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店舗の立ち退き料の相場はいくら?正当事由や判例、税金をわかりやすく解説

店舗の立ち退き料の相場はいくら?正当事由や判例、税金をわかりやすく解説

この記事でわかること

  • 店舗の立ち退き料の相場とは
  • 店舗の立ち退き料に税金はかかるのか

建物の老朽化などを理由に入居物件からの退去を求められた場合、ほとんどのケースで立ち退き料を請求できます。
店舗の立ち退き料は、営業できない期間の休業補償や移転補償なども含まれるため、賃料の2〜3年分など高額になる傾向にあります。

立ち退き料を受け取った場合、収入とみなされて所得税や法人税などの税金がかかるケースもあるため注意しましょう。
ここでは、店舗が入居物件から退去を求められた場合の立ち退き料の相場や発生する税金などを解説します。

店舗の立ち退きに必要な正当事由とは

正当事由とは、借主に立退いて欲しい貸主の要求が認められるための合理的な理由です。
貸主の都合で店舗や事務所を立ち退きさせる場合、以下の正当事由が必要です。

  • 建物の老朽化により建替えするため
  • 貸主が自ら建物を使用する必要があるため
  • 地域の再開発により解体が必要なため
  • 賃貸事業の後継者がいないため
  • 借主が家賃を滞納しているため
  • 借主に賃貸借契約の違反があったため

建物の老朽化によって入居者に危険が及ぶ、再開発で建物を撤去しなければならないといった場合は、立ち退きの正当事由になります。
長期間の家賃滞納があった場合や、居住用の物件を事業用に使っているなど契約違反があるときは、強制退去の正当事由に該当します。

貸主から提示された正当事由に納得できないときは、弁護士に相談してみましょう。

店舗の立ち退き料は法的な決め方はない

店舗の立ち退き料は慣習として支払われるため、金額や支払日などに法的な決め方はありません

立ち退き料は、貸主の正当事由を補完する目的があります。
たとえば「建物が古くて大規模地震に耐えられない」などの状況があっても、立ち退き料がなければ正当事由として認められない可能性があります。

一般的には金銭を支払った方が退去に応じてもらいやすいため、貸主の都合で退去する場合は、ある程度の立ち退き料を考慮してもらえるでしょう。

立ち退き料を決める場合、店舗移転に伴う借主の負担や、貸主の事情などを総合的に判断しなければなりません。
金額はケースバイケースですが、おおよその相場も理解しておく必要があります。

店舗の立ち退き料の相場

立ち退き料には、確実に立ち退きをさせられる法的根拠をもった金額や明確な計算の基準はありません
貸主と借主の個々の事情が大きく影響し、基準を設けられないためです。

しかし、おおよその立ち退き料の目安はあります。
賃貸物件の種別ごとの相場と裁判になったときの立ち退き料の目安を紹介します。

賃貸物件

賃貸物件の種別ごとの立ち退き料の相場は以下の通りです。

物件の種類 立ち退き料の目安
アパートやマンションなどの住居 賃料の3~6カ月程度
事業所、営業所などの事務所 賃料の6カ月~1年分程度
小売・物販店などの店舗 賃料の2~3年分程度

店舗の立ち退き料が住居や事務所より高い理由は、店舗の改装費用や、店舗に備え付けた造作の買い取り費用などが発生するケースが多いためです。

裁判になったときの立ち退き料の目安

立ち退き交渉がうまくまとまらない場合には、裁判に進みます。
裁判になったときの立ち退き料の目安は、以下の通りです。

物件の種類 想定賃料 立ち退き料
住居 5~10万円 100~150万円
事務所 10~20万円 300~400万円
店舗 10万円 1,000~1,500万円

裁判の場合、示談での相場より立ち退き料が高くなる傾向があります。

立ち退きが認められた判例

焼き鳥店が建物からの退去を求められた事例では、賃貸人の介護の事情から立ち退きが認められました

事例の前提状況 建物の2階に居住する高齢で身体障害を持つ賃貸人が、1階部分で焼鳥屋を営んでいる賃借人に対して立ち退きの請求をした
賃貸人は、常時介護が必要な状態で他に居住できるところはなく、建物の2階だけで賃貸人と介護者が生活するには手狭で、生活が困難な状況だった
裁判所の判断 賃借人が建物を使用する必要性よりも、賃貸人が建物全体を使う必要性の方が高い
そのため、裁判所では焼き鳥店が立ち退く必要がある
裁判所の判断に基づく
立ち退き料決定
賃借人が改装などを行っておらず工事費などの支出がほとんどなかった
180万円の立退料の支払いによって立ち退くことは正当である

立ち退きが認められなかった判例

ピアノ教室に立ち退きを求めた事案では、賃借人の年齢と立ち退き料の金額から、立ち退きが認められませんでした

事例の前提状況 賃借人がピアノ教室を行っていた建物は築年数が65年ほど経過している
大きな地震が発生した場合には倒壊する可能性が高い
裁判所の判断 賃借人は高齢でピアノ指導のみで生計を立てており、転居先となる物件が見つからない
賃貸人の申し出た立ち退き料が170万円と少額だった
裁判所の判断に基づく
立ち退き料決定
裁判所は、立ち退き請求ができる正当な事情は認められないと判断した
立ち退き料が170万円では、正当な事情を補完する役割になっていない

立ち退き交渉の流れ

立ち退き交渉の流れ
貸主の都合で店舗に退去要請する場合、立ち退き交渉の流れは以下のようになります。

  1. (1)貸主が借主に対して説明文書を提示する
  2. (2)貸主が借主に対して口頭で退去理由を説明する
  3. (3)貸主が借主の事情を聴取する
  4. (4)立ち退き料を交渉する
  5. (5)交渉成立後に合意書を取り交わす

退去要請の説明文書は、原則として立ち退きの6カ月前までに提示しなければならないため、急な要請には応じる必要がありません
現在の物件が店舗経営に適しており、移転によって売り上げ減少などの損失が見込まれるときは、必ず営業補償も話し合ってください。

立ち退き料の交渉が成立し、貸主から合意書が提示された場合は、合意内容がすべて反映されているか確認しておきましょう。
特に立ち退き料の額や支払期日、立ち退きまでの猶予期間は入念なチェックが必要です。

立ち退き交渉のポイント

貸主と立ち退き交渉するときのポイントは、以下の通りです。

  • 店舗移転による不利益を過不足なくチェックする
  • 新店舗移転の費用の見積もりを取る
  • 譲歩する範囲を決めておく
  • 交渉決裂のケースも考慮する

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

店舗移転による不利益を過不足なくチェックする

店舗が立ち退くときは以下の費用や不利益が発生するため、貸主との交渉時には過不足のないチェックが必要です。

  • 新店舗を決める際の仲介手数料
  • 新店舗の内外装費用
  • 新店舗の広告宣伝費用
  • 移転に伴う機会損失

移転先の店舗を決める場合、一般的には不動産会社に仲介してもらうため、立ち退き料には仲介手数料も含める必要があります。

新店舗に移転すると、内外装の工事費や移転先での広告宣伝費もかかります。
店舗の移転はリピーターや将来的な見込客を失う可能性もあるため、機会損失にもつながるでしょう。
売上げの減少が見込まれる場合、営業面の補償も必要です。

店舗移転によって生じる不利益があれば、必ず立ち退き料として請求してください。

新店舗移転の費用の見積もりを取る

立ち退きで新店舗に移転するときは、引っ越し費用と内外装工事費用の見積もりを取ってください。
事業内容によっては専用機器などの取り外しや、新店舗への設置費用がかかり、引っ越し費用が高額になる可能性があります。

現在の店舗と同じ間取りの物件が見つからなかった場合、什器類などの買い換えも必要です。
居抜き物件の設備が故障していると、新たに使用する借主が修理費を負担しなくてはならないため、設備の正常稼働もチェックしましょう。

店舗の移転費用は複数の業者で相見積もりを取り、工事前の現地調査にも同行をおすすめします。
立ち退き料の合意書を取り交わした後で追加工事などが発生すると、自己負担になるため注意しなければなりません。

譲歩する範囲を決めておく

貸主と立ち退き料について交渉するときは、譲歩する範囲も決めておきましょう。
立ち退きに関する判例をみると、事務所の場合は営業補償がほとんどないケースもあるため、必ずしも借主の要求が認められるとは限りません。

立ち退き料の交渉が決裂した場合、当事者同士での解決はかなり難しいため、調停の申立てや裁判が必要になるでしょう。
裁判所を介してトラブルを解決すると、調停は短くても3カ月程度、裁判は1年以上かかる場合があるため、時間と労力を大きく消耗します。

立ち退き料の交渉が長期化しそうなときは「希望額の80%を提示してもらえたら合意する」など、譲歩できる範囲を決めておきましょう。

交渉決裂のケースも考慮する

店舗の立ち退き料を請求する場合、交渉決裂のケースも想定してください。
建物の老朽化が退去理由になっていると、貸主も高額な建替費用を負担しなくてはならないため「譲れない一線」があると考えられます。
交渉が決裂した場合に備え、調停や裁判にかかる費用と時間、訴状の作成方法なども調べておく必要があります。

調停や裁判が負担になるときは、弁護士に立ち退き料の交渉を依頼してください。
建物の危険性が立ち退きの正当事由となっている場合、貸主が築年数だけで判断している可能性もあります。

建物の構造によっては耐震補強で十分なケースもあるため、建替えに合理性がないときは耐震等級などの資料も請求しておきましょう。

店舗の立ち退き料は課税される

店舗の立ち退き料は借主の所得になるため、確定申告が必要です。
ここからは、どのような税金が課税されるのか見ていきましょう。

所得税

個人が立ち退き料を受け取った場合、原則として所得税がかかるため、以下の区分に応じて確定申告が必要です。

譲渡所得(税率20〜40%ほど)

土地を自治体に譲渡するときなど、立ち退き料が資産消滅の対価として支払われるときは譲渡所得として課税されます。

事業所得(税率5〜45%ほど)

店舗などの休業補償として支払われる場合には事業所得として課税されます。

一時所得(税率5〜45%ほど)

譲渡所得や事業所得に該当しないときは、一時所得として課税されます。
なお、特別控除額50万円を超えない額には課税されません。

法人税

株式会社や一般社団法人などが立ち退き料を受け取った場合、法人税がかかります。
法人税は、立ち退き料と会社の本業による収入を合算した所得金額に課税されます。
法人税の税率は、資本金が1億円以下の場合、年800万円以下の部分は15%、年800万円超の部分は23.2%です。

法人に課される税金には、国税である法人税のほか、地方税である法人住民税や法人事業税があります。
税率を合算した場合、資本や会社形態、所得金額などによって異なりますが、30〜40%ほどになるケースが多いでしょう。

消費税

消費税は、事業者が対価を得て資産の譲渡や役務の提供などを行うときに課税されます。
立ち退き料が店舗の移転補償や営業補償として支払われる場合、消費税は課税されません
補償金の受領は「資産の譲渡や役務の提供の対価」とはみなされないためです。

一方で、立ち退き料が賃借権の譲渡対価として支払われるときは消費税が課税されます。
たとえば賃借人が賃貸人以外の第三者から立ち退き料を受け取った場合、立ち退き料は第三者へ借地権を譲渡する対価とみなされるため、消費税が課税されます。

店舗の立ち退き交渉を弁護士に相談するメリット

立ち退き交渉は、弁護士に代行を依頼するのがおすすめです。
借主自身が交渉する場合、貸主の主張する正当事由が正しいのか、立ち退き料をどう算定したらよいかわからないケースが多いでしょう。
交渉が難航すると、精神的な負荷がかかり、時間や手間も要するため本業の営業に支障をきたす恐れもあります。

弁護士に依頼すると、判例に基づいた根拠で貸主の主張に反論でき、不当な立ち退き料を強要される心配がありません。
スピーディーに交渉を進められるため、移転が必要になるときの物件探しや改装工事などに時間をかけられるのも大きなメリットでしょう。

店舗の立ち退き交渉を弁護士に相談するデメリット

弁護士に立ち退き交渉の代行を依頼すると、弁護士費用がかかるのがデメリットです。
一方で、立ち退き料の増額交渉や、交渉にかかる時間的な負担の軽減など、結果的にはメリットの方が大きくなるケースがほとんどです。

貸主によっては、弁護士からの連絡により借主に争う意思があるとみなされて関係が悪化するケースもあるかもしれません。
貸主との関係が良好なときや、相場通りの立ち退き料がもらえるよう交渉が順調に進んでいるときは、弁護士への依頼を見合わせた方がよいケースもあるでしょう。

店舗の立ち退き交渉を弁護士に相談する費用

店舗の立ち退き交渉を弁護士に相談した場合は30分で5,000円、1時間で1万円程度の法律相談料がかかります。
初回相談は、無料になるケースが多いです。
立ち退き料の代理交渉を弁護士に依頼すると、相談料のほかに以下の費用がかかります。

  • 着手金:相場は30~40万円程度
  • 報酬金:獲得した立ち退き料の10~20%程度
  • 日当:1時間あたり1万円程度
  • 実費:通信費や交通費など

着手金は委任契約時に支払いますが、問題解決の成否に関わらず、返金はされません。
報酬金は依頼者の経済的利益を基準としており、一般的には立ち退き料の10~20%程度に設定されています。
日当と実費は契約時に見込額を支払う、または「発生する都度の請求」になる場合があるため、相談時には必ず請求タイミングを確認してください。

店舗の立ち退きは拒否できる?

貸主が退去を求める理由が正当事由とは認められない場合、店舗の立ち退きを拒否できます。
一方で、貸主が建物を使用しなければならない事情がある場合や借主に契約違反などがある場合、借主は立ち退きを拒否できません。

貸主の正当事由が認められるかどうかは、貸主と借主の事情が総合的に考慮されるため、ケースバイケースです。
貸主の正当事由が弱い場合でも、相当の立ち退き料の支払いによって補完され、立ち退き要求が認められるケースもあるでしょう。

まとめ

運営している店舗が入居物件からの立ち退きを求められたときは、多くのケースで立ち退き料を請求できます。
賃貸人の主張に正当事由がないときは、退去の拒否もできるでしょう。

一方で、賃貸人の主張する正当事由が妥当かどうか、立ち退き料をどう算定したらよいかなどがわからないケースも多いかもしれません。

立ち退き料の算定や交渉は専門的な知見が必要となるため、弁護士への依頼がおすすめです。
弁護士に依頼した場合、不当に低い立ち退き料を提示されても反論でき、賃貸人との交渉を円滑に進められるでしょう。

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