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原状回復とは?現状回復との違いや借主が負担すべき範囲・費用相場

この記事でわかること

  • 原状回復と現状回復の違い
  • 借主が負担する原状回復の範囲
  • 原状回復費の費用相場
  • 原状回復費用を抑える方法

アパートやマンションから退去する際、原状回復費用を請求される場合があります。
原状回復とは、どのようなことなのでしょうか。

また、原状回復と似たものに「現状回復」という言葉がありますが、それぞれの違いについて理解しておく必要があります。

この記事では原状回復と現状回復の違いと、借主が負担する原状回復の範囲と費用相場について解説します。
また、原状回復費用を抑える3つの方法も紹介します。

原状回復とは

ここでは、原状回復とはどのようなことなのかについて詳しく紹介します。

借主に発生する義務

原状回復とは、借主が部屋を入居前の状態に戻す義務を指します。
民法621条では、以下の条文で原状回復義務を定めています。

引用
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

引用:民法 | e-Gov法令検索

借主が退去する際は、借りた部屋を入居時の状態に戻して貸主へ返還しなければいけません。

とはいえ、建物は年々劣化していくため、すべて借主の負担で修繕するとなると、経済的負担が大きくなるでしょう。

そのため、国土交通省が定めた原状回復のガイドラインに則って、借主が負担する原状回復の範囲が定められています。

ガイドラインによる原状回復の定義

原状回復の範囲は、曖昧な状態が続いており、以前は敷金返還に関するトラブルが多くありました。
1998年に国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表したのをきっかけに、原状回復の定義化されました。
ガイドラインによると、日常生活で自然に発生した汚れや傷は、借主の責任ではないと定義されています。

この定義は現在でも変わっていませんが、2020年4月1日に原状回復にまつわる民法が改正されました。

以前のガイドラインでは、通常消耗と経年劣化の部分は借主負担ではない旨が明文化されていませんでした。
つまり、通常消耗と経年劣化による損傷などは、どこまでの範囲が含まれるか曖昧な状態であったということです。

しかし、民法改正後は、借主の故意や不注意でない限り、原状回復義務を負う必要はないと定められています。

原状回復と現状回復の違い

原状回復と似ている言葉に、現状回復があります。
ここでは、2つの違いについて紹介します。

現状回復とは

賃貸借契約における現状回復は、原状回復を指し、誤った言葉で認識されています。
現状回復は、現在の状態に戻すという意味合いになってしまうため、退去時においては正しい言葉ではありません。

原状回復は、あくまでも入居前の部屋の状態に戻すという意味であるため、現状回復と認識されているのは誤りです。

もし賃貸借契約書に誤って現状回復と記載されている場合は、不動産会社へ確認しておきましょう。

原状復帰という言葉もある

もうひとつ、原状回復に似た言葉で原状復帰があります。
原状復帰とは、建設業界や建設業に携わる人の中で使われる言葉で、元の状態に復帰させるという意味です。
つまり、原状回復と同じ意味になります。

しかし、原状復帰は建築用語であるため、賃貸借契約においては、原状回復という法律用語が使われるのが一般的です。

原状復帰という言葉が使われるのは、主にオフィスや店舗などの大規模な工事を行うときです。
居住用の物件と異なり、事業用の物件はクロスや床、クリーニングなど、工事範囲が広いです。
これらの一連の工事を、施工会社は原状復旧工事と呼ぶ場合もあります。

借主がすべき原状回復の範囲

ここでは、借主が負担すべき原状回復の範囲について紹介します。

原状回復の範囲

借主が負担する原状回復の範囲は、国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)に明記されています。
前述したように、ガイドラインによると、通常の使用や経年劣化による損傷などは、原状回復には含まれません。

一方、借主が故意や不注意で付けた傷や損傷は、原状回復の対象に含まれます
具体的にどのような項目が原状回復に該当するのか、次に詳しく紹介します。

借主が負担する費用

借主が負担する原状回復の範囲は、日常生活の不注意や故意でつけてしまった傷や汚れなどです。
主に以下のような項目が挙げられます。

  • 引っ越し作業でできた傷
  • 子どもの落書き
  • ペットのひっかき傷やニオイ
  • たばこのヤニ汚れ
  • 物を落して付けた傷
  • 結露放置による腐食やカビ

普段から部屋をきれいに使用し、傷や汚れがない状態を保てれば、原状回復費用を請求されずに退去できるでしょう。

貸主が負担する費用

一方、貸主が負担する原状回復の範囲は、経年劣化や自然災害などで損傷・破損した箇所です。
主に以下のような項目が該当します。

  • 家具や家電の設置による床の傷や凹み
  • 冷蔵庫やテレビ裏の黒ずみ
  • 日照などによるクロスや床の変色
  • 耐用年数が経過したエアコンや給湯機などの故障
  • 災害による窓のひび割れ

借主の事情に関係なく、経年劣化によって床やクロスに傷が付いた場合や変色した場合は、貸主が負担して修理しなければいけません。

また、耐用年数が過ぎた設備の故障も、貸主の費用負担となります。

ただし、賃貸借契約書に特約が定められている場合もあります。
たとえば、耐用年数が過ぎたエアコンが十分使える状態であるにもかかわらず、入居者家族が物を投げて破損させてしまった場合です。

本来は、耐用年数が経過しているため貸主負担となりますが、特約にこうした場合には借主が修理費用を負担すると明記されているケースもあります。

上記の他にも、クロスの張替え費用は借主が全額負担するなどの特約が記載されている場合もあります。

原状回復の負担について、特約の定めがないか契約書をよく確認しましょう。

借主が行う原状回復にかかる費用の内訳・相場

ここでは、借主が負担する原状回復費用の目安相場と内訳相場について紹介します。

間取り別原状回復費用の相場

原状回復費用の相場は、おおよそ5万円〜9万円程度です。
以下の表は、間取り別の原状回復費用の目安価格です。

間取りタイプ 原状回復費用の目安
1R・1K 5万円~5万5,000円
1DK・2K 5万円~5万5,000円~6万円
1LDK・2DK 6万円~6万5,000円
2LDK・3DK 6万5,000円~8万円
2LDK・4DK 8万円~9万円
4LDK・5DK~ 9万円以上

もちろん、原状回復費用は損傷具合によって異なるため、1万円程度で済む場合もあります。
また部屋をきれいに使用していれば、請求されないケースも多いです。

項目別原状回復費用の相場

原状回復費用は、修繕する項目ごとに費用を算出して請求します。
以下の表は、項目別原状回復費用の相場です。

原状回復の内容 料金相場
壁や天井のクロスの張替え 3万円~4万5,000円前後(6畳想定)
壁や天井のボード張替え 3万円~6万円程度
水垢やカビのクリーニング 5,000円~2万円程度
フローリングの張替え 2万円~6万円
エアコン・給湯機の交換 6万円~15万円程度

このように、項目ごとによって原状回復費用の相場は大きく変わります
間取り別はあくまで目安となるため、項目ごとの費用を理解していたほうがよいでしょう。

賃貸住宅の原状回復費用を抑える方法


ここでは、賃貸住宅の原状回復費用を抑える方法を3つ紹介します。

ガイドラインと照らし合わせる

原状回復費用の見積書をもらったときは、速やかにガイドラインと照らし合わせて貸主負担が含まれていないかチェックしましょう。

そのまま原状回復費用を鵜呑みにすると、敷金と相殺されて余った分が返還されます。
誤って貸主が負担する修理費用が見積もりに含まれている場合も多いため、見積書が届いた段階ですぐに確認が必要です。

特に、経年劣化や自然消耗などの修理費用は、貸主負担であるにも関わらず、借主に請求されているケースが少なくありません。
十分価格交渉できる内容なため、不動産会社へ相談してみましょう。

入居時に傷や汚れをチェックしておく

入居時に、部屋にあった傷や汚れをチェックし、不動産会社と共有しておけば、貸主負担が見積もりに含まれる可能性が低くなります。

近年では、不動産会社から入居時にチェックリストを渡されるケースが増えています。
チェックリストに従って画像を残しておくなどしておくと後々役に立つ可能性があります。

また、不動産会社からチェックリストをもらえない場合もあります。
その際は、原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)にある入退去時の物件状況及び原状回復確認リストを使用しましょう。

傷などの写真と一緒にチェックリストを不動産会社と共有すれば、貸主負担が含まれる可能性を抑えられます。

普段から部屋や設備をきれいに使用しておく

普段からきれいに使うという意識をしておけば、原状回復費用を抑えられます

退去時だけでなく、日常的にも掃除を行い、部屋をきれいな状態にしておけば、原状回復費用を請求されずに退去もできるでしょう。
掃除を行わないと汚れなどが悪化し、退去時に掃除しても落ちないという場合も多いです。

特に水垢やカビ、サビなどは時間の経過に伴って落ちにくくなります。
借主の不注意として原状回復費用に含まれてしまうため、水回りは特に掃除が必要です。

もちろん自分でハウスクリーニングを頼む方法もありますが、決して安い費用ではありません。
日常的に掃除を行っておけば、無駄な費用を支払わずに退去できるでしょう。

まとめ

原状回復とは、借主が部屋を入居前の状態に戻す義務を指します。
原状回復とともによく使われる現状回復は、言葉の認識違いなため、特別気にする必要はありません。
もし賃貸借契約書に記載されている場合は、不動産会社へ確認しておきましょう。

原状回復費用は、間取りや修理箇所によって費用が異なり、高額なものもあります。
入居時にはチェックリストに従って記録し、常にきれいに使用するよう心がけ、原状回復費用を抑えるようにしましょう。

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