最終更新日:2023/6/29
【税務調査を受ける可能性あり】白色申告と税務署の関係について
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
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この記事でわかること
- 税務調査について理解できる
- 税務署へ提出する白色申告の概要がわかる
- 実際の税務調査の流れがわかる
税務調査というと、何だか怖いイメージがありますが、実際はどのようなものなのでしょうか。
個人事業主やフリーランスの方は、自分で確定申告しているケースが多いですが、申告漏れなどがあった場合など、自分が税務調査の対象になるのかどうかは、気になるところです。
確定申告とは、1年間の収入や経費を計算し、書類を作成し納税するという一連の作業を指します。
この確定申告は税務署へ対して行うものですが、申告方法には青色申告と白色申告があります。
一般的には、白色申告の方が簡単だけれど、青色申告の方が節税効果は高いと言われています。
本記事では、白色申告を選んだ際の税務署への書類提出方法から、税務調査を受ける可能性と、実際の税務調査の流れについて説明していきます。
目次
白色申告も税務署へ確定申告が必要
白色申告というのは、個人事業主やフリーランスが確定申告する際の申告方法の一つです。
ですから、当然白色申告の場合も、青色申告の場合と同様に、税務署へ確定申告する必要があります。
個人事業主やフリーランスとなって、確定申告が必要になった場合、青色申告か白色申告かを自分で選ぶことになります。
青色申告は、複式簿記による記帳で損益計算書、貸借対照表を作成しなければなりませんが、その分青色申告特別控除で最大65万円の控除を受けられるなどメリットの多い申告方法です。
ちなみに昔は、個人の所得税の確定申告を税制優遇が受けられる青色申告で行う場合、用紙の色も青色でした。
現在は、書類の色は青色ではありませんが、そのときの名残で青色申告と呼ばれています。
一方、白色申告というのは、青色申告ではない申告方法ということになりますので、青色申告を選ばなかった場合、自動的に白色申告による確定申告を税務署に対して行うということになります。
税務署へ提出する白色申告の書き方について
白色申告は、説明の通り青色申告を選択しければ、自動的に選択したことになります。
青色申告を選択する場合は、税務署へ開業届と青色申告承認申請書の提出を行わなければなりません。
白色申告の提出書類
白色申告で確定申告する際に提出する書類は、確定申告書と収支内訳書の2種類です。
確定申告書の書類は、個人事業主やフリーランスの場合、確定申告書Bとなります。
青色申告の場合は、確定申告書Bは同じですが、収支内訳書ではなく青色申告決算書(損益計算書・貸借対照表)の提出が必要となります。
提出期限と提出方法
確定申告の提出期限は、白色申告、青色申告問わず、同じです。
原則として申告する年度(1月1日~12月31日)の翌年の2月15日から3月15日までとなります。
こちらの期限は、土日祝日の関係や、その他(新型コロナの影響など)の都合で変更になる場合がありますので、提出の際はご確認ください。
そして、提出先は管轄の税務署となりますが、提出方法には以下の3つがあります。
- ・税務署へ持参して提出する
- ・必要書類を揃えて郵送で提出する
- ・e-Taxで電子申告する
e-Taxでの電子申告は、電子証明書や認証のための機器類が必要となりますが、自宅にいながら作成、提出が完了しますので便利です。
白色申告と青色申告の提出関連の違い
白色申告と青色申告の提出に関しては、共通する部分も多いですが、違いを下記の表にまとめてみましたので、ご参照ください。
白色申告 | 青色申告 | |
---|---|---|
事前の届出 | なし |
|
提出する書類 |
|
|
提出先 | 所轄の税務署 | |
提出期限 | 原則として申告年度の翌年2月15日から3月15日 | |
提出方法 | 税務署へ持参・郵送・e-Tax電子申告のいずれか |
白色申告も税務調査の対象となる
白色申告で確定申告を行っている事業者の場合、青色申告事業者と比較して規模が小さいことが多く、税制優遇も少ないことから、税務署の税務調査とは無縁と考える方も多いでしょう。
ですが、実は白色申告の事業者であっても、税務署が不審に思うことがあったり、関係者からの情報などがあったりした場合は、税務調査が行われることがあります。
特に事業所得とは別にFX(外国為替証拠金取引)やアフィリエイトなどによる収入がある場合は、注意が必要です。
税務調査とは
税務調査というのは、国税通則法に定められたもので、税務職員の質問検査に従って、納税に関する書類やその他の物件を提示または提出する手続です。
この税務調査には、強制踏査と任意調査の2種類があり、一般的に税務調査と呼ばれるものは、任意調査にあたります。
任意調査は、申告している内容の確認、申告漏れの有無の確認などを行うものです。
税務調査では、帳簿種類の記載が正しいか、請求書や領収書といった証拠書類が管理されていて提示または提出することができるかといった内容の質疑応答が行われます。
軽微なミスの場合、課税所得額が多くない場合は、書面による指摘で終わることもあります。
ただし、税務調査は納税者全員に対して行われるわけではありません。
税務署の判断によりますので、一概に「このような納税者は税務申告を受ける」という基準があるわけではありません。
原則として、税務調査は1年を通じて行われていますので、いつ税務調査が来てもおかしくないということは理解しておいてください。
ただ、税務調査が入る場合でも、正確に帳簿付けを行い帳簿書類を保管していれば、何も心配する必要はありません。
帳簿書類の保管期間は、法定帳簿が7年、領収証や請求書などは5年です。
白色申告の場合、平成25年までは事業所得・不動産所得・山林所得の合計が300万円超の事業者のみに記帳、帳簿保存の義務が課されていましたが、平成26年以降は所得金額に関係なく、すべての事業者に義務付けされていますので、ご注意ください。
税務調査が決まった際の流れ
ここでは、実際に税務調査が決まった場合の流れについて説明していきます。
税務調査の事前通知
税務調査が行われる際には、原則として1週間以上前に事前通知が行われます。
顧問税理士がいる場合は、こちらにも事前通知されます。
事前通知される内容は、調査開始日時、場所、対象となる税目、調査予定期間などです。
ただ、事前通知は絶対ではありません。
事前通知すると正確に調査することができないと税務署が判断すれば、事前通知されずに調査が始まることもありますので、注意が必要です。
税務調査当日までの準備
帳簿書類や領収書、請求書、また預金通帳など、提示や提出を求められたときに、すぐに対応できるように整理しておきましょう。
また、取引先などとのやり取りがわかるメールや、FAXなどを一連の流れに沿って確認できるようにしておくことも良いでしょう。
税務調査では、納税者の書類等だけではなく、取引先などに質問や書類提示を求めている場合もありますので、虚偽の申告をしても、徹底的に調べ上げられます。
税務調査期間
税務調査が行われる期間は、事業の規模や調査内容によって異なります。
簡易的な調査の場合、文書での通告のみで終了するという場合もありますし、原則として納税者の負担にならないように配慮して行われます。
帳簿書類の整理がされていて、質問された事柄にも正確に返答できるなど、事前準備が整っていれば、税務調査も早く終了します。
申告ミスがあった場合
税務調査によって申告ミスが発覚した場合、修正申告が必要になります。
修正申告にあたっては、修正内容と延滞税、加算税についての説明を受けられますので、内容を確認しましょう。
問題がなかった場合
税務調査の結果、特に問題がない場合は「調査結果についてのお知らせ」という書面通知が届きます。
こちらの書面で、税務調査は完全に終了ということになります。
問題が発覚した場合
税務調査によって追加課税が必要となった場合、追加で納付する税金に加えて、過少申告加算税、無申告税という加算税がかかることがあります。
また、悪質な隠ぺいがあると認められるときは、重加算税として35%から40%ほどの税金が加算されるなど、さまざまなペナルティが課されます。
修正勧告に納得がいかない場合
税務調査によって修正勧告がなされた場合、内容に納得がいかず放置すると、更生通知書や決定通知書が届きます。
これらの通知内容に対して、原則として行政庁である税務署、税務署長に対して、審査請求や不服申し立て(再調査の請求)を行うことができます。
ただし、修正勧告があった時点で修正申告をしてしまった場合は、審査請求や不服申し立てを行うことはできなくなりますので、ご注意ください。
まとめ
白色申告の場合でも、当然に所轄の税務署に対して確定申告を行う必要があります。
また、白色申告だからといって、税務調査を受けないというわけではありませんので、正確な帳簿付けと、適切な書類保管を行い、正しい確定申告を行いましょう。