最終更新日:2020/6/24
税務署に行けない時は開業届は郵送でも提出可能!郵送物一覧から宛名の書き方や注意点を解説
この記事でわかること
- 開業届の提出方法の種類
- 郵送による開業届の提出を行うことが妥当なのはどのような場合か
- 郵送で開業届を提出する場合の具体的な手続き
- 開業届と一緒に提出することが好ましい書類
個人が開業した場合に、開業届という書類を提出しなければならないことは、多くの方がなんとなく認識していると思います。
ただ、実際にそれをいつ、どこに出せばいいのか、そして、その出し方はどうすればいいのかについては意外と分からないものです。
そこで本稿では開業届の提出方法について、どのような提出方法があるか、そして、その中でも便利な方法として郵送で提出する方法について、具体的なやり方を見てみたいと思います。
目次
開業届の提出方法は3つ!
開業届を税務署に提出する方法としては、次の3つのやり方があります。
- ・税務署に直接持参して提出する方法
- ・税務署に郵送して提出する方法
- ・税務署の時間外収受箱(夜間ポスト)に投函して提出する方法
以下、簡単に説明します。
税務署に直接持参して提出する方法
最も一般的な方法であり、開業届を提出する場合に皆さんが思いつく方法だと思います。
直接税務署に開業届を持参する場合には、開業届2部(提出する正本と控え)と、マイナンバーカードまたはマイナンバー通知書と身分証明書を持参します。
この際、万一、修正が必要となった場合に備えて、印章も持参すると安心です。
直接税務署に持参する場合には、開業届を提出して受理されたら、必ずその控えの書面に受領印を押してもらいましょう。
この控えは、今後、開業した事実を証明する際に必要となりますので、必ずもらって、保管しておく必要があります。
税務署に直接持参する方法は、自身が直接窓口に開業届を提出して、受理してもらうだけなので、難しいことはなにもありませんし、一番確実な方法であるといえるでしょう。
ただ、税務署は各市区町村に1箇所、地域によっては複数の市区町村に1箇所しかないところもあります。
また、税務署が開いているのは平日の日中だけなので、現実に事業を行っている人にとってはなかなか実際に平日の日中に税務署に行くことは難しいという面があります。
税務署に郵送して提出する方法
開業届は、本人が税務署に持参して提出しなくても問題ありません。
要は間違いなく税務署に提出して、開業した旨を伝えて、必要な情報を提供できれば問題はないわけなので、郵送で開業届を税務署に送付する方法で提出することも認められています。
ただ、郵送で提出する場合には、万一、開業届に不備等があった場合、その場で訂正等ができないため、差し戻しされて、改めて提出しなければならないという場合が考えられるというリスクを認識しておく必要があります。
開業届を郵送で提出する場合は開業届2部(提出用の正本と控え)のほか、マイナンバーカードの写し、または、マイナンバー通知書の写しと身分証明書の写し、さらに、控えの返送を受けるためには郵便切手を貼り付けて自らを宛先として記載した返信用封筒を同封する必要があります。
時間外収受箱に投函して提出する方法
税務署の正門のところには、時間外収受箱(いわゆる夜間ポスト)が設置されています。
そのため、この時間外収受箱に投函する方法でも開業届を提出することができます。
この時間外収受箱は、税務署の窓口業務は基本的に17時で終了しますが、当該日はそれ以降も23時59分59秒までは当日ですので、その日が期限の書類等を提出することが可能なはずです。
このような要請に応えるために、窓口が閉まった後でも書類の提出ができるようにする制度として、時間外収受箱に投函する方法での書類提出が認められているのです。
税務署の時間外収受箱に投函する方法で開業届を提出する場合には、実際に提出先の税務署まで行って、正門脇に設置されている時間外収受箱に開業届および必要書類を投函する方法で行います。
この場合の必要書類は、郵送で提出する場合と同様で、開業届2部、マイナンバーカードの写しかマイナンバー通知書の写しと身分証明書の写し、それに返信用封筒になります。
開業届を郵送した方がいいパターンは2つ
開業届を郵送で提出することについて大きなメリットがある場合としては、次の2つの場合があげられます。
提出期限がギリギリの場合
通常の場合は、開業届の受領日は税務署が開業届を受領した日となります。
しかし、郵送で開業届を提出した場合には、例外的に発送日が受領日となります。
したがって、提出期限がギリギリの場合には、あえて、郵送の方法で開業届を提出するという選択をするのもアリということです。
ただ、通常時であれば、開業届の提出期限である開業から1カ月を経過した後で開業届を提出しても罰則等は定められていないため、大きな問題が生じることはありません。
しかし、たとえば、3月15日の確定申告の期限ギリギリの場合、開業届を提出していなければ青色申告はできません。
そのため、それまでに開業届を提出する必要がある場合などは、郵送によって受領日を発送日にしてもらうことについて大きなメリットが生じる場合があるといえるでしょう。
税務署が遠い場所にある場合
税務署が開いているのは、祝日以外の月曜日から金曜日の8時30分から17時までです。
また、開業届を提出する税務署はどの税務署でもいいわけではなく、事業を開業する個人事業主が住んでいる自宅の住所地を管轄する税務署です。
そのため、自宅以外の場所に事業所を開設している場合には、自宅を管轄する税務署まで行くことが難しい場合があります。
また、税務署は必ずしも一つの市区町村に1箇所あるわけではなく、複数の市区町村に税務署が1箇所しかない地域も多数あるため、平日に簡単には直接行くことが困難な場合も多々あります。
その様な場合は、開業届を郵送で提出する形をとらざるを得ないという場合もあるのです。
提出先は自宅の住所地を管轄する税務署!郵送先を調べよう
開業届を提出する先は、開業する個人事業主の自宅の住所地を管轄する税務署です。
自宅以外の場所に事務所や事業所を開設する場合でも、その事務所等の所在地を管轄する税務署ではなく、自宅の住所地を管轄する税務署ですので、間違えないように注意する必要があります。
これは、開業届は、当該個人事業主の所得税についての書類であるため、個人事業主の方の所得税の納税地である自宅が基準になるためです。
したがって、開業届を郵送する場合も、自宅住所地を管轄する税務署宛に送ることになります。
具合的にどこの税務署に提出すればいいかは、以下の国税庁ホームページ等で検索して調べてみてください。
もれなく確認しよう!郵送で提出する時の郵送物一覧
郵送で開業届を提出する場合に送付するものを確認しておきましょう。
開業届2部
開業届の提出ですので、必要事項を全て記載した開業届が必要となります。
郵送で提出する場合には、窓口に直接持って行く場合と異なり、その場での修正ができません。
したがって、内容について間違いがないか、きちんとチェックしておく必要があります。
開業届は、その後の口座開設等、様々な場面で必要となりますので、必ず控えに受付印を押してもらったものを返送してもらう必要があります。
そこで、郵送で開業届を提出する際には、同じものを控え用として作成し、これも同封します。
つまり、開業届として提出用の正本と、控え用のものと2部を送ることになります。
マイナンバーカードの写し、または、マイナンバー通知書の写しと身分証明書の写し
開業届にはマイナンバーを記載する欄があります。
これは、開業通知が当該個人事業主の所得税の納税に関するもので、必要とされる情報だからです。
そして、開業届に記載されたマイナンバーが真実であることを確認するために、マイナンバーカードの写し、または、マイナンバーカードがない場合にはマイナンバーの通知書の写しと身分証明書の写しのセットの提出が必要となります。
返信用封筒
実務上、個人事業者が屋号等で預金口座を開設したり、事業資金を金融機関から借り入れたりする場合には、開業届を提出していることが条件となる場合が多いのが現状です。
そこで、開業届を提出済みであることを証明するためには、開業届の控えに受付印を押印してもらったものを証明資料として提出する必要が生じます。
ですから、必ず受付印を押印した開業届の控えをもらっておかなければならないのです。
税務署の窓口で開業届を提出した場合は、その場で控えを返してくれますが郵送で開業届を提出した場合にはその場で控えをもらうことはできません。
そこで、税務署から開業届の控えを送ってもらうために、返信用封筒を同封して提出するのです。
郵送時に意外に迷ってしまう封筒の宛名の書き方
郵送で開業届を提出するとした場合、具体的にその封筒はどのように記載すればいいのか悩むという声を聞きます。
そこでここでは封筒の宛名の書き方などを見てみましょう。
封筒のサイズ
封筒については、開業届を送る封筒、控えの返信用の封筒とも、どのサイズの封筒を使わなければならないといった定めはありません。
A4の用紙が折らずに入る角2封筒でもいいですし、角3封筒に折り曲げて入れる形でもかまいません。
宛名
自宅の住所地を管轄する税務署の住所を記載します。
管轄税務署の名称および住所は以下のサイトで確認した上で、間違いなく記載してください。
参考:国税庁ホームページ「税務署の所在地などを知りたい方」
封筒の宛先は、「●●税務署 御中」という表記とします。
ただ、これだけでは、税務署の中のどの部署に届けたらいいか、郵便物を仕分けする担当者も判断がつきません。
そこで、宛名の脇に、なにが入っているかの情報を記入する必要があります。
具体的には「個人事業の開業・廃業等届出書 在中」といった表記をするべきです。
差出人の表示
封筒の裏面には、自身の郵便番号、住所、氏名を記載します。
万一、税務署の住所等に間違いがあって配達できない場合に、差出人に戻される際に、差出人の住所は必要な情報ですので、必ず記載します。
返信用封筒の記載
返信用封筒の表面には、自身の住所と、自身の氏名を記入して、その封書が自分宛に配達されるようにします。
また、返信用封筒には、返信のための郵便切手を貼付します。
この際、小さなことですが、返信用封筒の宛名の自分の氏名の表示の後ろに「様」はつけないようにしましょう。
自分に対して「様」をつけるのは社会常識として妥当ではありません。
「●●●● 行」といった表記とすることが妥当といえるでしょう。
開業届と一緒に提出しておきたい手続書類と注意事項
個人事業主が開業する際に、開業届以外にも税務署に提出する書類がある場合があります。
所得税の青色申告承認申請書
開業届を提出する目的の一つに、青色申告をするためというのがあります。
そして、青色申告を行うためには「所得税の青色申告承認申請書」を住所地を管轄する税務署に提出する必要があります。
この所得税の青色申告承認申請書の提出期限は、事業開始から2カ月以内とされており、開業届の提出期限(開業から1カ月)とずれがあります。
しかし、提出先は同じく自宅住所を管轄する税務署ですし、後日提出しようとして忘れてしまうという危険を考えた場合、開業届を提出する際に一緒に提出してしまうことがおすすめです。
青色専従者給与に関する届出書
同居家族を青色専従者として給与を支払う場合に、この届出書を経費にするためには「青色専従者給与に関する届出書」の提出を要する必要があります。
これも開業の日、または、家族を青色専従者とした日から2カ月以内に自宅所在地の税務署に提出する必要があります。
一方、同居家族を青色専従者にしない場合には、この届出書は必要ありません。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
この書類は、給与等の支払事務を行う事務所等を開設した場合に、その開設の日から1カ月以内にその事務所所在地を管轄する税務署に「給与し払い事務所等の解説・移転・廃止届出書」を提出します。
給与支払いについての書面ですので、従業員が自分のみで、他に人を雇用しないため、従業員に対する給与の支払いも生じない場合には、この書面は必要ありません。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
給与を支払うべき従業員が常時10人未満の場合には、本来は毎月納めなければならない源泉所得税の納税を6月と翌年1月の2回に、それぞれ6カ月分をまとめて行うことができます。
その取り扱いをするためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して、承認を得る必要があります。
したがって、そもそも、給与を支払うべき従業員がいない場合などには、この申請書の提出の必要はないことになります。
まとめ
以上、開業届の提出方法について見た上で、郵送で開業届を提出する場合の実際の手続きややり方について見てきました。
現実に、開業届の提出については、郵送による場合が相応にあると思われます。
ただ、郵送による場合にはその場での訂正ができない等のリスクもあるため、郵送による場合の注意点について、しっかり認識した上で、実施する様にしてください。