家賃滞納による強制退去は、誰にとっても避けたい事態です。
しかし、強制退去になったとしても、次の住まいを見つける方法はあります。
この記事では、強制退去が実行された場合に何が起こるのか、そして次の住居の入居審査を通過するための具体的な方法を詳しく解説します。
さらに、強制退去を回避するための実用的な対策も紹介します。
家賃滞納で強制退去になると、住居を失い、いわゆるブラックリストに載った上に、滞納した家賃の支払いが待っています。
強制退去になると、裁判所の職員(執行官)が明け渡しの強制執行を行います。
強制執行は、以下のような流れで行われます。
部屋の荷物や家具は撤去され、空き部屋となった後に玄関の鍵が交換されます。
撤去された荷物は、執行官の指定する場所に一定期間保管されます。
入居者は必要であれば、保管場所に引き取りに行きます。
指定された期間中に引き取られなかった荷物や家具は競売にかけられ、売却代金は滞納家賃に充当されます。
強制執行は裁判所の職員(公務員)が行いますが、執行には費用がかかります。
誰がどれほど負担するのでしょうか。
民事執行法では、家賃滞納による強制執行に必要な費用は、入居者(債務者)が負担すると規定されています。
通常は強制執行の申立人(賃貸人)が一度強制執行費用を裁判所に支払い、後で入居者に請求するという流れです。
執行費用には裁判費用、荷物の運搬費・保管料など、最低でも数十万円かかると言われます。
家賃保証会社が入っている場合、滞納情報が信用情報機関に登録され、クレジットカードやローンの審査が通りにくくなります。
家賃滞納で強制退去になると次の家が借りられるか心配ですが、借りられるのでしょうか。
ここでは、次の家の入居審査について解説します。
家が借りられるかどうかを判断する、入居審査について説明します。
賃貸人、管理会社の審査方法はまちまちで、家賃保証会社が入っていればすべて家賃保証会社にお任せという場合もあります。
家賃保証会社は、入居者の年齢、勤務先、勤続年数、収入を調べた上で、入居審査を行います。
家賃保証会社には、信販系・LICC(全国賃貸保証業協会)系・独立系の3つがあります。
信販系はクレジットカード会社が運営しており、審査はシビアです。
LICC系は協会系とも呼ばれ、一般社団法人全国賃貸保証業協会(LICC)の家賃情報データベースを使って審査します。
独立系は、上記2つに属さず、独自の審査基準を持っている家賃保証会社です。
信販系・LICC系は、それぞれ独自の信用情報機関で滞納情報を共有します。
家賃滞納が次の物件の入居審査に影響するケースと傾向は、次のとおりです。
家賃滞納した物件の保証会社と審査を受ける保証会社が同系列であれば、家賃滞納の情報が共有されているため、入居審査に落ちる可能性が高いでしょう。
家賃滞納した物件と同じ所有者・管理会社の物件は、入居審査で落とされる可能性が高いでしょう。
入居審査に家賃滞納が影響しないケースもあります。
家賃滞納で強制退去になった方は、物件選びの参考にしてください。
違う系列の保証会社であれば家賃滞納の情報が共有されないため、同系列での入居審査よりは通過しやすいでしょう。
保証会社不要の物件であれば家賃滞納情報が共有されていないため、入居審査が通りやすいかもしれません。
UR賃貸は入居審査自体がないため、家賃滞納で強制退去させられた場合の新居選びには重宝します。
家賃滞納による強制退去を防ぐには、次の方法があります。
家賃滞納してしまったら、強制退去など大ごとになる前に、賃貸人に相談しましょう。
まずは、滞納家賃を支払う意思を伝えます。
これが何より重要で、聞いた側も多少は安心できるでしょう。
収入からあまりにかけ離れた分割方法では現実味がなく、かえって不信感が生まれるかもしれません。
確実に支払うためには、自分の状況の中で支払えるギリギリより少し下くらいの金額が適切でしょう。
お金がどうしても自力で準備できない場合は、お金を借りて納める方法もあります。
家賃を滞納してしまっている状況を保証人や家族に伝え、お金を借りられないか相談します。
家賃滞納が続くと保証人にはいずれ迷惑をかけてしまうため、早い段階で相談してみましょう。
初回であれば、貸してくれるかもしれません。
突然の解雇や会社の倒産が原因であれば、公的制度を利用してもよいでしょう。
住居確保級幅員制度は、離職等により経済的に困窮している人が住居を確保し、就労して自立できるようにする自立支援制度です。
離職・廃業後2年以内などの条件を満たせば、最大で家賃9カ月分の給付が受けられます。
金額も大きいため、要件に該当する可能性があれば、自治体に相談しましょう。
以下の状況であれば、生活保護を受給できる可能性があります。
車や資産を持てないなどの制限はありますが、生活保護が受給できれば、滞納家賃を返済しつつ生活の立て直しが行えるでしょう。
ただ、生活保護費の中からの借金返済を認めていないため、返済計画は無理のない範囲で立て、賃貸人とよく相談することをおすすめします。
生活保護を検討する場合は、自治体の担当部署に相談しましょう。
家賃滞納による強制退去は、住居の喪失やブラックリストへの登録など、大きなデメリットがあります。
しかし、物件の選び方や保証会社の選定を工夫すれば、次の住居を見つけることは可能です。
強制退去にならないよう、滞納が発生した場合は早めに賃貸人へ相談し、支払い方法の調整や公的制度の利用を検討しましょう。
強制退去が不安で、何から手を付けるべきか分からない場合には、弁護士などの専門家に相談しましょう。