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市営住宅や団地の修繕費・退去費用の相場はいくら?高すぎるときの対処法

この記事でわかること

  • 市営住宅・団地の修繕費・退去費用の相場
  • 退去費用が高くなりやすい理由
  • 退去費用が高いときの対処法

市営住宅や団地の修繕費・退去費用の相場は、自治体によって異なるため、事前にどれくらいの費用になるのか気になる方もいらっしゃるでしょう。

市営住宅は通常の賃貸住宅と異なり、修繕箇所が多くなるため、退去費用も高いです。
そのため、高額な退去費用の対処法を事前に把握しておいた方がよいでしょう。

この記事では、市営住宅・団地の修繕費・退去費用の相場と退去費用が高額となる理由、対処法を紹介します。

市営住宅・団地の修繕費・退去費用の相場

市営住宅・団地の修繕費・退去費用の相場は、おおよそ30万円〜60万円前後です。

間取り 費用相場
2LDK 30万円〜40万円前後
3LDK 40万円〜50万円前後
4LDK 50万円~60万円前後

上記の費用は目安であり、人によっては、さらに安くなるケースもあり得ます。

市営住宅は、築年数が古くなるにつれて修繕箇所が増えるため、修繕費・退去費用は割高になる傾向があります。

ここでは、修繕費に含まれる項目について紹介します。
自分の間取りを考慮し、どれくらいの金額になるのか計算してみましょう。

クロスの張替え費用

市営住宅・団地を退去する際、汚れや傷があるクロスは張替えを行わなければならず、1㎡あたり、1,000円前後の費用がかかります。

タバコによるヤニ汚れや黄ばみに関しては、一居室まるごとクロス張替えとなるケースがほとんどで、以下の費用が目安となります。

部屋の畳数 クロスの張り替え費用相場
6畳 8万5,000円~17万5,000円
8畳 10万円~20万円
10畳 11万5,000円~22万5,000円

必ずしも全面張り替えしなければいけないわけではありません。
非喫煙者の入居者だった場合には、ヤニ汚れなどはないためです。
しかし、長期間入居しているとクロスは変色するため、基本的には全面張替えが必要となる点に注意しましょう。

フローリング張り替えの費用相場

フローリングに関しては、おおよそ6畳居室で11万円〜15万円ほどの費用がかかります。
以下の表は、施工範囲に合わせた費用相場です。

部屋の畳数 クロスの張り替え費用相場
居室(6畳) 11万円~15万円
居室(12畳) 22万円~30万円
廊下(6畳) 4万円~4万5,000円
キッチン(6畳) 4万円~4万5,000円
洗面所(6畳) 4万円~4万5,000円

市営住宅に長期間居住していると、フローリングも劣化し、全体的な張替えが求められる場合もあります。
また、フローリングの費用は、素材や張替え方法によっても金額は大きく前後します。

住宅設備の交換費用相場

エアコンや給湯器などが故障していた場合、入居者の負担で修理が必要となり、おおよそ22万円〜35万円前後の費用がかかります。

エアコン本体 10万円~20万円
エアコンの取り付け 1万3,500円~1万7,000円
既存エアコンの取り外し 5,000円前後
エアコン改修費用 0円~3,000円
合計 12万円~22万5,000円

給湯機に関しては、おおよそ10万円〜15万円ほどの費用がかかります。
さらにトイレやユニットバスなどの交換も必要となった場合、さらに数十万円以上の費用がかかる場合があるでしょう。

市営住宅・団地の修繕費・退去費用が高くなりやすい理由

市営住宅・団地の修繕費・退去費用が高くなりやすい理由は、通常の賃貸住宅より原状回復範囲が広いためです。

ここでは、修繕費・退去費用が高くなりやすい理由を紹介します。

経年劣化も原状回復に含まれるため

市営住宅などは、民間賃貸住宅と異なり、原状回復する範囲に通常損耗や自然損耗などの経年劣化が含まれているため、退去費用が割高になります。

原状回復とは、退去時に入居時の状態に部屋を戻すという意味で、民法621条で定められている入居者の義務です。
部屋が汚れている場合や、壁や柱に傷が付いている場合は、入居者の負担で修繕しなければいけません。

日差しによってフローリングやクロスが色褪せた場合は、自然消耗などに該当するため、本来入居者が負担する費用ではありません。
しかし、市営住宅の場合、通常消耗や経年劣化も原状回復に含まれるため、必然と修繕費用が高くなります。

以下の表は、損耗別の費用負担先をまとめたものです。

損耗の種類 具体例 費用負担先
公営住宅 民間賃貸住宅
通常損耗 •家具の設置による床の凹みや傷
•電化製品の背面の黒ずみ
•エアコンの設置跡
入居者 貸主
自然損耗 •日差しによるクロスや床の色褪せ
•設備の故障
入居者 貸主
特別損耗 •子どもの落書き
•結露放置によるカビ
•その他に故意や過失で傷や汚れを付けた箇所
入居者 入居者

上記の通り、公営住宅は入居者がすべて負担します。
入居時に配布される「入居のしおり」に原状回復の範囲が記載されているので、確認しておきましょう。

賃料の減免措置があるため

市営住宅の場合、「家賃が低い代わりに通常損耗や自然損耗による修繕費は入居者が負担する」形となっています。

民間の賃貸物件の場合、通常損耗や自然損耗の修繕費は家賃に含まれていると考えられています。
しかし、市営住宅は家賃が安い分、通常消耗などの修繕費は家賃に含んでおりません。

一見、「市営だから市の負担ではないのか」と疑問を抱く方も多いですが、市営住宅の場合は入居者が負担します。

ただし、どこまで原状回復義務を求められるかは自治体によって異なります。

襖(ふすま)・畳・障子なども原状回復の対象となる

古い市営住宅は、襖・畳・障子などがあり、原状回復の対象となるため、修繕費用が割高になります。

民間の賃貸物件であれば、襖や畳などは、貸主の負担で修理・交換しなければいけません。
しかし、市営住宅の場合は入居者負担となり、損傷状況に応じて以下の費用目安を負担しなければいけません。

工事内容 費用目安
襖の張替え 片面1枚 4,000円程度
畳の表替え 1畳あたり5,000円~2万円程度
障子の張り替え 1枚あたり4,500円程度
ガラスのはめ替え 1枚あたり1万5,000~3万円円程度

さらに古い市営住宅の多くは、襖・畳・障子などが附属されているケースが多いため、必然と退去費用が割高となってしまいます。

市営住宅・団地の修繕費・退去費用が高すぎるときの対処法

市営住宅・団地の修繕費・退去費用が高すぎるときは、どのような対処を行えばよいのでしょうか。

ここでは、3つの対処法を紹介します。

行政に相談してみる

市営住宅や団地の管理を行っている市に相談してみましょう。
退去費用が高すぎて支払いが困難な場合、分割払いや減免措置など個別に対応してもらえる可能性があります。

もちろん必ず措置が取られるわけではありませんが、市は市民を守ることを優先するので、うまく対応してくれる場合もあるでしょう。

相談窓口へ相談する

退去費用が高額な場合、専用の窓口に相談してみる方法もあります。
以下の窓口は、退去費用について、無料で相談できます。

相談先 連絡先
消費者ホットライン 188
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル) 03-5282-5319

参考:消費者庁|消費者ホットライン

参考:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター|住まいるダイヤル

契約書に記載のない原状回復費が請求されている場合や、退去費用に納得できない、トラブルになりそうな場合は相談してみましょう。

家賃の支払いが困難な方は住居確保給付金

退去費用はおろか、家賃の支払いが困難となった方は住居確保給付金制度を利用できる可能性があります。

住居確保給付金制度とは、離職や廃業などで家賃の支払いが困難となってしまった方に、家賃を助成する制度です。
支給額は、市区町村ごとに定める額を上限に、実際の家賃額を原則33カヶ月間まで(延長は11回まで最大9カヶ月)です。

また、本制度の利用には対象者要件が定められています。

対象者要件 •離職・廃業後2年以内である場合もしくは、個人の責任や都合によるわけではないのに、収入が離職・廃業と同程度まで減少している場合
•直近月の世帯収入合計が市町村民税の均等割が非課税となる額の1/12と、家賃の合計額を超えていない
•世帯の預貯金合計額が、各市町村で定める額を超えていない
•求職活動を行っている(ハローワークや企業への応募など)

参考:厚生労働省|厚生労働省生活支援特設ホームページ

仕事を失って2年以内で、月の世帯収入が大きく減った方は利用できます。
家賃の支払いが困難な方は、ぜひ本制度の利用を検討してみましょう。

市営住宅・団地から引っ越すときの注意点

市営住宅・団地から引っ越す際、修繕費や退去費用などばかりに目が行きがちですが、その他にもお金の面で注意しなければいけない点も多数あります

ここでは、市営住宅・団地から引っ越すときの注意点を3点紹介します。

引っ越し費用もかかる

修繕費・退去費用とは別に、引っ越し代がかかる点には注意しましょう。

引っ越し費用は搬出する荷物の寮や引っ越し先までの距離などによって異なりますが、目安料金は以下の表の通りです。

単身者 2人家族 3人家族 4人家族 5人家族
近距離引越し(50km以内) 6万円 9万5,000円 12万2,000円 16万円 21万5,000円
中距離引越し(200K㎡以内) 7万8,000円 10万8,000円 13万5,000円 18万5,000円 36万7,000円

また、市営住宅・団地から引越しする場合、エレベーターの有無によって料金も変動します。
引っ越し時期は繁忙期である3月・4月を避けると、引っ越し料金を抑えられます。

しかし、引っ越し料金は決して安い価格ではないため、複数社相見積もりを取り、安い業者を見つけましょう。

退去費用は敷金と相殺される

市営住宅の修繕費・退去費用は、敷金と相殺されるため、敷金が返還されない可能性も高いです。

敷金とは、入居時に貸主へ預けるお金を指し、退去する際は敷金から原状回復費用を差し引かれ、後で返金されます。

引っ越し代や次の物件の初期費用に、返金された敷金を充てようと考える人も多いです。
しかし、市営住宅の場合、敷金より原状回復費の方が高くなるケースがあり得ます。

たとえば、敷金が20万円で、原状回復費が30万円の場合、敷金は返金されず、追加で10万円支払う必要があるため注意しましょう。

建て替え予定がないか確認する

市営住宅・団地の建て替え予定が直近である場合、立ち退き料をもらえる可能性があります。
立ち退き料とは、建物から退去する代わりに支払われる金銭を指します。

公営住宅は、建て替えに伴う退去を行ってもらう場合、立ち退き料が支払われると公営住宅法第42条に明記されています。

引用:事業主体は、公営住宅建替事業により除却すべき公営住宅の除却前の最終の入居者が、当該事業の施行に伴い住居を移転した場合においては、その者に対して、国土交通省令で定めるところにより、通常必要な移転料を支払わなければならない。

引用:公営住宅法 | e-Gov法令検索

立ち退き料は自治体によって異なるため、事前に自治体に確認しておきましょう。

また、民間の賃貸物件の建て替えによる立ち退きの場合、原状回復費は免除してもらえるケースが一般的です。
公営住宅でも免除される場合もあるため、退去費用を大幅に圧縮できます。
立ち退き料と一緒に自治体へ確認しましょう。

まとめ

市営住宅・団地の修繕費、退去費用の相場は、おおよそ30万円~60万円前後です。
もちろん、物件によっては上記の費用より安くなる可能性もありますが、一方で高くなるケースも考えられます。

また、退去費用に加えて引っ越し費用もかかる点を忘れないように注意してください。

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