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成熟期に社長個人の資産形成を本格化すべき理由-社長のための資産形成戦略Vol18

森 健太郎

この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

成熟期に社長個人の資産形成を本格化すべき理由-社長のための資産形成戦略Vol18

会社と個人を切り離して資産形成を考える

成長期を過ぎると、会社経営は安定しているはずです。

もはや廃業リスクに怯(おび)えることはなく、会社に余剰資金が出てくる段階です。

銀行の評価も高まり、会社の事業運営に必要な資金はいつでも調達することができます。

ここでは、そうした「成熟期」における社長のお金とのつきあい方をお伝えします。

成長期までは「いかに会社を存続させるか」に主眼を置いてきました。

ときには、社会保険料を抑えるために役員報酬を下げるなど、個人の財産形成を後回しにして会社を優先させることもあったでしょう。

しかし、成熟期を迎えた今、会社の資金繰りはうまく回っているため、個人を犠牲にする必要はありません。

社長個人の財産形成を本格化させるのです。

役員報酬を増額する

そのために、まず行うべきは「役員報酬の増額」です。

前にお伝えしたとおり、役員報酬を上げると会社の法人税負担を抑えることができます。

成熟期に入り多くの利益を上げている会社であれば、役員報酬の増額に伴う社会保険の負担額にも耐え得る財務状態になっています。

問題は、「社長に入ってきた役員報酬をどのように扱うか」という点です。

そのままでは個人の所得税や住民税が高くなるため、「社長個人の節税になる?資金繰りにも役立つ「小規模企業共済」とは-社長のための資産形成戦略Vol15」で紹介した小規模企業共済やiDeCoなどを活用し、節税をする必要があります。

とりあえずは、小規模企業共済の掛け金がまだ上限の月額7万円に至っていないなら、増額するとよいでしょう。

このように役員報酬を上げながら節税にも取り組むと、社長の余剰資金が段々と増えていくはずです。

その余剰資金をすべて預金にするのは、正しい考えではありません。

普段の生活費などに必要な資金は別として、将来のための投資に取り組むことを考えてみましょう。

具体的には、主に投資信託を用いて証券投資を行い、引退後を見据えて資産形成を行うのです。

社長が投資をすべき理由

会社が安定成長期~成熟期のステージを迎えている社長は、自身の資産形成について預貯金や保険だけでなく、その一部を「投資」というかたちに切り替えることを検討しましょう。

今こそ「貯蓄・投資バランス」を見直す最適な時期なのです。

ガムシャラ期の社長は投資よりも貯蓄を重視すべきですが、実は社長は創業時に最も「ハイリスク-ハイリターン」の集中投資を行っています。

それは自社株への投資(会社への貸付も含める)です。

会社が安定的なキャッシュフローを生み出すまでは、投資については自分の会社に集中することが肝要(選択と集中)です。

よって、「全体のリスクをバランスよくさせるため、その他の個人資産は預貯金や保険といった安全資産を中心にすべき」というのがパーソナルファイナンス的思考なのです。

しかし、安定成長期から成熟期においては、考え方を切り替える必要があります。

成熟期になったら「投資資産」を組み入れよう

「ローリスク-ローリターン」の預貯金を必要以上に保有する一方で、成長する可能性がある資産は自社株のみ(1社オンリーの投資という意味ではハイリスクで、成熟期には成長速度も弱まる)という組み合わせに合理性はありません。

「ミドルリスク-ミドルリターン」の投資資産を組み入れ、「集中」から「分散」に舵を切る時期がきていると認識しましょう。

とくに、現在の日本は歴史的な低金利が続き、銀行にお金を預けていても増やすことはできません。

金利が比較的高いネット銀行でも、普通預金の金利は0.001%です。

もし、この金利で運用を続けた場合、元本が2倍に増えるまでになんと7万2,000年もかかってしまいます。

しかも、経済成長が停滞した日本においても、インフレにより物価上昇は起きています。

少子高齢化を受けて、富裕層をターゲットとした増税や社会保険料のアップといった事態も避けられません。

そうした事態に備えるためには、投資信託を使って資産運用を検討すべきでしょう。

「なぜ投資信託なのか」については「投資信託とは?メリットと注意点をわかりやすく解説-社長のための資産形成戦略Vol24」で詳しく説明しますが、正しい方法で投資信託を活用すれば、20年で2倍程度に財産を増やすことは十分に可能です。

さらに大きな視点から見ても、投資は必要不可欠だと思われます。

投資不足は経済主体が国家であれ、企業であれ、家計であれ、将来的に大きな問題を引き起こします。

現在の日本を見ると、インフラ投資の不足による自然災害の被害拡大であったり、デジタル化への投資不足で官公庁の業務が効率化されなかったりなど、過去の投資不足に起因したさまざまな社会問題が起こっています。

民間企業も同様です。

研究開発費や人材への適切な投資を怠る会社に未来はありません。

投資不足は未来を縮小させる」という経済の原理原則は厳密に作用するので、家計だけは大丈夫という理論は通用しません。

そう考えると投資は本来、危険なギャンブルなどではなく、より良い未来をつくるために必要不可欠なものであることが理解できるでしょう。

現代に高度経済成長時代の考え方は当てはまらない

しかし、こう反論する方もいるかもしれません。

日本の高度経済成長時代は、家計の投資比率が低いにもかかわらず、個人は豊かな生活をしていたのではないか、と。

実は高度経済成長時代の日本では、国家や企業が個人に代わって十分すぎる投資をしており、家計もその恩恵を受けていたにすぎません。

企業が運用(投資)をして社員に確定年金を支払う確定給付型年金から、社員自身が年金の運用(投資)をして将来の年金額が決まる確定拠出型年金への制度変更が相次ぐ現状を見ると、国や企業から「人生を豊かにする運用(投資)は、個々人の責任でやってください」というメッセージが発信されているということを感じずにはいられません。

バブル崩壊後の日本とアメリカ

バブル崩壊後の日本とは対照的に順調な経済成長を遂げたアメリカは、個人金融資産においても大きな投資がなされ、それが国民の豊かな生活の一助になっています。

この「貯蓄・投資比率」の差も、日米の大きな経済格差を生み出した一因になったのは紛れもない事実だと思います(図表3-1)。

図表3-1 日米の個人金融資産比較図

一方で、アメリカ国内での個々の投資額の格差がさらに大きな経済格差を生み出し、社会問題になっていることは周知の事実です。

社会全体としては決して上手くいっているとは言えないアメリカですが、投資が国家・企業・家計の豊かな未来を形成している点には学ぶべきことがあるように思います。

日本もまだ遅くはありません。

世界的に見れば、大きな個人金融資産2,000兆円があります。

この運用利回りが1%アップしただけでも、年間20兆円の金融収益が家計を潤します。

それは個人の生活を豊かにするだけでなく、消費や投資に回ることで日本経済を活性化する効果も期待できるのです。

▼社長のための資産形成戦略 シリーズ

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