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借家権価格とは?計算方法や立ち退き料を算出する方法について

この記事でわかること

  • 借家権とは何か
  • 借家権価格の計算方法
  • 借家権価格を用いて立ち退き料を算出する方法

借家権価格とは、借家権の価値を数値化したもので、立ち退き料の計算の基になります。

借家権から借家権価格を算出する方法がわかっていれば、立ち退き要請されたときに立ち退き料の目安を計算できます。

ただし、計算するときの注意点があるため、計算するときには注意点を理解し、計算していきましょう。

本記事では借家権価格とは何か、借家権価格の計算方法、借家権価格から立ち退き料計算の方法を解説します。

記事を最後まで読み進めていただければ、借家権価格や立ち退き料を計算できるようになります。

借家権価格とは

借家権価格とは、借家権の価値をわかりやすく数値化したものです。

借家権とは、建物の賃借権の中で借地借家法(旧借地法を含む)の適用を受ける権利をいいます。

借家権価格は借地権価格と違い、売買対象になりにくいなどの理由により、ほとんど使われません。

そのため、借家権は主に立ち退き料の計算に使用されるだけの数値になっています。

立ち退き料とは

立ち退き料とは、賃借人を立ち退かせるときに支払う金銭です。

賃貸人は、賃借人が立ち退くときに損失する権利・金銭を補填するために立ち退き料を支払わなければなりません。

また、立ち退き料は、立ち退きさせる理由により金額が増減します。

立ち退きさせる理由を正当事由と呼び、正当事由が強ければ立ち退き料は減少し、正当事由が弱ければ立ち退き料が増加します。

借家権と立ち退き料との違い

借家権は建物の賃借権の一種であり、立ち退き料は借家権を解除したときの損失を補填する金銭です。

立ち退き料は借家権の解除に利用する金銭のため、借家権の一部と解釈できます。

一方で借家権価格には、立ち退き料に含まれる「移転に係る経費」や「営業停止による利益の損失」は含まれていません。

そのため、借家権と立ち退き料は違うものだと考えられています。

借家権価格の計算方法

借家権価格を計算する明確な根拠はありません。

そのため、借家権価格を計算する方法はいくつか存在します。

本章では、借家権価格の計算方法を3つ解説します。

割合法

割合法とは、更地価格に借地権割合と借家権割合を掛けて計算する方法です。

立ち退き料を計算するときには、一般的に割合法を利用して計算します。

具体的には次のような計算方法で算出します。

借家権価格 = 更地価格 × 借地権割合 × 借家権割合

建物自体の価値も考慮する場合には、上記の計算式に、次の式で算出した金額を上乗せします。

建物自体の価値 = 建物の評価額 × 借家権割合

ただし、建物の評価値がゼロに近い場合は計算式に上乗せしません。

なお、借地権割合は60~70%の設定が多く、借家権割合は30%の設定が多いため、目安を計算するときはこの各パーセンテージを利用します。

賃料差額還元法

賃料差額還元法とは、借地権の経済価値である賃借人の支払賃料を還元して価格を求める方法です。

具体的には次のような計算方法で算出します。

賃料差額還元法による価格 = 賃料差額のうち取引対象となる部分 ÷ 還元利回り

賃料差額とは次の賃料の差額を指します。

正常実質賃料 – 実際支払賃料

※正常実質賃料とは、再度賃貸借契約を締結すると仮定した場合に支払うであろう適正賃料

※実際支払賃料とは、実際に払っている賃料

取引対象となる部分とは、賃借人が借りている部分のうち、実際に市場価値が発生している部分をいいます。

控除法

控除法とは、算出する土地の更地価格から底地価格を控除して借地権価格を計算する方法です。

具体的には次のような計算方法で算出します。

控除法による価格 = 更地価格または建付地価格 – 底地価格

※建付地とは、建物が建築されている敷地で、建物と敷地が同一所有者の所有物である宅地です。

※底地とは、借地権が設定されている土地の所有権です。

借家権価格を用いて立ち退き料を算出する方法

借家権価格を用いれば、立ち退き料を算出できます。

本章では、借家権価格を用いて立ち退き料の計算方法を解説します。

借家権価格から立ち退き料を計算するときの計算方法

借地権価格から立ち退き料を計算するときには、まず借家権価格を算出します。

借家権価格を算出したのち、正当事由の充足割合を考慮して立ち退き料を計算します。

借家権価格 = 更地価格 × 借地権割合 × 借家権割合 + (建物自体の価値)

※建物の価値がある場合:建物自体の価値 = 建物の評価額 × 借家権割合

立ち退き料 = 借家権価格 ×(100% - 正当事由の充足割合)

正当事由の充足割合について

正当事由の充足割合は、正当事由の強弱により変動します。

そのため、正当事由の強弱の違いを理解しておかなければ計算できません。

正当事由が強い立ち退き要請の主な例は、次のとおりです。

  • 建物が老朽化し、大地震が発生すると崩壊する状態の建物からの立ち退き要請
  • 賃貸人に介護が必要となり、家族を呼ぶために行う立ち退き要請
  • 賃貸借契約違反を継続している賃借人への立ち退き要請

正当事由が弱い立ち退き要請の主な例は、次のとおりです。

  • 建物が老朽化していても、耐震補強などしてある頑丈な建物からの立ち退き要請
  • 特段の事情がないのにも関わらず家族を呼び、賃借人を立ち退きさせる
  • 賃借人に落ち度がないにも関わらず立ち退きさせる

正当事由の充足割合については、個別に判断されるため明確に決まっていないことを理解しておきましょう。

シミュレーション計算

立ち退き料の計算をシミュレーションしていきます。

立ち退き料の計算【シミュレーション条件】

計算は割合法を利用

  • ①更地価格5,000万円
  • ②借地権割合60%
  • ③借家権割合30%
  • ④建物評価額1,000万円
  • ⑤正当事由の充足割合70%

【借地権価格の計算】

①5,000万円 × ②60% × ③30% +(④1,000万円 × 30%)= ⑥借地権価格1,200万円

【立ち退き料の計算】

⑥1,200万円 ×(100% - ⑤70%)= 360万円

このシミュレーション条件で計算したときの立ち退き料は、360万円と計算できます。

借家権価格から立ち退き料を計算するときの注意点

借家権価格から立ち退き料を計算するときには、注意点がいくつかあります。

借家権価格から立ち退き料を計算するときに注意するポイントは、次のとおりです。

  • 借家権価格には明確な計算方法がない
  • 正当事由の充足割合は明確な計算方法がない

立ち退き料の計算は明確な計算方法がないため借家権価格から計算するときにはあくまでも目安だと理解しておきましょう

借家権価格についてよくある質問

借家権価格についてよくある質問を紹介します。

借家権割合の相場や借家権割合が一律30%になっている理由について説明しています。

参考にしてください。

借家権割合の相場

割合法によって借家権価格を算出する場合、借家権割合の相場は、土地の利用価値の場合、借地権の20〜30%もしくは、40%前後です。

建物自体の価値の場合、30〜50%前後が相場です。

借家権割合はなぜ一律30%?

税務上での借家権割合が一律30%の評価減と定められている理由は、賃借人がいる土地や建物は、賃貸人が自由に利用したり売買したりできないためです。

自由度の高い自用地と同じ評価にはできないため、評価が下げられています。

まとめ

借家権の価値を数値化した借家権価格は、立ち退き料計算の基となる数値です。

借地権価格から立ち退き料を計算するときには割合法を利用しますが、賃料差額還元法や控除法を利用し計算することも可能です。

ただし、どの方法を利用しても明確な計算方法があるわけではありません。

そのため、計算した立ち退き料は目安として考える必要があります。

もし賃貸人から立ち退き要請を受けている場合は、立ち退き料を請求できるか、また計算した金額が妥当か、弁護士に相談してから立ち退き交渉を行うようにしましょう。

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