住んでいる賃貸物件が築40年のアパートである場合、建物の老朽化を理由として貸主から立ち退きを要求されるケースは少なくありません。
しかし、問題なく居住している借主としては、できれば立ち退きせずにこのまま住み続けたいと考える人も多いでしょう。
貸主からの立ち退きの要求には従わなければならないのか、要求に従って退去する場合は立ち退き料を受け取ることはできるのか、気になる点は多々あるのではないでしょうか。
本記事では、築40年のアパートにおける立ち退きについて、立ち退き料の相場や内訳、貸主との交渉の流れやコツなどを徹底解説していきます。
現在築40年のアパートに居住中の人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
築40年のアパートで、貸主からの要求に応じて立ち退きをする場合、立ち退き料の相場はどのくらいになるのでしょうか。
実際のところ、賃貸物件の立ち退き料については、法律などによる明確な定めはありません。
そのため、立ち退き料の金額についても下限や上限などの定めはなく、契約ごとに貸主と借主とで交渉の上決められるのが現状です。
しかし、築40年のアパートに住んでいて立ち退きの要求を受けている借主としては、立ち退き料の大まかな相場を把握しておきたいというケースは多いはずです。
このような場合は、立ち退き料の内訳を把握し、自分の状況に当てはめて相場を計算してみるとよいでしょう。
ここでは、築40年のアパートにおける立ち退き料の内訳について、3つの項目を挙げて解説していきます。
立ち退き料の内訳の1つは、転居先の物件の契約金にあたる費用です。
実際に貸主の要求に応じて築40年のアパートを退去する場合、借主は新たな転居先を決めなければなりません。
そのためには、転居先の物件で新たに賃貸契約を結ぶ必要があるので、当然ながら契約金がかかります。
転居先の契約金には、敷金や礼金、仲介手数料、火災保険料、保証料、鍵交換費用、入居月の家賃など様々な費用が含まれ、概ね1ヶ月分の家賃に対して3~4倍程度の金額になるのが一般的です。
築40年のアパートから貸主の要求に応じて退去する場合、転居先の契約金は、借主が負担するには大きい金額といえるでしょう。
そのため、転居先の契約金は立ち退き料の内訳として貸主が負担するというケースが多くなっています。
築40年のアパートの立ち退きに伴う引っ越し費用も、貸主が支払う立ち退き料の内訳に含まれます。
現在居住中のアパートを退去し、新たな物件へ引っ越しするためには、引っ越し業者の利用代金などがかかるのが一般的です。
引っ越し費用の相場は、運び込む荷物の量や、転居先の物件までの距離などによって大きく異なります。
そのため、一概に相場を把握するのは難しいといえるでしょう。
早めに大まかな金額を把握したい場合は、見積もりだけ先に取っておくことで相場を知ることができます。
引っ越し業者の見積もり額をもとに、貸主へ立ち退き料の交渉をするケースもよくあります。
築40年のアパートから新たな物件へと転居する場合、家賃が増額するケースは少なくありません。
そのため、立ち退きによって増額した分の家賃を、立ち退き料として貸主に支払ってもらえる可能性があります。
特に、築40年のアパートのように比較的築年数の古い物件では、家賃も安く設定されていることが多いです。
立地や利便性などを可能な限り維持できる物件を探すと、どうしても家賃の増額は避けられないことのほうが多いでしょう。
貸主からの要求によって転居が必要になった状況を考慮すると、増額分の家賃は貸主に負担してもらうべきものとみなされ、目安としては1~3年分の増額分家賃が立ち退き料に含まれることになります。
ここでは、築40年のアパートの立ち退き交渉を行うときの流れを解説していきます。
大まかな流れを把握しておくことで、貸主から突然立ち退きの要求を受けた場合も冷静に対応することができるでしょう。
まずは、電話や書面などによって貸主から立ち退きの通知を受けます。
貸主から直接通知が来ることもあれば、物件の管理会社から送られてくるケースも少なくありません。
立ち退きの通知を受けたら、内容を詳しく確認しましょう。
たとえば、立ち退きの期限はいつか、立ち退きを要求する理由は何か、立ち退き料などの条件はどのようになっているかなど、詳しく確認することがとても大切です。
また、場合によっては、すぐに立ち退きに合意してもらおうとして貸主が書面へのサインを急かしてくることもあるかもしれません。
そのような場合であっても、すぐにサインするのではなく、詳しい内容をきちんと理解し、疑問点をすべてなくしてからサインするという手順は守るようにしましょう。
立ち退きの通知を受けたら、立ち退き料の調査を始めましょう。
一般的に、貸主から借主へ立ち退きを要求する場合、立ち退き料が発生するケースが多くなっています。
しかし、前述した通り、立ち退き料には具体的な決まりが定められていないのが現状であるため、妥当な立ち退き料について事前にしっかりと調査することはとても大切です。
たとえば、同じような事例において実際に立ち退き料が支払われたケースを調査し、相場を把握するのはよい方法でしょう。
ただし、自分で正しい情報を調べて調査するのは、なかなか難しいケースも多いかもしれません。
そのため、立ち退き料を調査する際は、弁護士などの専門家に依頼することも検討してみましょう。
立ち退き料の調査を経て、ある程度の相場を把握することができたら、貸主へ要求する内容をまとめて交渉しましょう。
交渉では、主に立ち退き料に関する話し合いが行われることになるでしょう。
スムーズに交渉を進めるためには、具体的な金額を提示した上で、立ち退き料が必要となる根拠を伝えることが大切です。
なお、貸主との交渉も、弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
自分で直接交渉すると、時間的にも精神的にも負担がかかってしまう可能性が高いので、頼るべきところはプロに任せましょう。
貸主との交渉を続けても話がまとまらない場合は、調停や裁判に発展することもあります。
調停や裁判に発展してから和解によって終結するか、判決に従って立ち退きが行われることになるでしょう。
ただし、調停や裁判に発展すると、借主にかかる負担も大きくなるので、なるべく交渉の時点で話をまとめるのが理想的です。
築40年のアパートから立ち退きをする場合、借主としては立ち退き料をできるだけ多くもらいたいと考えるのは当然のことです。
アパートの退去において、立ち退き料を多くもらうためには、いくつかのコツがあります。
立ち退き料には法律による金額の定めがないため、コツ次第で受け取れる立ち退き料の金額が大きく変わってくる可能性は大いにあるでしょう。
ここでは、3つのコツについて、詳しく解説していきます。
築40年のアパートの立ち退き料を多くもらうには、立ち退き料について弁護士などの専門家に相談するのがよいでしょう。
弁護士は、賃貸契約における立ち退き料に関する知識が豊富で、実際に立ち退き料の交渉を代理で行った経験があるケースも少なくありません。
そのため、弁護士などの専門家に相談することで、希望の立ち退き料をもらうための交渉の成功率は高まるはずです。
できる限り高い立ち退き料を確実に受け取るためには、プロに相談するのが最善の策といえるでしょう。
築40年のアパートからの立ち退きにおいて実際にかかる費用を計算し、本当に必要としている金額の詳細を貸主に対して提示することで、十分な立ち退き料をもらえる可能性は高まります。
立ち退き料には、転居先の契約金や引っ越し費用、増額分の家賃などが含まれるため、これらの費用を自分なりにそれぞれ計算してみましょう。
これにより、立ち退き料として貸主が支払うべき金額がはっきりと見えてくるので、立ち退き料を請求する有力な根拠となるはずです。
実際に立ち退きにかかる費用を細かく計算し、必要な金額を分かりやすくはっきりと伝えることが重要なポイントといえるでしょう。
できるだけ立ち退き料を多くもらうためには、借主として本当は立ち退きたくないという意思を明確に伝えるのもコツの1つです。
築40年のアパートからの立ち退きを要求されたとき、借主が立ち退きに対して前向きな姿勢であった場合、立ち退き料を多く支払わなくてもスムーズに退去してくれるだろうと貸主から思われてしまうかもしれません。
そのため、反対にできることなら立ち退きたくないという意思を明確に伝えることで、貸主は借主に対してより多くの立ち退き料を支払わなければならないといった気持ちになるでしょう。
最終的に立ち退き料を支払うのは貸主であるため、貸主の気持ちを意識することも、交渉における重要なポイントです。
実際に、築40年のアパートの立ち退きを要求された場合、押さえておくべき注意点が4つあります。
ここで解説する4つの注意点を把握しておかなければ、実際に貸主から立ち退きを要求された際に正しい対応ができず、後悔することになってしまうかもしれません。
正しくスムーズな対応ができるよう、それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
貸主から、立ち退きに合意するための書面にサインを求められた場合、軽い気持ちでサインしてしまうのは避けるようにしましょう。
特に、立ち退き料などの交渉をする前にサインを求められた場合は、より一層注意が必要です。
まずは立ち退き料を調査し、十分な立ち退き料を受け取れることを確認した上で合意するべきなので、サインする際は慎重に行いましょう。
詳しい立ち退きの条件などが曖昧なまま先にサインしてしまうと、後々大きなトラブルが起きてしまう可能性もあるということを理解しておくことが重要です。
築40年のアパートでは、老朽化を理由として貸主が立ち退きを要求するケースが多いですが、築40年経っているからといって必ずしも立ち退きが必要なほど老朽化が進んでいるとは限りません。
たとえば、経年劣化で古くなっているものの、まったく問題なく居住できている状況であれば、老朽化が立ち退きを求めるための正当事由とならない可能性があります。
このように、居住するのに危険が及ぶほど老朽化が著しく進んでいる状況ではない場合、借主は貸主に対してより多くの立ち退き料を求めることが認められるはずです。
築40年のアパートが必ずしも老朽化が進んでいるとは限らないと理解しておくことで、より正しく交渉を進めることに繋がるでしょう。
貸主との立ち退き料の交渉において、あまりにも無理のある条件を求めるのは控えたほうがよいでしょう。
たとえば、一般的な立ち退き料の相場を大幅に超えた金額を要求することや、貸主からの要求に耳を傾けずに居座り続けると、貸主から訴訟を起こされるリスクが高まります。
貸主から訴訟を起こされてしまうと、借主が負う精神的負担も大きくなってしまうでしょう。
なるべく少ない負担でスムーズに立ち退きを迎えるためには、お互いに歩み寄りながら交渉を進めることも大切です。
築40年のアパートでは、老朽化によって立ち退きを要求されるケースは珍しくありません。
しかし、自らの住まいとして築40年のアパートに居住している借主としては、突然立ち退きをしなければならなくなったら戸惑ってしまう人も多いでしょう。
本記事では、築40年のアパートでの立ち退き料について、詳しく解説してきました。
立ち退き料の内訳や相場、交渉の流れやコツなどについて理解を深めておくことで、実際に立ち退きを要求された際に冷静に対応することができるでしょう。
また、立ち退き料の交渉を行うことになった際は、弁護士などの専門家に相談することも大切です。
最も負担なくスムーズに交渉を進められる方法なので、状況に応じて専門家への相談も検討しましょう。