ペット不可の賃貸物件に住んでいるものの、猫を飼いたくなる方も多く、悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
実際猫の飼育がバレた場合、どうなるのか気になる方も多いですよね。
ペットを飼っていると、部屋に臭いや傷が付く可能性も高く、退去時の費用も高額になるのではと不安に思う方もいらっしゃいます。
この記事では、ペット不可賃貸で猫の飼育がバレた場合のリスクと退去費用の相場を紹介します。
また、退去費用が高額になりやすい3つのケースと、退去費用が高すぎる時の対処法も解説します。
目次
ペット不可賃貸で猫を飼っていることがバレた場合、以下の3つのリスクが伴います。
多額の費用が請求され、退去することにもなりかねません。
ひとつずつ確認しておきましょう。
ペット不可賃貸であるにもかかわらず、ペットを飼っていた場合、修繕(原状回復)費の支払いが求められる場合があります。
原状回復費とは「部屋を入居前の状態に戻す」という入居者の義務で、民法621条で定められています。
引用:
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
ペットの飼育に限らず、入居者は退去時に部屋の修繕を行わなければいけません。
修繕箇所は、国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)に則って行います。
通常の生活している分で付いた傷や汚れは、通常消耗という扱いとなり、原状回復する必要がありません。
しかし、ペット不可の物件で猫が付けたクロスの傷や床の汚れは、原状回復に含まれ、借主の負担で修繕が求められます。
ペットを飼育されている場合は、より傷や汚れが付く可能性も高いため、多額の修繕(原状回復)費を支払うリスクがあります。
ペット不可賃貸物件では、賃貸借契約書にペットを飼育した際の損害賠償請求が明記されている場合があります。
契約違反となるため、契約書に損害賠償請求が明記されている場合は、貸主は借主に対して金銭の請求ができます。
損害賠償請求を支払わないと、最終的に訴訟まで発展し、強制退去はもちろん、財産の差し押さえをされるリスクも伴います。
また、損害賠償請求ではなく、違約金の請求と明記されている場合もあります。
賃貸借契約書に「ペットの入居は不可とする」という内容だけ記載されており、違約金の定めが記載されていない場合は、貸主は違約金の請求はできません。
ペット不可物件で猫を飼育したい場合は、賃貸借契約書の条項や特約事項を確認し、退去時への備えを始めることをおすすめします。
ペット不可賃貸物件でペットを飼育していると、契約が解除され強制退去させられる可能性もあります。
契約の解除をされた借主は、期日までに部屋を明け渡ししなければいけません。
強制退去を無視した場合、訴訟を提起され強制執行によって荷物を搬出される可能性があるため、注意しましょう。
ペットの飼育がバレた場合「多額の修繕(原状回復費)費を支払う上、損害賠償が請求され、強制退去」しなければいけないというリスクが伴います。
早急にペット飼育可の物件を探して退去する方が得策といえるでしょう。
ペット不可賃貸で猫を飼っていたときの退去費用相場は、家賃の2カ月〜3カ月分ほどです。
家賃 | 退去費用の目安 |
---|---|
8万円 | 16万円~24万円 |
10万円 | 20万円~30万円 |
12万円 | 24万円~36万円 |
もちろん部屋の損傷具合によって異なるため、一概には言えません。
しかし、ペット可物件のほとんどが敷金2〜3カ月に設定されているため、おおよそ上記のような費用相場となるでしょう。
では、具体的にどのような項目にいくらの費用がかかるのでしょうか。
ここでは、退去費用の項目別費用相場について紹介します。
クロスの張り替えの費用相場は、部屋の大きさによって異なりますが、おおよそ5万円〜10万円前後です。
部屋の畳数別費用目安は、以下の通りです。
部屋の畳数 | クロスの張り替え費用相場 |
---|---|
6畳 | 5万円~6万8,000円 |
8畳 | 6万5,000円~8万4,000円 |
10畳 | 7万8,000円~9万6,000円 |
賃貸物件の場合、量産品のクロス(白いクロスなど)で施工されている場合が多いです。
しかし、量産品より割高なアクセントクロスを取り入れている場合は、上記の費用相場より高くなります。
フローリングに関しては、おおよそ3万円〜20万円前後です。
ここでは、施工範囲に合わせた費用相場を紹介します。
部屋の畳数 | クロスの張り替え費用相場 |
---|---|
1畳 | 3万円~6万円 |
4畳 | 7万円~14万円 |
6畳 | 8万5,000円~17万5,000円 |
8畳 | 10万円~20万円 |
10畳 | 11万5,000円~22万5,000円 |
フローリングに関しては、1枚や2枚だけなど、部分張替えをする場合もあり、範囲が小さくなるほど費用が安くなります。
柱の修繕の費用相場は、1本あたり1万円〜6万円ほどです。
猫の場合、柱で爪とぎしてしまうケースも多いでしょう。
基本的には柱の交換ではなく部分補修となりますが、傷が多い場合や大きな破損をしていると、費用も高額となります。
賃貸物件で猫を飼っていて退去費用が高額になるケースは、以下の3点要件があります。
ひとつずつ紹介します。
クロスや床の傷が多いと、退去費用も高額になります。
ペットを飼っているからと言って、全面のクロスを張り替えるわけではありません。
基本的には「傷や汚れ」が付いている箇所が補修対象です。
猫は壁で爪とぎをしたりするため、入居者の気が付かないうちに傷をつけてしまっている場合があります。
そのため、クロスや床の傷がひどい場合、高額請求される可能性があります。
また、ペット不可であるにも関わらず契約違反を行ってペットを飼っている場合、全面交換を請求される恐れもあります。
壁だけでなく、柱にも爪とぎした跡があれば、柱の修理費用が高くなります。
1本だけでなく、複数本の柱に傷が付いていると費用もかさみます。
猫は、爪とぎだけでなく、柱を登ることもあり、傷だらけにしてしまう可能性が高いため注意しましょう。
部屋全体に猫の汚れや臭いが染みついてしまっていると、ハウスクリーニング費用が請求され退去費用が高額となります。
普段猫と生活している人は、猫の臭いに気が付かない方も多く「臭いくらいバレないのでは」と考える人もいるでしょう。
しかし猫の臭いは壁や床にしみやすく、猫を飼育していない人はすぐに気が付きます。
また、猫のトイレ周辺は臭いが残り、クロスに排泄物が飛んでしまい、付着してしまうケースもあり得ます。
その場合は、自身で掃除を行っても臭いは残ってしまうため、専門業者によるハウスクリーニングは必須です。
あまりにも汚れが酷い場合は、特殊清掃業者に掃除を依頼するため、高額な退去費用にもなりかねません。
ペット不可賃貸でペットを飼育した場合の退去費用は、高額になるケースが多いです。
あまりにも高すぎる場合、どのような対処法があるのでしょうか。
ここでは、4つの対処法を紹介します。
高額な退去費用を鵜呑みにせず、ひとつずつ確認しておきましょう。
退去費用の中に、貸主負担分が含まれていないかを確認してみましょう。
高額な退去費用の理由の多くは、貸主負担が含まれているケースが多いためです。
日常生活で自然に発生した汚れや損傷は、入居者の責任ではありません。
しかし、退去費用の中に貸主の負担分が含まれている可能性もあります。
明らかに入居者の故意で破損した場合は、原状回復の範囲に該当します。
しかし、日差しによってフローリングやクロスが色褪せた場合や、水回りの水垢やカビは、通常の住まい方をしていても起こる通常損耗です。
通常消耗は、貸主負担で修理しなければいけない項目なため、退去費用の見積もりをチェックしましょう。
貸主負担が含まれていた場合、貸主や物件の管理を行っている不動産会社へ交渉してみましょう。
交渉次第では退去費用が下がる場合や、請求項目から外れる場合があります。
交渉をする際は、どの項目が貸主負担に含まれているかを証明するために「賃貸借契約書」と「国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」を用意しましょう。
ただし、貸主へ直接交渉すると納得してもらえない可能性も高いため、はじめに不動産会社へ伝えるのがおすすめです。
大家や不動産屋と交渉しても高額な退去費用を請求されたままの場合、国民生活センターなどに専門家に相談するのもひとつの方法です。
以下の窓口は、退去費用について無料で相談できます。
相談先 | 連絡先 |
---|---|
国民生活センター | 03-3446-1623(消費者ホットラインにつながらない場合) |
消費者ホットライン | 188 |
日本消費者協会 | 03-5282-5319 |
不動産適正取引推進機構 | 0570-021-030 |
日本賃貸住宅管理協会 | WEBフォームまたはFAXか郵便 |
「退去費用について相談したい」「原状回復について確認したい」と伝えれば、窓口の人から担当者を紹介してもらえます。
状況を伝えれば、的確なアドバイスをもらえるでしょう。
どうしても解決できない場合、民事調停を申し込む選択肢もあります。
ただし、訴訟するためには時間と労力、弁護士の費用がかかるため、最終手段として認識しておきましょう。
訴訟を行い、貸主負担が含まれていると認めてもらえれば、退去費用を安くできます。
注意しなければならないのは、安くなる退去費用より訴訟に関する費用の方が高額となる点です。
訴訟費用の方が高ければ本末転倒です。
事前に弁護士などの専門家に相談してみましょう。
ペット不可賃貸で猫の飼育を行っていた場合、多額の修繕(原状回復費)費を支払う上、損害賠償が請求され、強制退去するリスクが伴います。
退去費用の相場は、家賃の2カ月〜3カ月ほどですが、部屋の損傷状態によって大きく前後します。
高額な退去費用を請求された場合、まずは貸主負担が含まれていないかチェックしましょう。
含まれているのであれば、十分交渉の余地があるので、弁護士や不動産会社などの専門家に相談する方法をおすすめします。