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10年住んだ賃貸アパートの退去費用の相場は?原状回復や費用を抑えるポイントについて

この記事でわかること

  • アパートの退去費用は10年以上住むと安くなる理由が理解できる
  • 10年住んだアパートの退去費用の相場がわかる
  • 10年住んだアパートの退去費用で借主負担となる費用の内訳がわかる
  • 10年住んだアパートの退去費用に納得いかないときの対処法がわかる

10年など長年賃貸アパートに住んでいると、借りたときと室内の状態が大きく変わってしまうことが多くなります。

長年居住していると室内の状態が悪くなってしまっているため、退去時にどのくらいの退去費用を請求されるのか不安という人もいることでしょう。

本記事では、10年など長年住んだ賃貸アパートから退去するときどのくらい退去費用が請求されるのか心配な人に向け、借主が負担しなければいけない原状回復、退去費用として請求される金額などについて解説します。

記事を最後まで読み進めていただければ原状回復についての知識が得られ、長年住んだ賃貸アパートから退去するとき、不安になることなく退去できるようになります。

アパートの退去費用は10年以上住むと安くなる

賃貸アパートの退去費用は、10年以上住むと安くなっていきます

退去費用が安くなっていく理由は、設備には耐用年数が決められており、耐用年数を超えても設備を使い続けて出た変化は経年変化と認められるからです。

簡単にいうと、もう壊れても仕方のない古い設備なのだから、古い設備の修復費用を請求するのはおかしいということです。

借主は経年変化と認められた箇所を直さなくてよいため、退去費用がかかりません。

設備の耐用年数は、設備ごとに異なります。

設備による耐用年数の違いの例は、次の表のとおりです。

耐用年数 設備など
5年 流し台
6年 壁紙・カーペット・インターフォン・エアコンなど
8年 タンス・書棚・戸棚などの金属製ではない家具
15年 洗面台・便器などの給排水設備や金属製の家具など

なお、畳やフローリングには耐用年数が設定されていません

そのため、畳やフローリングは建物の構造と同じ耐用年数が適用されます。

住宅用建物の構造別耐用年数は、次のとおりです。

  • 木造:耐用年数22年
  • 鉄骨造(鉄骨厚が3mm~4mm以下の場合):耐用年数27年
  • 鉄筋コンクリート造:耐用年数47年

このように畳やフローリングの耐用年数は長いため、毀損などがある場合には、経年変化と認められにくく、退去費用を払わないといけないケースがほとんどです。

退去費用は原状回復ガイドラインで決められている

退去費用の目安は原状回復ガイドラインで決められています

原状回復ガイドラインとは、国土交通省が公表しているガイドラインです。

ガイドラインでは、次のような項目について触れられています。

  • 退去費用負担が借主なのか貸主なのかの判断基準
  • 費用負担目安
  • 原状回復トラブルの解決方法
  • 原状回復についてのQ&A
  • 原状回復に関する裁判所の判断基準

なお、借主は賃貸物件から退去するときに退去する部屋を借りたときの状態に戻す義務があります。

この義務のことを原状回復、もしくは原状回復義務といい、原状回復するための工事を原状回復工事といいます。

もし退去費用について疑問などがあったら、国土交通大臣が公表している「原状回復ガイドライン」を確認するとよいでしょう。

10年住んだアパートの退去費用の相場

10年住んだ賃貸アパートから退去するときには、退去費用がかかります。

本章では、間取りや広さ別の退去費用目安や借主に請求されやすい費用項目を紹介します。

間取り別の費用目安

退去費用は間取りが大きくなるほど高くなります。

間取りが大きくなると間仕切り壁などが増え、補修しなければいけない箇所が増えてしまうからです。

間取りにより退去費用目安は、次の表のとおりです。

間取り 退去費用目安
ワンルーム
1K・1DK・1LDK
約5万円
2K・2DK・2LDK 約8万円
3DK・3LDK
4K・4DK・4LDK
約9万円

広さ別の費用目安

退去費用は室内の面積が広くなるほど高くなります。

しかし、広くなるほど退去費用の㎡単価は落ちていきます。

室内補修にかかる人件費は狭くても広くてもあまり変わらず、広くなるほど費用全体に占める人件費の金額が低くなるからです。

広さによる退去費用目安は、次の表のとおりです。

部屋の広さ 退去費用目安
15㎡~20㎡ 3,000円/㎡
21㎡~30㎡ 2,400円/㎡
31㎡~40㎡ 2,300円/㎡
41㎡~50㎡ 1,800円/㎡
51㎡~60㎡ 1,500円/㎡
61㎡~70㎡ 1,400円/㎡
71㎡~80㎡ 1,200円/㎡
81㎡~90㎡ 1,100円/㎡
91㎡以上~ 1,000円/㎡

たとえば、借りている物件の面積が55㎡であれば、修復費用目安は1,500円/㎡のため

55㎡ × 1,500円/㎡ = 82,500円

つまり、退去費用に82,500円かかるということです。

タバコを吸っていたときの費用目安

タバコを室内で吸ってついてしまったヤニ汚れは、借主の負担で補修しなければいけません。

クロスに付いたヤニ汚れは掃除しても取れないため、クロスの張り替えをする必要があります。

もしクロスの張り替えをしなければいけなくなると、通常支払わなければいけない退去費用にクロス張り替え費用がかかります。

追加されるクロス張り替え費用は、おおよそ㎡あたり1,000円前後です。

たとえば、クロス張り替えの必要な面積が20㎡だった場合、上乗せされる費用は20,000円ということになります。

カビを発生させたときの費用目安

クロスやフローリングにカビが発生してしまった場合、タバコのヤニと同じくクロスやフローリングを張り替えしなければいけません。

なお、フローリング張り替え費用目安は、8畳で10万円~20万円かかります。

フローリング張り替えは費用が高いため、追加で費用が発生すると退去費用が高額になる可能性もあります。

なお、カビはこびりつく前に清掃すればキレイになるケースがほとんどです。

カビは室内の風通しをよくすれば付きにくいため、日々の生活でカビが発生しないようにするのも大切です。

10年住んだアパートの退去費用で借主負担となる費用

10年住んだ賃貸アパートの退去費用について原状回復ガイドラインには、貸主か借主、どちらの負担になる目安が記載されています。

10年住んだ賃貸アパートの退去費用が借主負担になる主なケースは、次のとおりです。

  • タバコを吸ってついたヤニ
  • 借主の清掃不足で発生したカビの被害
  • 借主が窓を開けっぱなしにして降り込んだ雨によるシミ
  • 壁等のくぎ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替えが必要な程度のもの)
  • 冷蔵庫下のサビ跡(サビを放置し、床に汚損等の損害を与えた場合)

上記の内容を見ていただければわかるとおり、退去費用が借主の負担になるケースは基本的に借主の故意・過失でついた汚れによるものです。

故意とはわざと室内に汚れ・キズを付けてしまうことで、過失とはうっかり室内に汚れ・キズを付けてしまうことです。

借主の故意・過失による汚れ・キズは貸主の責任により付いた汚れ・キズではないため、借主が修復するのは当然といえます。

アパートの退去費用は大掃除をしても変わらない

アパートの退去費用は、大掃除をしてもあまり変わりありません

一般個人が行う清掃には限度があり、必ずハウスクリーニング業者の掃除が必要になるからです。

もちろん、ハウスクリーニング業者並みの清掃ができる、ハウスクリーニング業者が清掃する必要もないくらい室内がキレイ、という場合は話が変わります。

しかし、10年も居住している場所をキレイに掃除することは、不可能だと考えたほうがよいでしょう。

しかも、ハウスクリーニング代分の退去費用を浮かせたいからといって、無理に掃除をすると逆効果になるケースもあるため、注意しなければいけません。

エアコンを専用洗剤で洗って壊してしまった、壁クロスを水拭きして剥がしてしまったなどが起こると退去費用が高くなります。

そのため、ハウスクリーニング代は必要不可欠な退去費用として考えておくとよいでしょう。

10年住んだアパートの退去費用に納得いかないときの対処法

10年住んだ賃貸アパートから退去するときには、退去費用がかかります。

しかし、貸主からの退去費用が高額の場合、退去費用に納得いかないというケースもあるでしょう。

貸主からの退去費用に納得できないときには、きちんと対処をしなければいけません。

本章では、10年住んだ賃貸アパートの退去費用に納得いかないときの対処法について解説します。

退去費用請求関係書類に対して安易にサインしない

退去費用額に不満や疑問がある場合、退去費用請求関係書類に対して安易にサインしてはいけません

退去費用関係書類にサインしてしまうと、支払いを承諾したと捉えかねられません。

もし退去費用額に不満があるなら退去費用関係書類にサインせずに一旦預かり、書類の内容を精査し、アドバイスをもらえるところに相談に行くなどの対処をしましょう。

自分で退去費用見積もりを取得する

貸主から届いた退去費用の見積もりに不満や疑問があるときには、自分でも退去費用見積もりを取得するとよいでしょう。

貸主から届いた退去費用見積もりと同じ項目の費用を確認し、不必要な補修項目が入っていないか確認します。

見積もりを自分で取得してみて、貸主の見積もりが高いなどの問題があったときには、自分で取得した見積もりを使い、貸主と交渉するとよいでしょう。

また、貸主と交渉するときには自分で取得した見積もりと、国土交通省が公表している原状回復ガイドラインを持参して話し合いを進めましょう。

費用については見積もりを元に交渉し、借主が直さなくてもよい項目まで請求されていたときには原状回復ガイドラインを元にして交渉します。

消費者センターなどに相談する

退去費用で貸主とトラブルになりそうなときは、消費者センターなどにどのように話をしていけばよいのか相談しましょう。

消費者センターは退去トラブルのプロであるため、適切なアドバイスをしてくれます。

相談するときには内容をきちんと伝えるために、以下のものを準備しておくとよいでしょう。

  • 貸主から提示された見積もりや自分で取得した見積もり
  • 今までの経緯を記録した資料など

なお、消費者センター以外にも、国民生活センターでも対応してくれます。

また、消費者センターや国民生活センターで解決しないときには、民事調停を起こす方法もあります。

民事調停は、裁判所で、調停委員2名が、裁判官とともに当事者の間に入って、当事者の話し合いにより、お互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。

民事調停を利用するときには、裁判所に所定の手続きをして手数料を払うことで利用できます。例えば、10万円の資金の返済を求める調停を申し立てるための手数料は500円です。

弁護士に相談する

退去費用で貸主とトラブルになってしまったときには、弁護士に相談するとよいでしょう。

退去費用の問題でトラブルとなってしまうと、一般個人同士の話し合いでは解決しにくくなるため、法律のプロに相談しましょう。

仮に訴訟に発展したとしても、弁護士に相談しておけばそのまま訴訟まで対応してくれます。

ただし、弁護士への相談料と訴訟まで代理してもらう費用は別のため、相談料はいくらなのか、訴訟まで代理してもらうときの費用がいくらなのかはあらかじめ確認しておきましょう。

まとめ

10年住んだ賃貸アパートの退去費用は安くなる傾向があります

安くなる傾向がある理由は、長年住んでいると設備の耐用年数を超えると、設備についた汚れ・キズなどが経年変化として借主の負担で直さなくてもよくなるからです。

ただし、すべての設備や内装が経年変化として扱われるわけではないため、一般的に退去費用自体がなくなることはありません。

そのため、退去費用の目安をしっかりと理解しておき、貸主から退去費用の請求があったときに備えておくことが大切です。

また、貸主から高額な退去費用を請求されたときの対処法も確認しておく必要があります。

退去費用はトラブルになりやすく、いざというときの備えはしておかなければいけません。

もしトラブルをスムーズに解決できなさそうなときには、弁護士などの専門家に相談することが大切です。

退去費用の目安や対処方法を理解し、退去時のトラブルを回避すればスムーズな退去ができることでしょう。

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