

東京弁護士会所属。イギリス(ロンドン)出身。
立ち退きは、人生という演劇における「幕間のセットチェンジ」のようなものです。次の新しいステージへスムーズに、かつ最良の状態で進むためには、適切な準備とプロフェッショナルによる調整が欠かせません。
私は都内の大規模・中堅法律事務所で培った高度な法的知見を活かし、居住用から事業用まで、数多くの「立ち退き料増額交渉」や「建物明渡し」の問題に取り組んできました。
「どれくらいの金額が妥当なのか」「いつまでに明け渡すべきか」といった不安に対し、法律の専門家として明確な見通しをスピーディーに提示いたします。皆様が正当な権利を守り、納得して次の一歩を踏み出せるよう全力でサポートいたします。ぜひ一度ご相談ください。

賃貸物件からの立ち退きを求められた場合でも、賃貸人に正当な理由がなければ賃借人は退去を拒否できます。
賃貸人と立ち退き交渉をするときは、退去の拒否を正当な権利として主張し、交渉カードとして利用すると立ち退き料の増額につながります。
例外として、定期借家契約で期間が限定されている場合や賃借人に契約違反がある場合などは、原則として退去を拒否できません。
裁判上での争いを回避しつつ、できるだけ有利な条件で和解するために、弁護士に回答書の作成や交渉の代行を依頼しましょう。
ここでは、賃貸人から立ち退きを求められたときに拒否できるケースや、立ち退き料を増額するための交渉術などを解説します。
目次
賃借人が立ち退きを拒否できる理由は、賃貸契約で弱い立場にある借主を保護するための「借地借家法」が定められているためです。
借地借家法では、賃貸契約における賃借人の立場が強く保護されています。
賃貸人の一方的な都合のみで賃借人に立ち退きを求める行為は認められず、立ち退きを求めるための正当事由が必要です。
立ち退きを要求する理由が正当事由として認められなければ、賃借人は立ち退きを拒否して居住を続けられる可能性が高いでしょう。
立ち退きは、以下のような事情があるケースで拒否が難しい傾向にあります。
それぞれのケースについて解説します。
定期借家契約は、あらかじめ一定の期間を定めて建物を賃貸し、期間満了をもって立ち退く契約です。
普通借家契約は賃借人が希望すれば原則として期間満了後に契約更新できますが、定期借家契約では更新ができず、退去を拒否できません。
定期借家契約の賃貸人が物件の明け渡しを要求するには、期間満了の1年前から6カ月前までの期間に終了通知をしなければなりません。
終了通知がなかった場合、契約は即座には終了しないため、賃借人は退去を拒否できる可能性があるでしょう。
賃貸契約は賃貸人と賃借人の信頼関係に基づく契約ですが、以下のようなケースでは信頼関係が破壊されているとみなされる可能性があります。
このような場合、賃貸人は正当事由を問わず賃貸契約の解除が可能となるため、原則として賃借人は退去を拒否できません。
以下のような公共事業で土地取得の必要がある場合、土地収用法により立ち退きを強制される可能性があります。
立ち退きを拒否し続けた場合、最終的には行政代執行により強制的に物件を撤去されてしまう可能性が高いでしょう。
損失への補償として土地の時価や建物移転料などを請求できるため、弁護士に依頼して補償金の増額交渉に注力するのが望ましいです。
退去を求めるためのやむを得ない事情があると認められるときは、賃借人が退去を拒否できない可能性があります。
たとえば、建物が老朽化し倒壊の恐れがあるなど、賃貸人や他の住民に著しい不利益が生じる恐れがあるケースです。
立ち退きを求める理由が賃貸人の単なる自己都合などの場合は、正当事由として認められません。
賃貸人の主張する正当事由が弱い場合でも、十分な立ち退き料の支払いがあると理由として補完される可能性があります。
立ち退きが認められる正当事由の基準は、次章以降で解説します。
立ち退きが認められる正当事由は、借地借家法で定められています。
正当事由かどうかを判断する主な基準は、以下の通りです。
正当事由として認められる項目は多いため、ここからは一部を紹介します。
たとえば、賃貸人に介護が必要になり、介護する家族が賃貸物件に同居しなければならない場合です。
介護のために家族を呼ぶ場合は、正当事由が強いと考えられます。
一方、ただ単に家族を呼びたいだけでは正当事由が弱く、立ち退き要請が裁判所に認められないケースも珍しくありません。
たとえば、賃貸物件を売却しないと賃貸人が破産するケースです。
賃貸人の生活が困窮しており、物件の売却資金がなければ破産せざるを得ない場合は、正当事由として認められる可能性があります。
単に空き家にした方が高く売れるという理由ならば、正当事由としては弱いでしょう。
賃貸物件が老朽化してきたために、賃借人を立ち退かせて建て替えるのは正当事由に該当します。
賃貸物件が老朽化し、大地震が発生すると崩壊してしまう場合は、立ち退き要請の正当事由が強いとされます。
建物が耐震補強してある、あるいは基礎や建物に耐久性が残っている場合は、老朽化していても正当事由は弱いと判断される可能性があるでしょう。
賃貸人より立ち退き要請が来ても、すぐに立ち退く必要はありません。
立ち退くまでには、以下のような手続きや対応をしなければならないためです。
賃貸物件は、賃借人にとって重要な生活の拠点となっているケースがほとんどです。
賃借人の生活を困窮させないために、賃貸人に正当事由があるときでも原則として明け渡しまでに最低6カ月ほどの猶予期間が設けられます。
双方の話し合いによって解決するための交渉期間でもあるため、立ち退き料の増額を求めるときは金額や算定根拠などを伝えましょう。
退去の強制執行は、以下の流れで行われます。
それぞれの流れを見ていきましょう。
立ち退きの交渉がまとまらない場合、賃貸人が裁判所に建物明け渡し訴訟を提起する可能性があります。
建物明け渡し訴訟が提起されると、裁判所から賃借人へ出廷期日などが記載された特別送達が届きます。
特別送達を無視すると、賃貸人の主張が認められて敗訴するケースがほとんどであるため注意しなければなりません。
訴訟が提起された段階であれば、和解など話し合いで解決できる余地も残されているため、早急に弁護士へ相談しましょう。
建物明け渡し訴訟に敗訴すると、裁判所から賃借人に物件からの立ち退きを命じる判決が下されます。
判決の確定後は賃借人に居住権がなくなるため、賃貸人の申立てによって裁判所の執行官による退去の強制執行が可能になります。
この段階になると、話し合いによる解決は困難なケースが多いため、速やかに物件から退去しましょう。
退去命令が下された後も物件に居座り続けると、賃貸人は裁判所に強制執行の申立てを行います。
強制執行の申立てが受理されると、裁判所の執行官が物件を訪問し、賃借人へ強制執行の断行と退去期日を通告します。
強制執行の申立てが受理されてから断行されるまでの猶予期間は、1カ月~2カ月ほどのケースが多いです。
執行官は、退去期日と強制執行の断行について記載した公示書を玄関ドアなどに貼り付けるため、近隣の方にも知れ渡ってしまうでしょう。
強制執行の期日には、裁判所の執行官と運搬業者や施錠業者などが訪れて荷物の運び出しや鍵の交換などを行います。
居留守を使っても扉を強制的に解錠されてしまうため、退去を免れません。
運び出された荷物は、裁判所の指定する倉庫業者などに預けられ、一定期間が経過すると処分されます。
重要な荷物があるときは、期日内に倉庫業者を訪問し、保管費用を支払って荷物を回収しましょう。
強制執行には数十万円ほどの費用がかかるため、執行後に賃貸人から請求されます。
立ち退き拒否の意思を回答書で伝えると、将来の訴訟や交渉で有効な証拠になります。
回答書に記載する主な項目は以下の通りです。
回答書の文例は、以下を参照して下さい。
回答書
私は令和8年2月1日に貴殿から賃借して
いる埼玉県大宮市1丁目1番の住居から1カ
月以内に退去するよう通知を受けました。
退去には協力したいと考えていますが、貴
殿の提示する退去理由は借地借家法第28条
に基づく正当事由が不足しています。高齢の
母親を介護する私にとって移転は負担が大き
く、移転にかかる引っ越し費用や新居契約費
用などの補償も不十分であるため、現時点で
は退去に応じられません。
引き続き本物件を使用継続しますので、ご
了承下さいますようお願い申し上げます。
令和8年2月15日
埼玉県大宮市1丁目1番 埼玉弘子 印
埼玉県浦和市1丁目1番 浦和太郎殿
トラブルを避けるため、賃貸人には直接会わず、感情的にならないよう冷静なトーンで記載しましょう。
回答書を送付するときは、内容証明郵便を利用すると送付内容や配達日時などを郵便局に証明してもらえます。

賃貸人から立ち退き要求があってもすぐに合意せず、一旦拒否をするとより有利な条件を引き出せる可能性があります。
立ち退き料が提示された場合は、引っ越しが困難な事情や発生する損失などを具体的に説明し、増額交渉する姿勢を見せましょう。
裁判上の争いに発展すると、解決までに膨大な時間や労力がかかるケースが珍しくありません。
賃貸人にとっても裁判外で解決できる方がメリットは大きいため、交渉を求める余地があります。
交渉では、賃貸人と賃借人のそれぞれの事情から立ち退き料の金額や退去期日などの条件を定めます。
立ち退き料の上乗せを提案しながら、裁判外で迅速に解決できるメリットを訴求するのも有効な方法でしょう。
賃貸人が複数の物件を所有しているときは、近隣のより良い代替物件などを紹介してもらえる可能性もあります。
賃貸人や管理会社が裁判上での解決を望む場合、専門的な知見を持つ弁護士を代理人とするケースが多いです。
個人が専門家に交渉を試みても反論されてしまうため、こちらも弁護士に相談して対応するのがよいでしょう。
対応が遅れるほど不利な立場になってしまう可能性も高いため、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談するのが望ましいです。

立ち退き要求への対応を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
交渉を代行してもらえる
弁護士が受任通知を送付した後は、弁護士が賃借人の代理人として賃貸人や管理会社との交渉を行います。
交渉に必要な労力や精神的負担を大幅に軽減できるでしょう。
法的な根拠に基づいて立ち退き料を要求できる
立ち退き料が不当に少ない場合、法令や過去の判例に基づいて反論し、賃借人が得られる適正な金額を訴求します。
賃借人に有利な条件の和解を交渉する
賃借人の事情にあわせて条件を設定し、強制執行の回避や退去期限の猶予など、賃借人にとってより有利な条件で解決できるよう交渉を行います。
弁護士報酬はかかりますが、結果としてメリットの方が大きくなるケースがほとんどでしょう。
賃貸人から立ち退き要求を受けても、正当事由がないときは退去を拒否できる権利があります。
正当事由がある場合でも、賃借人に発生する損失について適切な補償を得るために立ち退き料を交渉できます。
立ち退き要求を放置した場合や、感情的に対立してしまった場合は、訴訟を提起されて法的な強制執行を受ける可能性もあるため注意しましょう。
立ち退き要求を拒否するには専門的な知見が必要となるため、個人での対応は困難なケースが多いかもしれません。
できるだけ早い段階から弁護士に相談し、回答書の送付など適切に対処するのが望ましいです。
賃貸人から立ち退きを迫られて拒否したい方、不利な条件で追い出されたくない方は、立ち退き問題に精通したVSG弁護士法人へ今すぐご相談ください。