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起業を目指す人必見!起業家7人に成功例や失敗例など経験を聞いてみた!【起業の世界Vol.26】
この記事の執筆者 税理士 森健太郎
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
これから起業を目指す人は必読! 各業界で活躍する先輩起業家7人に、起業時と起業後のさまざまな意見をうかがいました。 成功例はもちろんのこと、普段は話しにくい失敗例まで、貴重な体験談の数々を参考にして、ぜひとも自身の起業に生かしてみてください。
Q1.複数人ではなく1人で起業した?
1人か複数人かは、起業の動機・ビジョンによってさまざまですが、どちらも一長一短。1人起業の場合は意思決定がスムーズである反面、重圧や責任が大きくなります。
[起業時の相談相手は?]
- 1位 家族・親戚、友人・知人・・・・・・・・・・・・・55.7%
- 2位 周囲の起業家・先輩経営者・・・・・・・・・・・・28.6%
- 3位 職場の同僚・上司・ ・・・・・・・・・・・・・・9.2%
- 4位 国・地方自治体・公的支援機関・・・・・・・・・・4.9%
- 5位 商工会・商工会議所・・・・・・・・・・・・・・・4.3%
- 6位 公認会計士、税理士、経営コンサルタントなど・・・3.8%
- ─ 相談相手はいなかった・・・・・・・・・・・・・・・26.5%
「自分1人でやるという覚悟があったから」 (中川)
「資金もなかったし、最初は『個人でそこそこ稼げたら良いな』という気持ちではじめた」 (越前)
「もともと起業1ヵ月後に1人入ってくる予定があったので、それを見越した上で動いていた」 (入江)
「1名で起業するよりも複数で起業する方が失敗のリスクを大幅に減らせると思ったから、前同業職で独立志向のある4人で起業した。4人とも特徴や長所が異なるので、シナジー効果は抜群」 (田村)
Q2.顧客ゼロの状態で起業した?
売上を左右する大切な顧客。同じ業界で起業する場合、前職時代の付き合いを生かすことができれば、負担の少ないスタートを切れる可能性が高そうです。ただし、田村社長のように「口約束だけで結局は仕事につながらなかった」というケースもあるので注意が必要です。起業の準備はやることが多く、新規の顧客開拓に十分な時間を割けない場合もあるので、計画的に行動し、限られた時間を有効に使いましょう。
「顧客は必ず枯渇する。保険をかけてスタートするような意識で起業したくなかったから、個人事業時代の顧客もリセットして法人化した」 (関根)
「起業前の口約束はあてにならない。クライアントが新会社へそのまま引き継ぎするという約束ありきで起業したが、実現せずに痛い目に遭った」 (田村)
「交流会に積極的に参加して顧客開拓を進めた」 (角前)
「同業界での起業なので、起業前から知人などに営業活動をしていた」 (入江)
「前職の商社で発注していた先の下請けとして仕事をいただいたり、前職の商社から直接仕事をもらうことができた」 (越前)
Q3.「人」「金」「事業計画」のうち、起業において最も大切なものを1つ挙げるとしたらどれ?
いずれの起業家も「どれも大事」と悩んだ末、「人4・事業計画2・金1」という結果に。多数派だった人派の意見では、起業時に周囲の助けがあったからという理由を挙げる人が目立ちました。物理的な助力だけでなく、精神的にも助けられる部分があり、1人起業・複数人起業にかかわらず、協力者の存在は欠かせないようです。一方、事業計画派は明確な計画があるからこそ、人や金がついてくるという経験者ならではの見解が。また、唯一の金派・土屋社長のように、業種・事業内容による初期投資の違いも切実です。
「起ち上げたときには何も経営についてわからなかったが、起業時のメンバーで助け合ったほか、多くの人が救ってくれたからこそ続けられている」 (田村)
「起業の動機が『好きな人と、好きな仕事を、好きなお客さんのためにやる』であり、事業の軸が『人』にあるから」 (角前)
「いまの仕事はお金もパソコンもないなか、知人の家に泊まり込んでパソコンを借りながらスタートした。どれも大事だが、振り返れば人が一番大きかった」 (越前)
「起業当初の事業計画はたいしたものではなく、お金も少ないなりにやってきた。それでも経営を続けられたのは、一緒に戦う仲間がいたからだと思う」 (入江)
「自分が想像していた以上に出て行くお金が多かった。どれも大事だが、自分の業種ではお金がないとはじめられないことが多く苦労した」 (土屋)
「長く経営を続けるならば『何がしたいのか、自分がすべきことは何か、社会的に需要があるか』などを明確にしておくことが大事だと思う」 (関根)
「『何のためにその仕事をしているのか』が明確になって、初めて人やお金がついてくると思う」 (中川)
Q4.起業後、事業が1年以内に軌道に乗った?
「黒字基調」などの明確な指標ではなく「軌道に乗る」という主観に委ねられる質問に対し、越前社長以外の6人が×と回答。その判断基準は、中川社長のように業況面をあげる意見が目立ちましたが、土屋社長は自戒の意味で「今も軌道に乗ってないと考える」と答えたのが印象的です。一方、○派・越前社長のように小規模スタートで支出を抑えれば起業1年以内で光明も。
「ひと言で軌道に乗ったというのは難しいが、マイナスではなかった。個人でスタートした分、支出が少なかったのが良かったのかも」 (越前)
「顧客がいなかったため、売上が上がらずに苦労した」 (中川)
「落ち着いたのは5年目に入ってから。さまざまなことに取り組んできたが、いま振り返れば勝てる領域の仕事に一点集中するべきだったと思う」 (関根)
「起業して感じたのは『軌道に乗る』が自分ではわからないということ。今も軌道に乗っているかわからないが、いつまでも軌道に乗っていると思わない方が自分には合っていると思う」 (土屋)
Q5.資金ショートを起こしかけたことがある?
多くの起業家が恐れる資金ショート。なんと7人全員が起こしかけた経験があるというから、経営の難しさが窺い知れます。資金ショートを回避した方法は「自己資金から補填」と「金融機関の融資」でしたが、世の起業家たちのなかには自己資金不足や融資が受けられず、廃業を余儀なくされるケースも珍しくありません。
[安定成長型企業が利用したかったおもな資金調達方法]
創業期
- 民間金融機関からの借入れ・・・・・・・・・・・・・・・・・(45.3%)
- 政府系金融機関からの借入れ・・・・・・・・・・・・・・・・・(41.3%)
成長初期
- 公的補助金・助成金の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・(44.4%)
- 民間企業、基金、財団、その他の団体からの出資・・・・・・・(43.7%)
安定・拡大期
- ベンチャーキャピタル、投資組合・ファンドからの出資・・・・(44.5%)
- クラウドファンディングの活用・・・・・・・・・・・・・・・(44.5%)
※回答は複数回答
「中国法人を設立した際、一度に5人の現地スタッフを抱えてしまい、中国法人設立1ヵ月目は給料を支払えなかった」 (越前)
「原因は自分の慢心。正確なリスクを把握せずに経営していた。自分のお金で一時的に回避したあと、担当税理士のアドバイスで金融機関に借りてリスクを軽減した」 (入江)
「下請け業者への先払いが原因。貯蓄を切り崩して何とか資金ショートを回避した」 (土屋)
Q6.起業前よりも起業後の方が忙しくなった?
『2017年度新規開業実態調査』によれば、起業後に労働時間が増えた起業家は約6割で、1週間あたりの労働時間は約4.1時間増加しているとのこと。しかし、ここでは「忙しくなくなった」と答えた起業家が大半を占めました。ただし、自分でスケジュールを管理できる反面「経営者として気を張り続けなくてはいけない」という精神面の負担が増えているようです。
「24時間365日仕事モードだが、自分でコントロールして仕事をしている感じがある」(角前)
「自分が現場に行って作業するという機会が大幅に減り、身体面では忙しくなくなった。しかし、精神面では24時間365日、いつでも気を張っています」(田村)
「営業からその他すべてにいたるまで自身がやらなければならず、仕事が圧倒的に増えた」(中川)
「従業者8名分の仕事をつくるのが私の仕事。仕事を絶え間なくつくらないといけないので忙しくなった」(土屋)
「会社員時代から仕事が好きだったので、昔も今も忙しさを測っていない。そのため、どちらとも言えない」(入江)
Q7.サラリーマン時代に戻りたいと思うことがある?
会社を辞めて起業するという一大決心をしただけに、サラリーマン時代に戻りたいと感じる起業家は少数派。戻りたくない理由として多かったのは、「サラリーマン時代の拘束の辛さ」と「経営者としてのやり甲斐」です。大変ながらも自分で仕事をコントロールできることのメリットや、経営者としての責任感・達成感の大きさにやり甲斐を感じているようです。
「雇われの身だからこその楽しみ方もあるので戻りたくないわけではない。しかし、自分の生き方として考えると今の働き方の方が満足できる」(関根)
「サラリーマン時代は平凡な生活だったから」(中川)
「仕事柄、閑散期が必ずあり『どうやって仕事を確保するか』と悩むときには、サラリーマン時代に戻りたくなる」(土屋)
「経営者は役割のひとつ。サラリーマン時代も同じ気持ちで仕事に取り組んでいた。自身の満足ではなく会社を成長させることを考えれば、自分より適任者がいた場合には役割を渡すべき。だから気持ちとしては、いつでもサラリーマンに戻れる」( 入江)
Q8.日本人はもっと積極的に起業すべき?
しばしば起業後進国とも言われる日本。起業家たちからは起業を後押しする声が多く、自身の経験と重ね合わせて「結果よりも後悔しないように」との意見が目立ちました。一方、唯一の×派・関根社長は、他責の傾向が強い日本人の気質を理由に、起業に向いていない人が多いと指摘。やはり実際に起業して経営を続けるためには、強い覚悟が必要のようです。
「起業は自己責任。しかし日本人の気質として、失敗したときの理由を外部に求める他責の傾向が強い。実際にそういう起業家が多いので、起業に向いていない人が多いように感じる。それならば、最初から起業せずにサラリーマンを続けていた方がいい」(関根)
「世のサラリーマンが『いかに会社に守られているか』を実感することができる。もっと、個人ひとりひとりが当事者意識を持つためにも、成功するにせよ失敗するにせよ、起業を経験しておいて損はないのでは」(中川)
「迷っているんだとしたら、あきらめるよりも起業に動いた方がいいと思う」(越前)
Q9.起業するなら若いほうがいい?
日本では30~40歳代の起業が多いですが、起業家7人の回答はいずれも「若いうちに起業すべき」とのこと。生活環境・体力・やり直しなど、若年での起業に多くのメリットがあがりました。
[開業時の年齢(2017年)]
- 開業時の平均年齢・・・・・42.6歳
※出典:『新規開業白書 2018年版』
「10代、20代と30代、40代では生活コストが違う。家庭を持っていたらコスト下げにくいし、マイホームを購入していれば、銀行の借入で担保に持っていかれてしまう。起業するなら、生活水準が上がる前にした方がいい」(角前)
「学生のうちに起業を経験した方がいい。失敗してもやり直しがきく」 (入江)
「なるべく若く健康なときに起業した方がいい。歳を取ると頑張りたいときに頑張れなくなる。会社を起ち上げた瞬間に自分が倒れたら、いろいろな人を巻き込んでしまう」 (田村)
Q10.起業にともなう制度を日本は見直すべき?
日世界銀行が毎年発表している『ビジネス環境ランキング』の個別項目「事業設立の容易性」によれば、日本は190カ国中106位と低く、世界的にも起業しにくい国という位置づけです。最低資本金は世界でもトップレベルですが、起業時に発生する手続きの量や申請にかかる期間、申請窓口が別々など、諸外国と比べて手間や負担が多く、起業を志す人の大きな障害になっているようです。こうした問題は実際に起業を経験した7人全員からも指摘されていて、経済の国際競争に後れをとらないためにも、政府には早急な制度の見直しが求められます。
「書類や費用など、設立に関する負担をもっと減らしてもいいと思う」(中川)
「税金などの徴収は迅速なのに、助成金は出るのが遅い。助成金を早くほしいとまでは言わないが、せめて受け取れる日を明確に提示してほしい」(田村)
「海外に比べると日本は税金が高いと感じる」(入江)
「人口が減り、生産力が下がっているなか、ひとりひとりの生産性を上げないといけない。現代の市場環境に対して国の制度が追いついていないと感じる。既存の会社の枠組みに守られている人が得をするのではなく、生産性を上げている人がより財をなせるような制度を」(角前)
[主要国の「事業設立の容易性」ランキング
(2017年発表)]
[主要国の「事業設立の容易性」ランキング(2017年発表)]
※出典:世界銀行「Ease of doing business index」
[日本はビジネス環境が悪い!? ]
Q11.企業理念や経営理念は業績に関係する?
経営者の立場からすると、企業理念や経営理念を重視する意見が圧倒的多数。「会社が目指す方向を明確にすることが大切」との理由が多く、理念の共有は生産性に関わると実感しているようです。しかし、民間調査では「自社の理念を知らない」と回答する会社員が大半という結果も出ています。経営者は、いかにして従業員に理念を浸透させるかも課題と言えそうです。
「自分の考えを従業員に押しつけるような気がしてしまうため、とくに理念を伝えていない」(土屋)
「何のためにやっているかが明確で、どのように社会に貢献するのかをわかってもらえると共感や信頼が得られ、業績につながると思う」(中川)
「会社の向かう方向が明確でないと、自分が社員だったら悩んでしまうと思う」(越前)
「起業の存続を考えると、目的の一致は必ずどこかのタイミングで必須になるはず」(入江)
Q12.起業後、社長となったことで意識的に身だしなみを変えた?
回答こそ分かれたものの、×派からも「最低限の清潔感は必要」との意見があり、人と接する以上は会社員も社長も同じ。なお、業界によって身だしなみの基準が異なり、必ずしも堅い恰好をしていればいいというわけではない様子。角前社長のように、スーツからラフな恰好に戻した例もあり、顧客・取引先とのつき合い方から適切な服装を選択することもあるようです。
「建設業特有かもしれないが、取引先の社長から『仕事ができてカッコイイと、おじさんから見てムカつくことがある』と言われたことがある」(越前)
「自分はチャラチャラした外見だが、セルフブランディングとして変えたくなかった。しかし、その分だけ人一倍常識や良識を心掛けている」(関根)
「社長の見た目や話し方でその会社のすべてがわかる」(田村)
「社長らしさを追求してオーダースーツを着ていた時期もあったが、クライアントと膝を突き合わせて仕事するスタイルから遠くなってしまった。今は飾らず正直でいることが一番と考え、ラフな服装で定着している」(角前)
「清潔感は大切だが、自身のビジョンやサービスが他社の追随を許さないビジネスならば気にする必要は無い」(入江)
Q13.会社のホームページにこだわっている?
いまや会社のホームページを持つのは当たり前となりましたが、そのつくりにはこだわっていないという起業家が過半数を占めました。事業内容や顧客の獲得の仕方によっては、それほどホームページにこだわる必要がないという意見のほか、事業優先で手が回っていないという意見も。経営規模が大きくなったら一新するという声もあり、起業における優先順位は低いようです。
「まだ人で営業している部分が多いため、ホームページよりも人にお金を遣っている。まだホームページにこだわるステージに立っていない」(田村)
「こだわるべきだと思うが、クライアントへの価値提供を優先して手が回っていないのが現状」(角前)
「当社の業務、仕事内容はホームページで見せることはないので、とくに力を入れていない」(土屋)
「TOPページとメッセージにこだわっている」(中川)
「外部からの企業の透明化をするべく、会社情報は記載するようにしている。そのことで、当社に応募する方も多くなったと感じる。起業時には、金銭的に余裕がないなか、こだわりを持って専門家へ依頼し作成してもらった。SEOにも注力したことで検索時に上位へ表示した」(入江)
Q14.将来的に多角化経営を検討している。または、いつかほかの業種でも起業したい?
現在の事業から幅を広げたいと考える土屋社長や、もともと事業を固定していない角前社長など、同じ○派でも理由はさまざま。中川社長のようにセカンドライフを意識した回答にも夢を感じます。一方、×派と△派の見解も、いずれは現事業の延長として事業内容が増えるかもしれないとの考えで、現段階で検討はしていないものの、多角化の可能性は十分にあるようです。
「今後、事業内容が増えるかもしれないが、今のITという業界のなかで続けていくことに変わりはないと思う」(入江)
「質問の意図と違うかもしれないが、最終的に『イケてるペンションのオジサン』になりたい」(中川)
「もともと事業をひとつに固定するつもりがない。昨今の市場環境の変化を見ていると、同じ事業を固定して続けるのは非現実的かもしれない」(角前)
「建設業は細かく分けるといろんな業種がある。今は土木メインだが、リフォームなど幅を広げていきたい」(土屋)
「今の仕事をずっと続けるのは無理だと思っていて、事業の延長上にある違う何かをやりたいとは思うが、まだ具体的には思いつかない」(越前)
Q15.起業する前にやっておけばよかったと思うことは?
経営コンサルタント業 関根
失敗や反省はとくにない。しかし、今の知識や経験をもとに起業し直すとすれば、お金や数字に対しての考え方を変えると思う。例えば、融資や補助金、助成金の知識を得ること。集客に対してもっと費用や時間をかけるべきだった。慎重になり過ぎていて、手持ちのお金を増やすことよりも、手持ちのお金を減らしたくないと恐れていた部分がある。その結果、売上が立つまでに時間が掛かってしまった。
人材サービス業 中川
メンターのような存在を探すことです。成功体験を語りたがる先輩経営者は多いですが、失敗体験を教えてくれる人こそが大事。そんな信頼できる相談者が起業前にいたら、精神的にすごくラクだったと思います。
ITサービス業 田村
登記やお金のことなど、起業にあたって分からないことは、分かる人を探す、または人づてに聞くといった努力をもっとしておけばスムーズだったと思います。あとは、口約束をしないこと。起業後に仕事をもらえる予定の取引先が3社ほどありましたが、いずれも口約束で、そのすべてから仕事を回してもらえなかったので……。当時は私自身も起業準備で頭がいっぱいだったので、もっと取引先との信頼関係を築いておけばよかったです。
WEB事業 角前
ビジネスパートナーづくりです。起業前に仲間と計画しながら役割を決めて、複数人で踏み出していたら、いまとは全然違っただろうなと思います。1人で起業し、なまじ結果を出すと、あとから来る人がゲストのような感覚で来てしまうので、なかなか右腕を育てるのが難しいと感じます。
建設業 越前
何もしないままに起業したので、やっておけばよかったことは全部かもしれません。しかし、何もしてこなかったからこそ、起業後にその全部を自分で勉強できたことは、大きな財産になったと言えるかもしれません。
ITサービス業 入江
いろいろあるが、一番はお金のこと。「だいたいこのくらい入ってくるだろう」と勝手なイメージでやっていたため、最終的にイメージ通りの金額が入ってこないということが多かった。だから、最初にもう少し業界の金額感について知っておけばよかった。
建設業 土屋
私の場合はお金で苦労しました。どれだけ出ていくかという予想をある程度立てていましたが、それを上回る金額が出ていった。また、助成金が入ってくるのが遅いので、いつ支払われるのかなどの情報をもっと調べておけば、苦労は少なかったかなと思います。
Q16.これから起業を目指す人たちにアドバイスを
経営コンサルタント業 関根
自分がしたいことではなく、社会・世界が必要としているかを考える。その上で、本業以外で経営上必要なことは信頼のできる専門家に一任する。その費用を惜しんでいると、目の前のお金ではなく自身の時間や余計なことに神経をすり減らしてしまい、本業に大変な影響をもたらしてしまう。また、考え方として「この人は分かってくれない」ではなく「分かってくれないのは自分に魅力がないから」と受け止めること。ビジネスにおいて、人のせいにして得をする人、成功をし続けた企業はない。顧客、仲間、同僚に対して相手以上に相手を思うことが必要。
人材サービス業 中川
私は独立5年目となります。起業ではなく、あくまでも前職の事業を継承しているだけです。5年目である節目に新規事業を立ち上げましたが、新たなサービスで売上を立て、雇用し、会社を成長させていくことの大変さを痛感しています。起業することは誰にでもできますが、事業として売上を上げ、継続、成長させることは生半可なことではありません。事前準備を怠らず、協力者を見つけ、チャレンジしたほうがよいと思います。
ITサービス業 田村
私は経理総務の知識が皆無でしたが、さまざまな方のサポートもあり、今期で3年目になり売り上げも1億を超えました。右も左もわからなくても疾走する社長の背中を見ればまわりが助けてくれます。逆に、起業しても努力しないような人は誰も助けてくれません。私の座右の銘でもありますが「trial and error」でいいんです。どんなに頭で考えててもきっかけは生まれません。まずは行動してチャンスを掴みましょう。
WEB事業 角前
あなたらしさ、あなたの強みを活かすことが、市場・お客様・従業員・家族はもちろん、自分にとってもしあわせだと私は信じています。ぜひ、あなたらしさ、あなたの強み、あなたから買いたい理由を、探求して社会に価値を提供してほしいです。一緒にがんばりましょう。
建設業 越前
起業してみたいと本気で思った時が始める時だと思います。テンションが大事で、大体のことは何とかなりますし、何とかするしかありません。成功か失敗かは自分が決めることだと思うので、とにかく、やってみることが大事です。
ITサービス業 入江
自分を信じて行動することがとても大事。ただ、企業を成長させるためには「思い込み」や「慢心」を捨て、勝負時にリスクを軽減するための情報取集が必須。情報があれば勇気ある行動もできる。
建設業 土屋
アドバイスできるほど自分ができているとは思わないのですが、「勢い」「計画」「覚悟」があれば誰でも起業できると思います。私の場合、起業時に家のローンがあり、3人の子供もいました。なので「ローンがあるから」や「子供がいるから」などの理由で起業を躊躇ってしまう人は、やめた方がよいと思います。
さらに起業家100人にも聞きました!
[起業に関する意識調査]
[起業家7人に聞きました!]で行ったQ1~Q14と同じ質問を、ほかの起業家100人にも実施。7人の起業家たちとは異なる回答分布も見られるなど、興味深い結果が得られました。
Q1.複数人ではなく1人で起業した?
Q2.顧客ゼロの状態で起業した?
Q3.「人」「金」「事業計画」のうち、起業において最も大切なものを1つ挙げるとしたらどれ?
Q4.起業後、事業が1年以内に軌道に乗った?
Q5.資金ショートを起こしかけたことがある?
Q6.起業前よりも起業後の方が忙しくなった?
Q7.サラリーマン時代に戻りたいと思うことがある?
Q8.日本人はもっと積極的に起業すべき?
Q9.起業するなら若いほうがいい?
Q10.起業にともなう制度を日本は見直すべき?
Q11.企業理念や経営理念は業績に関係する?
Q12.起業後、社長となったことで意識的に身だしなみを変えた?
Q13.会社のホームページにこだわっている?
Q14.将来的に多角化経営を検討している。または、いつかほかの業種でも起業したい?
起業1年目で軌道に乗る企業の方が多い
すべての回答結果に触れることができないため、ここではQ.1~Q.16の「起業家7人に聞きました!」と比較し、分布に大きな違いが見られた項目を中心に見ていきます。
まずQ.2では、顧客がいる状態で起業した人が6割を占め、起業前から顧客を確保する傾向が強いようです。
Q.3の起業で最も大切なものは「人」派がトップで、「金」と「事業計画」が15人と同数に。その他は、1つを選ぶことができず「すべて」や「人と金」といった複数回答や「思い切り」などの選択外の項目があがりました。
Q.4の「事業が1年以内に軌道に乗った」とQ.5の「資金ショート」は、どちらもほぼ半々の割合に。起業家7人の回答では経営の厳しさを感じる回答が目立ちましたが、母数が増えると、必ずしもすべての起業家が創業期の売上で苦しんでいるとは限らないことがわかります。このほか、Q.6では起業前より忙しくなった人が7割を超えていて、経営者になったことで新たにやるべき作業は増えるようです。
なお、起業に関する詳細な統計調査は「起業の世界Vol.6 起業した人の属性とキャリア」「起業の世界Vol.8 資金調達について」「起業の世界Vol.9 起業後の状況」で紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。
▼ 起業の世界
- 起業の世界Vol.1 起業の基礎知識と手順|現状分析・資金調達・開業手続きまで徹底解説
- 起業の世界Vol.2 起業前にするべき自問自答
- 起業の世界Vol.3 これからの働き方 ~“起業”という選択肢~
- 起業の世界Vol.4 知っておきたい起業のリスク
- 起業の世界Vol.5 起業した人の属性とキャリア
- 起業の世界Vol.6 資金調達について
- 起業の世界Vol.7 起業後の状況
- 起業の世界Vol.8 起業する前におさえよう!法人の種類による違いと特徴とは
- 起業の世界Vol.9 会社設立のメリット・デメリットを知ろう
- 起業の世界Vol.10 出資、融資、補助金・助成金の違い
- 起業の世界Vol.11 資金の調達①出資とファンド
- 起業の世界Vol.12 会社設立する前にチェックしておくべき起業家の5つの心得
- 起業の世界Vol.13 独立・起業・自営業に向いている?独立後に失敗をしてしまうタイプ7選
- 起業の世界Vol.14 会社の年間手続きスケジュールを知ろう
- 起業の世界Vol.15 社会保険と給与計算
- 起業の世界Vol.16 会社員と起業家ってどう違うの?
- 起業の世界Vol.17 起業したら税金は自分で納めるのが原則?
- 起業の世界Vol.18 起業費用はいくら?法人と個人事業主の相場を解説!
- 起業の世界Vol.19 固定費について詳しく説明
- 起業の世界Vol.20 起業時の資金調達と自己資金の目安から助成金・節税まで
- 起業の世界Vol.21 今更聞けない 借入金と出資金の違いについて
- 起業の世界Vol.22 無担保 無保証の制度について説明
- 起業の世界Vol.23 誰にお願いする?連帯保証人のお願いの仕方から選び方について
- 起業の世界Vol.24 一人で起業するメリットから 雇用のタイミングまで
- 起業の世界Vol.25 外注費用は節約しましょう
- 起業の世界Vol.26 起業を目指す人必見!起業家7人に成功例や失敗例など経験を聞いてみた!
- 起業の世界Vol.27 税理士が教える 起業・開業後の1年目のスケジュール
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