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定期建物賃貸借契約を公正証書で締結する必要はない!理由を解説

この記事でわかること

  • 定期建物賃貸借契約は公正証書で締結する必要があるか
  • 事業用定期借地契約のとの違い
  • 定期建物賃貸借契約を公正証書で締結するメリット・デメリット

定期建物賃貸借契約は、契約期間の満了と同時に賃貸借が終わる契約ですが、契約書はどのようになるのでしょうか。

借地借家法38条1項には「公正証書による等書面によって契約をする」と記載があるため、公正証書で作成すると思われがちです。
しかし、要件を満たしていれば通常の賃貸借契約書でも成立します。

この記事では、定期建物賃貸借契約を公正証書で締結する必要性と、事業用定期借地契約の違いについて紹介します。

定期建物賃貸借契約は公正証書で締結する必要はない

結論から言うと、定期建物賃貸借契約は公正証書で締結する必要はありません
通常の賃貸借契約書で契約を成立させる要件を、理解しておきましょう。

ここでは、定期建物賃貸借契約が成立する要件と公正証書が必要な契約を紹介します。

定期建物賃貸借契約が成立するための要件

定期建物賃貸借契約が成立するための要件は、以下の通りです。

  • 公正証書等の書面で契約する(通常の契約書や公正証書以外の書面での契約も可能)
  • 「更新がなく、期間満了により契約が終了すること」を契約書とは別に作成・交付する
  • 上記の書面を交付した上で内容を説明する(説明しなかった場合は普通建物賃貸借とみなされる)

定期建物賃貸借契約は、通常の賃貸借契約書であっても、上記の要件を満たせば成立します。
公正証書での契約が必須ではありませんが、必要な内容を記載し、借主へ説明する必要があります。

公正証書が必要なのは事業用定期借地契約

事業用定期借地契約の場合、公正証書以外の契約は無効になります。
借地借家法23条に、事業用定期借地契約においては公正証書による契約をするよう定められています。

事業用定期借地契約とは、賃借人が賃貸人から土地を借り、店舗やオフィスビルなどを建築する場合に用いられる借地権です。

定期建物賃貸借契約は建物の賃貸借契約で、期間の定めはありません。
一方、事業用定期借地契約は土地の借地権に関する契約で、期間が10年〜50年と定められているという違いがあります。

通常の建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約の違い

通常の建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約の違いは、以下の表の通りです。

通常の建物賃貸借契約 定期建物賃貸借契約
契約成立の要件 口頭でも可能
ただし、賃貸借契約書を締結するのが一般的
公正証書等の契約書による締結
契約期間 当事者の合意による。2年が一般的 期間に制限はなし
契約の更新 更新可能
(正当事由がある場合は更新拒絶が可能)
原則不可(更新ではなく再契約)
中途解約 可能 要件を満たせば可能
賃料の増減額 可能 可能

上記の違いについて紹介します。

契約成立の要件

通常の建物賃貸借契約は口頭でも契約は成立しますが、一般的には賃貸借契約書で締結します

定期建物賃貸借契約は、公正証書等の契約書による締結と、契約の更新がなく、期間満了により賃貸借契約は終了する旨を記載して説明する必要があります。
さらに、

契約期間と更新

通常の建物賃貸借契約の契約期間は当事者の合意により定めますが、一般的には2年間です。
1年未満とする場合は、期間の定めのない賃貸借とみなされます。

定期建物賃貸借契約の場合、契約期間に制限はなく、契約の更新がない旨を条件に貸し出せます。

原則、契約で定めた期間が満了すると契約更新はありませんが、賃貸人と賃借人の双方で合意すれば、改めて再契約が可能です。

中途解約

通常の建物賃貸借契約について、期間の定めがある場合、賃貸人は契約の有効期間中は、原則として一方的に解約することはできません。
賃借人についても、契約の有効期間中は、一方的に解約できないのが原則ですが、賃借人の解約権留保特約が設けられている場合が多いといえます。

定期建物賃貸借契約の場合は、原則賃貸人から解約できません
途中解約の特約が明記されている場合や、以下の2つの要件に該当すれば解約ができます(借地借家法38条5項)。

  • 床面積が200平方メートル未満の居住用建物の賃貸借である
  • 転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、賃借人が建物の使用が困難となったとき

賃料の増減額

通常の建物賃貸借契約の場合、土地の固定資産税の増減やその他の経済事情の変動があった場合、賃貸人又は賃借人は賃料の増減請求が可能です。
一定期間賃料の増額をしない特約がある場合は増額請求はできません。
減額請求についてはこのような特約はできません。

定期建物賃貸借契約の場合、賃料の改定についての条項を定めたとき、その条項に従います。
つまり賃借人が賃料減額を求める賃料減額請求を排除する旨の特約も、有効とされます。

定期建物賃貸借契約を公正証書で締結するメリット・デメリット


ここでは、定期建物賃貸借契約を公正証書で締結するメリット・デメリットを紹介します。

強制執行認諾文言を明記できる

賃貸人は、契約書に強制執行認諾文言を明記できます
強制執行認諾文言とは、家賃滞納などの債務不履行が生じた場合、差し押えなどの強制執行を受ける承諾を示した文です。
つまり、裁判所の手続きなどをせずに、相手の財産を差し押さえられます。

一方で、賃借人にとっては家賃滞納した場合のリスクが大きくなります。

法的な不備が発生しにくい

公正証書は、公証人が作成して内容を証明する公文書であるため、法的な不備が発生しにくいメリットがあります。
賃貸借契約書の内容や、特約を誤って記入する可能性が低くなるでしょう。

一方で、公証役場への手数料や手続きの手間がかかるデメリットがあります。
目的の価額や法律行為を追加するごとに手数料が加算されるため、あらかじめ公証役場で確認しておきましょう。

まとめ

定期建物賃貸借契約は、公正証書で作成する必要はありませんが、「更新がなく、期間満了により契約が終了する」を契約書とは別に作成し、賃借人へ説明する必要があります。

公正証書で定期建物賃貸借契約を締結する場合は、賃借人は強制執行認諾文言が明記されているかチェックしておきましょう。

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