

ある日突然、内容証明郵便が届き「どう対応すればいいのだろう」と不安になっていませんか。
内容証明郵便は法的な請求や意思表示として使われるため、安易に無視や受取を拒否してはいけません。
気づかないうちに、訴訟など大きなトラブルに発展する危険があります。
この記事では、内容証明が持つ効力から受け取った際の正しい対応方法、そして放置した場合のリスクまでを具体的に解説します。
まずは冷静になり、適切な初動対応を学びましょう。
目次
内容証明とは、「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛てに送ったか」を、郵便局が公的に証明してくれるサービスです。
送付した文書と同じ謄本が郵便局に保管されるため、「言った、言わない」のトラブルを防ぎ、裁判では有力な証拠として扱われます。
内容証明は、文書の内容に従わせるような法的な強制力はありません。
しかし、法的措置を視野に入れている強い意思を相手に示す効果があるため、問題解決を促す目的で利用されます。
内容証明郵便自体に、記載された内容を強制する法的な力はありません。
しかし、送付した事実・文書の内容・日付を公的に証明する「証拠としての効力」が重要です。
それは裁判の証拠としても利用されます。
また、金銭請求などでは「催告」として、時効の完成を6か月間猶予させる法的効力も持ちます。
さらに法的措置も辞さない強い意思表示となり、相手に心理的プレッシャーを与えます。
そのため、交渉を促すための事実上の効果も期待できるでしょう。

内容証明は、差出人が「いつ、どのような内容の文書を、誰に送ったか」を郵便局が証明する制度です。
ただし、文書の内容が真実であると証明するものではありません。
一方の配達証明は、郵便物が「いつ配達されたか」を証明しますが、受取人本人が受け取ったかどうかは証明できません。
この2つはセットで利用されるケースが多いサービスです。
たとえば、立ち退き交渉における催告や解除通知では、配達証明によって「通知が相手に到達した」事実が証明されます。
これにより、後の紛争で立証しやすくなる大きなメリットがあります。
内容証明は、より確実な証拠とするため「配達証明」をセットで利用するのが一般的です。
それぞれ証明できる範囲が下表のように異なります。
| 証明できる | 証明できない | |
|---|---|---|
| 内容証明 | 差出人と受取人、差出日、文書の内容 | 相手に届いた事実、内容の真実性 |
| 配達証明 | 配達された事実と日時 | 文書の内容、受取人が本人かどうか |
内容証明だけでは相手に郵便物が到達した証拠は残りません。
そのため、契約解除通知など意思表示の「到達」が法的に重要となる場面では、両方をセットでの利用が不可欠です。
内容証明郵便は、法的な問題に発展する可能性のあるさまざまな場面で送られてきます。
たとえば、家賃を滞納している場合の支払いの督促や建物の明け渡し要求など、不動産関連の通知でも利用されます。
その他にも、契約違反による損害賠償請求や慰謝料請求、契約解除の通知、遺産分割協議の申し入れなどがあります。
当事者間の主張を明確にする必要があり送付される場合が多いでしょう。
このように、内容証明郵便は、法的な措置を視野に入れつつ、こちらの要求を明確に伝え、その内容を証拠として残す目的で利用されます。
内容証明郵便が届いても、まずは慌てず冷静な対応が重要です。
すぐに書面を開封し、届いた日付を記録した上で、封筒と共に大切に保管しましょう。
意思表示は相手に到達した時点で法的な効力が生じるため、安易に返答するのは危険です。
まず書かれている請求内容や回答期限を正確に把握し、対応は弁護士などの専門家へ相談するほうがよいでしょう。
内容証明郵便の差出人に心当たりがないとしても、届いたら必ず内容を確認しましょう。
トラブルの相手先が個人名ではなく、法人名や弁護士名で送ってくる場合など、本来の差出人がわからないケースもあります。
しかし、本来の差出人がわからないからといって受取を拒否、または内容確認を怠ると、自分の立場が不利になります。
内容証明郵便が届いたときの対応方法がわからない場合、もっとも有効な方法は、「弁護士に相談する」です。
内容証明郵便に不当な内容が記載されていれば、すぐに対応しなければなりません。
しかし、法律の知識がないまま対応すると、自身の立場が不利になる恐れがあります。
そのため、トラブルにならないためにも内容証明郵便が届いたら、対応方法を弁護士と相談しましょう。
VSG弁護士法人では、交渉に精通した弁護士による無料相談を行っております。まずはお気軽にご相談ください。
内容証明を受け取ったら、無視せず対応を検討します。
まず、請求の根拠となる事実関係を確認し、関連する資料を収集しましょう。
その上で、取れる対応は主に3つです。
もし、架空請求など詐欺が疑われる場合は安易に連絡せず、警察や消費生活センターに相談しましょう。
内容証明郵便が届いたら、驚いて受取拒否をしてしまう方もいるかもしれません。
なお立ち退きでは、一般に「未払賃料の催告→契約解除の通知→明渡請求」の順に進みます。
そのため、各通知の到達管理が重要となり、受取拒否や不在還付でも到達と評価され得ます。
それぞれ詳しく解説します。
内容証明郵便を受取拒否した場合は、最終的に送付名義人に返送されます。
なお、送付名義人に返送されるときに、返送された理由が通知されます。
郵便局によって返送される主な理由は、次の通りです。
内容が伝わったと推測され、一般に交渉長期化・法的対応の検討が進む傾向にあります。
内容証明の受取拒否は、相手との対話を拒絶する意思表示と受け取られ、相手は話し合いによる解決が困難だと判断します。
話し合いの道が閉ざされたために、本来なら可能だったはずの減額や分割払いといった和解案を交渉する機会そのものを失います。
相手の感情を害し、関係性を悪化させてしまうため、その後の話し合いで有利な条件を引き出すなどの交渉は難しくなるでしょう。
内容証明の受取を拒否すると、相手は「交渉の意思がない」と判断します。
そのため、話し合いの機会を設けず、すぐに訴訟などの法的手段に移る可能性が高まるでしょう。
裁判になった場合、受取を拒否した事実が不誠実な印象を与え、不利に働くこともあります。
また、法的には通知が到達したとみなされ、内容を知らないまま、相手の主張に沿って手続きが進んでしまうリスクも生じます。
内容証明郵便に以下の内容が記載されていた場合、必ず返答しなければなりません。
ケース毎に解説します。
契約の申込や解除に関する内容証明は、返答の有無が法的な効果に直結するため、早急な対応が必要です。
特に注意すべきは、普段から取引のある相手から、その事業範囲の契約申込みを受けた場合です。
通知を放置した場合、申込みを承諾したとみなされ、自動的に契約が成立してしまいます(商法509条)。
また、自分に契約解除権がある場合に、相手から「期間内に解除するか否か決めてください」と催告が届くことがあります。
この通知を無視して期間内に返答しないと、持っていた解除権は消滅してしまいます(民法547条)。
このように、契約に関する通知を安易に放置すると、意図せず契約が成立したり、重要な権利を失ったりする不利益が生じることがあります。
迅速な対応が求められるため、早急に専門家に相談しましょう。
相続人になった際、故人の債権者や他の相続人から内容証明が届くことがあります。
「相続を承認するか放棄するか決めてほしい」旨の文書です。
この内容証明を安易に放置してはいけません。
なぜなら、法律には重要な期限が定められているからです。
相続放棄は原則3カ月以内に家庭裁判所で手続きが必要で、これを怠ると相続を「単純承認」したとみなされます(民法921条)。
単純承認とは、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も含めてすべて引き継ぐことです。
つまり、故人に多額の借金があった場合でも、この催告を放置したまま3カ月の期限を過ぎてしまうと、故人の借金を返済しなくてはなりません。
この内容証明は、法的な決断の期限が迫っている警告と考えましょう。
放置せず、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
誰かが無断で、あなたの代理人と名乗って第三者と契約を結ぶ行為を「無権代理行為」といいます。
その契約相手からあなたに対し、「この契約を認めますか(追認しますか)」を訊ねる催告が内容証明で届くことがあります。
この催告を無視して期間内に返答しないと、契約を「追認拒絶」したとみなされ(民法114条)、契約は無効となります。
一方で、あなたが追認を拒絶したことで、契約の相手方は、無権代理行為をした張本人に対し、契約の履行や損害賠償を請求できます(民法117条)。
無権代理人があなたの家族や知人であった場合、その人が大きな責任を問われることになります。
安易に無視して自動的に拒絶扱いにするのは望ましくありません。
追認するか、あるいは明確に拒絶するかを慎重に判断し、返答することが重要です。
抵当権は、ローン完済後も抹消登記をしないと登記簿に残ります。
この状態で不動産を売却すると、買主から抹消を求める内容証明が届くことがあります。
これは、抵当権抹消登記の義務履行を求める法的な「催告」です。
無視して債務不履行となれば、買主は契約を解除できてしまいます。
買主からの解除通知は到達時点で効力が生じるため、契約は一方的に解除されてしまいます(民法540条)。
一方、逆の立場もあり得るでしょう。
自分が契約解除権を持つ場合、相手から解除するか否かを決めるよう求める催告が内容証明で届くことがあります。
この通知を無視して期間内に返答しない場合、あなたの解除権は消滅してしまいます(民法547条)。
このように、抵当権抹消に関する内容証明を放置すると、契約解除や権利失効を招き、取引が破綻しかねないため、必ず対応しましょう。
内容証明郵便が届いたときには、以下の行動をしてはいけません。
やってはいけない理由を解説します。
内容証明郵便が届くと、その強い文面から慌てて要求に従ってしまいがちですが、それは大きなリスクです。
記載されている内容は、あくまで相手の主張にすぎません。
法的な根拠が乏しかったり、請求額が不当に高かったり、すでに時効が成立している可能性もあります。
内容を精査せずに相手の要求どおりに支払ってしまうと、債務を認めたと扱われ、返金を求めるのは困難になります。
また、不当な退去要求の場合にすぐ応じてしまうと、住居を失うリスクもあるため、まずは専門家へ相談しましょう。
内容証明郵便が届くときには相手側とトラブルになっている可能性が高く、感情的に対応すると揉めごとの規模が大きくなります。
冷静に対応しましょう。
感情に任せて暴言を吐いたり、SNSで相手を誹謗中傷したりすると、その言動は録音や記録され、後の交渉や裁判で不利な証拠となり得ます。
相手の心証を悪化させ、問題を不必要に大きくするだけです。
内容証明はまだ裁判ではありませんが、訴訟に発展する前に、まずは冷静に事実関係を確認し、解決の道を探ることが重要です。
弁護士名義の内容証明郵便を無視してはいけません。
相手が法律の専門家に依頼した事実自体、事態が深刻である証拠です。
書かれている内容は法的な観点から十分に検討されており、単なる警告ではなく、訴訟を見据えた準備段階と考えられます。
無視すれば「交渉の余地なし」と判断され、速やかに訴訟を提起される可能性が高いでしょう。
相手の主張の根拠や落とし所を探るためにも、受け取った側もすぐに弁護士に相談し、適切な対応を協議することをおすすめします。
内容証明郵便は、送付の事実や内容を証明する法的な通知であり、相手の強い意志を表現する文書です。
安易な受取拒否や無視は法的に不利な状況を招き、事態を悪化させるでしょう。
不安を抱え込まず、専門家のサポートを受けることが解決への第一歩です。
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