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創業期の王道的節税(1)役員報酬最適化-社長のための資産形成戦略Vol9

森 健太郎

この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

創業期の王道的節税(1)役員報酬最適化-社長のための資産形成戦略Vol9

最初に行うべきは「王道的節税」

Vol8の説明で、「では、節税しないほうがいいの?」と思われたかもしれません。

しかし、それも違います。

節税には〝順序〟があるのです。

節税には次の4つのタイプがあります。

  • ①お金が出ていかない最優先の王道的節税
  • ②お金は出ていくが、将来につながる投資型節税
  • ③お金は出ていくが、自分の会社を守るための保守的節税
  • ④お金が出ていき、将来にもつながらない消費型節税

高級車を買うような節税は、これらのタイプに当てはめると④の消費型節税になります。

ベンツを買っても、それは将来の会社の利益に直接つながらないからです。

繰り返しになりますが、創業期は生き残ることが第一優先です。

そのためには、お金が出ていかず、かつ節税効果の高い①の王道的節税から行う必要があります

①王道的節税には、④消費型節税のようなリスクはありません。

やれば確実にトクですから、創業時から取り入れるのがおすすめです。

できれば会社設立前から準備をしておき、設立と同時に節税効果を得るようにしましょう。

王道的節税とは

この記事で紹介する「王道的節税」とは、「役員報酬の適正化」「旅費日当」「社宅家賃」の3つです。

このほかにも「在庫の評価見直しや特別償却」「税額控除の活用」といった方法も「王道的節税」として挙げられますが、ややテクニカルな方法であるため、ここでは割愛します。

まずは、3種類の節税方法をきちんと取り入れるだけで、会社によっては数百万円もの節税効果を期待できます。

これだけ税負担が下がれば、「税金を払いたくないから脱税をする」といった誤った考えが起きることを防ぐことにもつながるでしょう。

シミュレーションで考える節税効果

3つの方法の具体的な使い方は後ほど説明するとして、まずは節税効果のイメージをつかんでいただければと思います。

仮にA社とし、王道的節税を3つとも使った場合と、使っていない場合の税金額がどのくらい違うのか実際に比較してみましょう。

A社は、1年間の売上1億円のうち8000万円を経費として使っています。

この経費の中には社長の役員報酬600万円(月額50万円)が含まれています。

この場合、会社(法人)にかかる税金と、社長(個人)にかかる税金を計算した結果は、次のとおりです。

  • ・法人税 439万円
  • ・法人事業税 163万円
  • ・法人住民税 35万円
  • ・個人所得税 35万円
  • ・個人住民税 39万円
  • 合計 711万円

この会社が、次の3つの節税を実行していたとして再計算すると、このようになります。

  • ①最適役員報酬の決定……社長の役員報酬を90万円、配偶者の役員報酬を80万円に設定
  • ②旅費規程の作成と日当の支給……社長が毎月平均7日間出張に行っており、日当が2万円で、年間168万円の経費を追加
  • ③賃貸物件を借り、社長の社宅として活用……物件の賃料と、社長から支払われる家賃の差額として年間120万円の経費を追加
  • ・法人税 45万円
  • ・法人事業税 13万円
  • ・法人住民税 10万円
  • ・個人所得税 229万円
  • ・個人住民税 154万円
  • 合計 451万円

なんと、節税をする場合としない場合とでは、260万円も税負担に差が出るのです。

節税はそれぞれの会社に向くもの、向かないものがありますが、この3つの方法は、基本的にあらゆる会社で大きな節税効果が生まれます。

この内容をしっかりと理解して実行すれば、節税していない会社と比べれば、相当なお金を会社に残すことができるはずです。

これは企業の競争力を高めることにもつながり、生き残る可能性が高まります。

役員報酬を適正化する

会社を立ち上げるとき、必ずと言っていいほど迷うのが、役員報酬の設定です。

役員報酬は、会社と社長個人の税金や社会保険料に大きく影響しますし、一度設定をすると原則として1年間は変更できません。

まずは、役員報酬を上げることと下げることの主なデメリットを理解しておきましょう。

〈役員報酬を上げるデメリット〉

  • ・社長の所得税・住民税が増える
  • ・社会保険料が増える

〈役員報酬を下げるデメリット〉

  • ・会社の税負担がアップする
  • ・社長の生活費が不足するおそれが出る
  • ・銀行からの評価が低くなる

このように、役員報酬を上げること、下げることには、それぞれデメリットがあります。

そのため、「会社の節税になるから役員報酬を上げよう」などとひとつの理由だけで決めてしまうと、後から思わぬデメリットが生じて困る可能性があるのです。

役員報酬の決め方とは

役員報酬を決めるときの基本的な考え方は、「最初は低く設定し、会社の業績に合わせて上げていく」ということです。

通常、創業期は会社の利益がまだ少なく、会社にかかる税金は低くなっています。

そもそも会社が赤字であれば、会社にかかる税金はほぼゼロです。

このような状況で役員報酬を上げても、会社の節税にはつながりません。

単に社会保険料や社長個人の税金が増えるだけというデメリットが生じるので、やめておいたほうがいいでしょう。

こういった意味から、「創業期で利益が少ない間は、役員報酬を低く設定することが有効」と考えられます。

会社の利益の金額や、社長の生活費を目安にして、役員報酬を低く設定しておけば、社会保険料や社長個人の所得税・住民税も節約することができます。

その後、会社の利益が増えてきたら、役員報酬を上げていきましょう。

然(しか)るべきタイミングで役員報酬を上げないと、会社のほうに税金が多くかかるため、少なくとも年に一度は役員報酬の金額を見直してください。

それでは、役員報酬を変える影響について、次の2つの例を比べてみましょう。

  • ①自分の役員報酬が月額30万円(=年間360万円)で、会社に1000万円の利益が残っている場合
  • ②自分の役員報酬が月額100万円(=年間1200万円)で、会社に160万円の利益が残っている場合
  • ※扶養家族が妻と16歳以上19歳未満の子ども2人(社会保険料は考慮しないと仮定)

①の場合には、法人税等が約270万円、個人の所得税と住民税の負担合計が約14万円で、合計284万円ほどが、概算納税額になります。

これに対して、②の場合には、法人税等が約42万円、個人の所得税と住民税の負担合計が約222万円で、合計約264万円が概算納税額になります。

①と②を比べると、約20万円も納税額が違います

このように、自分の役員報酬を最適なラインに設定することが、中小企業の節税の第一歩なのです。

家族に役員報酬を払う

創業期には役員報酬を低めに設定することをおすすめしましたが、同時に考えたいのが「家族に役員報酬を払う」ということです。

これを行うことで、税金や社会保険料を抑えつつ、生活費もある程度使えるようになります。

次の2つのケースで比較をしてみましょう。

  • ①自分の役員報酬が月額100万円(扶養なし)
  • ②自分の役員報酬が60万円、配偶者の役員報酬が40万円(扶養なし)

この2つのケースは、会社から見ると役員報酬を年間1200万円支払っています。

ですから、会社の税金に対する節税効果は①と②で変わりません。

しかし、個人の所得税・住民税を計算すると、①が約255万円であるのに対し、②は約156万円ほどに収まります。

このように個人の税負担に差が出てくるのは、日本の所得税が累進税率になっているからです。

1人で1200万円を取る場合と、2人で分けて1200万円取る場合とでは、後者のほうが税率は低くなります。

また、基礎控除などの所得控除を2人分使えることによる節税効果もあります。

もちろん、配偶者が会社の業務に何もタッチしていない場合は、役員報酬を支払うことはできません。

しかし、経理や雑務など何かしらの会社の業務に携わっている場合には、役員報酬を支払う方向で検討するといいでしょう。

ポイントは所得を分散させること

配偶者のほかにも、成人した子などの家族に役員報酬を支払った場合も、同様の効果を期待できます。

このように、役員報酬を設定するときは「所得を分散させる」ということを意識するのが大切です。

所得税の税率を低くするという意味では、「半々にする」のがひとつの目安となります。

ただし、役員報酬を社長と配偶者の2人で受け取る場合、常に半々がベストというわけではありません。

銀行から融資を受ける際、代表者の収入があまりに低いと融資額が少なくなることがあるからです。

創業期で会社の収入が少なく、そもそも役員報酬を多く出せる余力がない状況であれば、あえて配偶者を扶養に入れる範囲に設定するのもひとつの考え方です。

その後、役員報酬を支払える余力が増えたら、所得分散効果を狙って、社長と配偶者それぞれの役員報酬を上げる、これが基本的な考え方になります。

とくに、配偶者を社会保険の扶養に入れることによる節約効果は侮(あなど)れません。

配偶者を社会保険の扶養に入れると、配偶者の健康保険料や介護保険料、国民年金保険料の支払いを免れることができます。

社会保険の扶養は「年間収入130万円」がボーダーラインになるので、配偶者の役員報酬を考えるときの目安にするといいでしょう。

また、扶養に入れるときは勤務実態に合わせて「非常勤役員」として、年金事務所に届けておくのが無難です。

このように役員報酬の設定は奥が深く、社長だけで考えるのは難しいかもしれません。

できれば、税理士や社会保険労務士に相談したうえで、年に一度、最適な報酬を探るようにしておきましょう。

▼社長のための資産形成戦略 シリーズ

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