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社長引退の選択肢(1)事業承継-社長のための資産形成戦略Vol34

森 健太郎

この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

社長引退の選択肢(1)事業承継-社長のための資産形成戦略Vol34

社長引退の3つの方法

社長の財産状況や今後の収入や支出を確認すると、ある程度、社長を辞められる年齢が見えてくるでしょう。

次に考えたいのが、「どのようなかたちで引退するか」ということです。

一般的には次の3つのうちのいずれかの方法を選択することになります。

  • ①後継者に事業を引き継ぐ(事業承継)
  • ②会社もしくは事業を売却する(M&A)
  • ③会社をたたむ(清算)

①事業承継後継者がいる場合は株式を集める

ここからは、それぞれの選択を行うにあたっての注意点について説明していきます。

まずは事業承継です。

中小企業の後継者不足は、日本の社会問題となっています。

国を挙げて対策を打ち出しているものの、事業承継を成功させるには社長自身が主体的に動く必要があります。

事業承継をするにあたっては、当然ながら後継者を決めなくてはいけません。

多くの場合は社長の子が後継者になると考えられますが、子以外の親族や従業員が後継者になることも可能です。

このときに考えておきたいのが、「株式(自社株)を分散させない」「相続税に備える」という2点です。

この2つの要素を両立させつつ着地させることを意識してください。

株式を分散させない理由は、事業承継後の会社運営を円滑に進めるためです。

事業承継を行うには、社長は会社の株式(自社株)を引き継ぐ必要があり、株数に応じて会社に対する権利が変わっていきます(図表4-10)。

図表4-10 持ち株比率ごとの株主の権限

たとえば、社長の子どもが2人いるからといって、それぞれに50%ずつの自社株を相続させた場合、株主総会の単独決議はできなくなります。

この状況で株主2人の意見が合わない場合、会社として身動きがとれない状態になってしまいます。

このように、株式を分散させると、経営に関係のない人が会社の経営権を持つことになります。

すると、不合理な要求を出されたり、不当に配当金などを要求されたりする可能性が出てくるのです。

また、会社が事業に使っている資産のなかに、社長個人の財産が含まれていないかチェックしてください

たとえば、自社ビルの建物は会社名義でも、土地が社長名義になっているようなケースはよく見られます。

そうすると、自社株だけでなく、社長名義の土地も後継者に相続させなければ、相続後の会社経営に支障をきたすかもしれません。

このように、社長の財産をいかに分割するかが事業承継にとって重要なため、社長は生前に遺言を残しておくべきです。

遺言がなければ、会社の株式は相続人で共有されます。

そして、相続人同士の遺産分割協議がまとまるまで、その状態が解消されません。

遺産分割協議がスムーズに進めばいいのですが、相続は事業承継の問題にとどまりませんから、さまざまな事情から遺産分割できなくなる可能性があります。

将来に起き得るトラブルを未然に防ぐためにも、遺言書に自社株や事業用財産を後継者に相続させることを明記しておきましょう。

また、「相続税対策は「二次相続」や「認知症」まで考えよう-社長のための資産形成戦略Vol40」で説明する民事信託を使えば、さらに柔軟に遺産分割のかたちを指定することが可能です。

こちらも併せて検討してください。

遺留分を侵害しないよう注意

自社株や事業用財産は後継者に集約すべきとお伝えしました。

このとき、他の相続人がいる場合は「遺留分」に配慮する必要があります。

遺留分とは、法律によって決められている相続財産の「最低限の取り分」のことです。

遺留分の対象となる財産には、相続開始時の被相続人の財産のほか、被相続人から遺贈(被相続人が法定相続人や法定相続人以外の人に遺産をあげること)された財産も含まれます。

また、被相続人が生前に贈与した財産も遺留分の対象になる可能性があります。

遺留分の割合は民法で定められており、直系尊属(親や祖父母)のみが相続人の場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合(配偶者や子など)は2分の1です。

被相続人の兄弟姉妹は、たとえ相続人であったとしても遺留分が認められていません(図表4-11)。

図表4-11 遺留分の割合

遺言を残すときは、後継者への財産移転に加えて、他の相続人には最低限、遺留分を侵害しないよう財産を残す必要があります。

たとえば、法定相続人が子2人(A・B)で、遺留分算定の基礎となる財産の価額が4億円だったとしましょう。

すると、2人の相続人には、それぞれ次のとおり遺留分が認められます。

4億円×子の全体的遺留分2分の1×法定相続分2分の1=子1人あたりの遺留分1億円

では、このケースにおいて、自社株や事業用財産を合計して3.5億円だったとしましょう。

この財産を後継者であるAに集約させると、相続人Bは5,000万円しか相続できないことになります。

もしも、BがAに対して遺留分を請求すると、Aは5,000万円を支払わなくてはいけません。

しかし、Aが相続したのは自社株や事業用財産という、基本的に換金ができないものです。

このような状況になると、AとBの間でトラブルが起きることは明らかです。

このような遺留分の問題を防ぐためにも、社長として事業承継をするなら、自社株や事業用財産以外に、金融資産を多く残す必要があります。

投資信託などの金融資産が豊富であれば、遺留分を侵害することなく、スムーズに事業承継を行うことができます。

▼社長のための資産形成戦略 シリーズ

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