を営んでいる人が金融機関で融資を受けたり、事業用の口座を開設したりする際に、開業届を提出するように求められます。

しかし、開業届を提出する際に控えをもらっていない人や、控えを紛失してしまった人もいることでしょう。

先に紹介した開業届出済証明書で対応できればいいのですが、それではダメというケースがほとんどです。

そこで、開業届の控えがない場合にどのような対処方法があるのか、解説していきます。

保有個人情報開示請求書を提出する

税務署に「保有個人情報開示請求書」を提出し、以前に提出した開業届の写しを交付してもらう方法です。

まずは、最寄りの税務署に保有個人情報開示請求書を提出します。

請求書の提出は窓口でも郵送でも対応してもらえます。

もし記載事項に不安がある場合は、窓口で教えてもらいながら記載することもできます。

開示を請求する保有個人情報の欄に「個人事業の開業・廃業等届出書」と記載するほか、氏名や住所など必要事項を記載しましょう。

また、300円分の収入印紙を貼付する必要があるので、忘れないようにしなければなりません。

ただし、窓口でこの請求書を提出しても、その場で開業届をもらうことができるわけではありません。

その後交付される「保有個人情報の開示の実施方法等申出書」に必要事項を記載して窓口に行くか再度郵送します。

すべての手続きを終えて開業届の写しを入手するまで、2週間~1か月ほどかかるため、余裕を持って対応するようにしましょう。

開業届を再提出する

開業届をもう一度提出して、その写しを入手するという方法です。

個人情報開示請求書を提出するのとは違い、時間も費用もかかりません。

急いで開業届の控えが必要な場合には、この方法を利用することができます。

ただ、開業届を2回提出することで、税務署からこれまでの事業の実態について疑念を持たれるかもしれません。

特に青色申告を行っている人の場合、その要件を満たすかどうかという話に発展してしまう可能性も否定できません。

また、開業日が直近の開業届に記載された日にちに更新されてしまいます。

そのため、実際よりも事業を行っている年数が短く判定されることも考慮して、再提出を行う必要があります。

もしこのようなデメリットを避けたいのであれば、個人情報開示請求書を提出するようにしましょう。

開業届を閲覧して写真を撮る

開業届の控えは税務署に保管されています。

そのため、提出した税務署に行き閲覧請求すれば、その場で開業届を閲覧することができます

また、写真を撮ることもできます。

ただ、控えをその場でコピーしてもらうことはできないため、あくまで写真に残すことができるだけです。

開業届の控えを書面で提出する必要がある場合には、この方法は使えないためあらかじめ確認しておきましょう。

まとめ

個人事業者が事業を行っていることを証明するため、開業届の控えが必要な場面があります。

そのため、開業から何年経過した後でも、開業届の控えを大事に保管しておくことが重要なことです。

万が一開業届を紛失してしまった場合でも、その写しを再発行する方法があるためあわてずに対応しましょう。

開業届を再度提出するのは最終手段と考えて、冷静に対応するようにしましょう。

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