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【2024年】原状回復をめぐるトラブルとガイドラインが再改定!わかりやすく解説

この記事でわかること

  • 2024年原状回復ガイドライン改定のポイント
  • 改定ガイドラインにおける耐用年数や賃貸人と賃借人の負担割合
  • ガイドラインと民法改正や契約書との関係

賃貸借契約で最も多いトラブルは原状回復に関する問題であり、退去時に気になるのがその費用負担です。

2024年、国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を再改定しました。
これに伴い、耐用年数や賃借人・賃貸人の費用負担割合、経年劣化や過失損傷に関する取り扱いが見直されています。

この記事では、改定のポイントや具体的な変更点をわかりやすく解説します。
賃貸住宅の退去を検討している方にとって必見の内容です。

賃貸住宅の原状回復とは

賃貸住宅の原状回復とは、賃借人が退去する際に、物件を借りた時の状態に戻すことを指します。

ただし、すべての損耗を元の状態に戻す必要はありません。
原状回復の対象は、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、または通常の使用を超える使用による損耗・毀損に限られます。

一方、建物の自然な劣化(経年変化)や通常の使用による損耗は、賃貸人が負担する費用とされています。
これは、賃料に減価償却費や修繕費が含まれているという考え方に基づいています。

では、原状回復ガイドラインについて詳しく説明していきましょう。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」とは

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、トラブル防止を目的とし、契約時や入退去時の物件確認の参考資料として利用されることを想定されています。
ガイドラインでは原則的に、賃借人の故意・過失による損傷は賃借人の負担、通常の使用による損耗や経年劣化は賃貸人の負担、としています。

また、経過年数を考慮して、賃借人の負担割合を減らす考え方も取り入れられています。

ガイドラインの耐用年数と負担割合について

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、設備などの経過年数(入居年数)を考慮し、負担割合の算定方法が示されています。

入居期間が長いほど賃借人の負担は少なくなり、耐用年数を超えると、原則として賃借人の負担は1円になります。

以下は、主な設備の耐用年数で、法定耐用年数とは異なる基準で定められています。

  • カーペット、クッションフロア:6年
  • 壁クロス:6年
  • 襖、障子:経過年数は考慮しない
  • 流し台:5年
  • エアコン、ストーブ:6年
  • 便器、洗面台など給水衛生設備:15年
  • ユニットバス、浴槽、建物固定の下駄箱:建物の耐用年数を適用
  • 畳:経過年数を考慮しない

ただし、特約がある場合は特約が優先される可能性があり、別途考慮が必要です。

【2024年】原状回復をめぐるトラブルとガイドラインの再改定内容


2024年の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」再改訂版では、事業用物件や公営住宅にも適用範囲が拡大され、英語版要約により国際化に対応しました。

また、以下の表のように経年劣化と過失損傷の区分けが明確化されました。

経年劣化と過失損傷による賃貸人と賃借人の負担

経年劣化(賃貸人負担)過失損傷(賃借人負担)
壁(クロス)・日照による変色
・通常使用による汚れ
・落書き、キズ、タバコのヤニ、釘やネジの穴(画鋲やピンは除く)
床(フローリング・カーペット)・色あせ
・通常使用による汚れ
・箪笥など通常の家具を置いた跡
・引っ越し時のキズ
・重量物の落下による凹み
・ペットによるキズ
・ピアノなど特殊家具などの跡
設備機器(エアコン・給湯器など)・通常使用による機能低下・不適切な使用や手入れ不足による故障
・日焼けによる変色・シミ、破れ、焦げ跡
建具(ドア・襖など)・通常使用による摩耗・ぶつけてできた穴や破損
台所・通常使用による設備の劣化・油汚れ、排水口の詰まり
浴室・トイレ・通常使用による設備の劣化・カビ(日常的手入れを怠った場合)
・排水口の詰まり
・通常使用による摩耗・紛失、破損
クリーニング・通常の生活で発生する汚れ・著しい汚れ
・特殊なクリーニング剤が必要な場合

原状回復ガイドラインと民法改正や契約書との関係

2020年4月の民法改正により、原状回復義務の範囲が法律で明確化されました。
改正民法第621条では、通常使用による損耗や経年変化が借主の原状回復義務から除外され、これによりガイドラインの考え方が法的に裏づけられています。

ガイドライン自体には法的拘束力はありませんが、契約内容を解釈する際の参考として活用されます。
適用の優先順位は、法律→契約書→ガイドラインの順となります。

また、契約書に記載された特約が著しく不公平、あるいは法律に反する場合には無効とされることがあります。

ただし、特約によっては、借主が通常の原状回復義務を超える負担を負う場合があるため、契約時には契約書の内容を十分に確認することが重要です。

原状回復ガイドラインのグレードアップの概念

グレードアップとは、賃借人の退去後に物件の価値や機能を向上させる修繕や改善を指し、原状回復とは明確に分けられています。

たとえば、古い設備の高機能品への交換や高級壁紙への張り替えなどが挙げられます。
これは原状回復を超えた改善となるため、費用は原則として賃貸人が負担します。

賃借人は通常の使用による損耗や経年変化の修繕のみを負担し、グレードアップ部分の費用負担は求められません

しかし、グレードアップと原状回復の線引きが曖昧な場合があり、トラブルの原因となることがあるため注意しましょう。

まとめ

賃貸人は所有者として、多くの場合、管理会社や顧問弁護士といった専門家のサポートを受けています。
一方で、賃借人は法律や規定に詳しくないことが多いため、不利益な条件を受け入れてしまうケースが少なくありません。

最新の原状回復ガイドラインや契約書の内容を理解することで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
不当な要求を感じた場合は、早めに法律の専門家や消費者センターに相談することをおすすめします。

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