不動産の退去は、引っ越しが決まったら早めに準備を始めることが大切です。
特に、退去の連絡をいつまでに、誰にするのかを把握しておかないと、思わぬトラブルにつながりかねません。
この記事では、不動産の退去連絡について、いつまでに誰にするのか、退去に伴うその他の手続きを中心にご説明します。
この記事を参考に、トラブルのないスムーズな退去の準備を進めましょう。
不動産の退去を決めたら、まず「いつまでに」「誰に」連絡する必要があるのかを確認しましょう。
ここでは、退去連絡の期限や方法、そして連絡時の注意点について解説します。
退去連絡の期限は、賃貸借契約書に記載されています。
一般的には、退去日の1カ月前までに連絡する必要がある場合が多いですが、2カ月前や3カ月前と定められているケースもあります。
退去が決まったら、早めに賃貸借契約書を確認し、期限を守って連絡するようにしましょう。
連絡先は、大家ではなく管理会社である場合が多いです。
賃貸借契約書や毎月の家賃の振込先などを確認し、連絡先を間違えないようにしましょう。
連絡先がわからない場合は、不動産会社に問い合わせて確認することもできます。
退去連絡の方法は、電話またはメールが一般的です。
電話の場合は、契約者本人が連絡し、以下の情報を伝えましょう。
メールで連絡する場合は、件名に「退去連絡」と明記し、上記の内容を記載しましょう。
メールの場合の退去連絡の文例は、以下のとおりです。
件名:退去連絡
〇〇株式会社(管理会社名)
〇〇様(担当者名)
お世話になっております。
〇〇(氏名)です。
下記の部屋の退去を希望しますので、ご連絡いたしました。
物件名:〇〇
部屋番号:〇〇号室
退去希望日:〇年〇月〇日
連絡先電話番号:〇〇
お忙しいところ恐縮ですが、ご連絡いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
(署名)
また、解約通知書(退去届)の提出が求められる場合もあります。
賃貸借契約締結のときに、契約書と一緒に用紙を渡されていることもありますので、契約時に交付された書類を確認し、必要に応じて用紙を送ってもらいましょう。
あらかじめ指定されている退去連絡の方法を確認しておくことが大切です。
退去の連絡をする際に注意する点は、次のとおりです。
退去連絡は、退去手続きの第一歩です。
期限や連絡先を間違えないようにしましょう。
退去連絡が遅れてしまうと、遅れた日数分の家賃を負担しなければいけない場合があります。
退去連絡を終えたら、いよいよ引っ越しに向けて具体的な準備を進めていくことになります。
ここでは、退去連絡から引っ越し当日までの流れについて、順を追って解説します。
退去連絡後、管理会社または大家と退去日を確定させます。
退去日は、賃貸借契約書に記載されている退去予告期間に基づいて決定されます。
双方の合意のもと、具体的な退去日を決定しましょう。
退去日が決まったら、引っ越し業者を選定します。
複数の業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討することが大切です。
見積もりは、訪問見積もりとオンライン見積もりがあります。
荷物の量や移動距離などを考慮し、最適な業者を選びましょう。
引っ越しの時期や曜日によっては、混み合うため費用が高額になることもあります。
早めに引っ越し業者に相談して、見積もりを取りましょう。
引っ越しに向けて、少しずつ荷造りを始めましょう。
使用頻度の低いものから梱包し、引っ越し直前に必要なものは最後に梱包すると効率的です。
ダンボールには、中身を具体的に記載しておくと、引っ越し後の整理が楽になります。
忙しい場合などには、引っ越し業者の荷造りサービスを利用するとよいでしょう。
不要な家具や家電製品は、粗大ごみとして処分する必要があります。
自治体のルールに従って、事前に申し込みを行い、指定された場所に運び出しましょう。
粗大ごみの回収には時間がかかる場合があるため、早めに手配することが重要です。
引っ越しに伴い、電気・ガス・水道の停止手続きを行う必要があります。
各サービスの提供会社に連絡し、停止日を伝えましょう。
また、インターネットや電話回線の移転手続きも忘れずに行いましょう。
役所で転出届を提出し、転居の手続きを行います。
国民健康保険や国民年金などの手続きも必要になる場合があります。
手続きに必要な書類や期限を確認し、漏れのないように行いましょう。
マイナンバーカードを利用して、マイナポータルにて転出届の提出をオンラインで行うことができます。
オンラインでの手続きを活用することで、役所の窓口に行く手間を省くことができます。
退去日には、管理会社または大家と共に、部屋の状況を確認する立ち会いを行います。
壁や床の傷、設備の故障などを確認し、原状回復費用について話し合います。
立ち会いでは、不明な点は遠慮なく質問し、納得のいくまで確認しましょう。
また、立ち会い時に、部屋の鍵を管理会社または大家に返却します。
後日、原状回復費用が確定したら、敷金との差額を精算します。
原状回復費用については、賃貸借契約書に記載されている内容に基づいて算出されます。
賃貸借契約の際に、敷金を返還しないことが契約条項に含まれているケースがあります。
この場合、原状回復費用が敷金の額を下回っても敷金は返還されません。
あらかじめ契約書を確認しておきましょう。
原状回復費用と敷金の精算が完了すれば、退去の手続きはすべて完了です。
退去時には、原状回復費用を巡るトラブルが発生することがあります。
しかし、事前にポイントを押さえておくことで、損をすることなくスムーズに退去手続きを進めることができます。
ここでは、退去時に損をしないための重要なポイントを解説します。
これらのポイントを事前に確認し、計画的に退去の手続きを進めましょう。
原状回復の範囲は、賃貸借契約書に明記されています。
契約書には一般的に、通常の使用による損耗と借主の故意・過失による損害の区別が記載されています。
退去前に、契約書の内容をよく確認し、原状回復の義務範囲を把握しておきましょう。
入居時に、部屋の状況を写真や動画で記録しておくことは、退去時のトラブルを避けるために非常に有効です。
壁や床の傷、設備の不具合などを記録しておけば、退去時の立ち会いで、原状回復の範囲について客観的な証拠として提示することができます。
退去時の立ち会いでは、管理会社または大家と共に、部屋の状況を確認します。
立ち会いでは、原状回復の範囲について双方で合意しなくてはなりません。
立ち会いに備えて、入居時の記録や賃貸借契約書を持参し、不明な点は遠慮なく質問するようにしましょう。
原状回復費用について納得できない場合は、管理会社または大家と交渉することができます。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」などを参考に、原状回復の範囲について主張しましょう。
(1)原状回復とは
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
つまり、「原状回復」とは、借りた当時の状態に戻すことではなく、経年変化や通常の使用による損耗については原状回復費用に含める必要はありません。
原状回復の範囲に含まれるかの判断が難しいときには、後述する相談窓口に相談しましょう。
敷金は、退去後に原状回復費用を差し引いた金額が返還されます。
敷金の返還時期や返還方法について、事前に管理会社または大家に確認しておきましょう。
原状回復費用を巡るトラブルが発生した場合は、専門の相談窓口に相談することもできます。
国民生活センターや弁護士会など、様々な相談窓口があります。
退去の手続きでトラブルになったときは、一人で悩まずに専門家に相談してみましょう。
退去日直前になって慌てることがないよう、事前に確認・対応しておく手続きがいくつかあります。
ここでは、スムーズな退去のために、事前に確認しておきたい重要な手続きについて解説します。
退去に関する手続きは、賃貸借契約書に詳しく記載されています。
退去予告期間、原状回復の範囲、敷金の返還など、重要な項目を改めて確認しておきましょう。
不明な点は、管理会社または大家に確認することが大切です。
賃貸契約と同時に加入した火災保険は、退去日をもって解約となります。
保険会社に連絡し、解約手続きを行いましょう。
解約手続きを怠ると、退去後も保険料が発生してしまう場合があります。
郵便局で転送手続きを行うことで、旧居宛の郵便物を新居に転送してもらえます。
転送期間は1年間ですので、必要に応じて更新手続きを行いましょう。
クレジットカード会社、銀行、生命保険会社、各種サービスの登録住所を変更しましょう。
手続きを怠ると、重要書類が旧居に届いてしまう可能性があります。
インターネット回線の解約または移転手続きを行います。
プロバイダに連絡し、手続きを行いましょう。
移転の場合は、新居での開通工事が必要になる場合がありますので、早めに手続きを進めましょう。
NHKの住所変更または解約手続きを行います。
インターネットで手続きを行うか、NHKに連絡しましょう。
賃貸物件の退去手続きは、賃貸借契約書の内容によって異なる場合があります。
ご自身の契約内容をよく確認し、期限に遅れないように退去の連絡をしましょう。
また、退去にともない様々な手続きが必要になるため、計画的に準備を進めることが大切です。
もし、退去手続きに関してご不明な点や不安なことがあれば、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
アドバイスを受けることで、安心して退去手続きを進めることができるでしょう。