

賃貸契約の「解除通知書」が届くと、多くの人が「本当に退去しなければならないのか」と不安になります。
受取拒否や放置はリスクを高める行為です。
この記事では、解除通知書を受け取ったときに今すぐ行うべき3つの対応と、絶対に避けたいNG対応、原因別の適切な判断を弁護士がわかりやすく解説します。
目次
賃貸契約の解除通知とは、家賃滞納などの契約違反を理由に、貸主が一方的に契約を終了させる通知です。
民法第541条[注1]に基づき、催告後も違反が是正されない場合に行われます。
一方、「解約」とは、契約違反以外の理由で将来に向かって契約を終了させる法律行為で、原因や効力が異なります。
| 解除 | 解約 | |
|---|---|---|
| 主な原因 | 契約違反(家賃滞納など) | 当事者の都合、期間満了 |
| 効力 | 通知到達で契約終了 | 予告期間を経て将来的に終了 |
| 貸主からの要件 | 重大な契約違反 | 正当事由(借地借家法第28条) |
貸主からの「解約」は、貸主に正当事由が求められ、借主は保護されます。
しかし、「解除」は借主側に落ち度があるため、保護が及ばず退去を求められる可能性が高くなります。
[注1]民法/e-Gov
民法第五百四十一条(催告による解除)
賃貸契約の解除通知書が届いても、決して無視したり慌てて行動したりしてはいけません。
内容をよく確認せずに放置すれば、最終的に強制退去を求められるなど、深刻な事態に陥る可能性があります。
まずは冷静に状況を把握し、適切に対応することが重要です。
具体的には、通知書に記載された契約違反の内容や解除日を正確に確認することから始めます。
貸主とのやり取りはすべて記録として残し、ご自身の状況を客観的に証明できるようにしましょう。
そのうえで、速やかに弁護士などの専門家へ相談し、法的な助言を求めましょう。
解除通知書が届いたら、内容を冷静かつ正確に確認することが第一歩です。
まず、解除の根拠として挙げられている行為が、賃貸借契約書のどの条項に違反するかを確認しましょう。
次に、是正を求める期間や契約解除日がいつに設定されているのか、日付を正確に把握します。
最も重要なのが、違反内容を是正すれば解除が撤回されるかです。
通知書に是正を求める記載があれば、それに従うことで契約を継続できる可能性があります。
これらの点を整理し、事実関係を把握することが、貸主との交渉や専門家への相談の基礎となります。
解除通知書が届いた後の貸主や管理会社とのやり取りは、すべて記録として残しておくことが重要です。
届いた解除通知書や賃貸借契約書はもちろんのこと、メールや手紙の文面などあらゆる書面を保管しましょう。
電話や口頭でのやり取りの場合は、「いつ、誰が、どのような内容を話したか」を詳細に記録します。
これらの記録は、当事者間の認識の食い違いを防ぐだけではありません。
万が一交渉が決裂し、調停や裁判といった法的な紛争に発展した場合に、ご自身の主張を裏付ける客観的で重要な証拠となります。
記録の保管を徹底しましょう。
解除通知書に記載された内容に身に覚えがない、あるいは納得できず反論したい場合は、ご自身で対応する前に、速やかに弁護士へ相談しましょう。
解除通知書の法的効力や立ち退き請求の妥当性を正確に判断するためには、原則として専門家への相談が必要です。
弁護士は法的な観点から今後の最適な対応策を具体的にアドバイスし、必要に応じて代理人として貸主との交渉も行ってくれます。
VSG弁護士法人では、賃貸契約トラブルに関する無料相談も受け付けております。
今後の対応に少しでも不安を感じたら、まずはお気軽にお問い合わせください。
解除通知書が届くと、受け取りたくない、見なかったことにしたい、と思ってしまうかもしれません。
しかし、特にやってはいけないのが「受取拒否」と「無視」です。
内容証明郵便などで送られた通知を受取拒否しても、法的には「到達した」とみなされる可能性があります(民法97条2項)[注2]。
また、通知を無視し続ければ、貸主から建物明渡請求訴訟を提起され、最終的に裁判所の判決に基づいて強制的に退去させられる「強制執行」(民事執行法168条1項)[注3]に至るリスクがあります。
事態を深刻化させないためにも、解除通知書は真摯に受け止め、速やかに適切に対応しましょう。
[注2]民法/e-Gov
民法第九十七条(意思表示の効力発生時期等)
[注3]民事執行法/e-Gov
民事執行法第百六十八条(不動産の引渡し等の強制執行)
貸主からの解除通知書が内容証明郵便で送られてきた場合、受け取りを拒否してはいけません。
居留守や受取拒否をしても、法的には「通知が到達したとみなされる」可能性が高いためです(民法第97条第2項・到達みなし)[注2]。
特に家賃滞納など通知が届くことが予測できる状況下では、受取拒否をしても通知は有効と判断されるでしょう。
また、受取拒否は話し合いを拒む姿勢とみなされ、貸主の心証を悪化させる要因にもなります。
知らない間に法的手続きが進むリスクを避けるためにも、まずは書面を受け取り、内容を確認することが重要です。
解除通知書を無視し続けると、通知後1カ月程度で建物明渡請求訴訟が提起される可能性があります。
裁判所からの通知にも応じなければ、貸主の主張が認められ、明け渡しを命じる判決が下されるでしょう。
それでも退去しない場合、最終的には強制執行が行われ、執行官による強制退去が実施されます。
強制退去によって家財道具が強制的に搬出され、鍵も交換されてしまいます。
訴訟費用や強制執行費用も請求されるため、金銭的負担も大きいです。
早期に対応すれば、和解や分割払いなど柔軟な解決が可能ですが、無視を続けると、最終的には強制退去を招くでしょう。
解除通知書が届いたからといって、すぐに退去しなければならないわけではありません。
解除通知書に記載された契約違反の内容が、ご自身の行動によって是正できる場合は、契約を継続できる可能性があります。
まずは、家賃滞納の解消や迷惑行為の停止など、指摘された違反状態を速やかに是正することが第一歩です。
是正措置を講じた後は、その事実を貸主や管理会社に明確に伝え、協議の機会を持つことが重要です。
貸主との間で和解交渉の道が開ける可能性があります。
以下では、主な原因別に具体的な対応方法を解説します。
解除通知で特に多いのが、家賃を滞納したケースです。
まずは指定された期日までに滞納分を速やかに支払いましょう。
全額を支払うことで、貸主が契約解除を撤回する可能性があります。
支払い後は、貸主や管理会社へ完了報告とともに誠意を伝え、信頼関係の再構築に努めましょう。
ただし、滞納が長期に渡ると、貸主との信頼関係が破壊されたと判断される場合があります。
一般的に、滞納が3カ月以上に及ぶと、支払い後でも解除が有効となる可能性があります(信頼関係破壊の法理)。
支払い方法やタイミングなど、対応に不安がある場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。
貸主の承諾なく部屋を又貸しする無断転貸は、多くの賃貸借契約で禁止されている違反行為です。
民法第612条第2項[注4]でも、無断転貸は契約解除の正当な理由として定められています。
金銭の支払いで解決できる家賃滞納とは異なり、貸主との信頼関係を著しく損なうとみなされます。
たとえ転貸をやめて元の状態に戻したとしても、「信頼関係はすでに破壊された」と判断され、解除を撤回しない可能性は十分に考えられます。
対応を誤ると状況が悪化する恐れがあるため、まずは弁護士に相談し、慎重に交渉の方針を立てましょう。
[注4]民法/e-Gov
民法第六百十二条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
住居専用物件の事務所利用、ペット禁止物件でのペットの飼育は、禁止用途での利用にあたる契約違反です。
特にペットの飼育は、貸主との信頼関係を損なう行為とされやすい典型例です。
ペット禁止の特約がある場合、一度でも飼育した事実は重大な違反と判断されます。
たとえその後ペットを手放したとしても、「信頼関係は破壊された」とされる場合があるでしょう。
建物の汚損や臭いの問題だけでなく、契約を破った点が問題視されるためです。
違反を是正しても解除が有効となる可能性は残るため、慎重な対応が求められます。
賃貸物件で借主が近隣住民への迷惑行為を繰り返している場合、貸主からの解除通知が認められる可能性が高くなります。
たとえば、夜間などの非常識な時間帯の騒音や、共用部分にゴミを溜め込み悪臭を発生させているケースがこれにあたります。
暴力行為や不審な言動を繰り返している場合も、解除の正当事由として成立するでしょう。
貸主にとって、近隣住民に影響が及ぶ迷惑行為は、今後の賃貸経営にも関わる非常に重大な問題です。
一度信頼関係が破壊されると、解除通知を受け取ってから迷惑行為を是正したとしても、契約解除が認められる可能性が高いでしょう。
賃貸契約の解除通知書が届いたことによる慌てた行動は状況を悪化させ、受取拒否や放置は強制退去につながるリスクを高めます。
一方で、通知の原因によっては、適切な対応により契約を継続できる可能性も残されています。
解除通知書が届いてしまったら、以下の3ステップで対応を進めましょう。
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