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立ち退き料は、所有者への補償料+慰謝料です。
そもそも立ち退きとは、国や市の事業計画や個人間の借地契約解除によって退去しなければならない事態を指します。
退去にかかる様々な費用を補償するために補償料が支払われ、強制的な退去による精神的苦痛には慰謝料も考慮されます。
立ち退き料がもらえるケースは様々ですが、マイホームを建てたのに立ち退きを要求されたとき、以下のようなケースでは立ち退き料を受け取れます。
では、それぞれのケースについて解説します。
立ち退き料の内訳
土地区画整理事業とは、国民が暮らす場所をより効率的に利用するために土地の形を再編する事業です。
この事業は知事や国土交通省の許可をもって施工されるため、強制力が非常に強いのが特徴です。
きれいな街づくりには、道路や公園を作る土地が必要になるため、所有者の土地が少しずつ削られ再配置(減歩)されます。
土地に戻ってきて再度住むこともできますが、別の場所で新たに住む場合は立ち退き料をもらうことができます。
立ち退き料の内訳
昔は混んでいた道路が2車線やパイパスになり渋滞緩和された工事をよく見かけますが、こういった効果的な利用を目的とした道路を都市計画道路といいます。
土地や家を買ったタイミングで都市計画道路にかかる不動産かどうかは既に決まっていますが、この場合であっても立ち退き料はもらえます。
なぜなら、都市計画道路はいつ建築がスタートするか分からず、40年以上経っても予算取りすら行われていない場合が多くあるためです。
「いきなり工事が始まり持ち家が削られるが、購入時に知っていたから立ち退き料は支払われない!」とならないよう、都市計画道路に関連する立ち退きでは他の立ち退きケースと同様にしっかりと立ち退き料支払いの話し合いが行われます。
立ち退き料の内訳
土地を借りてその上に建物を建築する場合、土地所有者(地主)と借地契約を締結することとなります。
この契約は借主に対し有利な内容となっており、簡単に地主側の都合で契約解除とはできないよう保護されています。
しかし、地主はどのような状況であっても借地契約を解除できないわけではありません。
ポイントは、正当事由があるかないかです。
正当事由として認められるかどうかは、地主の経済状況が大きく関係しています。
このような理由だけでは正当事由があるとは認められません。
正当事由があると認められるためには、以下の理由を考慮して総合的に判断されます。
一般的には、建てるために多くの費用と工数を費やした持ち家を解体し、移住するには精神的にも大きな負担がかかります。
そのため、国家事業ではなくとも、慰謝料・迷惑料を含む立ち退き料を受け取ることができます。
持ち家で立ち退き料がもらえるケースについて説明しましたが、それではどのくらいが相場なのでしょうか。
一軒家の立ち退き料は、建物の築年数や構造、用途などを基準にして、公共事業をおこなう自治体が計算します。
一軒家の立ち退き料を算出する上で、該当する項目の相場は以下の通りです。
立ち退き料の基本相場
上記項目以外にも土地売買価格、仮住まい費用等があります。
これらは立ち退き対象地によっては大きく変動するため、注意が必要です。
また、立ち退き料は上記に加え迷惑料や慰謝料がありますが、この項目については一般的な相場はなく、どれだけ立ち退きによって退去者に負担があるのかによって価格が決定されます。
持ち家について立ち退き料が発生するのは、道路の拡張や公的施設の建設など、公共事業を行うために必要となったケースが多く、持ち家の立ち退きを求められた場合、土地と建物のいずれも立ち退き料の計算対象となります。
また、持ち家が借地の上に建っている場合は、土地の所有者から立ち退きを求められるケースもあるでしょう。
しかし土地や建物についての立ち退き料は、公示価格や基準地価、建物の建築年数や構造・用途など客観的なデータに基づいてそれぞれ別に計算されます。
立ち退き料は、基本の計算方法が定められていますが、公共事業による持ち家の立ち退き料の相場の算出は難しいとされています。
なぜなら土地の状況や建物の状況、事業内容等それぞれの事案によって立ち退き料の計算方法が異なるためです。
土地や建物の状況が1つ1つ異なるように、立ち退き料の金額もまた、それぞれの事例ごとに異なります。
公共事業による持ち家の立ち退き料は、土地と建物を分けて、以下のように算出します。
なお、持ち家ではなく賃貸の一軒家の立ち退き料の相場は、賃料の約10ヶ月分前後といわれています。
ここまでは、立ち退き料がもらえる場合と対象となる項目の相場について解説しました。
これらを踏まえた上で、立ち退き料を多くもらう交渉のコツを解説します。
国や市の担当者が提示する見積は、相場と異なることもあります。
引越し費用や仮住まい費用については感覚的に相場が分かるため、適正価格かどうかが分かる人も多いです。
しかし、解体費や土地価格は普段から馴染みがないため、相場より低い金額で提示されていても分からない場合が多いでしょう。
そのため、相場よりも低い金額の見積で提示されることがあるので注意が必要です。
提示側との情報差をなくすため、解体費と土地価格は不動産業会社に査定をしてもらいましょう。
国や市の担当者は、立ち退き案件を幾つも抱えていることがあります。
地主は困った状況に陥っているからこそ、立ち退きの相談をします。
こういった相手側の事情を考慮し、打ち合せを進めていくことは非常に大きなポイントです。
もし立ち退き勧告を受けた場合は、相手側が置かれている状況を把握することで交渉を有利に進めることができます。
相手側が価格提示を最初に行うため、当然相手側に有利な内容が盛り込まれています。
その明細を1つ1つ確認し、こちらの要望を組み込んでいきましょう。
組み込みやすい点は次の2点です。
土地売買価格は、同じエリアであっても大きく変わることがあります。
売主の事情によって販売価格が変わるため、相場を正確に捉えることはプロの不動産業者でも難しいといわれています。
相手側は売買価格の1番下で算出してくるため、平均相場で提示しましょう。
仮に50坪の土地で坪単価の相場が2万円変わるだけで、100万円立ち退き料が変わります。
平均的な相場はインターネットでも確認できますが、できるだけ不動産会社に調査を依頼しましょう。
何度も交渉を繰り返しても、条件が折り合わないこともあります。
最終的には立ち退きは強制力を持ってしまうため、交渉をあまり伸ばしすぎると不利になります。
そこで、弁護士同士で話をする提案をしましょう。
お互いのストレスがなくなるのと同時に、こちらも譲れないラインがあることを相手側に伝えることができます。
今回は、持ち家の立ち退き料の相場について解説しました。
立ち退き料には、建物再建築価格、解体費、引越し費用、土地売買価格、仮住まい費用などがあり、これらは対象地によって相場が大きく異なります。
上記の他にも迷惑料や慰謝料がありますが、こちらは一般的な相場はなく、退去者への負担がどれくらいかによって決まります。
立ち退き料をできるだけ多くもらうためには、解体費と土地価格は不動産業者に査定依頼するなど、しっかりとした準備が大切です。