次の部屋探しや引っ越し準備で忙しく、退去する部屋の掃除まで手が回らない人も多いのではないでしょうか。
しかし退去時にエアコンを掃除していないと、思わぬ費用負担が発生する可能性があります。
本記事では、退去時のエアコン掃除の費用負担とクリーニング代を抑えるポイントについて解説します。
目次
賃貸物件のエアコンは貸主(大家)の所有物であり、貸主が入居者の退去後、必要に応じて内部洗浄や分解洗浄を行います。
そのため借主は入居中にフィルター掃除や外部の拭き掃除を行っていれば問題なく、退去時だからといって特別な清掃は必要ありません。
しかし、賃貸借契約において入居者である借主には、以下の2つの義務があります。
したがって、基本的な掃除を長い間怠った結果、内部の汚れやカビの発生により通常のクリーニングでは対応できない場合には、原状回復のために追加費用が発生する場合があります。
退去時のエアコンクリーニング費用を誰が負担するかについては、契約内容やエアコンの使用状況によって異なります。
ここでは、借主と貸主の負担範囲やクリーニング費用の相場について解説します。
エアコンクリーニングは次の入居者募集の準備として行われるものであり、原則としてクリーニングの費用は大家(貸主)の負担です。
国土交通省のガイドラインでも、「通常使用や経年劣化による汚れは貸主が負担すべき」とされています。
参考:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(国土交通省)
ただし、喫煙やペットによる汚れ、カビなどで状態が「通常使用の範囲を超えている」と判断された場合は借主の負担となる可能性があります。
また注意したいのが、賃貸借契約書に「エアコンクリーニング費用は借主負担」と特約が明記されている場合は借主がクリーニング代を支払う必要がある点です。
しかしこの特約が通常使用範囲内の汚れまで借主に負担させる内容であれば、不当な条項として無効となる可能性があります。
お掃除機能付きなどの特別なタイプでない限り、エアコンクリーニングの費用は1台あたり1万円弱~1万5,000円程度が一般的です。
さらに、内部洗浄や分解清掃が必要な場合には、追加料金が発生します。
賃貸物件の場合、エアコンクリーニングがハウスクリーニングの一環として費用に含まれている場合もあります。
退去時に気になるのが、特に特約などが定められていなければハウスクリーニング代と別途エアコンクリーニング費用がかかるのかではないでしょうか。
退去時のハウスクリーニングには、エアコンのフィルターや外部カバーの簡単な清掃が含まれることが一般的です。
ただし、エアコン内部のカビや汚れを取り除くために内部洗浄が必要な場合は、別途費用が発生するため退去時の精算で実費請求される可能性があります。
最後に、退去時に発生するクリーニング代を抑えるための対策について解説します。
専門技術を持たない入居者がエアコンを掃除したからといって、退去後に「業者に頼まなくてもよい」とはなりません。
退去前にエアコンを掃除していてもクリーニング費用分の支払いは発生しますが、管理不足による追加のクリーニング費用を抑えるためにも、入居中の定期的な掃除は必要です。
ただし注意点として、自分で掃除した結果エアコンが故障した場合、修理費用は借主負担になります。
また精密機械に影響を与える可能性があり危険なため、内部清掃は避け、あくまでできる範囲でこまめに清掃を行なうようにしましょう。
退去時の思わぬクリーニング代にまつわるトラブルを防ぐためにも、契約前には賃貸借契約書特の特約事項について事前に確認しておきましょう。
過去には、「通常損耗や経年劣化も借主が負担する」とする特約が含まれていた賃貸借契約について「借主の利益を一方的に害する」として無効と判断した判例があります。
参考:「原状回復にかかる判例の動向」(国土交通省)
契約前の確認とともに、国土交通省の「原状回復ガイドライン」を参考に万一不当な請求があった場合に対抗できる知識を持つことも重要です。
それでももしトラブルになったら、以下のような相談先に相談してみましょう。
賃貸物件のクリーニング費用を抑えるには、契約書の事前確認や定期的な清掃を行なうなど壊れる前の段階からトラブルを防げるような行動を入居者として心がけることが大切です。
それでも万が一クリーニング費用にまつわるトラブルが解決しない場合には、弁護士への相談を検討しましょう。