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最終更新日:2022/9/16

インボイス制度の影響?法人成りの25%は合同会社。業種や地域に特徴は?

税理士 鳥川拓哉

この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • 新たに設立される会社に合同会社が多い理由がわかる
  • 合同会社の新設にあたって業種や地域性などの傾向がわかる
  • インボイス制度の導入にあたって準備すべきことがわかる

2023年10月から消費税のインボイス制度が導入されます。

そのため、中小企業や個人事業主の中には、インボイス制度への対応に追われている方もいるでしょう。

インボイス制度の導入を前に、個人事業主の中には法人成りを検討・実行している方もいます。

そして、法人成りをする際に、合同会社を選択するケースがかなり増えています。

なぜ合同会社を選択するのか、その理由を解説し、合同会社が設立される業種や地域性などの特徴についても紹介します。

新設会社の25%が合同会社を選択する背景

東京商工リサーチが、「全国新設法人動向」調査で、2021年1月~12月の間に全国で設立された法人の数を公表しています。

これによれば、2021年の1年間に設立された法人の数は144,622社で、前年比10.1%の増加となっています。

会社の種類ごとに見ると、株式会社が96,025社、次いで合同会社が36,934社の順になっています。

新設会社全体に占める割合は、株式会社より合同会社の増加率が大きくなっています。

その結果、2021年は新設会社のうち合同会社の占める割合が25%以上となりました。

会社を新設する際に合同会社が選択されるのは、設立の手続きが株式会社より簡単で、費用も安く済むことがあげられます。

また、合同会社の数が増えてきて認知度が上がり、合同会社を設立することへの抵抗感が少なくなっているともいえるでしょう。

また、新設会社の総数が前年に比べて10%以上増加したのは、消費税のインボイス制度導入と関連があります。

インボイス制度は、課税事業者から購入した商品やサービスについてのみ、消費税の税額控除を認める制度です。

免税事業者からの仕入は、消費税の負担や事務処理の手間を増やすことから、免税事業者との取引を減らそうとする動きもあります。

2023年10月から導入されるインボイス制度を前に、個人事業主が法人成りの動きを加速させています。

法人成りすると、最長2年間にわたり消費税の納税義務が免除されます。

その一方で、インボイス制度開始後には取引先との関係上、課税事業者にならざるを得ない事業者も少なくありません。

そこで、インボイス制度が始まる前に法人成りして、消費税免税というメリットを最大限享受しようとした会社が増えています。

また、会社を維持する費用は株式会社より合同会社の方が少なく済むため、より手軽な方法で法人成りを選択した結果といえます。

【産業別】新設された合同会社の特徴・傾向

2021年の「全国新設法人動向」調査によれば、新設された法人の数は、2007年以後初めて増加率が10%を超えました

この増加率を産業別に見ていくと、10種類に分類された産業のすべてで増加しています。

また、不動産業だけは前年比2.6%増と1桁の増加率にとどまりましたが、他の9業種では2桁の増加率となっています。

最も増加率が高かったのは、農・林・漁・鉱業の17.4%増です。

2021年はで新型コロナウイルスの影響を受け続けた年であり、三密回避や地方回帰の影響があると分析されています。

この他の業種も、軒並み10%以上の増加率となっているのは、インボイス制度導入を見据えた影響といえます。

また、コロナ禍で様々な補助金・助成金や融資制度が充実していることも、起業促進につながったといえるでしょう。

一方で、最低の増加率となった不動産業は、コロナ禍で不動産需要の減退が大きく影響しているといえます。

また、金融緩和や海外からの投資マネー流入により、新規参入しにくい状況が影響していると、東京商工リサーチは分析しています。

【都道府県別】新設された合同会社の特徴・傾向

新設された法人の数を都道府県別に見ると、最も多いのは東京都の11,624社となっています。

ただし、東京都の新設法人の増加率は前年比8.2%となっており、増加率としては47都道府県中32位にとどまります。

都道府県別の新設数上位は、大阪府の3,027社(増加率8.2%)、神奈川県の2,760社(増加率7.4%)となっています。

一方、法人の新設数の増加率が最も高かったのは長崎県で、その割合は51.8%の大幅増となっています。

さらに鳥取県が42.8%増、鹿児島県が40.3%増と続いています。

逆に新設法人数が前年から減少した都道府県も8県あります。

最も減少しているのは秋田県の12.0%減、次いで山形県が8.4%減、石川県が7.0%減などとなっています。

地区別に見た場合、全ての地区で新設法人数が増加しています。

最も新設数が多いのは関東地方で19,614社(増加率10.3%増)、最少となったのは北陸地方で499社(増加率8.4%)となっています。

いつが合同会社設立(法人成り)に最適なタイミング?

個人事業主の方が法人成りをすると、法人化してから2年間は消費税の免税事業者となることができます。

ただし、設立から2年間免税事業者となるには以下の要件を満たしていなければなりません。

  • ①資本金の額が1,000万円未満である
  • ②設立初年度の最初の6か月間の課税売上高または給与の支払額が1,000万円以下である

①を満たさない場合には、法人成りした設立初年度から課税事業者となります。

また、②を満たさない場合には、設立2年目から課税事業者となります。

法人成りする際に資本金額を1,000万円未満とし、支払い給与の金額が大きくなりすぎないようにすれば、2年間免税となるということです。

ただ、インボイス制度が開始されると、免税事業者であった事業者も課税事業者になる必要性が出てくると考えられます。

これまでは、取引の内容に応じて消費税の課税取引となるかどうかが決定されていました。

しかしインボイス制度が始まると、課税事業者との取引でなければ課税取引になりません。

課税取引にならないと、仕入金額から計算される消費税の控除税額が計上できす、消費税の負担が増えてしまいます。

そのため、消費税の計算を行う企業の中には、課税事業者としか取引しないようにする動きがあります。

これまでの取引関係を継続するためには、インボイス制度開始と同時に課税事業者にならざるを得ないことも想定されます。

もしインボイス制度開始とともに課税事業者になる必要があると、2年間の免税期間をフルに利用することはできません。

できるだけ早く法人成りを行い、インボイス制度開始前に免税となる期間を少しでも長く活用できるようにしましょう

インボイス制度に向けて準備すべきこと

インボイス制度が始まると、登録事業者からの仕入でなければ、消費税の税額控除を行うことができなくなります。

登録事業者になるためには、税務署に届出書を提出しなければなりません

すでに課税事業者となっている場合も届出が必要なため、忘れないようにしましょう。

インボイス制度が開始されると、これまで消費税を納税する必要のなかった事業者も、消費税の課税事業者となる場合があります。

そこで、現状の売上高と経費の額から、消費税額を試算しておきましょう。

また消費税の計算方法として、売上時に預かったから消費税から仕入や経費の支払時に支払った消費税を差し引くのが原則です。

ただし、売上高が年間5,000万円以下であれば、売上に係る消費税から納税額を計算する簡易課税制度が選択できます。

いずれの制度を利用して消費税を計算すると有利になるか判断し、簡易課税制度を利用する場合は選択届出書を提出しておきます

課税事業者となった場合には、インボイス制度に対応した請求書を発行しなければなりません。

対応した請求書を発行できるシステムを導入したり、会計ソフトを購入したりする必要があります。

まとめ

インボイス制度が開始される2023年10月に向けて、すでに様々な準備を始めている方も多いでしょう。

その一方で、まだ準備が完了していない、あるいは準備を始めていない方もいるのではないでしょうか。

インボイス制度を見据えて法人成りを考えている方は、一刻も早く法人成りを行う必要があります。

合同会社であれば、設立費用もその後の維持費も安くなり、すぐに設立することもできるのでおすすめです。

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