「おひとりさま相続」について調べたことがある人は1割未満。相続先を決めていないおひとりさまは6割超に上る
ベンチャーサポート相続税理士法人(本社:東京都中央区、代表税理士:古尾谷裕昭 https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/)は、「おひとりさま相続」に関する調査を実施しましたので、お知らせいたします。
<おひとりさま相続に関する調査結果トピックス>
- 約半数が相続について考えたことはあるが、「おひとりさま相続」は9割以上が調べたことがない
- 6割超が「誰に相続するか決まっていない」と回答
- 相続先を決めた理由「周囲に迷惑をかけたくない」が最多
- 認知症などに備えて、任意後見制度の利用を検討したことがある人は1割にも満たない
- 家族信託を検討したことがある人、死後事務委任契約を検討したことがある人はともに約1割
- おひとりさま見守りサービスを利用したい人は3割近く
- 7割が「相続人がいない場合、財産は国庫に帰属することを知っている」と回答
<調査概要>
- 調査方法:ゼネラルリサーチ株式会社のモニターを利用したWEBアンケート方式で実施
- 調査の対象:ゼネラルリサーチ社登録モニターのうち、お子様がいない65歳以上の既婚者・独身者を対象に実施
- 有効回答数:1,007人
- 調査実施期間:2023年12月13日(水)
約半数が相続について考えたことはあるが、「おひとりさま相続」は9割以上が調べたことがない
全国のお子様がいない65歳以上の既婚者・独身者を対象に調査を実施。
「これまでに「相続」について考えたことはありますか?」と質問したところ、約半数が「はい(48.2%)」と回答した。
次に、「「おひとりさま相続」について調べたことはありますか?」と質問したところ、9割が「いいえ(91.6%)」と回答した。
約半数の人が相続について考えたことがあるものの、おひとりさま相続に関して調べたことがある人は1割にも満たないことが分かった。
6割超が「誰に相続するか決まっていない」と回答
「誰に相続する予定ですか?(既婚者の場合は、配偶者の亡き後と仮定してご回答ください)」と質問したところ、「決まっていない(64.7%)」が最も多い回答結果になった。
お子様がいない既婚者や独身者の場合、相続先を決めている人は4割未満と少ないことが明らかになった。
相続先を決めた理由は「周囲に迷惑をかけたくない」が最多。認知症などに備えて、任意後見制度の利用を検討したことがある人は1割にも満たない
「誰に相続するか決まっている」と回答した人を対象に、相続先を決めた理由について調査を実施。
「誰に相続するか決めた理由として、もっとも当てはまるものを教えてください」と質問したところ、「自分が亡くなった後に、周囲に迷惑をかけたくないから(36.8%)」と回答した人が最も多く、次いで「相続したい相手がいたから(28.1%)」と続いた。
誰に相続するか決まっていない理由はどのようなものなのか。
■誰に相続するか決まっていない理由とは?
- 一人では決められないので(60代/女性/沖縄県)
- 弱ってきた時に大変お世話になったと思える人に相続したいが、まだそういう人が出てくるかわからないから(60代/男性/神奈川県)
- まだ現実味がない(70代/男性/奈良県)
- まだ終活には早いと思っているから(60代/男性/千葉県)
「自分が認知症などになったときに備えて、任意後見制度の利用を検討したことがありますか?」と質問したところ、9割が「いいえ(90.5%)」と回答した。
認知症などによって、自分で決断できなくなったときに備えている人は少ないことが明らかになった。
家族信託を検討したことがある人、死後事務委任契約を検討したことがある人はともに約1割
「認知症などになった場合、口座が凍結される可能性がありますが、未然に防ぐために家族信託を検討したことはありますか?」と質問したところ、9割超が「いいえ(93.7%)」と回答した。
続いて、「自分が亡くなった後の葬儀、お墓、遺品整理などのために、死後事務委任契約を検討したことがありますか?」と質問したところ、9割が「いいえ(90.0%)」と回答した。
おひとりさま見守りサービスを利用したい人は3割近く。7割が「相続人がいない場合、財産は国庫に帰属することを知っている」と回答
「おひとりさま見守りサービス(安否や健康状態の確認など)を利用したいと思いますか?」と質問したところ、約3割が「はい(27.8%)」と回答した。
最後に、「相続人がいない場合、亡くなった人の財産は最終的に国庫に帰属することをご存じですか?」と質問したところ、7割が「はい(70.4%)」と回答した。
【まとめ】
誰に相続するか決めていない人は6割を超える。約3割が「おひとりさま見守りサービスを利用したい」など、老後の生活に不安を感じる人も一定数いる
今回の調査で、約半数が相続について考えたことがあることが分かった。
しかし、お子様がいない65歳以上の既婚者・独身者では、相続先を具体的に決めている人は3割にとどまることが明らかになった。
また、任意後見制度や家族信託、死後事務委任契約について検討したことがある人は約1割であった。
さらに、安否や健康状態の確認などをする「おひとりさま見守りサービス」を利用したい人は、約3割に上ることが明らかになった。
相続先は具体的に決まっていないものの、おひとりさまの老後生活に不安を抱える人も一定数いることが示唆された。
少子高齢化が進み、生涯未婚率も増加傾向にある昨今。
おひとりさまの相続をサポートするサービスを上手く活用することで、より安心して老後を過ごせるのではないか。
専門家からのアドバイス
「おひとりさまの遺産を相続するのは誰?生前にできる対策を解説」
おひとりさま相続のアンケート結果では、子どものいない65歳以上の既婚者や独身者の6割が、「相続先が決まっていない」と回答しています。
承継者がいない財産は国庫に帰属するため、家族信託や任意後見制度などの生前対策を専門家が解説します。
おひとりさまの相続財産はどうなる?
親族がまったくいないおひとりさまの場合、相続人がいなければ最終的に相続財産は国庫に入ります。
そのため、友人や知人に財産を渡したいときや、寄付を検討している場合は生前の対策が必要です。
ただし、親族には以下の相続順位があるため、子どもがいない方は、兄弟姉妹などが相続人になるケースもあります。
- 配偶者は常に相続人となる
- 第1順位の相続人:被相続人(亡くなった人)の子ども
- 第2順位の相続人:被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)
- 第3順位の相続人:被相続人の兄弟姉妹
なお、おひとりさまの財産は誰も把握していない場合が多いため、相続が発生すると、ネット口座や暗号資産などのデジタル遺品が放置されることもあるでしょう。
兄弟姉妹が亡くなっており、甥や姪が代襲相続人になる場合、日常的なコミュニケーションがなければ遺産分割協議がまとまらない可能性もあります。
固定資産税を誰が負担するかでもめてしまい、トラブルになるケースもあるでしょう。
おひとりさま相続対策として生前にできる7つのこと
おひとりさまの場合、生前に以下のような相続対策を検討するとよいでしょう。
財産目録やエンディングノートの作成
特に、一人暮らしの方は誰も相続財産を把握していない場合があるため、生前に財産目録やエンディングノートの作成がおすすめです。
財産目録やエンディングノートに相続財産を記載しておくと、何がどこにあるかすぐに確認できるため、相続手続きがスムーズになります。
生前に相続人を把握する
直系尊属の戸籍謄本を出生時まで遡ると、推定相続人が判明するケースもあります。
「傍系」となる兄弟姉妹の戸籍は調査できませんが、直系尊属の戸籍謄本を集めることで、養子の兄弟姉妹が判明する場合もあります。
寄付を検討する
相続人がいないおひとりさまの場合、相続財産を寄付するのもよいでしょう。
積極的に活動している公益法人やNPO法人、自治体などに寄附することで、自分の財産が社会貢献に役立ちます。
遺言書を作成する
遺言書を作成することで、相続人以外の第三者にも財産を承継できます。
なお、遺言書の書き方には厳格なルールがあるため、無効とならないように、専門家に原案を作成してもらい、公証役場で公正証書遺言にするとよいでしょう。
公正証書遺言は公証役場に原本が保管されるため、紛失や改ざんのリスクがありません。
家族信託を利用する
認知症になると財産管理できないため、家族信託を検討してみましょう。
家族信託では、親族だけでなく弁護士などの第三者を受託者に指定できるため、預貯金や不動産などの管理を任せることで、認知症による財産の凍結リスクを回避できます。
ただし、家族信託は契約書作成などの難易度が高いため、相続の専門家に相談することをおすすめします。
任意後見制度を利用する
生前に任意後見人を選任すると、認知症になった場合に財産管理や身上監護を任せることができます。
預貯金や不動産の管理だけでなく、医療や介護に関する契約も代行してもらえるため、不自由のない生活環境を確保しやすくなります。
死後事務委任契約を結ぶ
信頼できる友人や知人がいれば、死後事務委任契約も検討するとよいでしょう。
死後事務委任契約を結ぶと、自分が亡くなったときの葬儀の手配や、年金・社会保険などの行政手続きなどに対応してもらえます。
死後事務委任契約は、友人や知人だけでなく、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することもできます。
さいごに
おひとりさまの相続では、トラブル回避のためにも生前の相続対策が重要です。
相続人がいない方は寄付などを検討してみるとよいでしょう。
ベンチャーサポート相続税理士法人では、無料相談を実施しています。
税理士だけでなく、弁護士や司法書士、行政書士もグループ内に在籍しているため、ワンストップで相談することが可能です。
相続対策などのお悩みは、お気軽にご相談ください。