裁判などの法的手段を行う前には、内容証明郵便を送付するケースが多くあります。
内容証明郵便を法的手段の前に送付するのは、法的手段が有利に進むからです。
それではなぜ、内容証明郵便が法的手段を進めるにあたって有利になるのでしょうか。
本記事では、内容証明郵便の持つ7つの効力などを解説し、なぜ法的手段の前に内容証明郵便を送付するとよいのかを紹介します。
記事を最後まで読み進めていただければ、内容証明郵便の効力が理解でき、実際に作成するときの役に立つことでしょう。
目次
内容証明郵便は日本郵便株式会社が行っているサービスで、裁判などの法的手段へ入る前によく利用されています。
内容証明郵便が利用されている理由は7つの効力があるからです。
本章では内容証明郵便の7つの効力を紹介します。
内容証明郵便はその言葉の通り、郵送物の内容を郵便局が証明してくれます。
そのため、内容証明郵便を受け取った人は、郵送物の存在や内容を知らないと言うことができなくなります。
内容証明郵便は、裁判所で証拠書類として利用できます。
裁判では自らの主張を立証する必要があり、内容証明郵便は主張を立証する証拠として有用なサービスです。
金銭を受け取る権利などの債権には、時効があります。
しかし、内容証明郵便を利用して支払いを督促することで、時効を6ヶ月間延長することが可能です。
一般の郵便物でも時効を中断させる効果はありますが、相手方に「督促内容が書いてある郵送物なんか見ていない」などの言い訳をされる恐れがあります。
そのため、郵便局が文章内容を証明してくれる内容証明郵便を利用します。
内容証明郵便を送付すると、受取人に法的手段に入る直前であると思わせることができます。
特に弁護士の名前で内容証明郵便を送付すると、受取人は「裁判を起こされる前に早期解決しなければ」と思う可能性が高くなり、トラブルが早い段階で解決する場合もあります。
契約解除は、書面により相手方に通知しなければなりません。
解除通知を内容証明郵便で送付することにより、契約解除日や契約解除通知の到達日が証拠として残すことができます。
期日が決まっていない金銭支払いの場合、支払いがなかったことによる遅延損害金を受け取るためには、請求した事実と請求日付が必要です。
内容証明郵便を利用すれば、請求事実と請求日付がどちらも証拠になり、遅延損害金の受取条件を満たすことができます。
内容証明郵便は、相殺や債権譲渡の通知として利用可能です。
相手側に債権と債務がある場合、債権と債務を相殺できます。
たとえば相手に100万円貸していて、こちらが200万円借りている場合などに成立させることができます。
相殺は、相手側かこちら側、どちらか一方が相殺の意思を示せば成立が可能となります。
しかし、一方の勝手な意思であるため、内容証明郵便を利用し、相殺する意思を第三者に証明してもらうことが重要です。
また、債権譲渡したことを第三者に対抗するためには、確定日付のある証書を利用しなければなりません。
内容証明郵便を利用すれば確定日付を得られるため、債権譲渡を第三者に対抗できるようになります。
内容証明郵便を相手側に送付したとしても、必ず受け取ってもらえるわけではありません。
そのため、受け取ってもらえなかった後にどうしたらよいのかを知っておく必要があります。
本章では、内容証明郵便を無視された後にすべきことを解説します。
自分で内容証明郵便を相手側に送付した場合は、弁護士から再度内容証明郵便を送付してもらいましょう。
内容証明郵便は自分自身で送付するよりも、弁護士名が入った内容証明郵便を送付するほうが効果的です。
法律のプロの名前が入った内容証明郵便は、相手側に相当なプレッシャーを与えられます。
金銭支払いの督促で内容証明郵便を送付したのであれば、裁判所から相手側に支払督促を行ってもらいます。
裁判所からの支払督促は手続きが簡易で、早い段階で支払督促をしてくれます。
ただし、相手側が支払督促に異議を申し立てると、民事訴訟に移行してしまうことには注意しなければなりません。
債権額が少ない場合は、少額訴訟を起こしましょう。
少額訴訟は民事訴訟よりも費用がかからず、短期間で終了します。
ただし、個人相手に少額訴訟を起こす場合、費用倒れになる可能性があることには注意しなければなりません。
債権額が多い場合は民事訴訟を起こします。
民事訴訟は、内容証明郵便が所在不明で戻ってきた場合も利用できます。
少額訴訟と違い費用も時間もかかるため、民事訴訟を起こすときには弁護士に相談してから進めていきましょう。
内容証明郵便は、通常の郵便物と同じような手順で作成・郵送できません。
そのため、送付方法をあらかじめ知っておくことが大切です。
本章では、内容証明郵便の送付方法を紹介します。
内容証明郵便は、すべての郵便局で対応してくれるわけではありません。
そのため、まず対応してくれる郵便局を探す必要があります。
内容証明郵便謄本の内容は、決められた書き方を守らないといけません。
文章は1行何文字で、何行まで記載してよいかなどを確認しておきましょう。
内容証明郵便で送付する書面が完成したら、書面を3部用意して郵便局へ提出します。
謄本1通は郵便局が保管し、もう1通は送り主が保管、残りの1通を相手側に郵送します。
送付するときには通常の郵送料に加え、内容証明郵便の特別料金を上乗せして支払わなければなりません。
なお、内容証明郵便を送付するときには、郵便局による文書の内容確認などの手続きに30分以上かかる場合があります。
そのため、時間に余裕をもって郵便局に行ったほうがよいでしょう。
内容証明郵便には、7つの効力があります。
それぞれの効力は法的手段を有利に進められる効力ばかりです。
そのため、内容証明郵便は法的手段の前によく利用されます。
しかし、内容証明郵便は受取拒否など無視されることもあるため、無視された後にどうすべきかを知っておく必要があります。
また、日本郵便は文章の内容を証明するだけであり、文章の正しさを証明してくれるわけではありません。
送付する文章に不安がある場合は、弁護士に内容証明郵便の送付内容を確認してもらってから送付することをおすすめします。