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公共事業の立ち退きを拒否したら土地収用法の強制執行もある!立ち退き交渉のポイント

弁護士 水流恭平

この記事の執筆者 弁護士 水流恭平

東京弁護士会所属。イギリス(ロンドン)出身。
立ち退きは、人生という演劇における「幕間のセットチェンジ」のようなものです。次の新しいステージへスムーズに、かつ最良の状態で進むためには、適切な準備とプロフェッショナルによる調整が欠かせません。
私は都内の大規模・中堅法律事務所で培った高度な法的知見を活かし、居住用から事業用まで、数多くの「立ち退き料増額交渉」や「建物明渡し」の問題に取り組んできました。
「どれくらいの金額が妥当なのか」「いつまでに明け渡すべきか」といった不安に対し、法律の専門家として明確な見通しをスピーディーに提示いたします。皆様が正当な権利を守り、納得して次の一歩を踏み出せるよう全力でサポートいたします。ぜひ一度ご相談ください。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/tsuru/

公共事業の立ち退きを拒否したら土地収用法の強制執行もある!立ち退き交渉のポイント

この記事でわかること

  • 公共事業による立ち退きで土地収用法の強制執行の対象になるのか
  • 土地収用法の強制執行の実際の事例

道路の拡張やダムの建設など、公共事業を行うために必要となる土地に住む人へ立ち退きが求められるケースがあります。
立ち退きを拒否し続けた場合、最終的には土地収用法に基づく行政代執行により強制的に退去させられる可能性が高いでしょう。

立ち退きを求められる人には、土地建物の評価額や移転費用などについて正当な補償金を受けられる権利があります
弁護士に依頼すると、収用委員会に対する意見書の提出や補償金の増額など、依頼人の利益を最大化できるよう交渉してもらえます。
ここでは、具体的な土地収用の事例や、事業認定から行政代執行までの流れ、法的な対応方法などを解説します。

公共事業のための立ち退きを拒否したら土地収用法による強制執行もありうる

公共事業を行うために必要となる土地の立ち退きを求める場合、公共事業者はまず住民との任意交渉を行います。
交渉が成立する見込みがなく、長期間経過している場合、公共事業者は土地収用法に基づき強制的に土地を取得できる権利を行使できます。

土地の立ち退きは個人の生活に重大な影響を及ぼす一方で、公共事業は社会の構成員全体に関わるケースが多いです。
公共の利益を優先しなければならないケースもあり、個人の反対だけで工事を永久に止めるのは極めて困難と言えるでしょう。

公共事業のための強制執行された事例

公共事業のために退去の強制執行がされるのは、たとえば道路拡張工事や河川改修工事などです。
道路や河川は大勢の人の生活に影響を与えるため、工事を行わなければ近隣住民に重大な不利益が及ぶケースもあるでしょう。

事例としては、渋滞緩和のための道路整備事業で、補償金の提示にも関わらず長年にわたり交渉を拒否した民家に強制執行が実施されました。
土地収用では住民との交渉が行われますが、長期間の交渉にも関わらず明け渡しに応じない場合、工事の遅延により社会的な不利益が増大する可能性もあります。
土地の所有者が立ち退き要求に長期間応じず、話し合いが進まないケースでは明け渡しの強制執行に至るリスクが高くなるでしょう。

土地収用法による強制執行までの流れ

土地収用法による強制執行までの流れ
公共事業施行の決定後に立ち退きを拒否した場合は、強制執行が行われます。
ここからは、公共事業者からの立ち退き要求を拒否した場合に、公共事業者がどのような手続きを行うのか解説します。

(1)公共事業者が事業認定を取得

公共事業者が取得する土地から立ち退きをしない人がいるときは、公共事業者が国や都道府県などに工事発注者の事業認定申請を行います。
事業認定は、土地収用法に基づく公共事業なのかを判断するために設けられている審査です。
国や都道府県が事業認定申請を受け付けると、2週間の公告後に公聴会が開催され、専門家の意見を聴取した上で事業認定がされます。
申請から事業認定がされるまでの期間は、3〜4カ月程度です。

(2)事業認定後に収用裁決手続開始

事業認定が下りた後に、公共事業者は収用裁決手続きに入ります。
事業認定は土地収用法に基づく公共事業の認定判断でしたが、収用裁決は強制執行による補償金の額を判断する手続きです。
公共事業者は事業認定後、収用委員会に対して収用裁決手続申請をします。
収用裁決手続申請をすると、収用委員会が収用裁決審理を行い、明渡し裁決や権利取得裁決をします。
収用裁決手続の期間は土地収用委員会の審理次第であり、公共事業の内容によって強制執行までの期間も大きく異なるでしょう。

(3)収用委員会による「収用裁決」の決定

収用裁決手続が完了すると、裁決によって明け渡しの日と補償金の額が正式に決まります。
裁決は、裁判所の審判による判決に相当し、強制執行を行うための法的な根拠の確定を意味します。

補償金の額に不満がある場合、行政事件として裁判所に不服申し立てが可能です。
損失の補償に関する訴えは、裁決書の正本の送達から6カ月以内に提起しなければなりません。
できるだけ早く弁護士へ相談し、今後の対応を検討しましょう。

(4)裁決内容に基づく補償金の支払と明渡期限

収用委員会によって裁決が下されると、補償金が支払われ、土地の所有権が国や自治体へ強制的に移転します。
補償金の額に不満があって受け取り拒否をしても、法務局への供託によって所有権移転の効力は生じるため、その後の強制執行を免れません。
土地の所有権を失い、明け渡し義務が生じるタイミングとして認識しておきましょう。

(5)明渡されない場合の最終手段としての行政代執行

明け渡し義務が生じた後も建物から退去しない場合、都道府県知事からの戒告によって最終的な履行期限が設定されます。
履行期限内に明け渡しがされないときは、代執行の通知によって日時が指定され、行政が本人に代わって建物を撤去する行政代執行が実施されます。

行政代執行が実施されると、強制的に建物の解体や撤去が行われるため、拒否しても退去を免れません。
解体費用や搬出費用はすべて土地の所有者の負担になるため、受け取る予定の補償金が大幅に減少するリスクがあるでしょう

公共事業の土地収用の立ち退き料・補償の相場

公共事業による立ち退き料や補償は、土地収用法や裁判所の判例により、基準路線価などに基づいた時価で算出されます。

土地収用が行われる時点の基準路線価が50万円/坪、土地が100坪あった場合の立ち退き料は5,000万円です。
収用される土地に建物が建築されている場合は、建物移転料を受け取れます。
建物移転料とは、収用される土地にある建物と同様の建物を、移転先で建築する場合にかかると想定される金額です。
収用される建物が木造2階建ての100㎡だとしたら、移転先も同じ面積分までの費用しか補償されません。

建物移転料は再築工法・曳家工法・改造工法・復元工法・除却工法など様々な計算方法があるため、自宅がどの方法に該当するか確認しましょう。
建物移転料には、解体純工事費・廃材運搬費・取り壊しに必要な諸経費・廃材処分費などの取り壊し費用も含まれます。

公共事業の土地収用による立ち退き料を交渉するコツ

公共事業による立ち退きの場合でも、立ち退き料の増額を交渉できます。
ここからは、公共事業による立ち退き料の交渉のコツを紹介します。

収用委員会の調査・補償内容には意見書を提出する

公共事業での立ち退きが行われる際には、調書が作成されます。
調書の内容に問題がなければ記名押印をしますが、内容に異議があれば調書への記名押印をせずに不服申立てをしましょう。
調書の内容は補償金の額に反映されるケースがあり、内容をよく確認せず記名押印をしてしまうと、後悔しかねません。

店舗や事務所を営業している場合は営業補償を要求する

公共事業により立ち退きする場所で飲食店や事務所などを営業している場合は、移転などの補償だけでなく休業による損失への補償も受けられます。
休業による損失への補償は営業補償と言われ、具体的には以下のような損失の補填が認められる可能性があります。

  • 立ち退きによる休業期間中に通常営業したら見込まれる利益の機会損失
  • 事業を休業していても支払いが発生する固定費用
  • 事業の休業中に支払う従業員への給料
  • 移転による得意客と売上の減少

公共事業者からの立ち退き料に、営業補填の金額が算入されているか確認しましょう。
事業休止ではなく事業廃止でも補填が受けられるため、立ち退き料の内訳を確認してください。

建物がある場合は建物の価値や必要性を主張する

建物移転料は、その建物の価値や立ち退く人の必要性によって金額が変わってきます。
建物が老朽化している場合などは建物移転料が低く評価されやすいため、公共事業者に対してその価値や必要性を訴えましょう
公共事業者に伝えて調書に反映してもらう必要があるのは、次のようなケースです。

  • 建物の築年数が経過し老朽化しているが耐震証明が発行されており、まだまだ建物利用が可能な場合
  • 店舗を長年同じ土地上の建物で営業しており、今の土地上にある建物だからこそ売上が多く上がっている場合

話し合いの内容は書面に残す

公共事業者との話し合いは、議題となる項目数・情報量ともに多くなるため、内容を忘れないように記録を残しておく必要があります。
記録を残しておかないと、公共事業者と「言った」「言わない」のトラブルになる可能性があります。

同じ公共事業内の補償内容情報を収集する

公共事業の範囲が広い場合、自分と似た条件の人と同じような金額の立ち退き料が支払われるのか確認しましょう。
似た条件なのにも関わらず、立ち退き料に大きな差がある場合などは不当な金額ではないか確認しなければなりません。
似た条件のケースから情報収集をしておきましょう。
立ち退き料に大幅な乖離がある場合は、算出方法や根拠を公共事業者から聞き取り、正しい計算をするように働きかけてください。

賃貸借契約の違反状態を解消する

賃貸借契約を結んで建物を借りている場合も、公共事業による立ち退きを求められたときに立ち退き料を受け取れます。
この場合、公共事業者が賃貸人に立ち退き料を支払い、賃貸人が賃借人に立ち退き料を支払う流れになります。
例外として、賃借人に契約違反があるときは立ち退き料を受け取れません。
たとえば、ペット飼育不可にも関わらずペット飼育をしている、家賃を滞納している、騒音など近隣に迷惑をかけている場合などです。
立ち退き料を交渉する場合は、あらかじめ契約違反となっている状態を解消しておきましょう。

土地収用法による強制執行にお困りのときは弁護士へ相談

公共事業者は土地収用や補償対応のプロであり、個人が交渉するのは困難な場合が多いです。
立ち退き要求に対して感情的に拒否しても、補償金が低く据え置かれたまま執行される可能性が高いでしょう。

公共事業者に立ち退き料の交渉をしたい場合は、こちらも専門家である弁護士に依頼するのがおすすめです。
行政から立ち退きの打診があったときなど、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談するとより有利な立ち退き条件を引き出せる可能性が高くなります。

弁護士が土地収用法の強制執行に介入するメリット

弁護士に土地収用への対応を依頼したときのメリットは、主に以下の通りです。

意見書の作成や提出をしてもらえる

土地や建物の正当な評価を論理的に主張し、収用委員会に意見書を提出して補償金の引き上げを交渉します。

鑑定評価を精査してもらえる

行政側の基準が適切かどうかをプロの視点でチェックします。
誤りがあるときは、再計算によって増額を要求できる可能性があるでしょう。

執行までの時間稼ぎや有利な和解条件を交渉してもらえる

退去までの期日延長や補償額の上乗せなど、依頼人の状況に応じてより有利な和解条件を引き出せるよう交渉してもらえます。

弁護士は、強制執行の単なる拒否ではなく、依頼人にとって有利な条件を勝ち取るために行政との交渉へ介入します。

まとめ

公共事業により立ち退きを求められた場合、拒否しても最終的には強制的に退去させられてしまうケースがほとんどです。
弁護士に相談すると、退去期日の調整や補償金の上乗せなど、より有利な条件を勝ち取れる可能性もあります。
補償金の上乗せを希望する場合、収用裁決での意見書提出が最大のチャンスであり、内容によって結果が大きく変わります。
意見書の作成や提出は、不動産の評価など専門的な知見が必要になるため、専門家である弁護士に相談しましょう。
道路拡張などで立ち退きを迫られている方、強制執行を恐れて動けない方は、土地収用トラブルに精通したVSG弁護士法人へ今すぐご相談ください。
経験豊富な弁護士が、親身になって正当な権利を守るためのサポートをいたします。

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