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最終更新日:2023/12/20

法人成りのメリットとデメリットは?手続きのタイミングや流れ、必要書類を徹底解説

この記事でわかること

  • 法人成りとは何か
  • 法人成りのメリットとデメリット
  • 法人成りを判断する基準
  • 法人成りをする際の手続き

個人事業主として事業を営んでいると、「法人成り」という言葉を聞くことがあるでしょう。

そこで、本稿では、「法人成り」とは具体的にどういうことなのか、それはメリットがあるのか、法人成りをするにはどうしたらいいのかについて、基本的な事を確認しておきたいと思います。

法人成りとは

「法人成り」とは、個人として事業営んでいる個人事業主が、自ら会社を設立して、個人事業主として営んでいた事業をそのまま、自ら設立した会社に承継させることをいいます。

この場合、設立させる会社について制限はありません。

通常は株式会社を設立することが多いと思われますが、最近では合同会社を設立する例も多く見られます。

法人成りのメリット8つ

法人成りをすることのメリットとしては以下のものが考えられます。

社会的な信用が上がる

社会一般の目としては、どうしても、個人事業主よりも会社組織の方を信用する傾向があります。

その意味で、法人成りすることで、新たな取引先の開拓や、取引金額の拡大などの効果が期待できると考えられます。

給与所得控除が認められる

個人事業主の場合、その売上げから経費を除いた全てが基本的に個人の所得となり、控除としては青色申告特別控除の65万円しか認められません。

これに対して、法人成りした場合には、会社から役員に報酬を支払う形がとられるため、代表者はその受領する報酬に対して給与所得控除を受けることができます。

具体的には、その報酬額に応じて以下の金額の控除が認められています。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から8,500,000円まで収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)

(令和2年以降)

引用元:国税庁ホームページ「No.1410 給与所得控除」

その結果、役員が納める所得税は、実際の報酬額(収入金額)からこの控除額を除いた金額に対してかかることになります。

そのため個人事業主として認められる控除額65万円よりも大きい金額の控除が認められる可能性があることになり、大きな節税効果が期待できるのです。

消費税の納付の猶予を受けられる

消費税は2年前の売上げが基準として課税されます。

ところで、法人成りにより新たに会社を設立した場合には、その会社は2年前は存在していなかったわけですから「2年前の売上」というものはそもそも存在しません。

その結果、会社設立の年とその翌年の2年間は、消費税を納める必要がないということになります。

これを最大限に利用する方法としては、個人事業主として2年間事業を行い、その後法人成りをすると、個人事業主として営業した2年間と、法人成りした後の2年間の合計4年間について消費税を免れることが可能となるわけです。

ただし、この免除を受けるためには、以下の要件を満たす必要がありますので、注意してください。

  • ・会社設立時の資本金が1,000万円未満であること
  • ・第1期上半期の課税売上高が1,000万円以下で、かつ、人件費が1,000万円以下であること
  • ・個人事業主時代の売上高が5億円を超えていないこと

役員報酬が経費として認められる

個人事業主の場合には、その売上自体が事業主の所得として、課税の対象となっていました。

しかし会社の場合、会社の資産と、役員個人の資産とは別になります。

その結果、役員は会社から支払われた報酬に対して所得税を納めることになります。

この場合に給与所得控除が認められる事はすでに述べたとおりです。

そして、これとは別に、会社はその売上から経費等を除いた利益に対して法人税が課されることになります。

ただし、この場合でも、会社が役員に支払った報酬については、会社の経費として認められ、差し引くことが可能となります。

これによっても、大きな節税効果が期待できることになります。

有限責任というメリットを受けられる

個人事業主の場合、経営者は取引先に対して無制限に責任を負うことになります(無限責任)。

これに対して、会社の場合には、経営者が無限責任を負う会社もあります(合名会社、合資会社の場合)が、株式会社、合同会社の形態をとった場合には、経営者は自分の出資額を超えて会社の取引先に対して直接の責任を負うことはありません。

これを「有限責任」といい、これによって経営者は必要以上のリスクを負うことを回避することができます。

事業承継が可能となる

個人事業主の場合、その事業は基本的に本人一代限りです。

本人が亡くなったり、リタイヤしたりする場合には、事実上は子息などが事業を承継する形をとったとしても、法律的には一旦事業は終了して、新たな個人事業主が事業を開始したという形になります。

これに対して、会社を設立している場合には、会社自体は経営者個人とは別の法律上の主体として認められるため、経営者個人とは別に存続し続けることができます。

その結果、単純に会社の代表者の変更という処理をすることにより、事業の継続性を維持することが可能になるのです。

資金調達が可能となる

個人事業主として事業を行っている場合、事業資金を調達するには、基本的には個人事業主自身が資金を提供するか、または、金融機関などから融資を受けるしか方法がありません。

しかし、会社組織とした場合には、その他に、外部から出資を募る形で資金を調達することが可能となります。

しかも、この方法で調達した資金については、融資等を受けた場合とは異なり返済する必要がありません。

もちろん、利益が出た場合には配当といった形で出資者に還元することにはなりますが、この資金調達におけるメリットは、会社設立をする上で、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

赤字を10年間繰り延べできる

個人事業主の青色申告者の場合、赤字を3年間繰り越すことができます。

一方、法人成りして会社組織にした場合、赤字を繰り越せる期間は10年間となるため、大きな節税効果が期待できます。

法人成りのデメリット5つ

続いて、法人成りした場合のデメリットについてご紹介いたします。

設立手続きの手間

会社を設立するには、個人事業主として開業する場合とは異なり、単に事業を開始すればいいというわけではなく、定款の作成、資本金の払い込み、設立登記等の作業が必要となるため、相応の手間がかかります。

これらを司法書士や行政書士などに依頼することも可能ですが、その場合には次に述べる費用がかさむことになってしまいます。

費用

個人事業主としての事業開始の場合には、基本的に開業自体について特別の費用は必要ありません(開業届の提出についても費用はかからない)。

しかし、会社を設立する場合には、株式会社の場合、定款の認証で5万円、定款を紙で作成する場合には印紙代4万円、登記をするための登録免許税15万円、その他にも会社の印章を作成したり、必要な書類を取り寄せたりする費用などがかかることになります。

そして、定款の作成や設立登記の手続きなどを司法書士や行政書誌などの専門家に依頼した場合には、これらとは別にその専門家への報酬の支払いも生じることになるのです。

事務手続き

個人事業主の場合には、青色申告をした場合でも、会計処理は比較的簡易なもので済みました。

しかし、法人成りして会社組織とした場合には、会社法という法律に従って各種の書類を作成する必要が生じてくるため、その事務作業も馬鹿になりません。

何より、会社法という複雑な法律をそれなりに理解して、定期的に株主総会を開催したり、その議事録を作成したり、といった手間が生じてくるのです。

これらについても、専門家のサポートを受けることはできますが、その場合、やはり費用の問題が避けられないことになります。

社会保険への加入義務

個人事業主の場合一部の業種を除いては、従業員が5人未満であれば従業員の社会保険は任意加入です。

しかし、法人成りして、事業を会社組織とした場合には、社会保険が強制加入となります。

その結果、社会保険料の一部を会社が負担することとなり、その分、人件費が増えるという結果になります。

赤字であっても税金がかかる

個人事業主の場合には、収益にかかる税金は個人事業主の所得税です。

したがって、事業が赤字の場合は所得がないことになり、税金はかからないことになります。

これに対して、会社組織とした場合には法人税がかかることとなり、事業が赤字であっても法人住民税の均等割として年間7万円(東京都の場合。地域によって異なる場合があります)の支払い義務を負うことになります。

法人成りの流れと必要書類

法人成りするためには、会社自体の設立、事業の引継、名義変更といったいくつかの段階があります。

法人の設立

法人成りするためには、まず、その受け皿となる法人を設立する必要があります。

法人設立の手続きの詳細については、本稿では割愛しますが、大きく分けると以下の手順を踏みます。

  • ①定款の作成、および、公証人による認証
  • ②出資の払い込み
  • ③設立登記

定款については、紙で作る場合にはその謄本等が必要となります。

また、その他に必要な物・書類としては、

  • ・役員になる者の印鑑証明書
  • ・会社の実印
  • ・発起人の決定書
  • ・役員になる者の就任承諾書
  • ・出資金の払い込みを行ったことを証明する書類(発起設立の場合には通帳のコピーで足ります)
  • ・会社の実印の印鑑届出書
  • ・印鑑カード交付申請書
  • ・会社設立登記申請書

です。

事業の引き継ぎ

個人事業主と会社とは法律的には全く別の存在です。

したがって、法人成りした場合には、個人事業主が有していた権利義務や資産を会社に引き継ぐ必要があります。

①個人事業主から会社に事業や資産を引き継ぐ方法としては、普通に個人から会社に売買または贈与等する方法、現物出資する方法、賃貸等する方法などが考えられます。

売買の場合には、会社が成立後にきちんと対象物を特定して売買を行う必要があります。

後日のトラブルを避けるためにも、売買契約書を作成しておくことをおすすめです。

②現物出資とは、通常は、出資は現金を持って行いますが、それを資産等を出資する方法で行う方法です。

ただ、この場合にはその資産の評価が適切かという問題が生じ、それを回避するために複雑な手続きが定められていますので、あまりおすすめはしません。

③賃貸については、個人事業主の自宅を会社の事務所として継続使用する場合などには、会社が個人からその物件を賃借しているという形になります。

この場合も、トラブルを防ぐために、面倒でも賃貸借契約書などを締結しておくことをおすすめします。

名義変更

法人成りをした場合、設立された会社と、従来の個人事業主とは別の存在です。

したがって、過去に個人事業主が締結した契約などは当然には会社に引き継がれません。

そこで、この場合には、取引先にきちんと連絡をして、契約当事者の変更手続きを行う必要があります。

また、預金口座なども、改めて会社名義の口座を開設しなければなりません。

これらは、一括して処理することはできませんので、面倒でも、各取引先と個別に手続きを行うことになります。

法人成りのタイミングはいつ?

法人化するタイミングについては、明確な基準はありません。

単純に税金だけの比較で考えた場合でも、個人事業主の場合には単純に売上から費用を控除した額に基づいて所得税を計算すれば済みます。

対して、会社の場合には、会社自体にかかる法人税と、役員報酬にかかる所得税との合計金額を見なければなりません。

そのため、役員報酬をいくらとするかによっても、会社および役員として納める税金の額は変わってくるため、難しい問題があります。

さらに、節税以外にも、対外的信用度の向上といった側面や、有限責任の享受等といった直ちに金銭では評価できないメリットをどのように考えるかによっても、法人成りを行うタイミングについての判断は異なってきます。

ただ、単純に役員報酬等を考えずに、個人事業主としての経費を控除した後の利益額と、役員報酬を費用として考慮しないで考えた場合の法人の利益とで比較した場合、利益が800万円を超えた時点で法人税の方が、個人事業主として計算した場合の所得税よりも低くなります。

そのため、純粋に所得税と法人税の比較のみから見た場合には、利益800万円というのが、法人成りの一つの判断基準になるかもしれません。

まとめ

以上、法人成りのメリット、デメリットを確認したうえで、実際に法人成りをする場合の手続きや必要書類の概要を見てきました。

法人成りについては、節税効果が最も注目を浴びるポイントではありますが、同時に社会的信用や、会社の永続性の確保、さらには、今後社員を増やしていくなど、事業を拡大していく上でも個人事業主としてよりも会社組織の方が断然に有利という側面もあります。

したがって、ある程度、個人事業主としての事業が軌道に乗った際には、検討に値することでしょう。

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