

東京弁護士会所属。イギリス(ロンドン)出身。
立ち退きは、人生という演劇における「幕間のセットチェンジ」のようなものです。次の新しいステージへスムーズに、かつ最良の状態で進むためには、適切な準備とプロフェッショナルによる調整が欠かせません。
私は都内の大規模・中堅法律事務所で培った高度な法的知見を活かし、居住用から事業用まで、数多くの「立ち退き料増額交渉」や「建物明渡し」の問題に取り組んできました。
「どれくらいの金額が妥当なのか」「いつまでに明け渡すべきか」といった不安に対し、法律の専門家として明確な見通しをスピーディーに提示いたします。皆様が正当な権利を守り、納得して次の一歩を踏み出せるよう全力でサポートいたします。ぜひ一度ご相談ください。

目次
立ち退きの話が出ると、補償金だけでなく「代替地」が選択肢として提示されることがあります。代替地とは、現在の土地を手放す代わりに利用できる新しい土地のことで、移転後の生活や事業が途切れないように配慮する目的があります。ただし、どのような土地が代替地として提示されるかは法律で明確に決まっておらず、地域の状況や事業者の考え方によって内容が大きく変わります。
公共事業の場面では、自治体が独自に運用する「代替地登録制度」が使われる地域もあります。これは、土地所有者に事前登録してもらった土地の中から、移転希望者に合う候補地を紹介しやすくする仕組みです。登録制度の有無は自治体ごとに異なりますが、移転先探しを円滑に進めるための取り組みとして知られています。
立ち退きの際に代替地を提供する義務は法律上存在しません。代替地登録制度がある地域では、自治体が移転希望者へ候補地を紹介しやすい環境を整えていますが、制度そのものに強制力はありません。そのため、代替地の提案はあくまで「交渉の選択肢の一つ」という位置づけです。提示された内容に不安がある場合は、そのまま受け入れず改善を求めて問題ありません。
代替地の提案は、主に国や自治体が行う公共事業の場面で見られます。公共の利益を優先しながらも、住民の生活や事業継続への配慮が求められるため、代替地の提供が重要な選択肢として扱われます。具体的には次のような場面です。
これらの事業で土地の買収が必要になると、事業者(国や自治体)から金銭補償とあわせて代替地の提案が行われます。また、以下のような場面でも提供されることがあります。
商店街・ビルの建て替えでテナントが営業継続を望む場合
工場や倉庫など用途地域上の制限で移転先が限られる場合
代替地の内容は一律ではなく、事業の目的や地域の事情によって大きく変わる点を理解しておくことが重要です。
代替地には、一般的な土地とは異なる特性があります。特に公共事業向けの代替地には次のような特徴があります。
これだけ見ると代替地を受け入れるメリットが大きいように感じますが、代替地の質は地域差が大きく、必ずしも希望に沿うとは限りません。複数の候補を比較しながら判断することが大切です。
代替地と立ち退き料(補償金)は混同されやすいものの、それぞれ役割が異なります。
代替地は移転後の生活や営業を続けるための場所の確保が目的で、補償金は引越し費用や設備の移動費、休業による損失など、移転に伴う負担を補うための金銭的な補償です。そのため、代替地を利用したからといって補償金が自動的に減るわけではありませんし、代替地と補償金を併せて受け取ることも可能です。
ただし、代替地の条件によって補償金の内容が変わることもあります。移転先が従前より大幅に有利な条件なら、事業者が補償金の調整を提案することがあり、逆に移転準備に手間や費用がかかる代替地しか確保できないときは、補償内容の見直しを求める理由になります。
つまり、代替地を受け取るかどうかに関係なく、移転による実際の負担をどのように補うかという視点が補償の検討で最も重要となるのです。
土地を売却することで利益(譲渡所得)が出た場合、基本的には所得税や住民税の課税対象となります。ただし、公共事業などにより土地を手放す場合には、公共のために協力する人の負担を減らす目的で、税金が大きく軽くなる制度が2つ用意されています。
一つ目は、「譲渡所得から最大5,000万円を差し引ける特別控除」です。売却した不動産が固定資産であることや、買収の申し出から6カ月以内に売却していることなど、いくつかの条件を満たす必要がありますが、利益が5,000万円以内であれば実質的に税負担がゼロになるほど効果が大きい特例です。
もう一つは、補償金で新しい土地や建物(代替資産)を取得したときに利用できる「課税繰延べの特例」です。取得した年には税金が発生せず、将来その代替資産を売却するまで課税を先送りできるため、事業や農業を続ける人にとっては非常に有利な仕組みになります。
どちらを選ぶかは状況によって異なります。新しい土地をすぐに必要とする場合は課税繰延べが向きますし、手元に現金を残しておきたい場合は5,000万円控除を選ぶ方が有利になるケースが多いです。移転後の生活設計や資産の取得予定を踏まえて、自分に合う制度を検討することが重要です。
ここでは、代替地に関する典型的なトラブルと、その場面で取るべき対応を整理します。
移転先が決まっていないのに、事業者から「退去日だけ先に決めてほしい」と急かされる場面は珍しくありません。代替地が確保できていない状態で退去すると、住まいの確保ができなかったり、店舗・事業の場合は一時休業を強いられたりするため、移転後の生活や収入に大きな影響が出ます。
代替地は退去後の生活基盤を支える重要な要素であり、見つからないまま退去日だけ先に決める必要はありません。事業者が急ぐ場合でも、曖昧なまま話を進めず、必ず書面で情報を提示してもらうことで、無用なトラブルを防げます。
代替地の提案を受けても、現在の環境と比較すると明らかに条件が悪いケースがあります。たとえば、面積が大幅に足りない、生活や営業に必要な設備が整っていない、立地が極端に不便といった物件です。それにもかかわらず、「ほかに候補がない」「この土地で対応してほしい」と強い口調で勧められることもあります。
ただ、代替地の利用は義務ではありません。不適切な条件の物件を選ぶ必要はなく、納得できない場合は金銭補償を中心に再交渉する選択も取ることができます。
代替地を選ぶべきか迷うときは、現在の物件と比較したときにどの点が不足しているのかを整理し、第三者の専門家から客観的な評価をもらうと判断しやすくなります。条件の悪さを具体的に指摘できれば、補償内容の改善や代替地の再選定を求める根拠にもなります。
いったん提示された代替地が、理由の説明もないまま別の物件に差し替えられるケースがあります。条件が良い物件から急に別の土地へ切り替えられると、移転後の生活や事業計画に影響が出るため、納得しづらい状況になります。
こうした場合は、まず 「なぜ変更が必要なのか」 を具体的に説明してもらうことが重要です。また、最初に提示された条件と変更後の条件を比較し、どの部分が劣っているのかを明確にしながら交渉を進めましょう。口頭の説明だけでは後の証拠にならないため、代替地の候補や条件は必ず書面で残すことが欠かせません。内容が大きく変わる場合には、補償内容の再調整も検討できます。
代替地の提案が適切に見えても、実際の契約書を確認すると、通常の賃貸契約では考えにくい不利な条件が含まれている場合があります。たとえば、極端に短い契約期間、更新を認めない条項、原状回復費用の負担が過大になる取り決めなど、移転後の負担が大きくなる内容が盛り込まれていることがあります。
代替地だからといって特別な条件で契約する必要はなく、入居者側が不利な内容をそのまま受け入れる理由はありません。契約書に違和感があるときは、内容を細かく確認し、交渉で見直しを求める姿勢が大切です。特に、将来的に想定外の出費につながる条項は早い段階で修正しておく必要があります。
自分だけで判断しにくい場合は、不動産や法律の専門家のチェックを受けることで、気づきにくいリスクを把握しやすくなります。
代替地として提示された物件の家賃が、周辺の相場と比べて極端に高いケースがあります。立ち退き交渉では「代替地だから特別条件です」と説明されることもありますが、相場から大きく外れた家賃設定は、移転後の生活や事業継続に影響が出やすく、納得しにくい内容です。特に事業用物件の場合、家賃の差がそのまま経営負担に直結するため、慎重な判断が必要です。
こうした場面では、まず周辺の賃料を基準に判断することが基本です。不動産ポータルサイトの情報や、宅建業者が持つ市場データを確認すれば、適正な家賃の範囲を把握できます。提示された家賃が明らかに高いと分かれば、家賃の調整や補償金の上乗せを求める理由になります。相場を根拠にした交渉は説得力があり、不当な条件で契約するリスクを避けやすくなります。
提示された代替地の条件が問題ない場合でも、移転のスケジュールが実情に合わないケースは多く見られます。住居であっても準備には一定の時間が必要ですが、店舗や工場の場合はさらに複雑で、設備の解体・搬出・再設置、内装工事、行政手続きなど、多くの作業が連動します。にもかかわらず、「この日までに必ず移動してほしい」と無理な期限を設定されると、事業の継続や生活基盤に大きな支障が出ます。
現実的でないスケジュールを提示された場合は、移転に必要な工程を具体的に洗い出し、どれだけの期間が必要かを明確に示すことが重要です。工程表を作れば、短期間での移転が難しい理由を客観的に伝えやすくなり、日程の調整につながります。状況に合わない日程に無理に合わせる必要はなく、実行可能なスケジュールへの見直しを求めることが、納得のいく移転につながります。
代替地へ移る際には、礼金・敷金・保証金といった契約時の費用に加え、内装工事や設備移設の費用が発生します。住居でも一定の負担がありますが、店舗・事業用物件になると金額が大きくなり、誰がどこまで負担するのかで話がこじれることが多いです。
代替地の利用が事業者側の事情による移転である以上、初期費用の一部または全部を補償金に含めて調整するケースが一般的ですが、明確な基準が法律で決まっているわけではありません。
適切な補償を受けるためにも、まずは必要な費用を細かく洗い出し、「どの費用を誰が負担するのか」を書面で確認することが重要になります。後から追加費用が発生すると大きな負担になるため、初期段階で十分に話し合い、納得できる形で補償内容を固めることがトラブル防止につながります。
立ち退きの場面では、立ち退き料の金額、退去期限、代替地の条件など、多くの重要な判断が短期間で求められます。補償内容に明確な基準が存在しないため、個人で交渉すると不利な内容で合意してしまうことも珍しくありません。弁護士に相談すれば、状況を客観的に整理しながら、適正な条件で移転できるようサポートを受けられます。
立ち退き交渉は、一度合意すると後から修正するのが難しいため、早い段階で専門家の力を借りることが重要です。弁護士が介入すれば、オーナーや事業者との交渉を代理で進めながら、移転後の生活や事業に負担が残らないよう条件を整えていくことができます。納得できる形で立ち退きを進めるための心強い味方と言えるでしょう。
代替地の利用は義務ではありません。事業者に代替地を用意する法的義務もないため、提示された土地に移るかどうかは自由に判断できます。条件が悪い、立地が合わない、費用面に不安がある場合は、代替地ではなく立ち退き料を中心に交渉する選択肢もあります。
可能です。代替地が提示されても、利用者がそれを選ぶ必要はありません。代替地を使わずに立ち退き料のみを受け取る形で交渉を進めることもできます。代替地の条件が合わない場合や、自分で希望の物件を探したい場合には、立ち退き料の内容を改善する方向で調整する方が現実的なケースもあります。
自分で移転先を探す場合でも、物件の契約費用や引越し費用、内装工事費など、移転に必要な支出は補償の対象になり得ます。事業者が提示した代替地を利用しなくても補償範囲が狭くなるわけではないため、必要な費用を整理し、項目ごとに説明できる形で交渉することが重要です。
可能です。店舗が移転する場合、売上減少や一時休業による損失、顧客離れなど、移転に伴う影響が大きいため、代替地とは別に「営業補償」を求めることができます。これは立ち退き料とは別枠の補償であり、移転後の経営に影響が出る部分を補うためのものです。売上資料や経理データを用意して交渉すると具体的な金額を示しやすくなります。
立ち退き時に提示される代替地は、移転後の生活や事業の継続に大きく関わる重要な要素です。しかし、法律で細かな基準が決まっていないため、地域の事情や事業者の方針によって条件に大きな差が生まれます。
納得できない条件を提示された場合、そのまま話を進める必要はありません。代替地を利用しない選択も含めて、補償内容を見直す余地は十分にあります。代替地をめぐるトラブルは早い段階で対処するほど有利に進めやすいため、不安を感じた時点で弁護士に相談することをおすすめします。
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