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最終更新日:2020/12/18

青色申告はいつから適用?確定申告の期限と併せて解説

この記事でわかること

  • 青色申告が適用される時期・青色申告の承認申請がいつ必要かわかる
  • 確定申告の期限や遅れた際のペナルティ、青色申告への影響がわかる
  • 確定申告の新型コロナウイルスを踏まえた延長措置など最新情報がわかる

会社設立時や、個人事業を開始する際に、「青色申告にした方がよい」という話はよく聞かれるかと思います。

ただ、この「青色申告」という言葉に関し、具体的にどのような制度で、メリットやデメリット、注意点については、意外と知らない人が多いのです。

当記事では、青色申告のメリットや申請時期、条件などを解説します。

また、青色申告の申請時期が、確定申告の期限とも大きな関係がありますので、その点も含めて説明します。

青色申告と確定申告とは

まず青色申告を考える上では、

  • ・「確定申告」の存在
  • ・確定申告の申告方式には「青色申告」と白色申告の2種類が存在

上記の2点を理解する事が重要です。

確定申告とは?

確定申告とは、全ての法人に義務付けられている、税務申告手続きです。

1年間(第1期は創業月から決算月まで)の売上から経費等を差し引いた利益を出し、税務署に納める税額報告を行います。

個人の場合、事業の確定申告、事業者の売上によっては消費税の確定申告を行うだけで比較的シンプルですが、法人の場合は、

  • ・法人税の確定申告
  • ・消費税の確定申告
  • ・法人都道府県民税および法人事業税の確定申告
  • ・法人市町村民税の確定申告

の4種類が必要となります。(当然ですが、代表者個人の確定申告も必要になります)

非常に複雑な手続きのため、実務は税理士に依頼するケースが一般的です。

確定申告の手続きにおいては、白色申告と青色申告が存在します。

白色申告は、入出金ベースなど簡易な方法での記帳が認められます。

ただ、法人の決算では決算書などを作成する義務があるため、作業のプロセスで複式簿記を作ることになります。

そのため、法人で白色申告というのはあまり考えられないと言えましょう。

青色申告とは?

青色申告とは、税理士への依頼、会計ソフトやクラウドサービスの活用で、複式簿記(毎日の取引を、発生ベースで仕分けを行う記帳方式)のルールに従い毎月帳簿をつけることで、法人税の計算上、様々な優遇措置を受けられる制度です。

青色申告には簡易簿記という制度もありますが、優遇措置の違いや、法人の場合決算書等正式な書類を作らないといけないため、複式簿記が一般的です。

青色申告の主なメリットは?

  • ・赤字を最大9年繰り越し、その後の黒字と相殺できる
  • ・赤字を前年の黒字と相殺することで、税金の還付を受けることができる
  • ・30万円未満の固定資産の取得原価を全額償却することができる(事業規模による、一般的に一括償却できる固定資産は10万円未満)、本来は2020年3月31日までの措置であったが、令和二年度の税制改正で、適用期限を2022年まで延長

という点があります。

特に、赤字の繰り越し、いわゆる欠損金の繰り越し控除ができるというのは非常に大きなメリットです。

創業初期は、どうしても事業が軌道に乗りにくく、一方で開業費用などはかかるため、赤字になってしまうケースも少なくありません。

これが最大9年度分(つまり10年間)繰り越せるということは、初年度で大きな赤字を出してしまったり、今回のコロナウイルスが業績に大きな影響をおよぼしたりすることがあっても、9年間は課税を繰り越し、法人の所得税に関しては、赤字が解消されるまで課税所得を0とすることができます。

そのため、長期にわたり、節税をすることが可能となります。

赤字を前年の黒字と相殺し、一度支払った税金を還付してもらえる「繰り戻し還付」も非常に大きな制度でしょう。

一旦支払った税金を、前期の黒字分を上限として返してもらえるということは、キャッシュフローに悩む経営者にとって大きなプラスとなります。

加えて、少額減価償却資産を損金に参入できる措置も非常にメリットがあります。

一般的には、10万円を超える償却資産は、何年かに分けて経費に算入する必要があります。

しかし、少額減額償却資産を活用することで、30万円以内の備品であればその年の経費にすることができ、節税にも繋がります。

本来は、当該制度は平成18年から始まり、令和2年3月31日には廃止される予定でした。

しかし、諸般の事情を鑑みて、2年間制度が延長されることになりました。

特にパソコン・事務機器・ソフトウェアなどの場合、本来一括償却できる10万円では、非常に処理能力の低いPCや、安価なソフトウェアの導入など、マイナス面が少なくありません。

しかし、一括償却資産が30万円まで広がると、ハイスペックPC、大画面ディスプレイ・iPad Proなどの高性能タブレットの導入・一眼レフカメラ・V-log用高性能ビデオカメラ・テレワーク用の機器・机・人間工学に優れた椅子など、相当設備に関する選択の幅が広がります。

この制度が2022年以後も続くかは不明確ですが、現時点においては、業務効率改善のためにも、ぜひ積極的に活用すべき制度と言えます。

青色申告に関しては、会社設立時に、法人設立届出書を提出する際、併せて青色申告書を提出する必要があります。

青色申告はいつから適用される?


青色申告が適用されるのは、青色申告の承認申請書を、事務所所在地の所轄税務署に提出した時点です。

書類自体は複雑ではないので、実務面では、法人設立届出書と同時に出すのが一般的です。

法人設立時に届出する書類は複数ある

法人設立時には、法人設立届出書だけでなく、

  • ・給与支払事務所等の開設届書
  • ・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  • ・消費税課税事業者選択届出書
  • ・消費税簡易課税選択届出書

を税務署に提出する必要があります。

さらに、都道府県税事務所にも法人設立届出書、市町村(都内23区は除く)役場への法人設立届出書など、提出書類の種類が多いため、意外と忘れてしまいがちになります。

うっかりで書類提出を失念し、せっかくの優遇措置が受けられなくなるのは大きなデメリットですので、提出時に注意する、税理士に依頼するなどすることが重要です。

期限内に青色申告の承認申請書を提出すれば、提出した年度から青色申告が適用されます。

この「期限内に」というのが重要なのは、後ほど説明致します。

青色申告承認申請書の提出期限

届出期限は、法人設立から3ヶ月以内となっていますが、最初の事業年度が3ヶ月以内の場合は、最初の事業年度終了日までに税務署に青色申告の承認申請書を提出する必要があります。

もし提出期限に一日でも遅れると、最初の事業年度に関しては原則、青色申告の適用を受けられませんので、会社設立届と併せて提出するのが望ましいです。

ただ、2020年7月の時点では、青色申告の承認申請書に関しては新型コロナウイルスによる申告期限延長の対象に入っており、「災害その他やむを得ない事由のやんだ日から2ヶ月以内」であれば、申請期限を延長するようになっております。

2020年7月の時点でも、新型コロナウイルスの影響がやむ気配がないので、当面延長となる可能性はありますが、それでも、極力税理士に依頼するなどし、必要書類を提出しておいた方が望ましいでしょう。

後でいいかと考えて先延ばしにして、延長期間が終了してしまってからミスに気づいた……では、目も当てられません。

ですので、先延ばしせず、極力早めに、自社か、税理士を通して関連書類を提出しましょう。

なお、届出の際、書類の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」であることを書き記しておくことが必要です。

詳しくは、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」(国税庁)を確認ください。

参考:「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」(国税庁)

確定申告の期限

法人の確定申告の期限に関しては、決算日から2ヶ月後となっています。

また、確定申告と共に、税金の納付を行う必要があります。

また、個人と異なり、法人税に関しては「中間申告」という制度が存在します。

事業開始年度の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に、会社の経営に関する現状の中間報告を行う義務が生じるわけです。

中間申告の方式は?

中間申告の方式としては、

  • ・予定申告
  • ・仮決算

の2種類があり、法人がその都度、任意で選択できます。

予定申告の場合は、前年度これだけ納めたので、おそらく今期もこの額に近いものになるでしょう、という形で、前事業年度の確定法人税額を元に、おおむね前年度実績×2分の1を納付する形となります。

もちろん、前年度の決算がない新規創業の場合は、過去の決算データがありませんので、仮決算を選択することとなります。

確定申告の期限に間に合わない場合は?

確定申告の期限に間に合わない場合、一般的には下記の条件で、法人税の申告期限が延長できます。(必ず「こういう事情があって遅くなります」という報告は必要です。)

  • 1 会計監査が必要だが、監査法人・自社の都合で2ヶ月以内に決算が確定しない
  • 2 会計監査人の監査を必要とするわけではないが、定款において事業年度の終了の日から3ヶ月以内に株主総会を開催する旨を定めている
  • 3 災害その他やむを得ない事由により決算が確定せず、申告期限内に申告書を提出できない(今般の新型コロナウイルスも、やむを得ない事情に含まれます)

また、申告期限を延長した場合、延長期間に関しては利子税という延滞金に近い性質の税金がかかります。(年7.3%、日割計算)

2020年は、新型コロナウイルスを踏まえ柔軟な対応

2020年に関しては新型コロナウイルスの影響もあり、納税猶予や納付期限の延長に関して、かなり柔軟な対応となっています。

具体的には、

  • ・全事業者に対し、申告・納税期限の延長
  • ・申告所得税および復興特別所得税、法人税、消費税、贈与税、消費税の申告につき、申告期限以降も柔軟に受け付け
  • ・法人税・法人消費税の申告・納付についても、新型コロナウイルスの影響により、法人が期限までに申告・納付ができないやむを得ない事由がある場合には、法人自身が申請することにより、納期限の個別延長が認められる
  • ・基本的には、延滞税・利子税は発生しない

など、非常に柔軟な取り扱いとなっています。

そのため、2020年の一定期間に関しては、申告・納税に関しかなり柔軟な対応が行われます。

ただし、いつの期間まで特別措置がとられるかは、先ほども書いたとおり不明確です。

ですので、延長措置があるから先延ばしでもいいや、ではなく、できるだけ早めに手続きを行うようにすることが大切と言えます。

確定申告期限を過ぎてしまった場合


確定申告期限を過ぎた場合は、以下のようなペナルティが発生します。

  • ・法定納期限の翌日から納付日まで、年間7.3%の延滞税
  • ・2期連続で期限後申告を行うと、青色申告が取り消され、取り消し対象の事業年度の欠損繰り越し(赤字の繰り越し)ができなくなる

延滞税の年間7.3%というのも相当大きなペナルティですが、青色申告の取消しも大きなデメリットです。

再度青色申告を次年度より申請することはできますが、少なくとも取り消された年度に関しては、青色申告の恩恵を一切受けることができなくなってしまいます。

延滞税・青色申告取消し以外の隠れたペナルティと対策

申告が遅延することで、税務署側から、申告に対しルーズな法人だな、という印象を持たれる可能性があります。

結果として、書類のチェックが厳しくなったり、税務調査の対象として選ばれやすくなったりする恐れもあります。

特に、書類に税理士印がないケースで遅延がある場合、「提出が遅い上に決算書の内容の税理士確認がないのか」となりますので、税務署側も決算書の内容を厳しめに見ることが考えられます。

まず、確定申告に間に合わない場合は、税理士に相談し、対策を仰ぎましょう。

税務署にもできるだけ早く連絡し、期限内の提出が間に合わない旨や事情を連絡するなど、「間に合わない」ことを極力早めに伝えることが必要と言えます。

まとめ

青色申告に関しては、取消し等の不利益を受けないためにも「期限を守る」ということが大切です。

2020年7月現在においては、新型コロナウイルスの影響を鑑みて、様々な期限の延長措置が取られていますが、あくまで手続きが先延ばしされているだけであることには変わりがありません。

期限の延長に甘えず、できるだけ早く書類を提出する必要があります。

自社だけで申告関係を行おうとすると、非常に負担がかかります。

極力会社設立時から会社設立代行会社・税理士に依頼し、最初はできるだけ会計事務などをアウトソーシングすると共に、自社に経理を行う体制ができれば、「自計化」という形で自社にて決算情報を入力、税理士側で確認してもらうという状態に移行することが望ましいと言えるでしょう。

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