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最終更新日:2022/6/7

会社を設立したらまずは法人青色申告を!法人青色申告のメリット・期限・申請方法

税理士 鳥川拓哉
この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • 青色申告における法人と個人の違いがわかる
  • 法人が青色申告するメリットとデメリットが理解できる
  • 法人の青色申告の承認申請書を自分で作成できる

「青色申告」というと個人が行う所得税の確定申告のイメージが強いですが、実は法人でも青色申告ができます。

ただし、個人の青色申告と法人の青色申告は、手続きや受けられるメリットにおいて異なる点もあります。

ここでは、法人と個人の青色申告の違いと、法人の青色申告のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

法人の青色申告の流れと承認申請書の書き方を理解して、法人の青色申告に挑戦してみましょう。

青色申告における法人と個人との違いとは

「青色申告」は、複式簿記による記帳を行わなくてはいけないため個人では確定申告全体の60%程度に留まっています。

これに対し、法人の青色申告は約98%とほとんどが青色申告事業者です。

個人の青色申告は、個人に課せられる所得税の確定申告の方法です。

これに対して、法人の青色申告は、法人税の申告が対象となります。

個人と法人では所得税と法人税の違いはありますが、いずれも、申告方法には白色申告と青色申告の2種類があることは同じです。

また、青色申告を選択した場合税制上のメリットが数多くある点も、個人と法人で変わりはありません。

ただし、受けられるメリットの内容は、個人と法人で異なる点があります。

法人・個人の青色申告の最も大きな違いとして、個人には最高65万円の「青色申告特別控除」がありますが、法人にはこのような特別控除はありません

また、個人の場合、一定の条件のもとで家族に支払った給与を経費にできる「青色事業専従者給与」がありますが、法人にはこのような特典もありません。

更に、法人と個人で異なる点として、欠損金の繰越しができる期間があげられます。

個人の場合、繰越しは翌年以降3年間となりますが、法人では10年間繰越しが可能です。

また、これに伴い、帳簿書類の保存期間は個人が確定申告書の提出期限の翌日から5年間または7年間であるのに対し、法人については欠損が生じた事業年度の帳簿書類を10年間保存する義務があります。

以下の表に、法人・個人の青色申告の違いについてまとめましたので、改めて確認してみてください。

【法人・個人の青色申告の違い】

法人個人
青色申告特別控除なしあり
青色事業専従者給与なしあり
欠損金の繰越期間9年間3年間
帳簿書類の保存期間7年間または10年間7年間または5年

【法人】青色申告をするメリットと注意点

法人が青色申告をすることで受けられるメリットは、以下のとおりです。

【法人が青色申告をするメリット】

  • ・欠損金を最長10年間繰越せる
  • ・欠損金の繰戻しにより法人税の還付を受けられる
  • ・30万円未満の少額資産の取得価額の全額を損金算入できる

ここからは、各メリットと注意点を細かく確認していきましょう。

欠損金を最長10年間繰越せる

法人が青色申告をするメリットの一つめは、法人が青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金(赤字)は、翌事業年度以降10年間、課税対象となる所得金額から控除できるということです。

欠損金が生じた事業年度に青色申告を行っていれば、翌事業年度以降は白色申告であっても控除できます。

「欠損金繰越控除」は、過去の赤字を無駄なく使って課税所得額を抑えられるため、法人税などの納税額を減額できることがメリットとなります。

法人が欠損金繰越控除を使うには、欠損金が生じた事業年度に青色申告を行っていることのほか、繰越対象となる事業年度も申告を行っていること、複式簿記による帳簿を10年間保存していることが要件として求められます。

欠損金繰越控除の要件は以下の通りです。

【欠損金繰越控除の要件】

  • ・欠損金が生じた事業年度に青色申告を行っている
  • ・繰越対象となる事業年度も決算申告を行っている(白色申告も可)
  • ・複式簿記による帳簿を10年間保存している

また、複数事業年度にわたり欠損金が発生している場合は、過去に生じた欠損金から順に繰越すことになっています。

なお、欠損金の繰戻しによる還付を受けた場合は、繰戻した欠損金額は繰越対象から除外されます。

繰越可能な欠損金の控除限度額にも決まりがあります。

中小企業の場合、繰越決算金控除前の所得金額全額を控除できます。

ただし、大企業の場合は、繰越控除前の所得金額に事業年度毎に定められた以下の料率をかけた金額が上限となっています。

なお、ここでいう「中小企業」とは、資本金または出資金が1億円以下の法人、大企業とは資本金または出資金が1億円を超える法人を意味します。

【控除限度額】

開始事業年度大企業中小企業
2012年4月1日~2015年3月31日80%100%
2015年4月1日~2016年3月31日65%
2016年4月1日~2017年3月31日60%
2017年4月1日~2018年3月31日55%
2018年4月1日以降50%

欠損金の繰戻しにより法人税の還付を受けられる

欠損金は、繰越しだけでなく繰戻すこともできます。

欠損金を全事業年度に繰り戻すことによって、納税済みの法人税の還付を受けられます。

ただし、繰戻しの対象となるのは、欠損金が生じた事業年度の前事業年度に限ります。

また、法人税の還付を受けるには、欠損金が生じた事業年度に青色申告を行っていること、欠損金を繰り入れる事業年度から連続して青色申告を行っていること、欠損金が生じた事業年度の青色申告と同時に「欠損金の繰り戻しによる還付請求書」を提出していることが要件となっています。

以下にまとめましたので、要件についてしっかりおさえておきましょう。

【欠損金の繰戻しによる還付の要件】

  • ・欠損金が生じた事業年度に青色申告を行っている
  • ・欠損金を繰り入れる事業年度から連続して青色申告を行っている
  • ・欠損金が生じた事業年度の青色申告と同時に還付請求書を提出している

繰戻しにより還付される金額は、以下の式で算出された金額です。

還付金の上限額は、欠損金を繰り入れる事業年度の所得金額です。

還付金額は、以下の式に基づいて算定します。

【還付金額の算定式】

引用:「還付金額の計算」(国税庁)

注意点として、2022年3月31日までに終了する事業年度で生じた欠損金については、中小企業以外の法人はこの制度が使えないことになっています。

ただし、2020年2月1日から2022年1月31日までに終了する各事業年度で生じた欠損金については、資本金または出資金が10億円を超える大規模法人や相互会社など一部の法人を除き、新型コロナ税特法の特例によりこの制度が使えることになっています。

30万円未満の少額資産の取得価額の全額を損金算入できる

もう一つ、中小企業に限定した制度があります。

中小企業が取得価額30万円未満の減価償却資産を事業に使用する目的で購入等した場合、その取得価額全額を損金として算入できます。

この制度が使えるのは、従業員数が1,000人以下の中小企業です。

また、少額資産を取得した事業年度に取得価額全額を一括して損金算入すること、および青色申告を行う際に申告書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付することが要件となっています。

【少額資産損金算入の要件】

  • ・従業員数1000人以下の中小企業であること
  • ・少額資産を取得した事業年度に取得価額全額を一括して損金算入する
  • ・「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付して申告する

対象となる少額資産は取得価額が30万円未満の減価償却資産であって、取得価額の合計額300万円が限度額となります。

例えば、事業に使用する機械・装置、ソフトウェアなどが対象となります。

また、特許権、商標権等の無形減価償却資産やリース資産も対象になります。

なお、取得価額が10万円未満の少額資産については、この制度の対象外ですので、限度額に含める必要はありません。

注意点として、この制度を使う場合、対象となる少額資産について租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳と重複適用はできません。

【法人】青色申告をする場合のデメリット

法人が青色申告をする場合さまざまなメリットが受けられるのに対し、デメリットは少ないといえます。

法人の青色申告においても個人の青色申告と同様に、複式簿記による記帳の手間や作成する帳簿が多くなることがデメリットとしていわれることが多いようです。

しかし、法人の場合、青色申告を目的として記帳を行わなくても、経理担当者が青色申告に対応した会計ソフトやクラウドサービスを利用して記帳している場合がほとんどですので、実質的にはデメリットとはならないでしょう。

また、法人の場合、節税対策や税務調査対応を見込んで税理士と顧問契約を結ぶことが多いですが、税理士のサポートを受けながらであれば、青色申告もスムーズに行えるでしょう。

【法人】青色申告の申請方法と流れ

法人が青色申告を行うには、あらかじめ所轄の税務署に「青色申告の承認申請書」を提出する必要があります。

提出先は、納税地(本店や本社の所在地)を所轄する税務署です。

提出方法は、税務署への持参または郵送です。

申請書と控え(コピー可)の2部作成し、控えに税務署の受付印をもらって保存します。

郵送の場合は、あて名を書いて切手を貼った返信用封筒を同封すれば、受付印を押した控えを返送してもらえます。

青色申告の承認申請書を提出したら、事業年度を通して複式簿記による記帳を行います。

帳簿を基に事業年度末に決算を行い、法人税の申告期限までに貸借対照表や損益決算書をはじめとする決算書を作成して税務署に申告書とともに提出します。

なお、法人税の申告期限は事業年度終了日の翌日から2か月以内です。

消費税の申告期限と同じですので、該当する場合はあわせて申告し、納税します。

【法人】青色申告承認申請書の項目と書き方

青色申告承認申請書には、法人の納税地や名勝、個人番号、代表者名といった法人に関する情報を記載する欄のほか、青色申告を行う期間、過去において青色申告の承認取消しの通知を受けまたは取りやめの届出書を提出した日付けや法人の設立年月日などを記載する欄などがあります。

承認申請書の「自平成・令和  年  月  日/至平成・令和  年  月  日」欄には、青色申告を開始する事業年度を記載します。

例えば、事業年度が4月開始の場合、青色申告を開始する年の4月1日から翌年の3月31日の日付を記入します。

なお、承認申請書が一度提出して承認されれば、取りやめの届出書を提出するまで青色申告法人となります

承認申請書の項目1には、該当する項目にチェックを入れて日付を記入します。

項目2の参考事項「(1)帳簿組織の状況」欄には、総勘定元帳と仕訳帳を必ず記入します。

そのほか、売掛帳、買掛帳、現金出納帳など作成する予定の帳簿名を記入します。

「左の帳簿の携帯」欄には、実態に合わせて会計ソフトやエクセルなど記入します。

「記帳の時期」欄についても、実態に合わせて毎月、毎週など記帳のタイミングを記入します。

パソコンを使って記帳する場合、「(2)特別な記帳方法の採用の有無」欄の「ロ電子計算機利用」に丸をしましょう。

「(3)税理士が関与している場合におけるその関与度合」には、依頼している税理士がいる場合、その依頼業務の内容を記載します。

例えば、税理士に記帳を依頼している場合は「総勘定元帳の記帳からの一切の事務」などと記載します。

引用:「青色申告の承認申請書」(国税庁)

なお、法人の「青色申告の承認申請書」の書式は、税務署でもらうか国税庁のホームページからダウンロードして入手できます。

申請期限を送れると白色申告に

承認申請書の提出期限は、青色申告を始めたい事業年度の開始日の前日までです。

あらたに会社を設立したときは、設立日から3か月以内に提出しますが、事業年度終了日のほうが速い場合は事業年度終了日の前日が提出期限となります。

個人の場合、事業年度はは暦年(1月1日~12月31日)と決められていますが、法人は任意の事業年度を決めることができます 。

例えば、4月1日から3月31日を事業年度とする法人を11月1日に設立した場合は、12月30日までに承認申請書を提出しなくてはなりません。

提出期限までに承認申請書を提出できなかった場合、対象となる事業年度は白色申告を行うことになります。

上記の例で承認申請書を12月30日までに提出できなかった場合、初年度は欠損金の繰越控除などの青色申告のメリットは受けられないことになります。

会社の設立当初は仕入れや経費の負担に対し売上が少なく赤字のことが多いですが、初年度が白色申告になってしまうと、翌年以降の課税対象となる所得額に赤字分を繰越控除できず、節税できないこととなり損をしてしまいます。

会社設立時に行う諸々の手続のひとつとして承認申請書の提出を予定し、提出期限に遅れないようにしましょう。

まとめ

法人の青色申告は、特別控除や青色専従者給与がない代わりに欠損金の繰越期間が長いなど、個人と比べて受けられるメリットが異なるものの、青色申告の承認申請書を提出して複式簿記による帳簿を作成保存し、申告書には貸借対照表や損益計算書などを添付するなど、個人の青色申告と共通する事項も多くあります。

欠損金の繰越控除、繰戻しによる法人税の還付、少額資産の一括損金算入制度は、いずれも法人税などの節税に大きな効果があります。

法人の場合、複式簿記による記帳やパソコンや会計ソフトを使っての記帳に対するハードルは、個人と比較しても決して高くありません。

法人設立を予定している方は、ぜひ設立年度から青色申告に挑戦してみてください。

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