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【社長の資産運用】成功・失敗を分けるものとは-社長のための資産形成戦略Vol1
この記事の執筆者 税理士 森健太郎
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
社長として豊かな老後を送るために
多くの社長は、朝一番に出社して夜遅くまで働いています。
会社や家族、従業員のためにほとんどの時間を使い、自分のことは後回しです。
しかし、驚くほど速いスピードで老後がやってきます。
老後に十分なお金があれば、豊かなセカンドライフを楽しむことができるでしょう。
そして、家族とのふれあいや死ぬまでにやりたかったことなど、現役時代にはできなかったことに時間を使うことも可能です。
でも、肝心のお金がなければ、そうはいきません。
リタイアする間際になって、「もっとお金を大切にしておけばよかった」「きちんと運用してお金を増やしておくべきだった」と後悔しても、失った時間を取り戻すことはできません。
夢や理想を持って事業を起こしたはずなのに、お金のために死ぬまで働き続けなければならなかったり、やりたいことを我慢しなければならなかったりといった人生になってしまったら、あまりに悲しいことではないでしょうか。
このような事態を避けるために、社長は社業に没頭するだけでなく、早期に社長個人の資産形成や運用にも目を向けていく必要があります。
具体的には、社業がある程度軌道に乗った段階で、役員報酬から生活費を引いた残りのお金を運用することで、将来起こり得るさまざまな問題を解決することができるのです。
そして、早いうちからその準備をすることで、自分が本当に望んでいたことを我慢せずに行うことができるようになるのです。
資産運用に成功する社長と失敗する社長を分けるもの
このシリーズの読者の中には、すでに知人の経営者あるいは顧問税理士などからすすめられて、株式や不動産などへ投資をしている社長もいらっしゃるでしょう。
しかし、その一方で「人からすすめられた投資話を実践しても、実際にはうまくいかない」という話をよく聞きます。
それはなぜなのでしょうか?
「多くの社長は自身の資産運用について考える時間がない」これが、最大の問題なのです。
とりわけ小さな会社の場合、従業員への指示をはじめ、顧客開拓、資金繰り、労務管理、顧客対応など、社長自身がさまざまな業務を行わなくてはなりません。
加えて、昨今はさまざまなハラスメント問題や時短などの働き方改革、さらには新型コロナウイルス感染症対策など、新たな問題への対応も社長の仕事に加わっています。
そのような多忙な状況の中で知人や銀行から投資話を持ちかけられるため、十分に検討することなく不動産や株式を購入し、結果的に損をしてしまうのです。
その一方、「資産運用の上手な社長」がいるのも事実です。
しかし、そのような社長も本業に追われ、自身の資産運用に多くの時間を割くことはできません。
にもかかわらず、なぜ資産運用の成績に差が生まれるのでしょうか?
その理由こそが、このシリーズで私が一番お伝えしたい内容なのです。
資産運用成功のポイントは?
結論を最初にお伝えすると、答えは「節税や投資、相続の基本知識を身につけて、専門家の力を上手に使う」ということになります。
資産運用に成功する社長は、効率的な資産運用の方法を知っています。
それは〝放し飼い〟で資産を運用することです。
自身でその都度投資の判断をするのではなく、専門家の力を借りて効率的に資産を増やしています。
その反対に、資産運用に失敗する社長は、知人から得た不確かな情報だけを参考にして、専門家の意見をほとんど活用しません。
自分の判断だけで資金を動かしているので、プロがひしめく投資の世界では敗者となってしまうのです。
社長にはサラリーマンとは異なる資産形成の方法がある
言い方を変えると、社長とサラリーマンでは、そもそも財産のつくり方がまったく違います。
社長は「個人」と「会社」の両方を考える必要があるため、一筋縄ではいきません。
しかし、逆に言えば、〝社長にしかできない〟資産形成の手法があるのも事実です。
私が所属するベンチャーサポートグループは、5士業(弁護士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)と保険会社、不動産会社から構成されており、これまで2万5000社を超える会社の設立をお手伝いし、税金や社会保険、法律相談などの面でサポートをしてきました。
また、相続税部門は毎年1500件を超える相続税申告をしております。
私自身、税理士・行政書士として、会社設立のお手伝いから、中小企業の税務顧問、M&A(企業の買収・合併)、事業承継、相続まで、さまざまな業務を経験してきました。
このシリーズでは、私の経験に加え、ベンチャーサポートグループ全体がこれまで蓄積してきた経験から得たノウハウを駆使して、社長の人生を創業からリタイアに至るまで3段階に区切ったうえで、各段階ごとに社長が行うべき資産形成や節税の手法をまとめています。
また、資産運用に関するトピックについては、資産運用の専門家である株式会社バリューマネジメントの中浜祐士氏に解説していただきました。
加えて、社長の老後を見据えた資産運用を成功させるためには、相続や事業承継といった要素を考えることも重要です。
これらの点もシリーズの最後にお伝えします。
資産形成を考えるのに遅すぎるということはありません。
今日が人生で一番若い日ですから、今すぐに始めることが一番効果的なのです。
このシリーズを参考に、ぜひ今から豊かなセカンドライフを送るための第一歩を踏み出してください。
▼社長のための資産形成戦略 シリーズ
- Vol1 社長のための資産形成戦略-【社長の資産運用】成功・失敗を分けるものとは
- Vol2 社長のための資産形成戦略-「社長」という人生。架空のストーリーから見る失敗ポイント①ガムシャラ期
- Vol3 社長のための資産形成戦略-「社長」という人生。架空のストーリーから見る失敗ポイント②成熟期
- Vol4 社長のための資産形成戦略-「社長」という人生。架空のストーリーから見る失敗ポイント③リタイア期
- Vol5 社長のための資産形成戦略-「社長」という人生。理想的なゴールとは
- Vol6 社長のための資産形成戦略-パーソナルファイナンスとは?3つのポイントから資金繰りの戦略を考える
- Vol7 社長のための資産形成戦略-創業期は「生き残り」を最優先に!キャッシュを手元に残すためにできること
- Vol8 社長のための資産形成戦略-儲かる前に対策を!創業期にやってはいけない節税方法
- Vol9 社長のための資産形成戦略-創業期の王道的節税(1)役員報酬最適化
- Vol10 社長のための資産形成戦略-創業期の王道的節税(2)旅費日当の活用
- Vol11 社長のための資産形成戦略-創業期の王道的節税(3)社宅の家賃を経費に
- Vol12 社長のための資産形成戦略-利益が出た後ではもう遅い?創業期から税理士と顧問契約するメリット
- Vol13 社長のための資産形成戦略-成長期の節税は攻守のバランスがカギ!攻めの節税対策とは?
- Vol14 社長のための資産形成戦略-成長期はリスクへの備えも万全に!守りの節税対策について
- Vol15 社長のための資産形成戦略-社長個人の節税になる?資金繰りにも役立つ「小規模企業共済」とは
- Vol16 社長のための資産形成戦略-消費型節税はホントに節税になるのか見極めが肝心
- Vol17 社長のための資産形成戦略-融資の活用は慎重に!融資との付き合い方やタイミングについて
- Vol18 社長のための資産形成戦略-成熟期に社長個人の資産形成を本格化すべき理由
- Vol19 社長のための資産形成戦略-銀行の言いなりはNG!成熟期の銀行との付き合い方
- Vol20 社長のための資産形成戦略-投資には絶対公式がある?ポイントとなる3つの要素
- Vol21 社長のための資産形成戦略-投資収益率(リターン)の決定要因とは?
- Vol22 社長のための資産形成戦略-リスクの意味とリターンとの関係性を正しく理解しよう
- Vol23 社長のための資産形成戦略-長期分散投資はリスクコントロールに効果的?
- Vol24 社長のための資産形成戦略-投資信託とは?メリットと注意点をわかりやすく解説
- Vol25 社長のための資産形成戦略-インデックスファンドとアクティブファンドの違い【どっちがおすすめ?】
- Vol26 社長のための資産形成戦略-資産運用にファイナンシャルアドバイザーは必要?何を助言してくれる?
- Vol27 社長のための資産形成戦略-余裕があれば法人での資産運用も!会社の資金で投資した場合の取り扱い
- Vol28 社長のための資産形成戦略-社長がやってはいけない投資【金融商品で損をしないための最適解とは?】
- Vol29 社長のための資産形成戦略-「不動産投資はやめておけ!」安易にすべきではない理由
- Vol30 社長のための資産形成戦略-リタイア期の落とし穴|いつ経営から退く?失敗しないためのプランとは
- Vol31 社長のための資産形成戦略-リタイア期の落とし穴|見えない負債「相続税」
- Vol32 社長のための資産形成戦略-リタイア・退職後の収支はどうなる?資産運用のススメ
- Vol33 社長のための資産形成戦略-リタイア後に年金はいつから受け取る?退職金はどう準備する?
- Vol34 社長のための資産形成戦略-社長引退の選択肢(1)事業承継
- Vol35 社長のための資産形成戦略-社長引退の選択肢(2)M&A
- Vol36 社長のための資産形成戦略-社長引退の選択肢(3)会社清算
- Vol37 社長のための資産形成戦略-相続税って何?基本をわかりやすく解説
- Vol38 社長のための資産形成戦略-生前にできる相続税対策|暦年課税による生前贈与と特例の活用
- Vol39 社長のための資産形成戦略-不動産や生命保険が相続税対策に役立つ仕組み
- Vol40 社長のための資産形成戦略-相続税対策は「二次相続」や「認知症」まで考えよう
- Vol41 社長のための資産形成戦略-3,000万円控除?相続財産の自宅に活用できる「空き家特例」とは
- Vol42 社長のための資産形成戦略-「相続税を資産運用で取り戻す」という考え方