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社長個人の節税になる?資金繰りにも役立つ「小規模企業共済」とは-社長のための資産形成戦略Vol15

森 健太郎

この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

社長個人の節税になる?資金繰りにも役立つ「小規模企業共済」とは-社長のための資産形成戦略Vol15

小規模企業共済で節税

ここまで、会社の税金に効果的な節税方法をお伝えしてきました。

次に説明する「小規模企業共済」は、会社の節税に使うことはできませんが、社長個人の節税にはとても役立ちます

社長にとって、会社の節税と個人の節税を両方考えることは大切です。

なぜなら、会社の成長に伴い役員報酬を上げると、社長の税金も増えていくからです。

そこで、個人の節税のために最初に活用したい方法として、小規模企業共済について紹介します。

小規模企業共済を簡単に説明すると、「社長自身の退職金の積み立て」になります。

小規模企業の経営者などは、自ら退職金を積み立てておくことが困難なので、そのような経営者にも退職金を提供できるようにするために、この制度が設けられました。

法人保険を活用した退職金の積み立ては会社として行うものですが、小規模企業共済は個人として行うものです。

このいずれも実行すれば、法人と個人の両面から、退職金を用意することができます。

小規模企業共済の加入手続きを行うと、毎月一定の掛け金を国が運営する中小企業基盤整備機構に払います。

この掛け金は、個人の税金を計算するときに全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。

掛け金は月額最低1,000円~7万円の範囲で自由に設定できるので、最高で年間84万円の所得控除を増やせるというわけです。

図表2-3 小規模企業共済の掛け金の全額所得控除による節税額一覧表

その節税効果は、個人の所得と掛け金の額によって決まります(図2-3)。

役員報酬などの所得が多い社長であれば、簡単に毎年数十万円単位の税負担を減らすことができるでしょう。

ちなみに、小規模企業共済の掛け金は個人の所得控除という扱いなので、法人の損金にはなりません。

しかし、掛け金相当額を役員報酬に上乗せするという方法で、間接的に法人税の節税効果も得られます

たとえば、役員報酬を月5万円アップすると、会社の税金が減る一方で、個人の税金が増えてしまいます。

そこで小規模企業共済の掛け金を月5万円増やせば、個人の所得と相殺でき、税金アップを防ぐことができます。

そして、積み立てた掛け金は、将来自分が社長を辞めるときや、年齢などの条件を満たした場合に、「払った金額+α」が共済金として返ってきます。

共済金の金額は、掛け金の納付期間などにもよりますが、納付した掛け金総額の最大120%相当額になります

たとえば、役員報酬が年間400万円の人が掛け金を年間84万円に設定すると、個人にかかる税金は毎年約20万円安くなります。

これが20年間続けば、掛け金の支払額1,680万円に対して400万円分の節税効果を得たことになります。

そして、20年後に社長を辞めたときには約1,850万円が返ってくるというかたちです。

将来受け取る共済金については、一括で受け取ることも、分割で受け取ることも可能です。

一括受け取りの場合は「退職所得控除」が、分割受け取りの場合は「公的年金等控除」が適用されることで、税金を低く抑えることができます。

このように小規模企業共済は、実質的にお金が出ていかない節税方法です。

そのため、創業期から安心して取り入れることができます。

ただし、小規模企業共済の加入期間が短いタイミングで解約すると、元本割れが生じる可能性がある点には注意が必要です。

掛け金の納付月数が240カ月(20年)未満で任意解約した場合には、支払われる解約手当金が掛け金の額を下回る場合があります。

掛金納付月数自体は240カ月を超える場合であっても、途中で掛け金を増減した場合には、任意解約した場合の解約手当金が掛金の合計額を下回る場合もあります。

こういった意味から、小規模企業共済を利用するときは、基本的には20年以上は継続して積み立てることを想定しておきましょう。

小規模企業共済は資金繰りにも役立つ

小規模企業共済について、節税とは違う側面からメリットを説明したいと思います。

「個人の節税策」という意味では、医療費控除や住宅ローン減税などさまざまなものがあります。

しかし、そうした方法よりも小規模企業共済を優先すべき理由は、「資金繰りに役立つ」という理由にあります。

具体的には、次の2点の特徴が小規模企業共済の強みとして挙げられます。

  • ①掛け金を自由に設定でき、簡単に変更できる
  • ②独自の貸付制度がある

すでに説明したとおり、小規模企業共済の掛け金は1,000円~7万円の範囲で設定できます。

この範囲内であれば、いつでも500円単位で掛け金を増減させることが可能です。

したがって、たとえば会社の業績が悪化して役員報酬を下げざるを得なくなったときは、掛け金を減額して対応することができます

そして、いずれ業績が戻れば、掛け金を増額すればいいのです。

掛け金の範囲を1年分に直すと1万2,000円~84万円と幅広いので、その時々の状況に合わせて柔軟に設定できるのは便利です。

掛け金の変更について特別な条件はなく、希望するタイミングで届出書を出せば、次回の引き落としから変更後の金額になります。

次に、小規模企業共済の貸付制度についてです。

こちらは「小規模企業共済の掛け金の7割から9割を限度として借り入れができる」というものです。

次のとおり、事業などの事情に合わせた貸付制度があり、金利も比較的低く設定されています。

  • ①一般貸付制度
  • ②緊急経営安定貸付け
  • ③傷病災害時貸付け
  • ④福祉対応貸付け
  • ⑤創業転業時・新規事業展開等貸付け
  • ⑥事業承継貸付け
  • ⑦廃業準備貸付け

たとえば、一般貸付制度であれば、借入期間が「100万円以下の場合には6カ月または12カ月」といったように定められており、借入利率は年1.5%と設定されています。

とくに審査に時間がかかることもなく、手続きをすれば速やかに資金を調達することができます。

社長にとって、複数の資金調達の手段を持つことは大切です。

売上がストップして資金不足に陥りそうなとき、銀行から融資を受けられるとは限りません。

そうしたとき、小規模企業共済の貸付制度により助かる可能性があります。

将来の退職金目的の積み立て制度に「個人型確定拠出年金(iDeCo)」がありますが、原則として60歳になるまで掛け金を引き出すことができない点がネックです。

そのため、節税効果を高めるために掛け金を高く設定すると、資金繰りが悪化したときに苦しくなってしまうのです。

小規模企業共済はしっかり節税効果を得ながらも、いざというときは助けになりますから、ガムシャラ期の社長はとくに活用したほうがいいでしょう。

▼社長のための資産形成戦略 シリーズ

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