最終更新日:2023/7/24
自営業(個人事業主)の年収は?儲かる自営業の職種ランキング
この記事でわかること
- 自営業の人の平均年収がいくらぐらいなのか知ることができる
- 職業別に見た場合の平均年収のランキングを知ることができる
- 年収1,000万円を目指すことのできる自営業の職種が分かる
独立して自営業となることを考えている人にとって、自営業の人がどれくらい稼いでいるのか、大きな関心があると思います。
そこで自営業の人の平均年収について解説していきます。
また、職業別の年収ランキングを紹介し、その中でも自営業で可能な職業には何があるのか検討していきます。
さらに、より高い年収である1,000万円を超えることのできる自営業の業種にはどのようなものがあるのかも紹介します。
ここで紹介する年収はすべて平均であり、それ以上の収入を得ることができる場合も、そこまでいかない場合もあることは頭に置いておきましょう。
目次
そもそも自営業の平均年収はどのくらい?
自営業とは、独立して事業を行っている人のことをいいます。
これに対して、サラリーマンは会社などに雇用されて、その組織の中で働き給料をもらっている人をいいます。
サラリーマンの場合は、所属する会社などが決めている給与体系の中で給料やボーナスが支給されます。
そのため、会社ごとの違いはありますが、その会社内で決められた給与は基本的に全額支給されます。
これに対して、自営業は給料をもらうわけではありません。
自身が経営するお店や事業の売り上げが、そのままその人の年収となります。
事業が順調にいけばそれだけ年収も増える一方、上手くいかなければ売上ゼロという可能性もあるのです。
そのため、同じ業種の仕事をしている場合でも、人によってその金額は大きく違います。
自営業の人が個人的に自由に使える金額としての年収を考える際には、所得金額を知る必要があります。
この所得金額とは「事業収入-必要経費」として計算される金額であり、事業を行う際に必要な経費を支払った後に残った金額のことです。
この金額は、サラリーマンが税金や社会保険を天引きされて支給される手取りの金額とイメージ的には近くなります。
自営業者として事業所得を得ている人の平均所得金額は、国税庁の「申告所得税標本調査結果」から分かります。
最新の統計によれば、平成30年の事業所得者の平均所得金額は417万円となっています。
この金額はこの10年間にわたって、年々少しずつではありますが増加しています。
ただ注意しなければならないのは、所得金額が少ない人や赤字の人については税務署に申告する義務がないことです。
つまり、所得が少ないために申告の必要がない人がいるため、実際の平均所得金額はもっと低くなる可能性があるのです。
職業別年収ランキングの中で自営業で可能な仕事とは?
すべての自営業者の平均年収が分かったところで気になるのは、職業別に「どの職業が儲かるのか?」だと思います。
そこで、ここでは職業別の年収ランキングを紹介していきます。
ただし、自営業者の職業別年収に特化したデータがないことから、ここではサラリーマンを含めたランキングを紹介します。
そのうえで、自営業者として事業を行うことが可能かどうかを解説していきます。
以下のランキングは「2020年版 職種別 モデル年収平均ランキング」によるものです。
参考:「2020年版 職種別 モデル年収平均ランキング」(マイナビ転職)
職種別年収ランキング第1位 システムアナリスト
職種別ランキングの第1位となったのはシステムアナリストです。
そのモデル年収の平均額は1609万円となっています。
システムアナリストとは、システム開発を行う部門の中で、最も根本的な方向性を決める人といえます。
クライアント側の責任者に対してヒアリングを行って問題点を洗い出し、その解決方法を開発してクライアントに提案します。
システムの分析・開発に加えて、クライアントにプレゼンテーションを行う能力も求められる、大変に高度な職種です。
そのために、企業からのニーズも高い一方で求められるスキルも高く、平均年収も非常に高い金額となっているのです。
いったん会社に所属してこのようなスキルを磨き、そのうえで独立してフリーのシステムアナリストとなることも可能です。
ただ、未経験者がいきなりこのような職種で開業することは不可能といってよいでしょう。
職種別年収ランキング第2位 コンサルタント(経営戦略)
職種別ランキングの第2位となったのはコンサルタントです。
そのモデル年収の平均額は1444万円となっています。
ビジネスコンサルタントは、企業からの依頼を受けてその抱える問題を解決するための助言を行います。
その中でも戦略コンサルタントと呼ばれるのは、企業の成長のために必要な戦略をアドバイスする人です。
一般的には経営コンサルタントと呼ばれることもあります。
企業経営・その企業の行っている業務・人事などについて助言を求められるため、高度な知識と経験が必要とされます。
そのため、多額の報酬を得るチャンスも多いのです。
コンサルタントは、コンサルティングファームに所属して、キャリアをスタートする人が多いでしょう。
ただ、特定の資格が必要ないことから、過去の経験や人脈を活かして独立開業することも可能です。
職種別年収ランキング第3位 アセットマネージャー
職種別ランキングの第3位となったのはアセットマネージャーです。
そのモデル年収の平均額は1100万円となっています。
アセットマネジメントとは、投資目的で不動産の形成や運用、保全を行う業務をいいます。
投資家や不動産オーナーに代わって、不動産を総合的に管理し、その価値を最大化する業務です。
特に近年では不動産の証券化が行われ、それに関する不動産の運用と投資家からの資金集めが重要な業務となっています。
このアセットマネジメントを行う人のことを、アセットマネージャーといいます。
不動産の証券化を行う際には、その運用を外部委託することが多く、アセットマネージャーの需要が高くなっているのです。
ただ、個人事業主としてこのような業務を請け負うことは極めてまれであり、独立開業は現実的ではありません。
職種別年収ランキング第4位 情報アーキテクト・UI/UXデザイナー
職種別ランキングの第4位となったのは情報アーキテクト・UI/UXデザイナーです。
そのモデル年収の平均額は1,000万円となっています。
情報アーキテクチャとは、WEBサイトのシステムの最適化を行うための技術のことです。
より具体的には、サイト内の情報にアクセスしやすくする技術、サイトを運用する際に利益が出やすくなる技術をいいます。
エンジニア上位職とも呼ばれるもので、より技術面に特化した仕事を行います。
この情報アーキテクチャを行う人のことを、情報アーキテクトといいます。
一方、UI/UXデザイナーとは、ユーザーの興味を引いてサイトを心地よく利用するための仕事をします。
UIデザイナーもUXデザイナーも、デザインの知識だけでなく、情報設計やマーケティングなどの幅広い知識が求められます。
情報アーキテクトやUI/UXデザイナーとして働くためには、会社でプログラマとして経験を積んでレベルアップしていくことが必要です。
なぜかというと、何かの資格を取得すれば情報アーキテクトになれるというものではないからです。
これまでの実績や経験をもとに、情報アーキテクトやUI/UXデザイナーとして評価されるのです。
そのうえで、キャリアを積んでから独立する人もいます。
このようなことから、いきなり独立して情報アーキテクトやUI/UXデザイナーになることはできないと考えられます。
職種別年収ランキング第5位 ITアーキテクト
職種別ランキングの第5位となったのはITアーキテクトです。
そのモデル年収の平均額は975万円となっています。
ITアーキテクトも、第4位となった情報アーキテクトやUI/UXデザイナーとよく似ています。
ITアーキテクトになるには、プログラマとして経験を積んでキャリアアップしていくのが一般的な道のりです。
経験を積んだ人が独立することはありますが、未経験の人がいきなりITアーキテクトとなることは不可能でしょう。
職種別年収ランキング第6位 不動産営業
職種別ランキングの第6位となったのは不動産営業です。
そのモデル年収の平均額は952万円となっています。
不動産営業と一口に言っても、その業務内容は様々です。
サラリーマンとして働く人の場合は、その会社の業務内容によって何をするかが変わります。
具体例としては、戸建て住宅の営業、土地の仕入、賃貸住宅の管理営業、リフォームの提案などがあります。
宅地建物取引士の資格を持っていれば、個人事業主として不動産業を開業することは難しくありません。
一般的には不動産業界の会社で働いて実務経験を積んだ後、独立する人が多いといえます。
年収1,000万円以上を目指す!おすすめの自営業の職種とは
職種別に年収ランキングの上位にあがっているものをご紹介しました。
サラリーマンのランキングであるため、実際に自営業の方が始めるには難しい職種もありました。
そこで、上位にあがっている職種の中から、現実的に自営業で年収1,000万円以上を目指せる職種をご紹介します。
先ほどのランキングとはやや異なるものもありますが、これから開業しようと考えている人に参考にしていただけるでしょう。
おすすめの自営業の職種(1) コンサルタント
まずおすすめしたいのは、コンサルタントです。
先ほどご紹介したランキングでも、コンサルタントは第2位となっていました。
コンサルタントというと非常にハードルが高いように思われるかもしれません。
しかし実際には、コンサルタントとして独立するために特定の資格やスキルが必要なわけではありません。
むしろ、特定の業界における実務経験があることが一番重要ともいえます。
また、コンサルタントとして開業する際に初期費用はほとんどかかりません、固定費も非常に少なくて済みます。
そのため、開業にあたってのリスクは低く、利益も出しやすいといえます。
一方、売上をあげるまでには時間がかかるため、数か月分の生活費は確保しておく必要があります。
また、開業に必須の資格はありませんが、中小企業診断士など有利になる資格はあるため、開業後も研鑽をつむ必要はあります。
おすすめの自営業の職種(2) 不動産業
次におすすめしたいのは不動産業です。
ランキングでは不動産営業が第6位のほか、用地仕入が第10位(867万円)、不動産事業企画が第11位(822万円)となっています。
不動産業を開業するためには、宅地建物取引士の資格は必須です。
宅地建物取引士の合格率は15~17%であり、最難関と呼ばれるような資格ではありませんが、事前の準備は必要です。
不動産業界に関わっている人にとっては必須ともいえる資格であり、時間をかけてでも取得する価値はあります。
不動産業を始める場合、そのメインは仲介業になるため、多額の開業資金は必要ありません。
ただ、ほとんどの場合、個人客相手に商売を行うこととなるため、事務所を借りたりする必要はあります。
また、広告宣伝やホームページの作成は欠かせないため、その費用も考えておかなければなりません。
おすすめの自営業の職種(3) エステ・リラクゼーション関連
最後にご紹介するのは、エステ・リラクゼーション関連です。
先ほどのランキングでは、その他エステ・理美容・リラクゼーション関連職が682万円となっています。
エステやリラクゼーション関連のお店を始める際には、特に必要な資格はありません。
そのため、未経験者でも比較的始めやすい職種といえます。
特に自分で開業してお客さん相手の商売を始めたいという人には、始めやすく儲かる可能性も秘めた職種といえるのです。
いきなり1,000万円超を稼ぐのは難しいかもしれませんが、固定客をつかんだり、複数店舗のオーナーになるなど、事業展開のしかたによっては高所得を望める可能性のある職種です。
エステやマッサージなどのお店を始める場合、初期投資が必要となるため、その点は注意が必要です。
初期費用を抑えた形で開業するためには、レンタルサロンで開業するなどの方法もあります。
まとめ
自営業というと、サラリーマンより大きく儲けることができると思うかもしれませんが、実際にはその職種によって様々です。
平均的に所得が高い職種を狙って開業する人もいるでしょうし、今の自分の職種の延長上で考えている人もいると思います。
いずれの場合も、開業する際に大事なのは開業してどうなりたいかというイメージを持つことです。
特に、開業したばかりの時は思いどおりに収入が得られないかもしれませんが、思い描いたイメージに向かっていくことで道が開けるでしょう。
また、資金面など事前に準備をしておくことは欠かせません。
私生活の不安を抱える状態にならないよう、万全な準備をして開業するようにしましょう。